| 【発明の名称】 |
自己電流制御型グロープラグ |
| 【発明者】 |
【氏名】岡田 充
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| 【要約】 |
【課題】本発明は,セラミックヒータの昇温,最高温度の保持,及びPTCサーミスタの電流制御を向上させた自己電流制御型グロープラグを提供する。
【解決手段】この自己電流制御形グロープラグは,発熱部10と制御部11から成る導電性発熱体3を内包したセラミックヒータ20と,セラミックヒータ20に直列に接続されたPTCサーミスタ5とを有し,発熱部10の抵抗Aと熱容量a,制御部11の抵抗Bと熱容量b及びPTCサーミスタ5の抵抗Cが次の式を満足するように適正化されている。式:1.2<a/A<3.0,式:2.0<b/B<4.5,式:0.3<(A+B+C)×12/V<0.8,及び式:0.1<C/(A+B)<1.0。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性発熱体を内包したセラミックヒータと,前記導電性発熱体に直列に接続され且つ所定の温度以上で抵抗値が増加して前記導電性発熱体への電流を減少させるPTCサーミスタとを有する自己電流制御型グロープラグにおいて,前記導電性発熱体が発熱部と該発熱部に直列に接続された制御部から構成され,前記発熱部の抵抗をA及び熱容量をa,前記制御部の抵抗をB及び熱容量をb,前記PTCサーミスタの抵抗をC,及び前記PTCサーミスタに接続される電源の電圧をVとすると,A,a,B,b,C及びVが下記の関係式(1)(2)(3)及び(4)を満足することを特徴とする自己電流制御型グロープラグ。 1.2<a/A<3.0 ....(1) 2.0<b/B<4.5 ....(2) 0.3<(A+B+C)×12/V<0.8 ....(3) 0.1<C/(A+B)<1.0 ....(4) 【請求項2】 前記PTCサーミスタのキュリー温度が40〜120℃であることを特徴とする請求項1に記載の自己電流制御型グロープラグ。 【請求項3】 前記導電性発熱体はタングステン及びその合金から成るコイルから形成されており,前記コイルが前記セラミックヒータを構成する耐熱性セラミック製パイプ内に未焼結性セラミックスにより埋没されていると共に,前記パイプの端部が封止部材で密封されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自己電流制御型グロープラグ。 【請求項4】 前記PTCサーミスタ5は,前記パイプに接合された保護パイプに充填された絶縁性樹脂部材内に埋設されていることを特徴とする請求項3に記載の自己電流制御型グロープラグ。 【請求項5】 前記発熱部と前記制御部とは,前記導電性発熱体を構成するコイルのピッチで決定されており,前記発熱部を構成する前記コイルのピッチが0.5mmを越えず,前記制御部を構成する前記コイルのピッチが1mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自己電流制御型グロープラグ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は,ディーゼルエンジン等に使用される自己電流制御型グロープラグに関する。 【0002】 【従来の技術】従来,ディーゼルエンジンの始動補助装置として,自己電流制御型グロープラグが知られている。従来の自己電流制御型グロープラグは,タングステン等の材料から成る発熱線をSi3 N4 のセラミックス中に埋設した棒状セラミック部材を用い,ヒータとして熱伝達率を向上させ,発熱線への通電電力を自己制御して棒状セラミック部材の発熱特性を改善し,ヒータ部分での過熱を防止する構成を有している。自己電流制御型グロープラグは,発熱線よりも正の抵抗温度係数の大きな材料で形成したシース型抵抗体を通電電力要素としてグロープラグ内で発熱線と直列接続するようにした二種類の材料によるものであり,シース型抵抗体として,PTCサーミスタ(positive temperature coefficient thermistor)を用いたものが知られている(例えば,特開昭62−17520号公報参照)。 【0003】また,特開平9−273752号公報には,図5に示すような自己電流制御型グロープラグが開示されている。