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【発明の名称】 電子レンジ
【発明者】 【氏名】田辺 武士

【要約】 【課題】食品の上下方向における加熱状態の均一性を確保することが可能であり、また、偏平形状の食品についての加熱状態をも均一化することができる電子レンジを提供する。

【解決手段】本発明に係る電子レンジ1は、加熱室本体4と、回転動作及び昇降動作するターンテーブル5と、ターンテーブル5上に載置された食品2を加熱する加熱手段6と、加熱手段6に対して食品2が近接したことを検知する検知手段9と、全体動作を制御する制御手段10とを備えており、制御手段10が、加熱手段6に対して食品2が近接した位置でターンテーブル5の回転動作を停止させたうえ、回転動作を停止したままの位置でターンテーブル5を昇降動作させるもの、あるいはまた、回転動作を停止したままの位置でターンテーブル5を加熱手段6と対向する位置まで上昇動作させるものであることを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱室本体と、回転動作及び昇降動作するターンテーブルと、ターンテーブル上に載置された食品を加熱する加熱手段と、加熱手段に対して食品が近接したことを検知する検知手段と、全体動作を制御する制御手段とを備えており、制御手段は、加熱手段に対して食品が近接した位置でターンテーブルの回転動作を停止させたうえ、回転動作を停止したままの位置でターンテーブルを昇降動作させるものであることを特徴とする電子レンジ。
【請求項2】 加熱室本体と、回転動作及び昇降動作するターンテーブルと、ターンテーブル上に載置された食品を加熱する加熱手段と、加熱手段に対して食品が近接したことを検知する検知手段と、全体動作を制御する制御手段とを備えており、制御手段は、加熱手段に対して食品が近接した位置でターンテーブルの回転動作を停止させたうえ、回転動作を停止したままの位置でターンテーブルを加熱手段と対向する位置まで上昇動作させるものであることを特徴とする電子レンジ。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載した電子レンジであって、加熱室本体の排気口は、回転動作を停止したターンテーブル上に載置された食品の近傍となる位置に開口していることを特徴とする電子レンジ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はターンテーブルを備えてなる電子レンジに係り、特には、食品を効率よく加熱するための制御が実行される電子レンジに関する。
【0002】
【従来の技術】近年においてはターンテーブルを備えてなる電子レンジが一般的となってきており、この種の電子レンジのうちには、実公平4−30800号公報で開示されているように、食品の温度上昇を早くして調理時間の短縮化を図る構成とされたものがある。すなわち、この際における電子レンジ31は、図4で簡略化して示すように、排気口32が設けられた加熱室本体33と、回転動作するターンテーブル34と、ターンテーブル34上に載置された食品35を加熱する加熱手段であるマグネトロン36と、マグネトロン36の給電口37に対して食品35が近接したことを検知する検知手段(図示省略)と、電子レンジ31の全体動作を制御する制御手段であるところのマイクロ・コンピュータ(図示省略)とを備えている。
【0003】そして、この電子レンジ31では、ターンテーブル34の周縁面上に載置された食品35がマグネトロン36の給電口37に近接したことを検知してターンテーブル34の回転動作を停止させることにより、食品35を給電口37に近接したままとしておく制御がマイクロ・コンピュータによって実行されることになっている。つまり、この電子レンジ31においては、マイクロ波の電界強度の強い給電口37付近に食品35を配置しているので、食品35でもって有効に吸収されるマイクロ波エネルギーが増大する結果、食品35の温度上昇が早くなって調理時間が短縮化されることになる。なお、図4中の符号38は排気口32内に設けられて食品35の仕上がり状態を検知するための仕上がりセンサであり、39はターンテーブル34を回転動作させるモータなどの回転駆動装置である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の電子レンジ31を採用した際には、ターンテーブル34を回転動作させ続けながら食品35を加熱した場合に比較し、食品35の上下方向における加熱状態の均一性が悪化するという不都合が生じる。すなわち、例えば、200ccの水が満たされたガラス製のグラスを食品35に代えて用意し、ターンテーブル34の回転動作を停止したうえで1分間にわたって水を加熱した場合と、ターンテーブル34を回転動作させながら1分間にわたって加熱した場合との比較実験を実行してみたところ、回転動作を停止した際における水の上下温度差は35℃であるのに対し、回転動作を継続した際における上下温度差は24℃であるに過ぎず、ターンテーブル34の回転動作を停止するよりも回転動作させ続ける方が食品35における加熱状態の均一性は良好となっていることが明らかとなる。
