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【発明の名称】 灰溶融炉
【発明者】 【氏名】本多 裕姫

【氏名】田熊 昌夫

【氏名】橘田 岳洋

【氏名】佐藤 鉄雄

【氏名】柴田 健一

【要約】 【課題】灰供給口近傍部位の灰焼結部を破砕し、その肥大化を防止してバーナの溶融加熱領域への灰の供給の安定化を図るともに灰の閉塞を防止し、延いては灰の安定溶融を可能とした灰溶融炉を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炉本体の一端側に灰供給口を設け、他端側に溶融スラグの排出口を形成し、前記灰供給口から供給された灰を傾斜した炉底に沿って前記排出口側へ移動させながらバーナにより加熱溶融し、溶融スラグを前記排出口に出滓するようにした灰溶融炉において、前記灰供給口の出口に解砕機を設けるとともに、前記炉内を監視し、その状態により前記解砕機を適宜駆動して焼結固化した灰層を解砕する解砕機制御系を具備したことを特徴とする灰溶融炉。
【請求項2】 前記解砕機は先端に尖部を持つ板状部材にて構成し、炉本体外壁に沿い灰供給口の出口近傍部位に対して上下方向に摺動可能に設置したことを特徴とする請求項1記載の灰溶融炉。
【請求項3】 前記解砕機は炉本体の幅方向に複数に分割設置し、それぞれに駆動装置を設けて個別に駆動可能としたことを特徴とする請求項1または2記載の灰溶融炉。
【請求項4】 前記解砕機制御系が、炉内監視用カメラの撮像部と、その画像処理装置と、同画像処理装置からの出力信号を演算処理する演算装置と、同演算装置の演算結果に基づいて前記解砕機の駆動装置に駆動信号を出力する制御装置とからなることを特徴とする請求項1乃至3記載の灰溶融炉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみや産業廃棄物の焼却炉より排出される焼却灰、石炭焚ボイラ等から排出される燃焼灰や飛灰等の被溶融部材である灰の表面をバーナにより加熱溶融し、溶融灰を溶融スラグとして排出する灰溶融炉に関し、特に灰の安定供給を可能とした灰溶融炉に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の灰溶融炉においては、図3に示すように、斜めに下降する傾斜状の炉底55と、炉本体の一端側に設けた灰供給部53と、他端側に設けた排出口57と、炉天井56に設けたバーナ52とよりなる灰溶融炉において、前記灰供給部53は、上部に設けた灰貯留部60より貯留する灰50を炉底55の頂部に灰の自重落下により供給し、供給された灰50は灰供給口54より傾斜下降する炉底55に沿って炉底55の末端に向け移動し、前記灰供給口54の出口より炉底55に対し安息角θを持つ灰供給層59を形成させている。または、上記のように炉底55の頂部に自重落下した灰50は、プッシャ58を介して灰供給口54より炉底55に沿い炉底末端に向け移動させ灰供給層59を形成させている。
【0003】そして、上記のように形成され且つ炉底55の末端に向け移動する灰供給層59の表層は、炉天井に設けた固定バーナ52により加熱溶融され、溶融灰25を形成し溶融スラグ25aとして排出口57へ排出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記固定バーナ52は炉天井56の中央軸線上に固定されているため、図4に示すように固定バーナ52の火炎輻射熱による前記灰供給層59の表面に形成される灰を溶融する溶融加熱領域71は、炉壁70、70の間を移動する灰供給層59の全幅に亙って形成することは無理で、前記溶融加熱領域71の外側には固形半円弧状の灰焼結部72を形成し、灰焼結部72と炉壁70との間の灰の移動は困難となり灰の堆積部73を形成する。
【0005】上記のようにして、灰供給口54の出口側の灰も中央部位以外は灰の流れが阻害され停滞するようになり、停滞した灰は焼結を起こし、灰の停滞部と灰の焼結層は増殖肥大して焼結部位を暫時広げ左右の灰焼結層は架橋し灰の供給を閉塞させる問題がある。そのため、灰をプッシャ58で押し込んでも押し込み不可能の事態を招来したり、逆に側壁部分の停滞していた灰まで供連れして塊状をなして押し出す事態も招来する。従って灰の供給は不安定となり、灰の安定溶融も不可能となる問題がある。
