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【発明の名称】 排ガスの処理方法および装置
【発明者】 【氏名】原田 裕昭

【氏名】板谷 真積

【要約】 【課題】排ガスの処理において、ダイオキシン等の有害物質の除去率を高め、排ガス露点温度に拘らず低温腐食やバグフィルタの目詰りを防止する。

【解決手段】焼却炉1からの高温排ガスG1をガス冷却器2で150℃以下(好ましくは80℃〜130℃)の所定温度に冷却する。この排ガスG2をバグフィルタ3に供給する過程で、検出器5、6により水分量と、硫黄酸化物又は塩化水素の濃度とを検出し、制御装置7により露点温度を演算し、排ガスG2の温度が露点温度より低いときはバグフィルタ3の加熱手段12を加熱する。これにより、予め排ガスG2の冷却温度を低く設定して運転できるため、排ガス中のダイオキシン等の有害物質の除去率を高めることができ、しかも、排ガスの性状が変化し、その露点温度が排ガス温度より高くなった場合、バグフィルタを加熱して結露による低温腐食および目詰りを防止できるという効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 廃棄物等を燃焼して発生する排ガスを冷却した後、アルカリ反応剤と助剤とを投入してバグフィルタへ供給し、該バグフィルタで前記アルカリ反応剤と助剤およびダストを分離するようにした排ガスの処理方法であって、前記バグフィルタに加熱手段を設け、前記冷却された排ガス中の水分量と硫酸酸化物または塩化水素の濃度のうち少なくとも一方の濃度とを検出し、前記水分量と前記濃度とに基づいて前記排ガスの露点温度を演算し、前記冷却された排ガスの温度が前記露点温度より低いときは、前記加熱手段により前記バグフィルタを加熱するようにしたことを特徴とする排ガスの処理方法。
【請求項2】 前記排ガスを150℃以下、好ましくは80℃〜130℃に冷却するようにした請求項1に記載の排ガスの処理方法。
【請求項3】 前記助剤の投入量を制御するようにした請求項1または2に記載の排ガスの処理方法。
【請求項4】 廃棄物等を燃焼する焼却炉と、該焼却炉で発生した排ガスを冷却するガス冷却器と、該ガス冷却器で冷却された排ガス中の水分量を検出する第1の検出器と、該排ガス中の硫黄酸化物または塩化水素の濃度のうち少なくとも一方の濃度を検出する第2の検出器と、前記第1の検出器および前記第2の検出器の信号を入力して露点温度を演算し、該露点温度および予め入力されている排ガス冷却温度とを比較し、該露点温度が前記排ガス温度より高いときに制御信号を作成する制御装置と、該制御信号により前記排ガスを加熱する加熱手段を有するバグフィルタと、を備えてなることを特徴とする排ガスの処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排ガスの処理方法および装置に係り、より詳しくは、廃棄物等を燃焼させ、または廃棄物等を熱分解して生成した分解ガスと燃焼性成分とを燃焼させることにより発生した排ガスの処理方法およびこの処理方法を実施するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、都市ごみ等の一般廃棄物や廃プラスチックなどの産業廃棄物等の燃焼性物を含む廃棄物を燃焼させ、または、かかる廃棄物を熱分解して生成した熱分解ガスと燃焼性成分(主としてカーボン)とを燃焼させることにより生じる排ガスは、ガス冷却器により冷却された後、アルカリ反応剤や助剤等の薬剤が投入されて集塵器に供給され、除塵やガス洗浄がなされるようになっている。
【0003】すなわち、図4に示されるように、焼却炉1で廃棄物等を燃焼して発生した排ガスG1は、約900℃程度の高温であり、しかも、硫黄酸化物、塩化水素、重金属化合物等の有害物質を含有するため、ガス冷却器2により冷却されて200℃程度の比較的低温の排ガスG2となり、この排ガスG2に消石灰等のアルカリ反応剤や活性炭および助剤等の薬剤Aが投入され、然る後、バグフィルタ等の集塵器3に供給される。そして、ここで投入された薬剤やダストが分離され、クリーンな排ガスG3となって煙突4から大気へ放出されている。ガス冷却器2としては、熱回収装置としての廃熱ボイラや空気予熱器などが用いられたり、または単なる冷却器として、減温塔などが適宜選択されている。
