| 【発明の名称】 |
電気点火具 |
| 【発明者】 |
【氏名】辻 進三
【氏名】渡辺 将史
【氏名】荒井 英治
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| 【要約】 |
【課題】静電気による暴発事故を防止して安全性が高い電気点火具、点火用発熱具を提供するにあたり、発火感度を維持し、発熱抵抗が劣化することなく静電気性能の安定を図るとともに小型化、低コスト化を達成する。
【解決手段】電気点火具は、発熱抵抗体3に接して点火薬剤4が充填された容器5を覆うキャップ7と、絶縁性基体1とが嵌合し、絶縁性基体1を貫通する対の電極ピン2aおよび2bが発熱抵抗体3に連結され、絶縁性基体1の表面に前記対の電極ピン2aおよび2bの両方と略等距離を隔てて導体6を有し、一方の電極ピン2aと導体6との間、およびもう一方の電極ピン2bと導体6との間に各々放電ギャップ8aおよび8bを形成している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発熱抵抗体に接して点火薬剤が充填された容器を覆うキャップと、絶縁性基体とが嵌合し、該絶縁性基体を貫通する対の電極ピンが発熱抵抗体に連結され、該絶縁性基体の表面に前記対の電極ピンの両方と略等距離を隔てて導体を有し、一方の電極ピンと該導体との間、およびもう一方の電極ピンと該導体との間に各々放電ギャップを形成していることを特徴とする電気点火具。 【請求項2】 該導体を前記対の電極ピンの中間部に有することを特徴とする請求項1に記載の電気点火具。 【請求項3】 該キャップが金属製で、該導体が該金属キャップに導通していることを特徴とする電気点火具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、各種火工品を点火するための電気点火具に関するものである。 【0002】 【従来の技術】瞬時に大きな動力を必要とする装置、例えば自動車用シートベルトやエアバック、宇宙空間における各種機器の駆動源としてガス発生器が利用されている。火工品であるガス発生器は、ガス発生剤とそれを燃焼させるための電気点火具を内蔵している。電気点火具は、電源につながる発熱抵抗とこれに接する少量の点火薬剤からなり、点火スイッチをオンにすることにより、発熱抵抗に電流が流れて発熱し、点火薬剤が発火する。電気点火具はこのような構造であるから、保管中など、静電気による電流が発熱抵抗に流れると暴発事故につながる。そこで従来は、発熱抵抗の発熱面積を大きくすることで発熱を分散させ、静電気エネルギーのような微少電流では点火薬剤の発火温度まで発熱しないようにしていた。 【0003】特開平8−247461号公報には、従来の電気点火具であって、圧填方式の電気点火具が開示されている。従来の圧填方式の電気点火具は、図8に示すように、電極ピン21および22が貫通した絶縁体23の嵌められた金属ケース24に、点火薬26が圧填され金属キャップ27で密封したものである。電極ピン21と22とは発熱抵抗線25で架橋されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の電気点火具のように、静電気エネルギーによる発熱を点火薬剤の発火温度以下に抑制することは電気点火具の感度を鈍感化させることを意味し、対静電気性能の向上と発火感度の向上とは相反する結果になっていた。さらに従来の電気点火具には前記のような静電気対策が施されているとはいえ、発生した静電気は発熱抵抗を通じて放電されるため、これが繰り返されると発熱抵抗(多くは電橋線かプリント抵抗)の劣化は避けられないし、電橋線を溶接する際や、プリント抵抗の抵抗調整トリミングの際に生じるバリやヒゲの存在、形状により、放電が不定になり静電気性能は安定しなかった。また発熱面積を大きくすることで発熱を分散させているため、発熱抵抗の大型化、延いては電気点火具の大型化の一因となっていた。 【0005】一方、図3に示したこの電気点火具では、電極ピン21から金属ケース24までの距離、および金属ケース24から電極ピン22までの距離を短くしておくと、電極ピン21と22と間が静電気により電位差が生じても、絶縁体23に表面に沿って電極ピン21→金属ケース24→電極ピン22(またはこの逆)と縁面放電をする。このため発熱抵抗線25に電流が流れないので、暴発事故を防ぐことができる。しかし、電気点火具は基体部分が絶縁体23と金属ケース24という別体で構成されているため、低コスト化しにくいものであった。 