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【発明の名称】 家屋の外気冷却装置
【発明者】 【氏名】田中 靖彦

【要約】 【課題】新鮮な外気を効率よく冷却して室内に供給し、十分な涼感を実現できると共に、省エネルギーに貢献できる家屋の外気冷却装置を提供する。

【解決手段】床下空間7に床下配管1を配置する。吸気口41から送風機4により外気を床下配管1へ吸入する。熱交換室3を床下空間7に配置する。地下配管2の一部を埋設する。熱交換室3と地下配管2とを連通させる。床下配管1が熱交換室3を経由た後に、室内配管6に連通させる。吸入された外気を床下空間7と熱交換室3内で冷却する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 戸外から外気を吸入し、該外気を冷却手段により冷却して室内に供給する家屋の外気冷却装置において、戸外に配置された吸気口と、該吸気口と連通され前記家屋の床下に配置された床下配管と、前記吸気口と該床下配管との間に設けられた送風機と、前記床下配管の最下部に配置された結露水ドレインと、一部が地下に埋設されると共に、一端が戸外に配置された地下配管と、該地下配管と連通し床下に配置されると共に、その内部を前記床下配管が貫通する熱交換室と、地下に埋設された前記地下配管の底面に設けられたドレイン孔と、床下配管に連通し外気を各部屋に供給する室内配管とからなることを特徴とする家屋の外気冷却装置。
【請求項2】 床下配管の一部を他の部分より低く配置し、この低く配置された部分に結露水ドレインを設け、排水管を該結露水ドレインに連結し、該排水管から戸外に結露水を排水できるように配管したことを特徴とする請求項1記載の家屋の外気冷却装置。
【請求項3】 室内配管の吹出し口を、外気が供給される部屋の天井の一方の隅に配置し、この吹出し口が配置された位置に対抗するもう一方の天井の隅に排気口を設け、該排気口から強制的に室内の空気を排出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の家屋の外気冷却装置。
【請求項4】 戸外から外気を吸入し、該外気を冷却手段により冷却して室内に供給する家屋の外気冷却装置において、冷却手段が、床下に配置された熱交換室と、外気を吸入する吸気口に連通され前記家屋の床下に配置された床下配管と、一部が地下に埋設されると共に、一端が戸外に配置された地下配管と、地下に埋設された前記地下配管の底面に設けられたドレイン孔とからなり、前記地下配管が前記熱交換室内と連通すると共に、前記床下配管が前記熱交換室内を貫通するように設けたことを特徴とする家屋の外気冷却装置。
【請求項5】 熱交換室の外壁に放熱板を設けたことを特徴とする請求項4記載の家屋の外気冷却装置。
【請求項6】 熱交換室に、その内部の空気を攪拌するファンを設けたことを特徴とする請求項4記載の家屋の外気冷却装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、戸外の空気を吸引し、これを冷却して室内に供給する家屋の外気冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の住宅建築ブームに伴い、その建築技術の発展には目ざましいものがあり、より高度な技術を導入した、いわゆる高規格な住宅の建築が要求されてきている。この高規格な住宅としての条件としては、その耐久性とともに昨今注目を集めているのが、高気密性と高断熱性である。この2つの条件は相乗効果を発することから、組み合わせて用いられることが多い。つまり、住宅の天井や壁面などを高気密、高断熱に形成し、太陽光などの自然なエネルギーを利用することにより省エネルギーに務め、これにより快適な温度設定などができる生活環境を得ようとするものである。
【0003】そもそもこの高気密、高断熱の住宅の発想は、主に北国の寒期において化石エネルギーの消費を最小限にしようとするところから発しているといわれている。確かに太陽光を熱に変換することによりガスや石油などの消費を抑えることは容易である。例えばお湯を沸かしたり、熱変換して地下に蓄熱してこれを暖房に利用する方法などは多く実用化されている。
【0004】しかしながら、日本の気候を考えると、上記した暖房重視の住宅は北海道や東北などといった寒期の長い地方においては有効であっても、寒期が1年の4分の1もない地方にとっては無用の長物になりかねない。特に、南国における高気密、高断熱の住宅は夏場において室内に一旦入った熱を保存してしまう上、太陽光を利用しようとする場合の太陽電池や蓄熱媒体設備などは高価である。
【0005】そこで本発明は、冷房を重視し、省エネルギー化を安価に実現するためになされたものである。すなわち、上記した熱が室内にこもらないように排出すると共に、自然の外気を冷却して室内に供給するものであり、この冷却を床下と地下の低温を利用して行うようにしたものである。従来において本案と同様の目的をもって発明され、そのうち床下と地下の低温を冷却に利用するものとして提案されたものとしては、たとえば特開昭61−213530号公開公報に示された「地中蓄熱冷暖房システム」や特開昭58−217132号公開公報に示された「建物の冷房又は暖房装置」などがある。