該自己電流制御型グロープラグは,絶縁部材43を介在してプラス側電極端子42を中空部39に取り付けた中空状プラグ本体31,プラグ本体31から突出して固定されたセラミックス製パイプ32,ヒータ線33から成るヒータコイル53とリード線38,ヒータコイル53に一体に延びるリード線38と電極端子42とを接続するPTCサーミスタ35,パイプ32の端部側内部に充填されたセラミック充填部材36,及びPTCサーミスタ35とリード線38が位置するプラグ本体31の中空部39に形成された空気層から成る遮熱層37から構成されている。プラグ本体31と電極端子42とは,絶縁部材43によって電気絶縁性が確保されている。セラミックヒータ34は,その先端側がプラグ本体31から突出したパイプ32内にセラミック充填部材36が充填された構造に構成されている。プラグ本体31は,エンジンのシリンダヘッドに取り付けるため,外周面にねじ41が形成されている。電極端子42には,位置決めナット44が螺入され,電極端子42はプラグ本体31に対して位置決め固定される。 【0004】上記自己電流制御型グロープラグでは,ヒータコイル53は,端部がリード線38に接続され,ヒータ線33におけるリード線38のプラス側端部54がPTCサーミスタ35の一端にコネクタ部48を介して接続され,PTCサーミスタ35の他端はプラス側電極端子42にコネクタ部48を介して接続されている。ヒータ線33の他端のアース側端部40がプラグ本体31に連結されてアースされている。また,プラグ本体31内にPTCサーミスタ35が配置され,PTCサーミスタ35の外側が空気層37で覆うように構成され,空気層37に面するプラグ本体31の中空部39の壁面に鏡面51が設けられている。熱伝導性の接続部材50がPTCサーミスタ35とセラミックヒータ34を構成するセラミック充填部材36との間に介在されている。 【0005】また,図6に示すような自己電流制御型グロープラグが知られている。該自己電流制御型グロープラグは,中空状プラグ本体61内にプラス側電極端子73が絶縁部材68を介して配設され,電極端子73はナット70によってプラグ本体61内に電極端子73を押し込むように固定されている。プラグ本体61は,外面に設けたねじ74によって燃焼室に臨むようにシリンダヘッドに取り付けられる。発熱部のセラミックヒータ64はその先端側がプラグ本体61から突出させると共にその基端側がプラグ本体61の先端側に取り付けられている。発熱線を構成するヒータコイル63がパイプ62に充填されたセラミック充填部材66に埋設されている。ヒータコイル63と電極端子73は,発熱線よりも正の抵抗温度係数の大きな材料から成るPTCサーミスタ65によって直列に接続されている。プラグ本体61内の中空部69には,PTCサーミスタ65を覆う状態でセラミック部材67が充填されている(例えば,特開平7−167433号公報参照)。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら,自己電流制御型グロープラグにおいて,セラミックヒータの迅速な昇温,セラミックヒータの最高温度での保持,加熱後の電流減少のための具体的な制御方法に関する対策が考慮されていないのが現状である。 【0007】 【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記の課題を解決するため,セラミックヒータを構成する導電性発熱体とPTCサーミスタを直列に接続し,導電性発熱体を発熱部と制御部とに分割し,発熱部,制御部及びPTCサーミスタの抵抗値,それらの抵抗値の合計値,並びに導電性発熱体の熱容量を最適化することによって,セラミックヒータの迅速な昇温,最高温度の安定した保持,アフタグロー後の電流の遮断を可能にして自己電流制御型グロープラグを提供することである。 【0008】この発明は,導電性発熱体を内包したセラミックヒータと,前記導電性発熱体に直列に接続され且つ所定の温度以上で抵抗値が増加して前記導電性発熱体への電流を減少させるPTCサーミスタとを有する自己電流制御型グロープラグにおいて,前記導電性発熱体が発熱部と該発熱部に直列に接続された制御部から構成され,前記発熱部の抵抗をA及び熱容量をa,前記制御部の抵抗をB及び熱容量をb,前記PTCサーミスタの抵抗をC,及び前記PTCサーミスタに接続される電源の電圧をVとすると,A,a,B,b,C及びVが下記の関係式(1)(2)(3)及び(4)を満足することを特徴とする自己電流制御型グロープラグに関する。 