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【発明の名称】 ガスタ―ビンエンジン用燃焼器
【発明者】 【氏名】ロジャー ジェイムス パーク

【要約】 【課題】バーナー面の作動温度を低下させ、燃焼特性を改善するガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器を提供すること。

【解決手段】このガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器は、輻流流入型予備混合式、予備渦流形成式バーナーを有する。バーナーの中央バーナー面(10)は、燃焼器のプレチャンバー(2)の上流壁を構成する。バーナー面(10)に円形凹部(12)が形成されており、凹部(12)は、パイロット燃料を該凹部の円形に対して実質的に接線方向に該凹部内へ導入するための少くとも1つのパイロット燃料噴射器(14)を有し、それによって、バーナーは、より低い温度で作動し、燃焼特性が改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 直列流れ式に順次に配置された、輻流流入型予備混合式バーナー(1)と、軸流型燃焼プレチャンバー(2)と、該プレチャンバーより大きい断面積を有する燃焼主チャンバー(3)とから成るガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器において、該バーナーは、主燃料と空気(4)が前記燃焼プレチャンバー(2)に流入する前に両者を混合するために該燃焼プレチャンバーの半径方向外方に配置された空燃混合器(8)であって、主燃料と空気の混合によって得られた、該燃焼プレチャンバーに流入する空燃混合物に燃焼プレチャンバーの中心軸線を中心とする活発な渦流成分を有する運動を付与する空燃混合器(8)と、該空燃混合器の半径方向内方に位置して前記燃焼プレチャンバーの軸方向上流の壁を構成し、該燃焼プレチャンバー内へパイロット燃料を噴射するためのパイロット燃料噴射手段(14)を備えたバーナー面(10)を含み、該燃焼器の作動中、前記バーナー面(10)と前記燃焼主チャンバー(3)の上流部分との間に延長する軸方向再循環渦巻きコアガス流が形成されるように構成されており、前記パイロット燃料噴射手段(14)は、前記バーナー面(10)に設けられた、平面でみて実質的に円形の凹部(12)内に配置されており、パイロット燃料を該凹部の円形に対して実質的に接線方向に該凹部内へ噴射するように構成されており、それによって、バーナー面の作動温度を低下させ、燃焼特性を改善することを特徴とするガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器。
【請求項2】 前記凹部は、ほぼ円筒形であり、周壁と底壁とから成ることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器。
【請求項3】 前記凹部の周壁と底壁との間のコーナーは、丸み付きコーナーとされていることを特徴とする請求項2に記載のガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器。
【請求項4】 前記パイロット燃料噴射手段は、パイロット燃料を前記凹部の前記周壁に近接したところで導入するように配置された少くとも1つの噴射器を含むことことを特徴とする請求項2又は3に記載のガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器。
【請求項5】 前記凹部は、連続的に湾曲した輪郭形状を有することを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器。
【請求項6】 前記凹部の直径は、前記バーナー面のところの前記再循環渦巻きコアガス流の直径にほぼ等しくなるように定められていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器。
【請求項7】 前記凹部の深さは、その直径より小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器。