【0006】このうち、「地中蓄熱冷暖房システム」は外気を床下、地下、床下、壁面、天井裏の順で送風し、これを屋根付近の換気孔から排気するものであるが、この構成では効率的な冷却がなされないだけでなく、その送風に無理がある。また、「建物の冷房又は暖房装置」は構造そのものが非常に複雑で、現実化するためには余りにも高価となる上、その送風経路が複雑に構成されており、多くの送風動力を必要とするため、とても省エネルギー化はできない。また、地下室の空気を直接配給するように設けられているため、地下室の匂いなどがそのまま室内に流れることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、新鮮な外気を効率よく冷却して室内に供給し、十分な涼感を実現できると共に、省エネルギーに貢献できる家屋の外気冷却装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため本発明では、戸外から外気を吸入し、該外気を冷却手段により冷却して室内に供給する家屋の外気冷却装置において、戸外に配置された吸気口と、該吸気口と連通され前記家屋の床下に配置された床下配管と、前記吸気口と該床下配管との間に設けられた送風機と、前記床下配管の最下部に配置された結露水ドレインと、一部が地下に埋設されると共に、一端が戸外に配置された地下配管と、該地下配管と連通し床下に配置されると共に、その内部を前記床下配管が貫通する熱交換室と、地下に埋設された前記地下配管の底面に設けられたドレイン孔と、床下配管に連通し外気を各部屋に供給する室内配管とからなるようにしたものである。
【0009】また、冷却手段が、床下に配置された熱交換室と、外気を吸入する吸気口に連通され前記家屋の床下に配置された床下配管と、一部が地下に埋設されると共に、一端が戸外に配置された地下配管と、地下に埋設された前記地下配管の底面に設けられたドレイン孔とからなり、前記地下配管が前記熱交換室内と連通すると共に、前記床下配管が前記熱交換室内を貫通するようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は下記の要件を満たすように構成されている。
(1)新鮮な外気を吸入し、これをよく冷却するために、その冷却においては地下と床下の両方の低温を効率よく利用する。
(2)冷却された空気にさらに涼感を高めるために、冷却に伴う結露現象を重視し、これにより除湿した後に室内に供給する。
(3)少ない電力で効率よく送風するために、各送風動力を細分化すると共に、一つの動力により送風されるパイプの長さを最小限とすることにより、エネルギーロスを抑える。
(4)床下を完全密閉空間とすることなく、自然な換気手段を確保しつつ、十分な保冷能力を持つようにする。
(5)従来技術によくみられるように、床下または地下から直接に送風するのではなく、熱交換を間接的に行うことにより、床下または地下からの空気が室内に直接入り込まないようにする。
(6)室内を気密性の高い構造とすることにより、室内における換気機能を向上させ、本外気冷却装置がより効率的に利用できる環境を設定する。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る外気冷却装置の構成を示す家屋の側面断面図、図2は床下における各配管を示す平面図、図3は熱交換室を示す分解斜視図である。図1に示すように、本実施例の外気冷却装置は、戸外に配置された吸気口41と、吸気口41からの吸気と室内への送風を行う送風機4と、吸気口41から吸入された空気を床下で冷却する床下配管1と、床下配管1内で結露した水を排出する結露水ドレイン5と、床下配管1内で冷却された空気をさらに地下の冷温で冷却する熱交換室3と、一部が地下に埋設されると共に、一端が戸外に配置されて吸入した外気を地下で冷却した後に熱交換室3内に供給する地下配管2と、地下に埋設されたこの地下配管2の底面に設けられたドレイン孔21と、床下配管1内および熱交換室3内で冷却された外気を各部屋に配気する室内配管6とから構成されている。
【0012】次に、本外気冷却装置の配管について説明する。図2に示すように、吸気口41は建物の北側に配置され、これから外気を吸気する送風機4は吸気口41に近接した床下に配置されている。床下配管1は送風機4に連接され、二手に分岐して床下内を蛇行するように配置され、一旦熱交換室3内を通った後に室内配管6に連結されている。
【0013】尚、この床下配管1は熱伝導がよく、布設工事が容易な金属製のフレキシブルパイプが望ましく、例えば蛇腹状のアルミパイプなどが好適である。
【0014】結露水ドレイン5は二手に分岐した床下配管1にそれぞれ取り付けられ、図1に示すように、この結露水ドレイン5が設けられた部分の床下配管1は他の部分より低く配置されている。結露水ドレイン5の排水管51は、戸外の排水溝52に水を排水するように設けられている。
【0015】図3に示すように、熱交換室3は長方形の密閉室に形成されており、その中には床下配管1の一部と、地下配管2の一部が配管されている。この中に配管されている地下配管2には排気口22が設けられ、地下を通った外気がこの熱交換室3内に吹き出すように設けられている。また、熱交換室3の一端にはこの内部の空気を攪拌するファン31が設けられ、もう一端にはこの内部の空気を排出するベント孔32が設けられている。さらに、この熱交換室3の外側面には複数の放熱板33を設け、熱交換室3自体の熱を床下に放熱するように設けられている。
【0016】図2に示すように、地下配管2は、その一端が地下吸気口23として戸外に配置され、図1に示すようにこの地下吸気口23から外気を吸入する地下送風器24により送風される。地下に埋設されている地下配管2の底面には複数のドレイン孔21が設けられ、この地下配管2内で冷却されることにより結露した水分が排水できるように設けられている。