【0006】本発明は前記の課題を解決するためなされたもので、静電気による暴発事故を防止して安全性が高い電気点火具を提供するにあたり、発火感度を維持し、発熱抵抗が劣化することなく静電気性能の安定を図るとともに小型化、低コスト化を達成するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するためになされた本発明を、実施例に対応する図面により説明する。 【0008】本発明を適用する電気点火具は、図1および図2に示すとおり、発熱抵抗体3に接して点火薬剤4が充填された容器5を覆うキャップ7と、絶縁性基体1とが嵌合し、絶縁性基体1を貫通する対の電極ピン2aおよび2bが発熱抵抗体3に連結され、絶縁性基体1の表面に前記対の電極ピン2aおよび2bの両方と略等距離を隔てて導体6を有し、一方の電極ピン2aと導体6との間、およびもう一方の電極ピン2bと導体6との間に各々放電ギャップ8aおよび8bを形成していることを特徴とする。 【0009】導体6は、図3に示すとおり、対の電極ピン2aおよび2bの中間部に有していてもよい。 【0010】またキャップ7を金属製などの導電体で構成した場合には、図4、図5、図6に示すとおり、導体6が金属キャップ7に導通していることが好ましい。 【0011】本発明の電気点火具では、静電気が蓄ると電極ピン2a→放電ギャップ8a→導体6→放電ギャップ8b→電極ピン2bを通じて放電される。静電気は高電圧ではあるが、容量が少ないのできわめて短時間に放電する。このとき静電気の放電電流は発熱抵抗体3にも流れるが、きわめて短時間で放電するため、発熱に至らず点火薬剤は発火しない。形成されている放電ギャップ8aおよび8bは、発熱抵抗体3と並列になっており、発火のための電源電圧領域における抵抗値は発熱抵抗体3に比し無限大と見なせるため、発熱抵抗体3に流れる動作電流に影響を及ぼすことがない。 【0012】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面により詳細に説明する。 【0013】図1は本発明を適用する電気点火具の一実施例の部分断面図、図2はその下面図である。この電気点火具は、プラスチックなどの絶縁性基体1に対の電極ピン2aおよび2bが貫通し、対の電極ピン2aおよび2bには発熱抵抗体3が電橋されている。絶縁性基体1の発熱抵抗体3側には、スティフネート鉛を主成分とする点火薬剤4が充填され、発熱抵抗体3と点火薬剤4が接している。さらに過塩素酸塩を主成分とする出力薬9を装填したプラスチック容器5が被せられ、プラスチック容器5を覆ってキャップ7が絶縁性基体1に密封嵌合している。 【0014】絶縁性基体1の下面、すなわち電極ピン2aおよび2bが電源にのびる側の面には、円環状に導体6を有している。導体6は銀粉末を含有した樹脂塗料、いわゆる導電性ペイントを塗布して形成される。対の電極ピン2aおよび2bは円形の絶縁性基体1の下面に対象に配置され、導体6は絶縁性基体1と同心の円環であるから、一方の電極ピン2aと導体6との最短距離、およびもう一方の電極ピン2bと導体6との最短距離は等距離となる。したがって、電極ピン2aと導体6との空間で形成される放電ギャップ8aの放電電圧、および電極ピン2bと導体6との空間で形成される放電ギャップ8bの放電電圧は同一になる。尚、放電ギャップの放電電圧が5〜30Kvであることにより適切に実施できる。 【0015】さらに電極ピン2aと電極ピン2bは図示しない電源に繋がれる。尚、この電気点火具は火工品であるガス発生器に組み込まれ、そのガス発生器は自動車用エアバックなどとして使用される。 【0016】この電気点火具で、電源から電極2aおよび2bを通じて発熱抵抗体3に通電すると、発熱抵抗体3が発熱し、点火薬剤4の点火温度以上になると点火薬剤4が点火する。この点火がトリガとなって電気点火具の組み込んである火工品が動作する。 【0017】上記本発明の電気点火具で放電ギャップ8aおよび8bの間隔を0.25mmとし、放電電圧を5Kvに調整したものを試作し、図7に示す試験回路により静電気性能の試験を行った。比較のため放電ギャップのない(図1、図2の導体6を塗布してない)ものを試作し同様に試験を行った。 【0018】試験1として本発明の試作品3個、および比較のための試作品3個について、図3の試験回路のコンデンサーCを500pF、放電抵抗Rを5KΩにし、試作品をつなぎスイッチSを入れテスト電源Vの出力電圧を徐々に上げてゆき、点火薬剤が発火するか否か、および発火したときはその電圧を観察した。また試験2として同様にコンデンサーCを150pF、放電抵抗Rを150Ωで行った。その結果は、下記表に示すとおりである。 【0019】 【表1】