【0004】ところで、前記したような排ガスを冷却器2で冷却する場合、排ガスG2の温度が露点温度以下になると結露が生じ、その結果、低温腐食やバグフィルタに目詰りが発生するという問題がある。このようなことから、従来、この種の排ガスの処理方法においては、予め予測される最大の露点温度が設定され、この露点温度以下にならないように運転されていた。さらに詳しくは、排ガスG2の露点温度は、図5および図6からも明らかなように、排ガスG2中に含まれる水分量と、硫黄酸化物の濃度または塩化水素の濃度とにより変化する。そしてこの排ガスG2のこれら水分量や、硫黄酸化物または塩化水素の濃度は焼却される廃棄物の性状によって変化する。そのため、予測される最高の露点温度、例えば200℃程度が設定されているのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記したような排ガスの処理方法においては、排ガス中に含まれる有害物質、特に、近来問題視されているダイオキシンの除去が、必ずしも十分に行なえないという問題がある。すなわち、図7は、排ガスの温度とダイオキシンの除去率との関係を示したものであるが、この図7からも明らかなように、排ガス温度が150℃近傍以下になるとダイオキシンの除去率は高いものとなる。かかることから、従来のように排ガスの冷却温度を200℃近傍に設定して運転した場合、この有害物質を十分に除去することができないという問題があった。
【0006】本発明の目的は、上記問題点を解決するためになされたもので、排ガスの処理方法および装置において、排ガス中の有害物質、特にダイオキシンの除去率が高められ、しかも排ガスの性状変化により露点温度が排ガス冷却温度を上廻ったとしても、低温腐食やバグフィルタの目詰りを防止できる排ガスの処理方法および装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解決するために、以下のような手段を採用した。請求項1記載発明の排ガスの処理方法は、廃棄物等を燃焼して発生する排ガスを冷却した後、アルカリ反応剤と助剤とを投入してバグフィルタへ供給し、該バグフィルタで前記アルカリ反応剤と助剤およびダストを分離するようにした排ガスの処理方法であって、前記バグフィルタに加熱手段を設け、前記冷却された排ガス中の水分量と硫酸酸化物または塩化水素の濃度のうち少なくとも一方の濃度とを検出し、前記水分量と前記濃度とに基づいて前記排ガスの露点温度を演算し、前記冷却された排ガスの温度が前記露点温度より低いときは、前記加熱手段により前記バグフィルタを加熱するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】また、請求項2記載発明の方法は、前記排ガスを150℃以下、好ましくは80℃〜130℃に冷却するようにしたものである。また、請求項3記載発明の方法は、前記助剤の投入量を制御するようにしたものである。
【0009】また、請求項4記載発明の排ガスの処理装置は、廃棄物等を燃焼する焼却炉と、該焼却炉で発生した排ガスを冷却するガス冷却器と、該ガス冷却器で冷却された排ガス中の水分量を検出する第1の検出器と、該排ガス中の硫黄酸化物または塩化水素の濃度のうち少なくとも一方の濃度を検出する第2の検出器と、前記第1の検出器および前記第2の検出器の信号を入力して露点温度を演算し、該露点温度および予め入力されている排ガス冷却温度とを比較し、該露点温度が前記排ガス温度より高いときに制御信号を作成する制御装置と、該制御信号により前記排ガスを加熱する加熱手段を有するバグフィルタと、を備えてなることを特徴とするものである。
【0010】このような排ガスの処理方法および装置によれば、排ガスの冷却温度を比較的低い温度、例えば150℃以下に、好ましくは80℃〜130℃に設定して運転されるため、排ガス中の有害物質の除去率を高めることができるばかりでなく、排ガスの性状が変化し、その露点温度が排ガスの冷却温度より高くなった場合、バグフィルタを加熱することにより、結露による低温腐食および目詰りを防止することができるのである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図3に基づき、本発明の排ガス処理方法および装置の実施形態を説明する。なお、これらの図において、図4と同一符号は同一名称を示す。図1は、本発明による排ガスの処理方法を実施するための装置の系統図であって、焼却炉1で廃棄物等を燃焼させることにより発生した例えば900℃程度の高温の排ガスG1は、ガス冷却器2に供給される。
