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【発明の名称】 溶融炉
【発明者】 【氏名】片岡 静夫

【氏名】熊崎 博志

【氏名】加藤 考太郎

【要約】 【課題】焼却残渣や飛灰等の被溶融物を溶融処理する溶融炉に於いて、炉底等を点検・補修する際に、炉底に溜まった溶融メタル及び溶融スラグを炉外へ完全に排出できるようにする。

【解決手段】周壁2a、天井壁2b及び炉底2cから成る溶融炉本体2内で被溶融物Aを溶融し、炉底2cに溜まった溶融メタルB″及び溶融スラグB′を周壁2a部分に設けた開閉可能なメタル抜出し口10から抜き出すようにした溶融炉1に於いて、炉底2c上面を周壁2aの一個所へ向って下り方向に傾斜させると共に、前記メタル抜出し口10を溶融炉本体2の周壁2a部分で且つ炉底2c上面の最も低い部分に連通するように設けるか、若しくは炉底2c上面に溶融炉本体2の直径方向に亘って溝14を形成すると共に、前記メタル抜出し口10を溶融炉本体2の周壁2a部分で且つ溝14の一端部に連通するように設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周壁(2a)、天井壁(2b)及び炉底(2c)から成る溶融炉本体(2)内で被溶融物(A)を溶融し、炉底(2c)に溜まった溶融メタル(B″)を周壁(2a)部分に設けた開閉可能なメタル抜出し口(10)から抜き出すようにした溶融炉(1)に於いて、炉底(2c)上面を周壁(2a)の一個所へ向って下り方向に傾斜させると共に、前記メタル抜出し口(10)を溶融炉本体(2)の周壁(2a)部分で且つ炉底(2c)上面の最も低い部分に連通するように設けたことを特徴とする溶融炉。
【請求項2】 周壁(2a)、天井壁(2b)及び炉底(2c)から成る溶融炉本体(2)内で被溶融物(A)を溶融し、炉底(2c)に溜まった溶融メタル(B″)を周壁(2a)部分に設けた開閉可能なメタル抜出し口(10)から抜き出すようにした溶融炉(1)に於いて、炉底(2c)上面に溶融炉本体(2)の直径方向に亘って溝(14)を形成すると共に、前記メタル抜出し口(10)を溶融炉本体(2)の周壁(2a)部分で且つ溝(14)の一端部に連通するように設けたことを特徴とする溶融炉。
【請求項3】 溶融炉本体(2)の周壁(2a)部分で且つメタル抜出し口(10)よりも上方位置に、開閉可能な第2メタル抜出し口(15)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶融炉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみや産業廃棄物等の焼却炉から排出される焼却残渣や飛灰等の被溶融物を溶融処理する溶融炉に係り、溶融炉本体内の炉底に溜まった溶融メタルを完全に排出できるようにした溶融炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、都市ごみ等の焼却炉から排出される焼却残渣や飛灰の減容化及び無害化を図る為、焼却残渣等の溶融固化処理法が注目され、現実に実用に供されている。焼却残渣等は溶融固化することにより、その容積を1/2〜1/3に減らすことができると共に、重金属等の有害物質の溶出防止や溶融スラグの再利用、最終埋立処分場の延命等が可能になるからである。
【0003】而して、前記焼却残渣等の被溶融物の溶融固化処理方法には、アーク溶融炉やプラズマ溶融炉、電気抵抗炉等の電気式溶融炉を使用し、電気エネルギーによって被溶融物を溶融固化する方法と、表面溶融炉や旋回溶融炉、コークスベッド炉等の燃焼式溶融炉を使用し、燃料の燃焼エネルギーによって被溶融物を溶融固化する方法とが多く利用されて居り、都市ごみ焼却設備に発電設備が併置されている場合には、前者の電気エネルギーを用いる方法が、又、発電設備が併置されていない場合には、後者の燃焼エネルギーを用いる方法が夫々多く採用されている。