【0006】本発明は、かかる課題の解決のためになされたもので、上記灰供給口近傍部位の灰焼結部を破砕し、その肥大化を防止してバーナの溶融加熱領域への灰の供給の安定化を図るともに灰の閉塞を防止し、延いては灰の安定溶融を可能とした灰溶融炉の提供を目的とする。本発明の他の目的は、上記灰の安定供給のために、バーナの溶融加熱領域から灰供給口にかけての灰の移動状況を常時監視し過大な灰焼結部の形成を防止する灰溶融炉の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、炉本体の一端側に灰供給口を設け、他端側に溶融スラグの排出口を形成し、前記灰供給口から供給された灰を傾斜した炉底に沿って前記排出口側へ移動させながらバーナにより加熱溶融し、溶融スラグを前記排出口に出滓するようにした灰溶融炉において、前記灰供給口の出口に解砕機を設けるとともに、前記炉内を監視し、その状態により前記解砕機を適宜駆動して焼結固化した灰層を解砕する解砕機制御系を具備したことを特徴とする。
【0008】又、前記解砕機は好ましくは請求項2に記載のように、先端に尖部を持つ板状部材にて構成し、炉本体外壁に沿い灰供給口の近傍部位に対して上下方向に摺動可能に設置するのがよい。
【0009】又、前記解砕機は請求項3記載のように、炉本体の幅方向に複数に分割設置し、それぞれに駆動装置を設けて個別に駆動可能とするのがよい。
【0010】更に、前記請求項1記載の解砕機制御系は、具体的には請求項4記載のように、炉内監視カメラの撮像部と、その画像処理装置と、同画像処理装置からの出力信号を演算処理する演算装置と、同演算装置の演算結果に基づいて前記解砕機の駆動装置に駆動信号を出力する制御装置とから構成される。
【0011】
【作用】上記請求項1記載の発明によれば、灰供給口の出口に解砕機を設けるとともに、前記炉内を監視し、その状況により前記解砕機を駆動させる解砕機制御系を設ける構成としたため、灰供給口よりバーナの溶融加熱領域にいたる灰供給層表面の溶融状態より、灰焼結層の形成状態や灰の停滞の状況を把握することができ、その状況に対応して前記解砕機を適宜駆動させ焼結固化した灰の焼結層を肥大増殖前に適宜解砕して、バーナの火炎輻射領域への灰の安定供給を図ることができる。
【0012】また、請求項2記載の発明によれば、前記解砕機が、尖った先端部を持つ板状部材によりなり、且つ灰供給口出口の近傍部位に対し上下方向に摺動できる構成としたため、尖った先端部を持つ板状部材の上下動により容易に灰の焼結部を細かく破砕できる。また、灰供給口の出口の近傍に設けるようにしたため、架橋形成前の灰焼結層を解砕でき、灰の停滞及び灰の焼結肥大増殖を防止できる。
【0013】更に、請求項3記載の発明によれば、前記解砕機が、炉本体の幅方向に複数に分割配設されそれぞれが個別に設けられた駆動装置により独立して作動する構成にしてあるため、炉内の幅方向の灰焼結層形成の状況や灰の停滞状況に対応して、必要箇所のみの灰焼結層の解砕を選択実施できる。
【0014】また、請求項4記載の発明によれば、前記解砕機制御系を、炉内監視カメラの撮像部と、その画像処理装置と、同画像処理装置からの出力信号を演算処理する演算装置と、同演算装置の演算結果に基づいて前記解砕機の駆動装置に駆動信号を出力する制御装置とから構成したため、前記複数に分割され且つ配設された多分割解砕機の個別制御運転を可能にすることができる。
【0015】即ち、監視カメラであるCCDカメラや赤外線カメラの撮像部により炉内特にバーナの溶融加熱領域を含む上流の灰供給口近傍部位にいたる灰供給層の流れの状況を画像化することができ、その画像を画像処理における色信号による温度分布と、加工、除去、合成、照合、等による起伏による灰焼結部の分布の状態を把握し、さらに演算装置により解砕機の駆動箇所及び破砕の程度を把握して制御装置を介して、該当する解砕機郡に個別の解砕指令を出力させ、該指令を介してそれぞれの駆動装置により所用の解砕操作を適宜させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例の形態を、図示例と共に説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、形状、その相対的位置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお従来例を示す図面と同一部材については同一符号を使用する。
【0017】図1は本発明の灰溶融炉の概略構成図である。図1に示すように、本発明の灰溶融炉は、炉本体の一端側には灰供給部53とその下部に灰供給口54が設けられ、灰50は前記灰供給口54よりその下部に設けられた炉底55上に供給され、更に灰供給装置であるスクリューフィーダないしプッシャ58により傾斜する炉底55に沿って灰供給層59を形成させながら炉底55の末端に向け移動させるとともに、炉本体の上部の炉天井56の中央軸芯に設けた固定バーナ52により前記灰供給層59の表面の灰を加熱溶融させ、溶融灰25を得て、炉底55の末端に設けたスラグ出滓口64より溶融スラグ25aとして排出口57へ排出する構成にしてある。