【0012】このガス冷却器2は、例えば減温塔で構成され、冷却水Wが噴霧されてこの高温の排ガスG1を、所定の温度、例えば150℃以下、好ましくは80℃〜130℃内に設定された所定の温度に冷却し、この冷却された排ガスG2は、バグフィルタ3に供給される過程において、消石灰等のアルカリ反応剤や活性炭、さらには助剤よりなる薬剤Aが投入される。また、この過程で、第1の検出器5により水分量が、第2の検出器6により硫黄酸化物または塩化水素の濃度の少なくとも一方の濃度が検出される。
【0013】制御装置7は演算装置8と記憶装置9と比較器10と制御信号作成装置11とにより構成されている。ヒータ12はバグフィルタ3に設けられた加熱手段であって、このヒータ12には電源13から電力調整装置14により制御された容量の電力Pが供給されるようになっている。
【0014】かかる構成において、第1の検出器5により検出された排ガスG2中の水分量の信号V1が、また第2の検出器6により検出された排ガスG2中の硫黄酸化物または塩化水素の濃度の少なくとも一方の濃度の信号V2が、制御装置7を構成する演算装置8に入力され、ここでこの排ガスG2の露点温度が演算され、その信号V3が比較器10に入力される。
【0015】制御装置7の記憶装置9には、予め設定された排ガスG2の温度(例えば150℃以下、好ましくは80℃〜130℃の範囲内から選択された温度)が入力されており、この信号V4が比較器10に入力されているため、ここで前記露点温度の信号V3と比較される。そして、露点温度が高い場合は偏差信号V5が制御信号作成装置11に導かれ、ここで作成された制御信号V6が電力調整装置14に導かれ、これを制御してヒータ12を作用させてバグフィルタ3を加熱する。具体的にはバグフィルタ3の内壁が露点温度より高くなるように加熱する。
【0016】本発明による排ガスG2の温度は150℃以下、好ましくは80℃〜130℃の範囲内から選択するのがよい。すなわち、前述したように、排ガスG2の有害物質、特にダイオキシンの除去率は150℃近傍から高いものとなる。そして、その除去率は130℃近傍からはそれほど高いものとはならない。一方、排ガスG2を冷却するためには、冷却水Wを噴霧させるため、所定の温度を低く設定すると排ガスG2中の水分量が増加して、結果として露点温度が高くなる。そのため、この排ガスG2の冷却温度は少なくとも80℃以上とするのが実用上好ましい。
【0017】次に、本発明方法を適用した廃棄物処理装置の一実施形態を説明する。図2は、本発明に係る廃棄物処理装置50の系統図である。廃棄物処理装置50において、破砕機52は受入れヤードに配置された、例えば二軸剪断式の破砕機で、都市ごみ等の廃棄物aは、第1のコンベア51により、この破砕機52に供給され、ここで例えば150mm角以下に破砕される。この破砕された廃棄物aは第2のコンベア53により投入され、スクリューフィーダ54を経て熱分解反応器55に供給される。この熱分解反応器55は例えば横型回転ドラムが用いられ、図示しないシール機構によりその内部は低酸素雰囲気に保持されると共に、燃焼器である燃焼溶融炉63の後流側に配置された熱交換器68により加熱された加熱空気がラインL1から供給される。
【0018】この加熱空気により熱分解反応器55内に供給された廃棄物aは、300℃〜600℃に、通常は450℃程度に加熱される。これによって、この廃棄物aは熱分解され、熱分解ガスG1と、主として不揮発性の熱分解残留物bとを生成する。そして、この熱分解反応器55内で生成された熱分解ガスG1と熱分解残留物bとは排出装置56により分離され、熱分解ガスG1は、熱分解ガス配管であるラインL1を経て燃焼溶融炉63のバーナ62に供給される。
【0019】熱分解残留物bは、廃棄物aの種類によって種々異なるが、日本国内の都市ごみの場合、本発明者等の知見によれば、 大部分が比較的細粒の可燃分 10%〜60% 比較的細粒の灰分 5%〜40% 粗粒金属成分 7%〜50% 粗粒瓦礫、陶器、コンクリート等 10%〜60% より構成されていることが判明した。
【0020】このような成分を有する熱分解残留物bは、450℃程度の比較的高温で排出されるため、冷却装置57により80℃程度に冷却され、分離装置58に導かれ、ここで燃焼性成分cと不燃焼性成分dに分離される。分離装置58は、例えば磁選式、遠心式または風力選別式の公知の分別機が使用される。このように不燃焼性成分dが分離・除去された燃焼性成分cは、粉砕機60に供給される。粉砕機60は、ロール式、チューブミル式、ロッドミル式、ボールミル式等が適当で、被処理廃棄物の性状により適宜選択される。