1.2<a/A<3.0 ....(1) 2.0<b/B<4.5 ....(2) 0.3<(A+B+C)×12/V<0.8 ....(3) 0.1<C/(A+B)<1.0 ....(4) 【0009】また,この自己電流制御型グロープラグにおいて,前記PTCサーミスタのキュリー温度が40〜120℃である。 【0010】この自己電流制御型グロープラグにおいて,前記導電性発熱体はタングステン及びその合金から成るコイルから形成されており,前記コイルが前記セラミックヒータを構成する耐熱性セラミック製パイプ内に未焼結性セラミックスにより埋没されていると共に,前記パイプの端部が封止部材で密封されている。更に,前記PTCサーミスタ5は,前記パイプに接合された保護パイプに充填された絶縁性樹脂部材内に埋設されている。 【0011】更に,前記発熱部と前記制御部とは,前記導電性発熱体を構成するコイルのピッチで決定されており,前記発熱部を構成する前記コイルのピッチが0.5mmを越えず,前記制御部を構成する前記コイルのピッチが1mm以上に設定されているものである。 【0012】この自己電流制御型グロープラグは,上記のように構成したので,エンジン始動時等に,セラミックヒータが速やかに昇温し,エンジンが暖まるまで,最高温度を保持でき,エンジンが暖まった後はPTCサーミスタを作動して電流を制御し,消費電力を低減できる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明による自己電流制御型グロープラグの実施例を説明する。図1はこの発明による自己電流制御型グロープラグの一実施例を示す断面図,図2は抵抗値と800℃までの到達時間との関係を示すグラフ,図3はセラミックヒータの熱容量と抵抗値と発熱部の最高温度との関係を示すグラフ,及び図4はセラミックヒータ及びPTCサーミスタの抵抗配分と,発熱部の最高温度及びアフタグロー時間との関係を示すグラフである。 【0014】この自己電流制御型グロープラグは,主として,絶縁部材を介在してプラス側電極端子(電極ねじ)12の一端を中空部9,29内に配置した金属等の材料から成る保護パイプ1,保護パイプ1から先端側を突出させて保護パイプ1に固定されたセラミックヒータ20を構成するセラミック製ヒータパイプ2,ヒータパイプ2に内蔵されたタングステン線等から成る導電性発熱体3,導電性発熱体3とプラス側電極端子12とに対してリード線8,22を通じて直列に接続されたPTCサーミスタ5,ヒータパイプ2の内部に充填された未焼結性セラミックスから成るセラミック充填部材4,PTCサーミスタ5が位置する保護パイプ1の大径の中空部9内に充填された絶縁性樹脂部材7,及びヒータパイプ2内にセラミック充填部材4を充填してヒータパイプ2の開放端部24を封止する封止部材6から構成されている。発熱領域となるセラミックヒータ20を構成するヒータパイプ2は,その先端部が閉鎖端部23に形成され,他端が封止部材6で封止された開放端部24に形成されている。 【0015】ヒータパイプ2を保護パイプ1に接続するには,ヒータパイプ2の外周面15をメタライジングして保護パイプ1の小径の中空部29の内周面17に嵌合して接合すれば,ヒータパイプ2と保護パイプ1とは極めて強固に接合できる。PTCサーミスタ5の一方の接合部16は,導電性発熱体3の発熱部10にリード線8を通じて直列に接続されている。PTCサーミスタ5の他方の接合部18は,プラス側電極端子12にリード線22を通じて直列に接続されている。また,導電性発熱体3の制御部11のマイナス側端子は,リード線19を通じて保護パイプ1の大径の中空部9の内周面13に電気的にアース状態に接続され,保護パイプ1がアース側端子21を構成している。 【0016】ヒータパイプ2は,その先端側を保護パイプ1から突出した状態に保護パイプ1に取り付けられている。ヒータパイプ2内には,ヒータ線である導電性発熱体3,及び導電性発熱体3が埋め込まれたセラミック充填部材4が配設されている。この自己電流制御型グロープラグにおいて,導電性発熱体3,リード線8,PTCサーミスタ5,リード線22及びプラス側電極端子12は,保護パイプ1に対して絶縁性樹脂部材7によって確実に電気絶縁性が確保されている。保護パイプ1は,耐熱合金等の金属から作製され,ヒータパイプ2側が燃焼室に臨むようにシリンダヘッド等のエンジン本体に外周面に設けられたねじ等により取り付けてセットされる。 