トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F23 燃焼装置;燃焼方法




【発明の名称】 炉及びその炉における排ガス処理方法
【発明者】 【氏名】仙波 範明

【氏名】川村 謙一

【氏名】西川 進

【氏名】田澤 辰夫

【氏名】保田 静生

【要約】 【課題】本発明は、排ガス抜き出し口の閉塞を確実に防止し、排ガス中の一酸化炭素やダイオキシン等の有害物質を大幅に低減させることが可能な炉及びその炉における排ガス処理方法を提供することにある。

【解決手段】本発明では、排ガス抜き出し口3を備え、排ガス抜き出し口3から抜き出された排ガス21を排ガスダクト12に導いて処理する灰溶融炉1において、排ガス抜き出し口3の上部に燃焼用ガス23を排ガス21中に吹き込む第1ガス吹き込み口25を設けると共に、排ガスダクト12の入口12aの付近の少なくとも2箇所に燃焼用ガス23を排ガス21中に吹き込む第2及び第3ガス吹き込み口26,27を設け、これらガス吹き込み口25,26,27から燃焼用ガス23を20〜40m/sの速度で排ガス21中に吹き込んで800℃以上の高温域を形成し、その高温域での排ガス滞留時間を2秒以上としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 排ガス抜き出し口を備え、同排ガス抜き出し口から抜き出された排ガスを排ガスダクトに導いて処理する炉において、前記排ガス抜き出し口の上部及び前記排ガスダクトの入口付近の少なくとも2箇所に高温ガス又は燃焼用ガスを排ガス中に吹き込む吹き込み口を設けたことを特徴とする炉。
【請求項2】 前記排ガスダクトの入口付近の少なくとも2箇所に設けられた吹き込み口の1つが、斜め上方の排ガスの排出方向へ向けて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の炉。
【請求項3】 排ガス抜き出し口を備え、同排ガス抜き出し口から抜き出された排ガスを排ガスダクトに導いて処理する炉において、前記排ガス抜き出し口の上部及び前記排ガスダクトの入口付近の少なくとも2箇所から高温ガス又は燃焼用ガスを20〜40m/sの速度で排ガス中に吹き込んで800℃以上の高温域を形成し、その高温域での排ガス滞留時間を2秒以上とすることを特徴とする炉における排ガス処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下水汚泥、都市ごみ及び産業廃棄物などの焼却灰の溶融炉や熱分解炉等、排ガス抜き出し口を備えた炉及びその炉における排ガス処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、下水汚泥や都市ごみ等は種々の焼却方法により焼却され、その後に焼却灰として埋め立て処理されていた。しかし最近は、埋め立て処理地を確保することが難しくなって来ている上、焼却灰の埋め立て時に重金属等の有害物質の地下水への溶出などが問題となっている。そこで、このような焼却灰の資源化、減容化及び無害化を図るために灰溶融炉などが注目されて来ている。ところで、焼却灰を溶融した溶融炉の排ガスには、NaCl,KCL等の低沸点物のガス化したものが高濃度で存在しており、炉内では温度が高くガス状で存在していたものが、炉から出ると温度が下がり、液化、凝結固化して排ガス抜き出し口を閉塞させてしまうことがあった。また、特開平6−300234号公報に記載の炉のように排ガスを出滓口から抜き出す場合には、排ガス抜き出し口が炉の下方に位置するので、溶融池に落ちてくる灰の一部がキャリオーバし、これと液化した低沸点物とが混ざって凝固することにより、排ガス抜き出し口に固い付着物が形成されて同排ガス抜き出し口を閉塞させてしまうことがあった。
【0003】そこで、上記溶融炉の排ガス抜き出し口付近にガス吹き込み手段を設け、同吹き込み手段から排ガス中に高温ガス又は燃焼用ガスを吹き込み、排ガス温度を高温に保って、排ガスの液化、凝結固化による排ガス抜き出し口の閉塞を防止する方法も考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した排ガス抜き出し口の閉塞防止方法では、排ガス中に高温ガス又は燃焼用ガスを単に吹き込むだけで、吹き込みの速度が0.4m/s程度であるので、後述の表1で示す如く、排ガス温度が307〜457℃となるに過ぎない。このため、この閉塞防止方法によると、一酸化炭素(CO)の低減が不十分であると共に(最小濃度で270p.p.m.)、多環芳香族のダイオキシン(DXN)の低減も不十分であった(炉出口で約20TEQng/Nm3 )。
【0005】本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、排ガス抜き出し口の閉塞を確実に防止し、排ガス中の一酸化炭素やダイオキシン等の有害物質を大幅に低減させることが可能な炉及びその炉における排ガス処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の有する課題を解決するため、本発明においては、排ガス抜き出し口を備え、同排ガス抜き出し口から抜き出された排ガスを排ガスダクトに導いて処理する炉において、前記排ガス抜き出し口の上部及び前記排ガスダクトの入口付近の少なくとも2箇所に高温ガス又は燃焼用ガスを排ガス中に吹き込む吹き込み口を設けている。また、本発明は、排ガス抜き出し口を備え、同排ガス抜き出し口から抜き出された排ガスを排ガスダクトに導いて処理する炉において、前記排ガス抜き出し口の上部及び前記排ガスダクトの入口付近の少なくとも2箇所から高温ガス又は燃焼用ガスを20〜40m/sの速度で排ガス中に吹き込んで800℃以上の高温域を形成し、その高温域での排ガス滞留時間を2秒以上としている。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0008】図1は本発明の実施の形態に係る排ガス抜き出し口を備えた焼却灰の溶融炉が適用される設備の一部概要を示す説明図、図2はその灰溶融炉付近の概念図である。本実施形態の灰溶融炉1は、図1に示す如く、耐火物によって有底円筒状に形成された炉本体2を有しており、同炉本体2の下部側面には、出滓口を兼ねる排ガス抜き出し口3が設けられている。また、炉本体2の頂部には、窒素ガス発生装置(PSA)4に連通するパイプ5と、直流電源装置6に接続される電極7が配設されており、これらによって炉内に高温のプラズマアークを作り、炉内を高温に保つように構成されている。そして、この灰溶融炉1と関連して、炉本体2の入口側には焼却灰8を貯蔵する焼却灰サイロ9、搬送コンベヤ10及び定量投入装置11等が配設され、その出口側には排ガスダクト12、水砕コンベヤ13を備えた水砕槽14、水砕水沈澱槽15、水砕水冷却塔16及びスラグコンベヤ17等が配設されている。
【0009】このような灰溶融炉1を使用して焼却灰を溶融するには、焼却灰サイロ9などから搬送コンベヤ10及び定量投入装置11を経て焼却灰8を炉本体2内に投入し、投入された焼却灰8を炉本体2内でプラズマ溶融する。溶融されたスラグ18は、出滓口を兼ねる排ガス抜き出し口3より出滓樋19を通って水砕槽14に排出される。そして、水砕槽14で冷却され、水砕コンベヤ13によりスラグコンベヤ17に搬送されてスラグヤード20に入れられる。また、排ガス21は、炉本体2の排ガス抜き出し口3より排出され、接続管22を介して排ガスダクト12に導かれて処理される。
【0010】すなわち、本実施形態の灰溶融炉1には、図2に示す如く、出滓樋19が炉本体2と排ガスダクト12との間に配設されており、同出滓樋19の上方には、排ガスダクト12と連通する接続管22が設けられている。この接続管22内には排ガス21が流れ、その上部には後述の燃焼用ガス23を燃焼させるバーナ24が排ガス抜き出し口3寄りに設けられている。上記接続管22には、図示しない吹き込み手段によって燃焼用ガス(又は高温ガス)23を排ガス中に吹き込む第1ガス吹き込み口25が設けられ、同第1ガス吹き込み口25はガス抜き出し口3の上部に配設されている。また、排ガスダクト12の入口12aの付近の少なくとも2箇所には、燃焼用ガス23を排ガス21中に吹き込む第2ガス吹き込み口26及び第3ガス吹き込み口27が設けられている。
【0011】上記燃焼用ガス23は、図示しない吹き込み手段により各ガス吹き込み口25,26,27から20〜40m/sの速度で排ガス21中に吹き込まれており、同排ガス21に対して800℃以上の高温域を形成し、その高温域での排ガス滞留時間を2秒以上とするように設定されている。しかも、排ガスダクト12の入口12aの付近のガス吹き込み口の1つ、本実施形態では第3ガス吹き込み口27が矢印で示すように、燃焼用ガス23と排ガス21との混合を高めるべく、斜め上方の排ガス21の排出方向へ向けて(排ガスダクト12の出口12bへ向けて)設けられている。
【0012】本実施形態の灰溶融炉1において、出滓樋19の上方に位置する第1ガス吹き込み口25と、排ガスダクト12の入口12aの付近に位置する第2及び第3ガス吹き込み口26,27とから20〜40m/sの速度で燃焼用ガス23を排ガス21中に吹き込んだ試験結果を表1に示す。
【0013】
【表1】

