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【発明の名称】 溶融球状化灰の製造方法および製造装置
【発明者】 【氏名】清水 洽

【氏名】田崎 光雄

【氏名】横田 修

【氏名】松川 満兆

【氏名】堀井 孝浩

【氏名】矢野 正

【氏名】高角 章夫

【要約】 【課題】下水汚泥などの汚泥から、高流度コンクリートの混和材としても利用可能な溶融球状化灰を効率よく製造する。

【解決手段】含水率約20%まで乾燥させた下水汚泥15を、炉内温度を約1000℃に保持した循環流動層炉1に投入して、焼却するとともに、浮遊する焼却灰の各粒子の少なくとも表面層を溶融させて表面張力により球状化させ、排ガス5に伴われて炉外へ流出した溶融球状化灰16を回収する。これにより、従来のように溶融球状化炉等の別途の炉を用いることなく溶融球状化灰を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 含水率約20%の乾燥汚泥を炉内温度を約1000℃に保持した流動層式焼却炉に投入して、焼却するとともに、浮遊する焼却灰の各粒子の少なくとも表面層を溶融させて表面張力により球状化させ、排ガスに伴われて炉外へ流出した溶融球状化灰を回収することを特徴とする溶融球状化灰の製造方法。
【請求項2】 投入される含水率約20%の乾燥汚泥を焼却し、発生した焼却灰の各粒子を浮遊状態で溶融球状化させる流動層式焼却炉と、前記流動層式焼却炉の炉壁に配設され、内部を流通する流体により炉壁を介して炉内の熱量を回収し、炉内温度を約1000℃に制御する炉内熱量回収手段と、前記流動層式焼却炉の排ガス排出口に連通して設けられ、排ガスに伴われて流出した溶融球状化灰を回収する溶融球状化灰回収手段とを有したことを特徴とする溶融球状化灰の製造装置。
【請求項3】 流動層式焼却炉の流動層を構成する耐熱性粉粒体が炉内と炉外とにわたって循環する循環流路と、この循環流路の途中に配設され、内部を流通する流体により循環流路内の耐熱性粉粒体の熱量を回収する炉外熱量回収手段とを有したことを特徴とする請求項2記載の溶融球状化灰の製造装置。
【請求項4】 炉内熱量回収手段および炉外熱量回収手段の少なくとも一方の流体流路の途中に、流体流路を流通する流体により脱水汚泥を間接的に加熱し、乾燥させる汚泥乾燥手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の溶融球状化灰の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下水汚泥などの汚泥から溶融球状化灰を製造する溶融球状化灰の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、下水汚泥などの汚泥は流動層炉(BFB)で焼却し、発生した焼却灰を埋立て処分することが多かった。しかし近年では、埋立て処分地不足などの制約から、焼却灰や、焼却灰の溶融により生成される溶融スラグの有効利用が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、汚泥焼却灰は、重金属類が溶出したり、コンクリートの混和材等、他の粉体材料の代替として使用した場合に十分な強度が得られないなど、未解決の課題を多く抱えている。
【0004】一方、溶融スラグは、重金属類がスラグ内部に封じ込められるため溶出特性に優れているが、粉体として利用するためには粉砕、分級等の後工程を要し、また強度の問題は依然として残るため、高流度コンクリートへは利用できないのが現状である。
【0005】そこで、下水汚泥焼却灰と主要成分(Si,Al,Ca)の組成および粒径(数十マイクロメートル)が類似していながら、高流度コンクリートの混和材として使用されているフライアッシュとの相違に着目して、不定形な汚泥焼却灰をフライアッシュのような溶融球状化物となす試みがなされている。
【0006】しかしそのためには、流動層炉(BFB)等の焼却炉とともに、焼却灰を溶融球状化させる溶融球状化炉の別途の設置が必要であり、イニシャルコスト、ランニングコストが高くなるという問題があった。
【0007】また、表面層を溶融させ球状化させるために炉内温度を約1000℃以上にする必要があるが、そのような温度ではクリンカーが生じ易く、クリンカーの生成を低減するために低温度域に温度制御することもこれまでは困難であった。
【0008】本発明は上記問題を解決するもので、下水汚泥などの汚泥から、高流度コンクリートの混和材としても利用可能な溶融球状化灰を効率よく製造できる溶融球状化灰の製造方法および製造装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するために、本発明の請求項1記載の溶融球状化灰の製造方法は、含水率約20%の乾燥汚泥を炉内温度を約1000℃に保持した流動層式焼却炉に投入して、焼却するとともに、浮遊する焼却灰の各粒子の少なくとも表面層を溶融させて表面張力により球状化させ、排ガスに伴われて炉外へ流出した溶融球状化灰を回収するようにしたものである。
【0010】また本発明の請求項2記載の溶融球状化灰の製造装置は、投入される含水率約20%の乾燥汚泥を焼却し、発生した焼却灰の各粒子を浮遊状態で溶融球状化させる流動層式焼却炉と、前記流動層式焼却炉の炉壁に配設され、内部を流通する流体により炉壁を介して炉内の熱量を回収し、炉内温度を約1000℃に制御する炉内熱量回収手段と、前記流動層式焼却炉の排ガス排出口に連通して設けられ、排ガスに伴われて流出した溶融球状化灰を回収する溶融球状化灰回収手段とを有した構成としたものである。