【0017】PTCサーミスタ5は,そのキュリー温度が40〜120℃であり,所定の温度以上で抵抗値が増加して導電性発熱体3への電流を減少させる機能を有する。導電性発熱体3は,発熱部10と,発熱部10と連続した制御部11とから構成されている。導電性発熱体3は,タングステン又はその合金から成るコイル線から構成されている。導電性発熱体3は,耐熱性セラミック製ヒータパイプ2内に,未焼結性セラミックスから成るセラミック充填部材4により埋没されると共に,ヒータパイプ2の端部が封止材6で封止されている。導電性発熱体3を構成する発熱部10と制御部11とは,コイルのピッチ差で互いに決定され,区別されているものである。即ち,発熱部10となるコイルのピッチは,0.5mmを越えず,また,制御部11となるコイルのピッチは,1mm以上に形成されている。また,ヒータパイプ2内への導電性発熱体3の取付けは,例えば,ヒータパイプ2の先端部に発熱部10のコイルをヒータパイプ2の内周面14に内接した状態に配置して発熱部10からヒータパイプ2への熱伝導を良好に構成する。また,ヒータパイプ2の中間部に制御部11のコイルをヒータパイプ2の内周面14に隔置した状態に配置することができる。 【0018】ヒータパイプ2内に充填されたセラミック充填部材4は,反応焼結セラミックス等に転化する熱伝導性の良好な未焼結セラミックスから成る。ヒータパイプ2は,例えば,Si3 N4 のセラミックスから形成され,また,セラミック充填部材4は,Si3 N4 とTiO2 或いはSi3 N4 ,TiO2 及びTiNから成るセラミック材料から成る未焼結セラミックスから構成されている。 【0019】この自己電流制御型グロープラグは,特に,発熱部10の抵抗(Ω)をA,発熱部10の熱容量(ジュール/℃)をa,制御部11の抵抗(Ω)をB,制御部11の熱容量(ジュール/℃)をb,PTCサーミスタ5の抵抗(Ω)をC,及びPTCサーミスタ5に接続される電源の電圧をVとすると,A,a,B,b,C及びVが下記の関係式(1)(2)(3)及び(4)を満足するものである。 1.2<a/A<3.0 ....(1) 2.0<b/B<4.5 ....(2) 0.3<(A+B+C)×12/V<0.8 ....(3) 0.1<C/(A+B)<1.0 ....(4) 【0020】この自己電流制御型グロープラグにおいて,絶縁性樹脂部材7は,120℃以上の耐熱温度を有する樹脂材料で構成されると,破損することなく,十分に耐久性を確保できる。また,絶縁性樹脂部材7は,108 Ωcm程度の絶縁体に構成され,PTCサーミスタ5と保護パイプ1との電気絶縁性を確保している。絶縁性樹脂部材7は,耐熱性エポキシ樹脂層の連続構造であり,保護パイプ1とPTCサーミスタ5とに十分に密着させることができ,PTCサーミスタ5を保護パイプ1内に密封状態に配置することができる。 【0021】この自己電流制御型グロープラグにおいて,PTCサーミスタ5の両端の接合部は,PTCサーミスタ5に接合したニッケル板及び銀ペーストから成る接合材から成る。従って,PTCサーミスタ5とリード線8との接触抵抗を減じることができ,両者が安定して接合される。しかも,PTCサーミスタ5とリード線8と接合部の周りには,エポキシ系銀ペーストで覆い,更にこれを耐熱性エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂部材7で封止して接合部を一層安定化させている。 【0022】また,電極端子12は,ねじ付き構造であり,電極端子12を電源に接続された接続端子(図示せず)に接続する場合にボルト締め付けを行うが,その締め付け応力がPTCサーミスタ5の結合部に悪影響をしないように,PTCサーミスタ5と電極端子12との間には,リード線22が設けられている。また,PTCサーミスタ5は,上記のように,所定温度以上で抵抗値が増加して導電性発熱体3への電流を減少させる正の抵抗温度係数を持つ部材を積層した積層体から構成され,例えば,半導体化したBaTiO3 のバルク焼結体から構成され,バルク焼結体が複数層に積層した構造に構成されている。 【0023】この実施例では,PTCサーミスタ5としては,例えば,厚さが0.3〜1.0mmの素子を積層したものを使用している。PTCサーミスタ5の初期抵抗値は,製造可能で電流値に大きく影響しない室温抵抗値として,上記の抵抗範囲に限定されている。