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【発明の名称】 廃棄物焼却炉及びその運転方法
【発明者】 【氏名】中村 章

【氏名】鈴木 実

【氏名】浜口 敬三

【氏名】澁谷 榮一

【要約】 【課題】炉内ガスの混合性を高め、これによって有害ガスや未燃ガスの排出を抑えた廃棄物焼却炉を提供する【解決手段】 (A)においては、仕切板21が上がった状態にあり、副煙道10は全開状態にある。よって、燃焼排ガス15が副煙道10を通って排出され、主煙道9を通って排出される燃焼排ガス14と混合される。仕切板21を下げ、(B)のように副煙道10をほぼ全閉状態とすると、燃焼排ガスは副煙道10を流れることができず、ほとんどが主煙道9を通って排出される。このように、仕切板21の上下を周期的に繰り返すことにより、主煙道9を通る燃焼排ガス14と副煙道10を通る燃焼排ガス15との混合状態を周期的に変化させることができる。これにより、中間天井8上部に非定常流が発生して、燃焼排ガスの攪拌効果が高められ、有害ガスや未燃ガスの排出を抑えることができる。

【解決手段】(A)においては、仕切板21が上がった状態にあり、副煙道10は全開状態にある。よって、燃焼排ガス15が副煙道10を通って排出され、主煙道9を通って排出される燃焼排ガス14と混合される。仕切板21を下げ、(B)のように副煙道10をほぼ全閉状態とすると、燃焼排ガスは副煙道10を流れることができず、ほとんどが主煙道9を通って排出される。このように、仕切板21の上下を周期的に繰り返すことにより、主煙道9を通る燃焼排ガス14と副煙道10を通る燃焼排ガス15との混合状態を周期的に変化させることができる。これにより、中間天井8上部に非定常流が発生して、燃焼排ガスの攪拌効果が高められ、有害ガスや未燃ガスの排出を抑えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炉内に中間天井が配設された廃棄物焼却炉において、前記中間天井で分離された炉内ガス流路のいずれか一方にガス流路の開度を変更する仕切板が設けられ、当該仕切板の移動距離と移動周期を調整可能な駆動装置が設けられていることを特徴とする廃棄物焼却炉。
【請求項2】 前記仕切板が炉幅方向に複数に分割されており、分割された個々の仕切板は、それぞれ個別に開度を変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物焼却炉。
【請求項3】 炉内に中間天井が配設された廃棄物焼却炉において、前記中間天井で分離された炉内ガス流路のいずれか一方に、回転する仕切板が設けられていることを特徴とする廃棄物焼却炉。
【請求項4】 請求項2に記載された廃棄物焼却炉の運転方法であって、分割された個々の仕切板の開度を別々に制御することにより、炉内中間天井上で、旋回方向が周期的に逆転する排ガス旋回流を形成することを特徴とする廃棄物焼却炉の運転方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみ等の廃棄物を焼却する廃棄物焼却炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】都市ごみ等の廃棄物を焼却処理する焼却炉として、廃棄物焼却炉が広く用いられている。その代表的なものの概略図を図4に示す。ホッパ1に投入されたごみ2は、シュートを通して乾燥ストーカ3におくられ、下からの空気と炉内の輻射熱により乾燥されると共に、昇温されて着火する。着火して燃焼を開始したごみ2は、燃焼ストーカ4に送られ、下から送られる燃焼空気により燃焼する。そして、更に後燃焼室5で、未燃分が完全に燃焼する。そして、燃焼後に残った灰は、主灰シュート6より外部に取出される。
【0003】燃焼は主燃焼室7内で行われ、燃焼排ガス(炉内ガス)は、中間天井8の存在により、主煙道9と副煙道10に別れて排出される。主煙道9を通る炉内ガスには、未燃分はほとんど含まれず、酸素が10%程度含まれている。副煙道10を通る炉内ガスには、未燃分が8%程度含まれている。これらの炉内ガスは、2次燃焼室11で混合され、2次的な燃焼が行われて未燃分が完全に燃焼する。2次燃焼室11からの炉内ガスは、除塵室12でダストを除去された後、廃熱ボイラ13に送られ、熱交換された後外部に放出される。なお、図4において、14は主煙道9を通過する燃焼排ガス、15は副煙道10を通過する燃焼排ガスを示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような廃棄物焼却炉において都市ごみを焼却処理する場合、都市ごみが性状の異なる数多くの物質からなるため、炉内の燃焼状態を一定に維持することは困難であり、主燃焼室7内の温度や燃焼ガスの濃度の分布が時間的、空間的に不均一となることは避けられない。