【0011】請求項3記載の溶融球状化灰の製造装置は、流動層式焼却炉の流動層を構成する耐熱性粉粒体が炉内と炉外とにわたって循環する循環流路と、この循環流路の途中に配設され、内部を流通する流体により循環流路内の耐熱性粉粒体の熱量を回収する炉外熱量回収手段とを有した構成としたものである。
【0012】請求項4記載の溶融球状化灰の製造装置は、炉内熱量回収手段および炉外熱量回収手段の少なくとも一方の流体流路の途中に、流体流路を流通する流体により脱水汚泥を間接的に加熱し、乾燥させる汚泥乾燥手段を設けた構成としたものである。
【0013】通常、下水汚泥の脱水汚泥の含水率は80%程度であって、その焼却時の発熱量は約300〜400kcal/kgであり、この脱水汚泥を乾燥処理して含水率約20%に低下させた乾燥汚泥を焼却すると、発熱量は約3000〜3500kcal/kgとなり、その時の炉内温度は1300℃以上になる。
【0014】上記した請求項1記載の製造方法によれば、炉内温度を約1000℃に制御した流動層式焼却炉で含水率約20%の乾燥汚泥を焼却するようにしたことにより、クリンカーの生成を防止しながら、発生する微細な焼却灰の少なくとも表面層を溶融させて表面張力により球状化させることができ、従来のように溶融球状化炉等の別途の炉を用いる必要がない。
【0015】請求項2記載の製造装置によれば、炉内熱量回収手段によって、炉内温度を容易に約1000℃に制御することができる。請求項3記載の製造装置によれば、循環流路およびその途中に設けた炉外熱量回収手段によって、炉外で耐熱性粉粒体を冷却して炉内へ戻すことができ、炉内温度をより容易に約1000℃に制御することができる。
【0016】請求項4記載の製造装置によれば、炉内熱量回収手段および炉外熱量回収手段の少なくとも一方で回収された熱量を利用して、脱水汚泥を乾燥させ、この処理に適当な含水率まで低下させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1において、循環流動層炉1は、耐熱性粉粒体からなる流動層2を炉内に有しており、この循環流動層炉1の炉頂に、排ガスに伴われて流出した耐熱性粉粒体を回収するサイクロン3が連通し、炉底部に、サイクロン3で回収された耐熱性粉粒体を炉内に循環返送する循環流路4が連通している。
【0018】サイクロン3の後段には、サイクロン3を出た排ガス5を導入して熱量を回収する廃熱回収装置6と、排ガス中に含まれる溶融球状化灰などの浮遊物を分離回収する排ガス処理装置7とが設けられている。
【0019】循環流動層炉1の炉壁1aは、分散板1bより上方の上下方向の筒状部がほぼ全体にわたってボイラー水管8で囲まれており、循環流路4の途中には、ボイラー水管9が挿通された熱回収装置10が設けられている。ボイラー水管8,9の管路途中には、ボイラー水の持つ熱量を利用して汚泥を乾燥させる汚泥乾燥機11が設けられている。12,13は温度調節手段、14は送風機である。
【0020】上記した構成における作用を説明する。脱水した下水汚泥15を汚泥乾燥機11に投入し、ボイラー水管8,9の内部を流通するボイラー水の持つ熱量によって加熱し、含水率が約20%になるまで乾燥させる。
【0021】乾燥した下水汚泥15を循環流動層炉1の内部に投入し、流動層2において流動させつつ燃焼させ、発生した微細な焼却灰の各粒子を浮遊状態で溶融させ、排ガスとともにサイクロン3へ向けて流出させる。
【0022】このとき、ボイラー水管8の内部を流通するボイラー水により炉壁1aを介して炉内空間を冷却するとともに、サイクロン3で回収されて循環流路4を通じて炉内底部に循環される耐熱性粉粒体をボイラー水管9の内部を流通するボイラー水で冷却することにより、炉内温度を約1000℃に保持し、それにより、クリンカーの生成を防止しながら、焼却灰の各粒子の少なくとも表面層を溶融させて表面張力により球状化させることができる。
【0023】サイクロン3を出た排ガス5は、熱量回収装置6に流入させて熱量を回収し、次いで排ガス処理装置7に流入させて溶融球状化灰16とそれより微細な浮遊物質17とをそれぞれ分離回収し、有害物質除去処理を施した後に大気中に放出する。
【0024】このようにして得られた溶融球状化灰16は、表面が溶融しているため溶出特性に問題がなく、循環流動層炉の焼却灰を溶融させたものであるため粒径10〜50μmと微細であり、かつ球形度がよく、均質なので、混和材として用いれば、強度、流動性に優れたコンクリートが得られる。
【0025】なお、上記においては下水汚泥を溶融球状化させたが、下水汚泥と同様の成分を有する他の汚泥であれば溶融球状化させることができる。また、ボイラー水管8などにより炉壁1aを介して炉内温度を約1000℃に保持できるなら、通常の流動層炉においても同様に溶融球状化灰を製造できる。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、含水率約20%に調節した乾燥汚泥を、炉内温度を約1000℃に制御した流動層式焼却炉で焼却することにより、クリンカーの生成を防止しながら、微細で、球形度がよく、均質な溶融球状化灰を製造することができ、従来のように溶融球状化炉等の別途の炉を用いる必要がない。
【0027】この溶融球状化灰は、表面が溶融しているため重金属などが溶出する恐れがなく、従来の溶融スラグのように粉砕等の工程が不要であるのはもちろんのこと、強度、流動性とも高く、コンクリート混和材として利用した場合も製品に十分な圧縮強度や曲げ強度を与えるので、利用用途が広い。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)10月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開平11−132433
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−297628