また,PTCサーミスタ5のキュリー温度は,アフタグロー時間を十分に長くし,且つアフタグロー後の電流を遮断することが可能な40〜120℃の範囲に設定されている。 【0024】この自己電流制御型グロープラグは,特に,上記のように,導電性発熱体3を内蔵したセラミックヒータ20とPTCサーミスタ5とが直列に接続されているので,室温で通電直後は,電圧が各々の抵抗比に配分されるので,PTCサーミスタ5が急激に発熱する。次いで,時間が経過してセラミックヒータ20の温度が上昇すると,導電性発熱体3の抵抗は抵抗温度係数に従って増大し,一方,PTCサーミスタ5の抵抗がキュリー温度に到達するまではほとんど変化しないので,電源からの電圧は発熱部10に大きくかかってセラミックヒータ20は更に加熱されて飽和点に至るまで温度が上昇する。一方,PTCサーミスタ5の発熱は抑えられ,PTCサーミスタ5の温度がキュリー温度に到達するまで緩やかに上昇する。ここで,PTCサーミスタ5の抵抗が一定で,セラミックヒータ20の最高温度が安定して保たれている時間を,アフターグロー時間とみなすことができる。この時,セラミックヒータ20(ラッシュ部)の抵抗配分が大であり,PTCサーミスタ5の抵抗が小であるので,PTCサーミスタ5の発熱が抑えられ,アフターグロー時間が長くなる。その後,PTCサーミスタ5の温度がキュリー温度に到達して,PTCサーミスタ5の抵抗が急激に増大すると,電流は遮断されてセラミックヒータ20への通電が絶たれ,セラミックヒータ20の温度が下がることになる。 【0025】この自己電流制御型グロープラグは,上記のことから,発熱部10の抵抗(Ω)をA及び熱容量(J/℃)をa,制御部11の抵抗(Ω)をB及び熱容量(J/℃)をb,PTCサーミスタ5の抵抗(Ω)をC,及びPTCサーミスタに接続される電源の電圧をVとした場合に,発熱部10と制御部11との抵抗と熱容量との比,導電性発熱体3とPTCサーミスタ5との抵抗比,及び導電性発熱体3とPTCサーミスタ5の全体の抵抗を最適化することによって,セラミックヒータ20の昇温特性を良好にし,十分なアフターグロー時間を持つように構成することができた。また,PTCサーミスタ5のキュリー温度が高くなると,アフターグロー時間が長く,アフターグロー後の電流値が大きくなる。従って,キュリー温度は,40℃〜120℃であることが適当である。 【0026】図2には,この自己電流制御型グロープラグについて,電源電圧として24V,16V,12V及び11Vを使用した場合に,各抵抗A,B及びCに対するセラミックヒータ20が800℃まで昇温した時間(秒)を測定した結果が示されている。図2では,発熱部10の抵抗(A),制御部11の抵抗(B)及びPTCサーミスタ5の抵抗(C)の合計(A+B+C)に,12ボルトを基準にして使用した電源電圧(V)の比(12/V)を乗じた値(A+B+C)×(12/V)を横軸にとり,また,セラミックヒータ20が800℃に到達した時間(秒)を縦軸にとっている。図2から分かるように,この自己電流制御型グロープラグは,セラミックヒータ20が1.3秒〜6秒で800℃に上昇する程度であれば実用に適しており,その範囲は各抵抗(Ω)が上記の関係式(3)を満足するものである。即ち,0.3<(A+B+C)×12/V<0.8であった。 【0027】図3には,この自己電流制御型グロープラグについて,電源電圧として12Vを使用し,各抵抗の上記関係式(3):(A+B+C)×12/V=0.7(Ω)とした場合に,発熱部10の抵抗(A)と熱容量(a)の比(a/A,単位:J/℃×Ω)に対して,制御部11の抵抗(B)と熱容量(b)の比(b/B,単位:J/℃×Ω)がb/B=5.0,b/B=4.0,b/B=3.0及びb/B=2.0の時の発熱部10の最高温度(℃)を測定したテスト結果が示されている。図3から分かるように,この自己電流制御型グロープラグは,発熱部10の最高温度が1050℃〜1190℃程度になる適正な条件は,上記関係式(1)及び(2)を満足するものである。即ち,1.2<a/A<3.0であり,2.0<b/B<4.5である。 【0028】図4には,この自己電流制御型グロープラグについて,電源電圧として12Vを使用し,発熱部10の熱容量と抵抗との関係式(1):a/A=1.7,制御部11の熱容量と抵抗との関係式(2):b/B=3.0とした場合に,発熱部10の最高温度が1050℃〜1190℃程度で,アフターグロー時間が0.7分〜2分程度になる適正な条件が,PTCサーミスタ5の抵抗(C)に対する発熱部10の抵抗(A)と制御部11の抵抗(B)と合計の抵抗の比〔C/(A+B)〕で示されている。