【0020】この表から明らかなように、比較品は電源Vの出力電圧が10〜20Kvになると点火薬剤が発火したが、本発明品は、試験1、試験2とも点火薬剤が発火することはなく、静電気性能の向上が認められた。 【0021】一方、本発明について発火感度の確認試験を行った。試験は通電時間を一定として、定電流発生装置を用いて、通電電流値を変化させ、最小発火電流値を測定した。その結果本発明品は1.1A、同様のテストで比較品の最小発火電流値は1.1Aであり、放電ギャップを設けても発火感度は変化しないことがわかった。 【0022】図3は、図1、図2に示した実施例の電気点火具で、導体6の配置場所を変えた実施例の下面図である。この図3に示すように、導体6は対の電極ピン2aおよび2bの中央に配置し、電極ピン2aと導体6との最短距離、および電極ピン2bと導体6との最短距離を等距離となるようにし、電極ピン2aと導体6との空間で形成される放電ギャップ8aの放電電圧、および電極ピン2bと導体6との空間で形成される放電ギャップ8bの放電電圧を同一にする。 【0023】図4は本発明を適用する電気点火具の別な実施例の部分断面図、図5はその下面図である。この電気点火具は、図1および図2に示した電気点火具と、キャップ7が導電性であること、および導体6の形状が異なることを除き略同一の構成である。すなわち点火薬剤4の充填されたプラスチック容器5を覆う金属キャップ7が絶縁性基体1に密封嵌合している。そして導体6、すなわち導電性ペイントは金属キャップ7から電極ピン2aの近傍に至るまで、および金属キャップ7から電極ピン2bの近傍に至るまで絶縁性基体1の上を帯状に塗布される。導体6の縁から電極ピン2aまでの距離、および導体6の縁から電極ピン2bまでの距離は等しくし、その距離を種々調整することにより放電ギャップの放電電圧が調整される。尚、この実施例の電気点火具では、発熱抵抗体3は絶縁性基体1の上に印刷されたプリント抵抗で構成されている。 【0024】図6は、図4、図5に示した実施例の電気点火具で、導体6の配置場所を変えた実施例の下面図である。この図6に示すように、導体6は対の電極ピン2aおよび2bの中間部に配置して、各放電ギャップ8aおよび8bを形成している。 【0025】尚、上記の各実施例で放電ギャップを形成するための導体6は導電性ペイントからなるが、導電性ペイントは銀粉末をはじめとし、各種の金属粉末やカーボン粉末などをアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂塗料液に混入したもので、いずれであっても使用可能である。また導体6は導電性ペイントに限らず、半田類の印刷や、金属のメッキなどでも形成できる。 【0026】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明の電気点火具では、保管中や輸送中に発生する静電気は放電してしまうので、不測の暴発事故を防止でき、きわめて安全である。しかも、その対策が発熱抵抗に影響を及ぼすことはないので発火感度を良好に保つことができる。また静電気が発熱抵抗を通じて放電されることがなくなるので、発熱抵抗の自然劣化を防ぐことができる。 【0027】さらに本発明の電気点火具では基体部分をプラスチックなどの絶縁体で構成しても、静電気対策ができるようになったもので、量産性に優れ、低コスト化に極めて有効である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000232922 【氏名又は名称】日油技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月17日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小宮 良雄
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| 【公開番号】 |
特開平11−118152 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−285786 |
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