【0005】このため、2次燃焼室内で、炉内ガスの混合性を高めることにより、有害ガスや未燃ガスの排出を抑える手段が数多く提案されている。すなわち、(1) 流れが乱れやすい炉構造を採用する方法(以下、「先行技術1」という)
(2) 炉内に冷空気を吹き込んで攪拌する方法(以下、「先行技術2」という)
(3) 炉の下流から再循環させた排ガスを炉内に吹き込んで攪拌する方法(以下、「先行技術3」という)
(4) 炉内に燃料ガスを吹き込んで攪拌する方法(以下、「先行技術4」という)
(5) 炉内に再循環させた排ガスと燃料ガスとの混合ガスを吹き込んで攪拌する方法(以下、「先行技術5」という)
(6) 炉内にバーナ火炎を定在させる方法(以下、「先行技術6」という)
等が提案されている。
【0006】しかしながら、これら先行技術1〜先行技術6には、いずれについても以下のような共通又は個別の問題点がある。
(a) 炉構造が複雑になり、炉の寿命が短くなる(先行技術1)。
(b) 設備費が高くなる(先行技術1及び先行技術3〜先行技術6)。
(c) ランニングコストが高くなる(先行技術4〜先行技術6)。
(d) 吹き込む空気と炉内ガスの温度差が大きい場合、両者の粘性の差が大きくなり、空気吹き込みによる炉ガスの混合性改善効果が比較的小さい(先行技術2)。
(e) 局所低温領域が発生し、CO、スス、さらにはダイオキシン類の発生を助長する(先行技術2及び先行技術4)。
(f) 空気又は排ガスの吹き込み量の増加に伴って、これより下流域での空気過剰率が過大となり、火炎温度が低下すると共に、ガスの炉内滞留時間が短くなる(先行技術2〜先行技術5)。
(g) 排ガス処理装置を大型化する必要がある(先行技術2〜先行技術6)。
(h) 炉内に局所高温部が発生し、NOx発生量が増大する(先行技術4及び先行技術6)。
(i) 炉内壁付近が局所的に高温となり、内壁にダストが溶着、固化する場合がある(先行技術4及び先行技術6)。
(j) 炉内壁やボイラ水管にダストが付着、堆積しやすい(先行技術1)。
(k) 排ガスの再循環のためのダクト内に、ダストが溶着、固化する場合がある(先行技術3及び先行技術5)。
(l) 炉内にバーナ火炎が存在した場合、火炎内に存在する活性化学種(ラジカル)と炉ガス中の窒素を含む化学種との反応により、NOxが発生しやすい(先行技術4〜先行技術6)
【0007】また、通常、これらの炉おいては、排出される未燃ガスを燃焼させるために、図4に示す2次燃焼室11内に2次空気を吹き込むことが行われている。ここから吹き込まれた2次空気により2次燃焼室11内で未燃ガスの2次燃焼が行われる。
【0008】図5に、2次燃焼室11内に2次空気を吹き込んでいる様子を示す。二次空気吹き込み口16から吹き込まれた2次空気は定常流であるためO2リッチな領域17が細長く定常的に形成され、2次燃焼室11内で十分排ガスとの混合が行われない。よって、未燃ガスが炉外に排出される恐れがあると共に、低温域が形成されることによりダイオキシン等の発生の恐れもある。
【0009】本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、上記各問題点を発生させることなく、比較的簡単な設備の導入により、炉内ガスの混合性を高め、これによって有害ガスや未燃ガスの排出を抑えた廃棄物焼却炉を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための第1の手段は、炉内に中間天井が配設された廃棄物焼却炉において、前記中間天井で分離された炉内ガス流路のいずれか一方にガス流路の開度を変更する仕切板が設けられ、当該仕切板の移動距離と移動周期を調整可能な駆動装置が設けられていることを特徴とする廃棄物焼却炉(請求項1)である。
【0011】この手段においては、仕切板の移動距離と移動周期を設定することにより、仕切板の配設された側の炉内ガス流路の断面積は周期的に増減するので、当該ガス流路を流れる燃焼排ガス量が増減する。これに伴い、仕切板が配設されていない側の炉内ガス流路を流れる燃焼排ガス量は、仕切板の配設された側の炉内ガス流路を流れる燃焼排ガス量とおよそ逆位相で変動する。
【0012】これら、中間天井上部における燃焼排ガス流量の変動に伴って中間天井上部に非定常流が発生して、燃焼排ガスの攪拌効果が高められ、有害ガスや未燃ガスの排出を抑えることができる。
【0013】更に、この方法では、炉内燃焼排ガス以外の気体が関与しないために、例えば噴流として空気を吹き込む場合に吹き込み量に応じて炉内酸素濃度が変化する等の二次的な影響がほとんど無い。