【0004】図9は従前のごみ焼却処理設備に併置した直流アーク放電黒鉛電極式プラズマ溶融炉の一例を示すものであり、図9に於いて、20は被溶融物A(焼却残渣や飛灰)のコンテナ、21は被溶融物Aの供給装置、22は溶融炉本体、23は黒鉛主電極、24は黒鉛スタート電極、25は炉底電極、26炉底冷却ファン、27は直流電源装置、28は窒素ガス等の不活性ガス供給装置、29は溶融スラグ流出口、30はタップホール、31は燃焼室、32は燃焼空気ファン、33は排ガス冷却ファン、34はバグフィルタ、35は誘引通風機、36は煙突、37は溶融飛灰コンベア、38は飛灰だめ、39はスラグ水冷槽、40はスラグ搬出コンベア、41はスラグだめ、42はスラグ冷却水冷却装置である。
【0005】焼却残渣や飛灰等の被溶融物Aはコンテナ20に貯えられ、供給装置21により溶融炉本体22内へ連続的に供給される。溶融炉本体22には、炉頂部より垂直且つ昇降可能に挿入され、その先端と被溶融物Aとの間に一定の距離を設けた黒鉛主電極23(−極)と、炉底に設置された炉底電極25(+極)とが夫々設けられて居り、両電極23,25間に直流電源装置27から供給された直流電気(被溶融物1ton当り600〜1000kW)を流すことによりプラズマアークが発生するようになっている。これによって、被溶融物Aは、その溶融点を越える1400℃〜1800℃の高温度にまで加熱され、順次溶融されて行く。
【0006】尚、溶融前の被溶融物Aは導電性が無い為、溶融炉の始動時にはスタート電極24を溶融炉本体22内へ挿入してこれを+極とし、スタート電極24と主電極23間へ通電することにより被溶融物Aが溶融するのを待つ。そして、被溶融物Aが溶融して、その導電性が上昇した後、+極をスタート電極24から炉底電極25へ切り換える。
【0007】一方、前記溶融炉本体22の内部は、溶融スラグB′や主電極23等の酸化を防止する為に還元性雰囲気に保持されて居り、その為に、PSA窒素製造装置等の不活性ガス供給装置28から不活性ガス(窒素ガス)が、中空筒状に形成した主電極23及びスタート電極24の中空孔を通して、溶融炉本体22内へ連続的に供給されている。
【0008】尚、溶融炉本体22の炉底は、炉底冷却ファン26からの冷風により空冷され、これによって炉底電極25近傍の過度な温度上昇が防止されている。又、溶融炉本体22は、約1600℃の高温に耐える耐火材、例えばカーボン系煉瓦、SiC系煉瓦等により構成されて居り、必要に応じて耐火材の冷却が施されている。
【0009】前記被溶融物Aの溶融によって、その内部に存在した揮発成分や炭素の酸化により起生した一酸化炭素等は排ガスCとなると共に、鉄等の金属類やガラス、砂等の不燃性成分は溶融状態となり、炉内には後述する如く所謂溶融スラグB′と溶融メタルB″が順次形成されて行く。
【0010】溶融炉本体22内に発生した前記排ガスCは、溶融スラグ流出口29の上部空間より燃焼室31に入り、ここで燃焼空気ファン32により送入された燃焼用空気が加えられることにより、内部の未燃分が完全に燃焼される。このときの燃焼熱によって、溶融スラグ流出口29から溢流する溶融スラグB′が加熱され、該溶融スラグB′がスラグ水冷槽39に入るまでの間に冷却・固化されて流路を塞いでしまうことが防止される。又、完全燃焼した排ガスCは、排ガス冷却ファン33からの冷却空気によって冷却され、バグフィルタ34を経て誘引通風機35により煙突36へ排出される。そして、バグフィルタ34で捕捉された溶融飛灰は、溶融飛灰コンベア37により飛灰だめ38へ送られる。
【0011】一方、溶融炉本体22内に形成された溶融スラグB′は、溶融スラグ流出口29より連続的に溢れ出し、水を満したスラグ水冷槽39内へ落下することにより水砕スラグとなり、スラグ搬出コンベア40によってスラグだめ41へ排出される。