図4から分かるように,この自己電流制御型グロープラグは,発熱部10の最高温度が1050℃〜1190℃程度で,アフターグロー時間が0.7分〜2分程度になる適正な条件は,上記関係式(4)を満足するものである。即ち,0.1<C/(A+B)<1.0である。 【0029】この自己電流制御型グロープラグは,上記のように構成されているので,次のように作用する。即ち,この自己電流制御型グロープラグでは,バッテリから供給される電流はプラス側電極端子12,PTCサーミスタ5を通じて導電性発熱体3に供給される。PTCサーミスタ5は中空部9内に絶縁性樹脂部材7によって電気絶縁状態に配置され,導電性発熱体3の発熱部10はヒータパイプ2の内壁面14に接触しているので,発熱部10の発熱によって加熱されて昇温する。導電性発熱体3,その先端側を,例えば,ディーゼルエンジンの燃焼室に臨むように配置されて始動補助装置として機能することができる。ここで,ヒータパイプ2内の導電性発熱体3の発熱部10で発生する熱は,ヒータパイプ2を通じて放熱し,同時に,制御部材11とPTCサーミスタ5に伝わるが,制御部材11の熱は未焼結セラミックス4の存在で放熱されずに,また,PTCサーミスタ5の熱は絶縁性樹脂部材7の存在で放熱されずに,PTCサーミスタ5は高温になる。 【0030】PTCサーミスタ5が高温になれば,PTCサーミスタ5は,電流制御機能を果たし,その抵抗が上昇して大きくなり,導電性発熱体3に流れる電流は抑制されて小さくなり,導電性発熱体3の発熱部10の発熱量が自己制御される。また,PTCサーミスタ5の温度が下がれば,再び導電性発熱体3に電流が流れて発熱部10によって加熱されるので,従って,導電性発熱体3は常に最適発熱量に維持され,燃焼室での始動補助として良好に機能する。従って,PTCサーミスタ5は,あたかも従来用いていたタイマや電流遮断用コントローラの機能を果たすので,従来の自己電流制御型グロープラグが必要としていたタイマやコントローラを必要とせず,部品点数を低減できる。 【0031】 【発明の効果】この発明による自己電流制御型グロープラグは,上記のように構成されているので,セラミックヒータの迅速な昇温,最高温度での保持,加熱後の電流の減少を最適状態で制御することができ,エンジン始動時にセラミックヒータが速やかに昇温し,エンジンが暖まるまで最高温度を保持でき,エンジンが暖まった後にはPTCサーミスタが機能して電流が制御されることになる。また,保護パイプとPTCサーミスタとの絶縁性を,前記保護パイプ内に充填された絶縁性樹脂部材によって確保でき,また,PTCサーミスタを保護パイプ内に安定して固定することができる。この自己電流制御型グロープラグは,上記のように,エンジンが順調に運転されて燃焼室からの燃焼熱或いはコイルで発生する熱がPTCサーミスタに伝達されると,更にPTCサーミスタ自体が発するジュール熱によってPTCサーミスタが所定温度以上に温度上昇し,PTCサーミスタの抵抗値が急激に大きくなり,セラミックヒータへの電流を遮断する。また,この自己電流制御型グロープラグをディーゼルエンジンの始動補助装置として適用した場合に,自己電流制御型グロープラグを遮断するためのタイマ,コントローラ等を必要とせず,バッテリ等の電力を無駄に消費しない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000125934 【氏名又は名称】株式会社いすゞセラミックス研究所
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)4月20日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】尾仲 一宗 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−304150 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−123867 |
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