【0014】前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記仕切板が炉幅方向に複数に分割されており、分割された個々の仕切板は、それぞれ個別に開度を変更可能であることを特徴とするもの(請求項2)である。
【0015】この手段によれば、操業状態に応じて、動かす仕切板の枚数と位置を設定できるため、効果的な攪拌効果を得るべくきめ細かな制御が可能になる。
【0016】前記課題を解決するための第3の手段は、炉内に中間天井が配設された廃棄物焼却炉において、前記中間天井で分離された炉内ガス流路のいずれか一方に、回転する仕切板が設けられていることを特徴とする廃棄物焼却炉(請求項3)である。
【0017】この手段においては、仕切板の回転と共に、燃焼排ガスの流路が変わり、これにより燃焼排ガスの攪拌効果が高められ、有害ガスや未燃ガスの排出を抑えることができる。
【0018】更に、前記第1の手段と同様、この方法では、炉内燃焼排ガス以外の気体が関与しないために、例えば噴流として空気を吹き込む場合に吹き込み量に応じて炉内酸素濃度が変化する等の二次的な影響がほとんど無い。よって、焼却炉全体としての制御が容易である。また、仕切板とその駆動装置を設置するだけで目的を達成することができるので、高額な設備費を必要としない。
【0019】前記課題を解決するための第4の手段は、前記第2の手段の運転方法であって、分割された個々の仕切板の開度を別々に制御することにより、炉内中間天井上で、旋回方向が周期的に逆転する排ガス旋回流を形成することを特徴とするもの(請求項4)である。
【0020】実施例の説明において後述するように、分割された個々の仕切板の開度を別々に制御することにより、炉内中間天井上で燃焼排ガスの旋回流を形成し、その旋回方向が周期的に変化するようにすることができる。これにより、中間天井上での燃焼排ガスの攪拌効果を更に高めることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例を図を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態を示す図であり、廃棄物焼却炉の中間天井部を示したものである。図1において、1〜15の符号は図4において示したものと同じであるので説明を省略する。21は仕切板を示す。
【0022】仕切板21は、図示されていない駆動装置により上下に駆動され、その位置により副煙道10の断面積を変更するようになっている。図1(A)においては、仕切板21が上がった状態にあり、副煙道10は全開状態にある。よって、燃焼排ガス15が副煙道10を通って排出され、主煙道9を通って排出される燃焼排ガス14と混合される。
【0023】仕切板21を下げ、図1(B)のように副煙道10をほぼ全閉状態とすると、燃焼排ガスは副煙道10を流れることができず、ほとんどが主煙道9を通って排出される。この状態から、再び仕切板を上げて、図1(C)のように副煙道10を全開状態とすると、(A)の状態と同じ状態に復帰する。このように、仕切板21の上下を周期的に繰り返すことにより、主煙道9を通る燃焼排ガス14と副煙道10を通る燃焼排ガス15との混合状態を周期的に変化させることができる。これにより、中間天井8上部に非定常流が発生して、燃焼排ガスの攪拌効果が高められ、有害ガスや未燃ガスの排出を抑えることができる。
【0024】なお、仕切板21は、必ずしも副煙道10を全閉−全開させるまで動かす必要はなく、中間天井8上部での燃焼排ガスの攪拌効果を高めるような移動度を、操業条件に合わせて決定してやればよい。
【0025】また、仕切板21の上下動の周期、移動速度、時間と位置の関係(移動パターン)等も、適宜決定してやればよい。これらの動きは、図示しない駆動装置によって決定されるが、駆動装置にこれらの動きをさせることは、周知の技術(サーボ制御等)により容易に実施できる。
【0026】なお、図1には、中間天井を備えた廃棄物焼却炉の実施の形態を示したが、中間天井を備えていない廃棄物焼却炉においても、前記と同様の仕切板を設置することにより、炉内の特定位置でのガスの混合性を高めることができる。
【0027】図2は、本発明の第2の実施の形態を示したもので、中間天井8の上部から見た概念図である。図において、中間天井8の右側が主煙道であり、左側が副煙道である。中間天井8入口の副煙道には、2枚の仕切板22、23が設けられ、それぞれ別々に駆動されるようになっている。