【0014】上記表1に示すように、燃焼用ガス23を20〜40m/sの速度で排ガス21中に吹き込むと、排ガス21との混合が改善されて800〜1100℃の高温域が形成され、その高温域での排ガス21の滞留時間(2秒以上)を増加できる。したがって、排ガス温度を高温に保って排ガス21を完全燃焼することが可能となり、その液化、凝結固化による排ガス抜き出し口3の閉塞を防止でき、一酸化炭素を濃度10p.p.m.以下まで分解できると共に、ダイオキシンを最大で0.1TEQng/Nm3 以下に低減できることが分かる。なお、燃焼用ガス23の吹き込み速度が20m/s以下では十分な効果が得られず、また40m/s以上では図示しない吹き込み手段の大型化を招き、設備費が嵩むなどの不具合を有し、経済的に好ましくないからである。
【0015】以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び変更を加え得るものである。例えば、本発明はプラズマ式灰溶融炉のみならず、バーナ式灰溶融炉や熱分解炉にも適用できる。また、本実施形態では、3箇所のガス吹き込み口25,26,27が設けられているが、灰溶融炉1の規模などに応じて排ガスダクト12の入口12aの付近に3箇所以上のガス吹き込み口を設けることも可能である。
【0016】
【発明の効果】上述の如く、本発明に係る炉は、排ガス抜き出し口を備え、同排ガス抜き出し口から抜き出された排ガスを排ガスダクトに導いて処理するものであって、前記排ガス抜き出し口の上部及び前記排ガスダクトの入口付近の少なくとも2箇所に高温ガス又は燃焼用ガスを排ガス中に吹き込む吹き込み口を設けているので、排ガス温度を高温に保ち、かつ排ガスに対して800℃以上の高温域を形成して滞留時間を増加させることが可能になる。したがって、本発明の炉においては、排ガスが液化したり、凝結固化したりすることがないので、排ガス抜き出し口の閉塞を確実に防止できると共に、排ガス中の一酸化炭素やダイオキシン等の有害物質を大幅に低減させることができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月21日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚男 (外2名)
【公開番号】 特開平11−337047
【公開日】 平成11年(1999)12月10日
【出願番号】 特願平10−139608