【0017】尚、この地下配管2としては、耐久性を考慮し腐食性の低い塩化ビニル等の樹脂製パイプが好適である。ただし、熱交換室3内に配置され排気口22が設けられた部分の地下配管2aは熱伝導のよいアルミパイプなどの金属パイプが好適である。
【0018】次に、室内配管について説明する。図1に示すように、一旦熱交換室3内を通った床下配管1は室内配管6に連結され、室内配管6は壁面内(図示せず)を垂直に立ち上がり、各部屋の天井裏を通って各部屋ごとに設けられた給排気グリル61に連通されている。この給排気グリル61は各部屋の天井の隅に配置され、その位置と対抗するもう一方の天井の隅には室内の空気を排気する室内排気口8が設けられている。尚、壁面内の室内配管6には弁62が設けられ、寒期に本装置を使用しない時期おいて、これを閉じることにより室内に冷気が入らないように設けられている。
【0019】また、床下空間7については、外気の冷却により発生する熱がこの中に蓄熱されないようにするため、従来技術によくみられるような完全密閉空間としないほうが望ましい。したがって、例えば基礎の上部に換気孔を形成して、自然な換気手段を確保しつつ、十分な保冷能力を持つようにしたものが好適である。
【0020】ここで、本実施例の作用について説明する。図1に示すように、送風機4により吸気口41からの吸気された外気は、床下配管1内を通って室内配管6に至るまでの間において、床下空間7と熱交換室3の中で冷却される。この際、外気の湿度が高い場合、冷却によりその温度が露点に達して結露することにより、水滴が発生するが、この水滴は重力により結露水ドレイン5に集中して排水管51から戸外に排水される。また、熱交換室3内を冷却するにあたっては、一端地下配管2内に吸入された外気は地中の冷温により冷やされた後に、排気口22からこの中に吹き出される。この際、上記した床下空間7と同様に、外気の湿度が高かった場合は結露するため、発生した水滴はドレイン孔21から地中にしみ出すように設けられている。
【0021】したがって、床下配管1内および地下配管2内における結露により、この冷却された外気は潜熱が奪われ、相対的にエネルギーが低い空気となるため、冷却効果が向上する。特に、外気の湿度が高いほど結露しやすく、これにより室内に供給された空気と外気との間に湿度の差が大きくなり、このため温度差が大きくなくても涼感を得ることができる。
【0022】また、室内における空気の循環については、天井の一方の隅に配置された給排気グリル61から排出された冷たい空気は下がろうとする。一方この給排気グリル61に対抗した位置に設けられた室内排気口8から上部に溜まった温かい空気は戸外へ排出される。これにより循環が発生すると共に、給排気グリル61からの排気をブロックしないため、送風機4に無理な負荷がかかることはない。
【0023】ここで、本実施例の外気冷却装置を使用した建築例における温度測定値を表1により示す。本建築例においては、2階建ての高気密、高断熱住宅とするために、各壁面および天井面等の断熱構造を強化し、窓には遮熱ペアガラス窓を採用した住宅である。この住宅は、延床面積が約188mであるため、冷却された空気が供給される室内の総容積が約470mとなる。このため、床下配管には直径150mmのアルミパイプを60m使用し、さらに送風機により毎時300mの送風をすると共に、室内排気口からの排気量をこれと同様にすることにより、効率のよい室内循環を得られる。
【0024】
【表1】

【0025】この表1からもわかるように、外気と室内吹出し口との温度差は−5.2〜−1.3℃と室内の方が低く、特に第1測定日や第3測定日のように高気温、低湿度において冷却効果が顕著である。また、湿度においては+11.9〜−16.4%とややまちまちではあるが、特に第2測定日に見られるように、湿度が高いほど除湿効果が高いことがわかる。上記した温度差は人体が十分に差異を感じる温度差であり、さらに高湿度の場合においては涼感を得ることができる。
【0026】これにより、室内において十分な涼感を得られるため、エアコンの使用を極力さけることができる。本案のように送風のみにより自然の冷却機能を利用した場合と、エアコンにより強制的な冷却を行う場合とを、その消費エネルギーにおいて比較するとその差が非常に大きいことは言うまでもない。また、エアコンの場合は湿度の低下が大きいため、人体には好ましくないのに対して、このシステムを使用すると適度な湿度が与えられるため、長時間使用しても快適な環境を維持できる。
【0027】
【発明の効果】本発明では以上のように構成したので、新鮮な外気を効率よく冷却して室内に供給できるため、省エネルギーを実現して夏場における快適な生活環境を得ることができるという優れた効果がある。また、エアコンと異なり適度な湿度を保つことができるため、長時間の使用においても人体に好ましい環境を維持できるという優れた効果がある。
【出願人】 【識別番号】597106356
【氏名又は名称】株式会社タナカホーム
【出願日】 平成9年(1997)6月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】衞藤 彰
【公開番号】 特開平11−14091
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−200705