【0028】図2(A)の状態では、仕切板22は閉、仕切板23は開となっており、副煙道からの燃焼排ガス15は仕切板23側を通って中間天井8上部に達し、主煙道側からの燃焼排ガスと混合される。よって、中間天井8上部においては、(A)に矢印で示すような反時計回りの燃焼排ガスの旋回流が発生する。
【0029】この状態から、仕切板22を開き、逆に仕切板23を閉じていって図2(B)のような状態にすると、副煙道からの燃焼排ガス15は仕切板22側を通って中間天井8上部に達し、主煙道側からの燃焼排ガスと混合される。よって、中間天井8上部においては、(B)に矢印で示すような時計回りの燃焼排ガスの旋回流が発生する。
【0030】この状態から、仕切板22を閉じ、逆に仕切板23を開いていって図2(C)のような状態にすると、燃焼排ガスの流れは再び(A)と同じ状態に戻る。このように、仕切板22と23の開閉を逆にし、開閉動作を周期的に繰り返すことにより、中間天井8上部で燃焼排ガスの旋回流を発生させ、しかもその旋回方向が周期的に逆転するようにすることができる。これにより、中間天井上での燃焼排ガスの攪拌効果を更に高めることができる。
【0031】なお、この例においては、仕切板22と23を逆方向に動かしているが、場合によっては、仕切板22を全開又は全閉のままに保ち、仕切板23のみを動かすようにしてもよく、2枚の仕切板の動作の関係をどのように選択するかは、操業の状態により任意に決定することができる。また、必要に応じて、仕切板の数を3枚以上にしてもよい。
【0032】図3は、本発明の第3の実施の形態を示したもので、図2と同じく中間天井8の上部から見た概念図である。図において、中間天井8の右側が主煙道であり、左側が副煙道である。
【0033】図3においては、中間天井8入口の副煙道には、回転する仕切板24が設けられており、矢印の方向に一定の速度で回転している。仕切板24が図3(A)のような位置にあるとき、副煙道からの燃焼排ガスは仕切板24に沿って流れるので、図における上方の開口部より矢印15で示すように大部分の燃焼排ガスが流れる。図における下方の開口部より流れる燃焼排ガス15’の量は少ない。
【0034】仕切板24が回転して同図(B)に示すような位置に至ったとき、副煙道からの燃焼排ガスは仕切板24に沿って流れるので、図における下方の開口部より矢印15で示すように大部分の燃焼排ガスが流れる。図における上方の開口部より流れる燃焼排ガス15’の量は少ない。
【0035】このように仕切板24の回転に伴い、大部分の燃焼排ガスが流れる場所(図3においては上下、実施の廃棄物焼却炉においては左右)が周期的に変化する。よって、中間天井上での燃焼排ガスの攪拌効果を高めることができる。
【0036】なお、仕切板24の形状は四角形、楕円形、トラック形等、炉の形状に適合した任意のものとすることができる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発明は、炉内に中間天井が配設された廃棄物焼却炉において、前記中間天井で分離された炉内ガス流路のいずれか一方に、回転する仕切板が設けられていることを特徴とするものであるので、中間天井上部における燃焼排ガス流量の変動に伴って中間天井上部に非定常流が発生して、燃焼排ガスの攪拌効果が高められ、有害ガスや未燃ガスの排出を抑えることができる。更に、この方法では、炉内燃焼排ガス以外の気体が関与しないために、例えば噴流として空気を吹き込む場合に吹き込み量に応じて炉内酸素濃度が変化する等の二次的な影響がほとんど無い。よって、焼却炉全体としての制御が容易である。また、仕切板とその駆動装置を設置するだけで目的を達成することができるので、高額な設備費を必要としない。
【0038】請求項2に係る発明においては、仕切板が炉幅方向に複数に分割されており、分割された個々の仕切板は、それぞれ個別に開度の変更が可能であるので、操業状態に応じて、動かす仕切板の枚数と位置を設定できるため、効果的な攪拌効果を得るべくきめ細かな制御が可能になる。
【0039】請求項3に係る発明は、炉内に中間天井が配設された廃棄物焼却炉において、前記中間天井で分離された炉内ガス流路のいずれか一方に、回転する仕切板が設けられていることを特徴とするものであるので、請求項1にかかる発明と同様の効果が得られる。
【0040】請求項4にかかる発明においては、分割された個々の仕切板の開度を別々に制御することにより、炉内中間天井上で、旋回方向が周期的に逆転する排ガス旋回流を形成しているので、中間天井上での燃焼排ガスの攪拌効果を更に高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】細江 利昭
【公開番号】 特開平11−230538
【公開日】 平成11年(1999)8月27日
【出願番号】 特願平10−46308