【請求項8】 前記凹部の深さは、その直径の30%程度であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希薄燃焼型(燃焼帯域の上流において拡散燃焼型燃焼火炎を用いる燃焼器の場合より多量の空気を燃料に混合する燃焼方式、即ち、燃料分の少ない希薄混合気を燃焼させる燃焼方式)のガスタービンエンジン用燃焼器に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンエンジンからの汚染窒素酸化物の発生を減少させるための試みとして、高温作動範囲において空燃混合比をできる限り低くするいわゆる希薄燃焼型予備混合燃焼器が利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのような希薄燃焼型予備混合燃焼器には幾つかの欠点があり、本発明は、それらの欠点を軽減することを課題とする。第1に、燃料分の少ない希薄混合気(「弱混合気」とも称する)を燃焼主チャンバーと直列流れ関係にある軸流プレチャンバー内へ供給する前にその希薄混合気に高度の渦流を付与するようになされた輻流流入予備混合型バーナー付き燃焼器においては、バーナーと燃焼主チャンバーとの間に延長する高温燃焼ガスの再循環渦巻きコア流がバーナーヘッドの下流面(以下、「バーナーヘッド面」又は単に「バーナー面」とも称する)に衝突し、その結果、バーナー面の表面温度が高くなり、その領域の機材の有効寿命を短縮することになる。第2に、弱混合気は、エンジンの負荷が低下したとき、火炎の安定を維持することが困難であり、その結果、燃料濃厚パイロット炎方式や、低エンジン負荷条件下において空燃比を変更するためのその他の手段を使用することが必要になる。しかしながら、そのような方式は、通常、有害排気汚染物の放出量を増大させるので、より複雑で高価な構造の燃焼器を必要とすることになる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、直列流れ式に順次に配置された、輻流流入型予備混合式バーナーと、軸流型燃焼プレチャンバーと、該プレチャンバーより大きい断面積を有する燃焼主チャンバーとから成るガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器において、該バーナーは、主燃料と空気が前記燃焼プレチャンバーに流入する前に両者を混合するために該燃焼プレチャンバーの半径方向外方に配置された空燃混合器であって、主燃料と空気の混合によって得られた、該燃焼プレチャンバーに流入する空燃混合物に燃焼プレチャンバーの中心軸線を中心とする強い渦流成分を有する運動を付与するようになされた空燃混合器と、該空燃混合器の半径方向内方に位置して前記燃焼プレチャンバーの軸方向上流の壁を構成し、該燃焼プレチャンバー内へパイロット燃料を噴射するためのパイロット燃料噴射手段を備えたバーナー面を含み、該燃焼器の作動中、前記バーナー面と前記燃焼主チャンバーの上流部分との間に延長する軸方向再循環渦巻きコアガス流が形成されるように構成されており、前記パイロット燃料噴射手段は、前記バーナー面に設けられた、平面でみて実質的に円形の凹部内に配置されており、パイロット燃料を該凹部の円形に対して実質的に接線方向に該凹部内へ噴射するように構成されており、それによって、バーナー面の作動温度を低下させ、燃焼特性を改善することを特徴とするガスタービンエンジン用希薄燃焼型燃焼器を提供する。
【0005】上記凹部は、ほぼ円筒形とすることができ、周壁と底壁とで構成することができる。周壁と底壁との間のコーナーは、丸み付きコーナーとすることが好ましい。上記パイロット燃料噴射手段(以下、単に「噴射手段」とも称する)は、燃料を該周壁に近接したところで導入するように配置された少くとも1つの噴射器を含むことが好ましい。
【0006】あるいは別法として、上記凹部は、連続的に湾曲した輪郭形状とすることもできる。上記凹部の直径は、上記バーナー面のところの空燃混合物の再循環渦巻きコア流の直径にほぼ等しくなるように定めることが好ましく、該凹部の深さは、その直径より小さくすべきであり、直径の30%程度とするのが適当である。凹部の直径は、上記混合器の設計に応じて変更することができるが、この種の燃焼器のためのこの部位における燃焼生成ガス(以下、単に「燃焼ガス」とも称する)の循環パターンは、当業者には周知である。
【0007】主燃料は、空燃混合ができる限り効率的に行われるように、上記空燃混合器を通して任意の好便な部位で、又は、複数の部位で空気流内へ導入することができる。具体的にいえば、燃料は、空気が混合器に流入する部位で、及び、又は、混合器の下流で導入することができる。導入される燃料は、ガス状であっても、液状であってもよく、異なるタイプの燃料を混合器の異なる領域に導入することもできる。