【0005】そして、このような結果が生じるのは、以下のような理由に基づくと考えられる。つまり、図4からも分かるように、電子レンジ31では、ターンテーブル34上の食品35が近接したままで配置されるマグネトロン36の給電口37が加熱室32の一端側底面に配置されているのに対し、加熱される食品35から発生する蒸気などを電子レンジ31外へと排出するための排気口32は給電口37から遠く離れた加熱室32の他端側天井に配置されているので、食品35から発生した蒸気などが排気口32内の仕上がりセンサ38へと到達するまでに時間を要し、仕上がりセンサ38の応答速度が低下するため、仕上がりセンサ38でもって調理終了が検知されるまでの間に食品35の加熱状態が不均一となる。また、食品35から発生した蒸気などの濃度が排気口32へと流れる途中で薄まるために仕上がりセンサ38の検知感度が低下し、仕上がりセンサ38で調理終了を検知することが遅れる結果として食品35における加熱状態の均一性が失われてしまう。
【0006】ところで、この種の不都合を解消する手法の一つとしては、図示省略しているが、ターンテーブル34上の食品35と対向する位置にマグネトロン36の給電口37を配置しておくことが考えられる。しかしながら、このような構成を採用した際における食品35が偏平形状である場合には、ターンテーブル34上に載置された食品35の方が給電口37よりも下方に位置している、つまり、マイクロ波の電界強度の強い給電口37に対して食品35が位置ずれした状態となっているため、食品35でもって有効に吸収されるマイクロ波エネルギーが減少することになり、食品35の温度上昇が遅くなって調理時間が延長されることになってしまう。
【0007】本発明は、以上のような不都合に鑑みて創案されたものであって、食品の上下方向における加熱状態の均一性を確保することが可能であり、また、偏平形状の食品についての加熱状態をも均一化することができる電子レンジの提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る電子レンジは、加熱室本体と、回転動作及び昇降動作するターンテーブルと、ターンテーブル上に載置された食品を加熱する加熱手段と、加熱手段に対して食品が近接したことを検知する検知手段と、全体動作を制御する制御手段とを備えており、制御手段が、加熱手段に対して食品が近接した位置でターンテーブルの回転動作を停止させたうえ、回転動作を停止したままの位置でターンテーブルを昇降動作させるものであることを特徴としている。
【0009】本発明の請求項2に係る電子レンジは、加熱室本体と、回転動作及び昇降動作するターンテーブルと、ターンテーブル上に載置された食品を加熱する加熱手段と、加熱手段に対して食品が近接したことを検知する検知手段と、全体動作を制御する制御手段とを備えており、制御手段が、加熱手段に対して食品が近接した位置でターンテーブルの回転動作を停止させたうえ、回転動作を停止したままの位置でターンテーブルを加熱手段と対向する位置まで上昇動作させるものであることを特徴としている。
【0010】本発明の請求項3に係る電子レンジは、請求項1または請求項2に記載したものであり、加熱室本体の排気口が、回転動作を停止したターンテーブル上に載置された食品の近傍となる位置に開口していることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0012】図1は実施の形態に係る電子レンジの構造を簡略化して示す側断面図、図2はその平断面図、図3は電子レンジの電気的構成を示す説明図であり、図1及び図2中の符号1は電子レンジを示している。
【0013】本実施の形態に係る電子レンジ1は、食品2から発生した蒸気などを排出する排気口3が設けられた加熱室本体4と、回転動作及び昇降動作するターンテーブル5と、ターンテーブル5上に載置された食品2を加熱する加熱手段であるマグネトロン6と、このマグネトロン6を冷却するための冷却ファン7と、マグネトロン6で発生したマイクロ波が発射される給電口8に対して食品2が近接したことを検知する検知手段であるところの近接センサ9と、電子レンジ1の全体動作を制御する制御手段としてのマイクロ・コンピュータ10とを備えている。そして、ここでのターンテーブル5は、加熱室本体4の底部に配設された昇降駆動装置11でもって昇降動作可能に支持され、かつ、この昇降駆動装置11と連結された回転駆動装置、つまり、ターンテーブル5を回転動作及び停止させることが可能な回転駆動装置12を具備して構成されたものであり、これらの昇降駆動装置11及び回転駆動装置12はマイクロ・コンピュータ10によって動作制御されている。