【0021】そして、この粉砕機60において燃焼性成分cは、好ましくは全て1mm以下に粉砕され、この粉砕された燃焼性成分cは、ラインL2を経て燃焼溶融炉63のバーナ62に供給される。一方、送風機61によりラインL4から供給された燃焼用空気および熱分解ガスG1と燃焼性成分cとは、燃焼溶融炉63内で1300℃程度の高温域で燃焼され、この燃焼により燃焼性成分cの比較的細粒の灰分より発生した燃焼灰は、溶融して溶融スラグfを生成する。
【0022】不燃焼性成分dはコンテナ59に貯留される。不燃焼性廃棄物eはラインL6を介して燃焼溶融炉63のなるべく下の方に供給される。この際、不燃焼性廃棄物eは、燃焼および溶融効率を向上させるために1mm以下の微粉粒体とされ、且つ加熱されるのが好ましい。そのため、ラインL6中に設けられた破砕機、粉砕機64および加熱器65を設け、破砕、粉砕および加熱等の処理をされて燃焼溶融炉63に供給されるのがよい。そのため、燃焼溶融炉63の後流側に配置された熱交換器68により加熱された加熱空気が、ラインL8を介して加熱器65へ供給されるようになっている。
【0023】さらに、不燃焼性廃棄物eは、燃焼溶融炉63内で溶融されてスラグgとなって燃焼灰による溶融スラグfと混合され、スラグ排出口66から水槽67中に落下し水砕スラグとされる。水砕スラグは図示していない装置により所定の形状にブロック化されるか、または粒状に形成され、建材または舗装材等として再利用することができる。この場合において、不燃焼性廃棄物eは必要に応じて溶融させることなく溶融スラグf中に混入させてもよい。
【0024】このような廃棄物処理装置の燃焼溶融炉63で発生した燃焼排ガスG2は、熱交換器68で熱回収され、さらに、ラインL6から廃熱ボイラ69により熱回収された後、第1の排ガス処理器71によりダスト72を集塵した後、第2の排ガス処理器(バグフィルタ)73で脱塩・脱硫され、脱塩残渣74を排出した後、低温のクリーンな排ガスG3となり、誘引送風機75を経て煙突76から大気へ放出される。また、排ガスG3の一部は、送風機77によりラインL7を介して冷却装置57に供給される。第1の排ガス処理器71で補集されたダスト72は、ラインL9により燃焼溶融炉63へ戻され、溶融してスラグ内に混入される。なお、廃熱ボイラ69で発生させた蒸気は、発電機70の蒸気タービンへ送られて仕事をし、また、一部はラインL6により加熱器65へ送られる。
【0025】そして、本実施形態では、第2の排ガス処理器(バグフィルタ)73の上流側にガス冷却器2が設けられるとともに、水分量を検出する第1の検出器5と硫黄酸化物または塩化水素の濃度のうち少なくとも一方の濃度を検出する第2の検出器6とが設けられ、第1の検出器5の信号V1と第2の検出器6の信号V2とが制御装置7に入力され、図1を用いて説明したように、露点温度が排ガスG2の冷却温度より高いときは制御信号V6が作成され、この制御信号V6が電力調整装置に導かれてバグフィルタ73に設けたヒータ12を作動し、バグフィルタ73を加熱するようになっている。
【0026】図3は、本発明による排ガスの処理方法を実施するための他の装置の系統図であって、この装置においては、冷却された排ガスG2中には、アルカリ反応剤や活性炭等の薬剤A、と助剤A2とが供給されるようになっており、特に、この助剤A2は調整器である制御弁15により供給量が調整されるようになっている。すなわち、制御装置7を構成する制御信号作成装置11により作成された制御信号V6は、電力調整装置14と制御弁15に導かれ、バグフィルタ3が加熱されるとともに、制御弁15を操作して助剤、具体的にはケイソウ土等の剥離剤を増加させることにより、バグフィルタ3に付着した残骸を容易に剥離することができる。
【0027】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明による排ガスの処理方法および装置によれば、予め排ガスの冷却温度を低く設定して運転することができるため、排ガス中の有害物質、特にダイオキシンの除去率を高めることができ、しかも、排ガスの性状変化により露点温度が上昇し、設定された排ガス冷却温を上廻ったとしても、加熱手段によりバグフィルタを加熱するため、低温腐食やバグフィルタの目詰りを防止することができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005902
【氏名又は名称】三井造船株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鵜沼 辰之 (外1名)
【公開番号】 特開平11−337045
【公開日】 平成11年(1999)12月10日
【出願番号】 特願平10−148553