【0008】バーナー面に凹部を設けることにより、驚くべきことに、バーナー面の作動温度を低下させることができ、バーナーの寿命を延長することができることが判明した。更に追加の利点として、低エンジン負荷条件下での汚染物の放出量を減少させ、希薄燃焼運転時の低負荷条件下の火炎の安定性を改善することができる。これらの利点は、上記空燃混合器からの比較的低温の流入ガスの上記バーナー面への、そして上記凹部内への二次循環流を設定することに起因する。この冷却効果は、燃料を上記凹部内へ導入することによって高めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、添付図を参照して本発明の実施形態を説明する。図1及び2を参照して説明すると、従来技術の燃焼器は、輻流流入渦流型の空燃混合器8を含む輻流流入型予備混合式バーナー1と、燃焼プレチャンバー2と、燃焼主チャンバー3(上流部分だけが示されている)を有する。燃焼主チャンバー(以下、単に「主チャンバー」とも称する)3は、燃焼プレチャンバー(以下、単に「プレチャンバー」とも称する)2より直径が大きく、長さも長い。空気4は、ガスタービンエンジンの圧縮機(図示せず)から圧力下で空燃混合器(以下、単に「混合器」又は「渦流器」とも称する)8に供給され、燃料は、コネクタ5を経て燃料噴射器6及び、又は7へ圧力下で供給される。渦流器8の通路(説明の便宜上、混合器即ち渦流器の通路も、渦流器と同じ参照番号8で表すこととする)は、プレチャンバー2の接線方向に向けられており、従って、図2に矢印31で示されるように、空気の内向き流に回転運動成分を付与し、それによって、空燃混合物は、通路8を出たとき、渦流器及びプレチャンバーの中心線13を中心とする活発な反時計回り方向の動きを有する。もちろん、渦流器通路8の接線方向の向きを反対にすれば、空燃混合物の渦流を時計回り方向とすることができる。
【0010】空燃混合物は、最初は、燃焼器内の好適な位置に(例えば、バーナー面10に)配置された電気スパーク点火器によって点火され、以後その火炎は、燃焼器の全体構成から生じる再循環渦巻きコアガス流を介して維持される。この再循環渦巻きコア流及びそれに伴う火炎は、燃焼主チャンバー3に向かって下流へ延長し、燃焼主チャンバー3内にまで延びる。図1に示される矢印の方向を追いかけることによって、ガスの軸方向の再循環流が生じるのは、渦流器通路8から半径方向内向きの回転運動成分をもって出てきた空燃混合物がプレチャンバー2及び主チャンバー3を通して圧力降下の影響を受けるからであることが分かるであろう。主チャンバー3の上流部分内のある地点で、空燃混合物及びその他のガスはその軸方向流れ運動成分と回転流れ運動成分との組み合わせにより渦流器の中心線13に向かって内方へ転向せしめられ、次いで、バーナー面10に向かって軸方向反対向きに進み、バーナー面10に当接して半径方向外方に転向され、渦流器通路8からの入来流と合流する。このようにして、内部(燃焼器内)再循環渦巻きコア流が創生される。そしてこの内部再循環流が渦流器通路8からの入来流と合流する部位に強い乱流領域が創生される。この領域を剪断層11と称する。
【0011】エンジンの点火を助成するとともに、低エンジン負荷条件に対処するために、バーナー面10に、図1には示されていないが、1つ以上のパイロット燃料噴射器を設置することができ、低エンジン負荷条件下における燃焼を安定化するためにバーナー面10から噴射されたパイロット燃料を用いてプレチャンバー2内のガスの循環パターン中に比較的燃料が濃厚な空燃混合物の領域を創出することができる。
【0012】このタイプの燃焼器の他の部分に関する詳細な説明については、本出願人に先行英国特許であるGB9901797.2号を参照されたい。
【0013】ここで、図3及び4を参照して説明する。図3及び4において、図1に示された部品と同様の部品は同じ参照番号で示されている。本発明によれば、バーナー面10の中央に円形凹部12を設ける。凹部12は、図2にも、鎖線円で示されている。上記英国特許であるGB9901797.2号を参照すれば分かるように、パイロット燃料を軸方向に噴射するバーナー面の中央部に浅い凹部を形成し、その凹部の周縁に周縁リップを形成することは知られている。バーナー面の中央部から噴射されたパイロット燃料は、この周縁リップによってパイロット燃料の噴射口を横切って半径方向内方へ向けられるエアブラストに接触されるようになされている。このリップの位置は、図2に円形破線20によって示されている。