【0014】ところで、ターンテーブル5を昇降動作させるにあたっては特開平8−37087号公報で開示されているような方法が採用されることになっており、図3から分かるように、リレーL2がONされると昇降モータ13は駆動されることになる。そして、ここでのターンテーブル5は回転モータ14を用いたうえで回転動作させられることになり、リレーL3がONされると回転モータ14が駆動される一方、リレーL3がOFFされると回転モータ14が駆動停止するためにターンテーブル5の回転動作は停止されることになっている。なお、リレーL2,L3がともにONされている場合には、ターンテーブル5が回転動作しながら昇降動作することになる。
【0015】また、本実施の形態に係る電子レンジ1を構成するマグネトロン6及び冷却ファン7のそれぞれは加熱室本体4の側部に配設されており、導波管15を介してマグネトロン6と結合されたうえでマイクロ波を発射することになる給電口8は加熱室本体4の側面で開口している。なお、加熱手段がマグネトロン6に限られることはなく、電熱ヒータなどであってもよいことは勿論である。さらに、この際における給電口8の下部には近接センサ9が配設されており、この近接センサ9はLEDとホトトランジスタとを組み合わせて構成されたものとなっている。そして、この近接センサ9によれば、マイクロ波を発射する給電口8に対して食品2が近接すると、LEDからの照射光が食品2に当たって反射され、かつ、反射光がホトトランジスタでもって検出される結果として食品2が給電口8に近接したことが検知されることになる。なお、近接センサ9がLED及びホトトランジスタから構成されている必然性があるわけではなく、この近接センサ9が食品2との離間距離を測定する距離センサや、実公平4−30800号公報で示されているような方法、つまり、光を利用した検出方法などであってもよい。
【0016】さらにまた、加熱室本体4に設けられた排気口3は、回転動作を停止したターンテーブル5上に載置された食品2の近傍となる位置、つまり、給電口8の上側となる加熱室本体4の天井位置に開口しており、この排気口3の内部には食品2から発生した蒸気などを介して食品2の仕上がり状態を検知するための仕上がりセンサ16が設けられている。なお、仕上がりセンサ16としては、食品2の物理的な変化や食品2から蒸発する気化物を捕えて検知する機能を有するもの、例えば、湿度センサやガスセンサ、あるいは、温度センサや赤外線センサなどが一般的である。そして、以上説明した各種の機器を統括的に制御することによって電子レンジ1の全体動作を制御する制御手段としてのマイクロ・コンピュータ10は、加熱手段であるマグネトロン6の給電口8に対して食品2が近接した位置でターンテーブル5の回転動作を停止させたうえ、回転動作を停止したままの位置でターンテーブル5を昇降動作させる制御を実行するものとなっている。
【0017】つぎに、本実施の形態に係る電子レンジ1の動作手順を説明する。
【0018】本実施の形態に係る電子レンジ1は操作パネル18を具備しており、この操作パネル18には、「牛乳」や「酒の澗」などと表示された多数のメニューキー19が設けられている。そこで、ユーザはメニューキー19を押すことによって希望の調理メニューを選択した後、調理開始キー20を押すことになる。そして、調理開始キー20が押されると、リレーL3がONしてターンテーブル5は回転動作を開始することになり、マイクロ・コンピュータ10から近接センサ9のLEDに対しては発光を指示するパルス信号が送信される。そこで、LEDからはパルス信号に基づくタイミングで光が照射されることになり、給電口8へと近接した食品2によってLEDからの照射光が反射されると、ホトトランジスタによって反射光が受光されることになり、マイクロ・コンピュータ10においてはホトトランジスタが受光したことに伴って食品2が給電口8に近接したと判断される。
【0019】そして、給電口8に対して食品2が近接した状態にあると判断したマイクロ・コンピュータ10は、リレーL3をOFFしてターンテーブル5の回転動作を停止させたうえ、リレーL2をONすることによってターンテーブル5の昇降動作を開始させる。従って、ターンテーブル5上に載置された食品2はマグネトロン6の給電口8と近接した位置に停止した状態のまま、給電口8と対面しながら上下移動を繰り返すことになり、給電口8から発射されるマイクロ波は食品2によって有効に吸収されることとなる。すなわち、この際には、食品2が上下移動しているので、食品2に加熱ムラが生じることは起こらず、この食品2の加熱状態は十分に均一となる。そこで、200ccの水が満たされたガラス製のグラスを食品2に代わるものとして用意したうえ、ターンテーブル5を昇降動作させながら1分間にわたって水を加熱してみたところによれば、マイクロ波エネルギーの吸収によって水の十分な加熱が行われており、かつ、水の上下温度差が26℃であって従来よりも加熱状態が大幅に均一化されていることが確認された。