【0018】そして、上記構成を持つ灰溶融炉において、灰供給口54の出口に向け、駆動装置11(11a,11b,…)により作動する上下動可能の解砕機10を設けるとともに、炉本体の他端側の排出口57を形成する端面の上部に設けた撮像部16を含む画像処理装置17、演算装置18、制御装置19とよりなる解砕機制御系20を設ける構成としてある。
【0019】上記解砕機10は図1のII−II視図である図2に示すように、炉本体の幅方向に分割配設した5分割の解砕機10a、10b、10c、10d、10eよりなり、それぞれ11a、11b、11c、11d、11eを介して、前記解砕機制御系20の制御装置19より出力する制御指令19a、19b、19c、19d、19eにより個別に所定寸法の上下動をして解砕操作をする構造にしてある。なお、本実施例では5分割解砕機を使用してあるが、分割の個数はそれに限定されるものではない。
【0020】また各解砕機10a、10b、10c、10d、10eはそれぞれ例えば図示の断面形状を持つ板状部材で構成してあるが、先端の破砕部の形状は尖った複数個の凸部により形成しても良い。
【0021】前記解砕機制御系20は、前記したように撮像部16と画像処理装置17と演算装置18と制御装置19とよりなる。撮像部16はCCDカメラや赤外線カメラを使用して、炉内特に固定バーナ52の火炎輻射熱により灰供給層59上に形成される溶融加熱領域71の上流の灰供給口54の出口に到る灰供給層59の表面の灰溶融の度合いや灰焼結の状況や灰の停滞の状況を画像化する。ついで、画像処理装置17により前記画像から色信号を取出して灰の溶融ないし焼結の状況を示す温度分布を割り出すとともに、画像の加工、除去、合成、照合等の処理により起伏の状況を把握して焼結による隆起や灰の停滞による隆起部を割り出す。ついで演算装置18により前記画像処理装置17で得られたデータから、灰焼結部72の所用解砕箇所や駆動量を演算し、制御装置19より制御指令を解砕機10の駆動装置11に出力し、該当する解砕機を駆動させ、焼結層の解砕を可能にする構成にしてある。
【0022】上記構成であるので、灰供給口の出口に一つまたは多分割した上下動可能の先端に尖った突部を持つ解砕機を介して、炉内監視信号により所定箇所で所定寸法の上下動させることによって、当該バーナの火炎輻射熱による固化した焼結層を解砕でき、その結果プッシャの動きを円滑にするとともに、灰の閉塞や前記溶融加熱領域への塊状灰の流れ込みを抑制し、安定した溶融スラグの排出が可能となる。
【0023】
【発明の効果】上記記載のように、請求項1記載の発明によれば、灰供給口出口よりバーナの溶融加熱領域にいたる灰供給層表面の灰の状態により、灰焼結層の形成状態や灰の停滞状況を把握することができ、その状況に対応して前記解砕機を適宜駆動させ焼結固化した灰の焼結層を肥大増殖前に適宜解砕して、バーナの火炎輻射領域への灰の安定供給を図ることができる。
【0024】また、請求項2記載の発明によれば、尖った先端部を持つ板状部材の上下動により容易に灰の焼結部を細かく破砕できる。また、灰供給口の出口の近傍に設けるようにしたため、架橋形成前の灰焼結層を解砕でき灰の停滞及び灰の焼結肥大増殖を防止できる。
【0025】また、請求項3記載の発明によれば、炉内の幅方向の灰の焼結状況に対応して必要箇所のみの灰焼結層の解砕を選択実施できる。
【0026】また、請求項4記載の発明によれば、前記複数に分割され且つ配設された多分割解砕機の制御運転を可能にすることができる。即ち、監視カメラであるCCDカメラや赤外線カメラの撮像部により炉内特にバーナの溶融加熱領域を含む上流の灰供給口近傍部位にいたる灰供給層の流れの状況を画像化することができ、その画像を画像処理における色信号による温度分布と、加工、除去、合成、照合、等による起伏による灰焼結部の分布の状態を把握し、さらに演算装置により解砕機の駆動箇所及び破砕の程度を把握して制御装置を介して、該当する解砕機郡に個別の解砕指令を出力させ、該指令を介してそれぞれの駆動装置により所用の解砕を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久 (外1名)
【公開番号】 特開平11−304136
【公開日】 平成11年(1999)11月5日
【出願番号】 特願平10−111820