【0014】これに対して、本発明においては、コネクタ15を経て燃料を供給される少くとも1つのパイロット燃料噴射器14が凹部12内に設置され、そのパイロット燃料噴射器14の、円形凹部12内における位置及び向きは、パイロット燃料噴射器14から燃料が円形凹部12内へ実質的に接線方向に噴射されるように定められている。それによって、パイロット燃料噴射器14から噴射された燃料は、円形凹部12の周壁の周りに沿って流れる。図2には、2つの直径方向に対置したパイロット燃料噴射器14が小さい鎖線円として示されているが、3つ又は4つ又はそれ以上のパイロット燃料噴射器を凹部12の円周の周りに等間隔に配置することができる。これらの噴射器は、凹部12の底壁から突出した短い中空管の形とすることができる。そのような管の1つが図3に示されている。それらの管の先端即ち外端を閉鎖し、管の側壁に1つ又はそれ以上の小さい孔を形成し、それらの孔が、パイロット燃料のジェットを図2に矢印22で示されるように上述した再循環渦巻きコア流の渦巻きの方向に対応する接線方向に噴射するように孔の位置及び向きを定める。あるいは別法として、テストの結果を待たなければならないが、パイロット燃料のジット22を再循環渦巻きコア流の渦巻きの方向とは反対の向き(この例では時計回り方向)に向けるようにすることもできるであろう。
【0015】パイロット燃料噴射器14から凹部12内へ噴射されたパイロット燃料は、循環流によって剪断層11内へ連行され、この剪断層11内で安定した燃焼反応が設定されるほどに完全な空燃混合が行われる。この安定した燃焼反応は、質量単位で1:500程度の非常に低い空燃比(燃料対空気比)での火炎の安定を保証する。更に、この空燃混合物における燃料の割合が低いので、発生する汚染物のレベルは低い。凹部12は、その部位におけるバーナーの再循環渦巻きコア流の直径にほぼ等しい直径dを有する。
【0016】図3及び4に示されるように、凹部12は、ほぼ円筒形であるが、円筒形の周壁と底壁の間のコーナーに丸みが付されている。
【0017】あるいは別法として、凹部12は、連続的に湾曲した輪郭形状、例えば、球面状表面の一部や、楕円形の断面形状としてもよい。後者の形状は、図3に鎖線32で示されている。又、この場合、図3に示されるように、凹部32の頂部と底部の間の深さのところでその連続した輪郭上の適当な地点に1つ又はそれ以上の燃料噴射器34が設置される。
【0018】凹部12又は32の深さは、その直径寸法より浅くすることが好ましいが、上記英国特許GB9901797.2号に示されたバーナーの周縁リップによって画定された凹部よりは相当に深い。凹部12又は32にとって適当な深さは、その直径の30%程度である。
【0019】図4は、本発明の燃焼器の使用においてみられる有利な作用効果をもたらす、本発明の凹部12内に得られる流れパターンを示す。主たる再循環流系は、図2に示されているのと同様であるが、渦流器通路8からの入来ガスの、破線4aで示される少部分は、バーナー面10の輪郭に沿って凹部12の縁に達し、そこから凹部12に流入して凹部の周壁及び底壁の表面を被って半径方向内方へ流れ凹部の中央に集まり、その流れは、凹部の中央から半径方向内方へ流入してくる流れを被って半径方向外方へ再循環し、かくして凹部内に二次循環流を形成する。その結果、バーナー面10及び凹部の壁表面を「洗う」比較的低温の入来ガスの定常流れが設定され、その比較的低温のガスの定常流れが、冷却剤として機能し、燃焼火炎からの熱対流に対する膜状冷却バリヤーとして機能する。凹部内にこのような二次循環流を設定する場合は、パイロット燃料を凹部12内に導入することによる冷却効果は、渦流器通路8からの低温の入来ガスの冷却効果に対して二次的なものとなる。別の機構として、図4に示される、バーナー面10を被って流れる空気流4aを単に主再循環渦巻きコア流内へ拡散させる構成とすることもできる。その場合、主再循環渦巻きコア流は、図4に示されるようにプレチャンバー2から凹部12内へ突入する。いずれにしても、凹部内に冷却効果が得られる。
【0020】
【発明の効果】以上に説明した冷却効果は、バーナー面10の作動寿命を延長するとともに、低い空燃混合比で作動させたときの火炎の安定性及び排気汚染物の発生量の低下等の利点をもたらす。
【出願人】 【識別番号】593223514
【氏名又は名称】オールストム ガス タービンズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM GAS TURBINES LIMITED
【出願日】 平成11年(1999)5月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
【公開番号】 特開平11−337069
【公開日】 平成11年(1999)12月10日
【出願番号】 特願平11−128573