【0020】なお、本実施の形態に係る電子レンジ1では、マグネトロン6の給電口8を加熱室本体4の側面に配設するとともに、回転動作を停止したターンテーブル5上に載置された食品2の近傍となる加熱室本体4の天井位置に排気口3を開口させているので、食品2から発生した蒸気などが排気口3内の仕上がりセンサ16へと到達するまでに時間を要することが防止されることになり、また、食品2から発生した蒸気などの濃度が排気口3へと流れ込むまでの間に薄まることが起こらないことになる。さらに、選択された調理メニューに基づく食品2の加熱が終了すると、マイクロ・コンピュータ10によって電子レンジ1の全体動作が停止されることになり、昇降動作していたターンテーブル5は初期位置、例えば、昇降動作範囲の下端まで戻って停止する。
【0021】ところで、本実施の形態においては、マイクロ・コンピュータ10が、マグネトロン6の給電口8に対して食品2が近接した位置でターンテーブル5の回転動作を停止させたうえ、回転動作を停止したままの位置でターンテーブル5を昇降動作させるものであるとしているが、この際における制御手段としてのマグネトロン10が、加熱手段であるマグネトロン6の給電口8に対して食品2が近接した位置でターンテーブル5の回転動作を停止させ、かつ、回転動作を停止したままの位置でターンテーブル5をマグネトロン6の給電口8と対向する位置まで上昇動作させるよう構成されたものであってもよい。そして、このような構成は、食品2がハンバーグなどの偏平形状であるときに有効となる。
【0022】すなわち、操作パネル18に設けられて「ハンバーグ」と表示されたメニューキー19を選択して押したユーザが調理開始キー20を押すと、上記したと同様の手順に従ってターンテーブル5が回転動作を開始することになる。そして、近接センサ9を介したうえでマイクロ・コンピュータ10によって食品2が給電口8に近接したと判断されると、ターンテーブル5の回転動作は停止させられることになり、図1中の仮想線で例示するように、回転動作が停止させられたターンテーブル5は回転動作を停止したままの位置でマグネトロン6の給電口8と対向する位置、例えば、昇降動作範囲の上端となる位置まで上昇動作させられる。そこで、ターンテーブル5上に載置された偏平形状の食品2は、給電口8から発射されるマイクロ波を有効に吸収し、速やかに加熱されることになる。
【0023】なお、ターンテーブル5は上昇動作させられたうえで停止し続けることになっており、この際におけるターンテーブル5の上昇位置は実験結果などに基づいたうえで予め定められている。また、ここでは、回転動作を停止したままの位置でマグネトロン6の給電口8と対向する位置まで上昇動作させられたターンテーブル5は停止し続けるとしているが、このターンテーブル5を給電口8と対向する範囲内で昇降動作させるよう制御することも可能であり、このような制御を採用してもよいことは勿論である。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1に係る電子レンジによれば、加熱手段に対して食品が近接した位置でターンテーブルの回転動作を停止させたうえ、回転動作を停止したままの位置でターンテーブルを昇降動作させる制御手段を備えているので、調理時間の短縮化を実現しながら食品の上下方向における加熱状態の均一性を良好とすることができるという効果が得られる。
【0025】また、請求項2に係る電子レンジによれば、加熱手段に対して食品が近接した位置でターンテーブルの回転動作を停止させたうえ、回転動作を停止したままの位置でターンテーブルを加熱手段と対向する位置まで上昇動作させる制御手段を備えているので、偏平形状の食品であっても何らの不都合がないまま、調理時間を短縮しながら加熱状態を均一化することが可能になる。
【0026】さらに、請求項3に係る電子レンジによれば、回転動作を停止したターンテーブル上に載置された食品の近傍となる位置に排気口が開口しているので、食品から発生した蒸気などは速やかに排気口へと流れ込むこととなり、蒸気などが薄まることが起こらないため、食品における加熱状態の均一性が失われることは生じないという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
【公開番号】 特開平11−173563
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平9−338571