【0012】ところで、被溶融物Aである焼却残渣や飛灰中には鉄を始めとする金属類とシリカを始めとするスラグ成分が多く含まれて居り、これらが溶融されると、鉄等の溶融メタルB″は溶融炉本体22の下方に沈下すると共に、スラグ成分等の溶融スラグB′の方は上方に浮上し、溶融炉本体22内の溶融物は上下二層に分離された状態となる。その結果、上方に位置する溶融スラグB′の方は、上述したように溶融スラグ流出口29より連続的に溶融炉本体22外へ排出されて行くが、下方に溜まった溶融メタルB″の方は、運転時間の経過と共にその蓄積量が増し、順次溶融メタルB″の液面が上昇することになる。
【0013】その為、この種の溶融炉に於いては、溶融炉本体22の周壁下方に設けたタップホール30(メタル抜出し口)を間欠的に開口し、ここから溶融メタルB″を抜き出すことにより溶融メタルB″層の厚さが所定の厚さを超えないようにしている。尚、溶融炉を停止する際には、タップホール30を開口して溶融メタルB″及び溶融スラグB′を抜き出し、溶融炉本体22内を空の状態にするようにしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した構成の溶融炉に於いては、溶融炉本体22の炉底若しくはその近傍にタップホール30(メタル抜出し口)を形成し、ここから炉底に溜まった溶融メタルB″を抜き出すようにしている。ところが、この種の溶融炉に於いては、炉内の溶融メタルB″を完全に排出することができず、溶融メタルB″の一部が炉内に残留することになる。その為、溶融炉の運転停止時には、炉内に残った溶融メタルB″が冷却・固化することになる。従って、炉底の耐火材や炉底電極25の点検や補修を行う際には、冷却・固化した溶融メタルB″を削岩機や酸素ランス等で除去する必要があり、点検や補修に手数が掛かるうえ、メタルの除去時に炉底の耐火材を損傷させると云う問題も発生した。
【0015】本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は炉内の溶融メタルを完全に排出できるようにした溶融炉を提供するにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為に、本発明の請求項1に記載の発明は、周壁、天井壁及び炉底から成る溶融炉本体内で被溶融物を溶融し、炉底に溜まった溶融メタルを周壁部分に設けた開閉可能なメタル抜出し口から抜き出すようにした溶融炉に於いて、炉底上面を周壁の一個所へ向って下り方向に傾斜させると共に、前記メタル抜出し口を溶融炉本体の周壁部分で且つ炉底上面の最も低い部分に連通するように設けたことに特徴がある。
【0017】本発明の請求項2に記載の発明は、周壁、天井壁及び炉底から成る溶融炉本体内で被溶融物を溶融し、炉底に溜まった溶融メタルを周壁部分に設けた開閉可能なメタル抜出し口から抜き出すようにした溶融炉に於いて、炉底上面に溶融炉本体の直径方向に亘って溝を形成すると共に、前記メタル抜出し口を溶融炉本体の周壁部分で且つ溝の一端部に連通するように設けたことに特徴がある。
【0018】本発明の請求項3に記載の発明は、溶融炉本体の周壁部分で且つメタル抜出し口よりも上方位置に、開閉可能な第2メタル抜出し口を設けたことに特徴がある。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1及び図2は本発明に係る溶融炉1(プラズマ溶融炉)の第1の実施の形態を示すものであり、図1に於いて、2は溶融炉本体、3は被溶融物A(焼却残渣や飛灰等)の供給装置、4は黒鉛主電極、5は黒鉛スタート電極、6は炉底電極、7は燃焼室である。
【0020】前記溶融炉本体2は、耐熱性や耐食性等に優れた耐火材等により形成された周壁2a、天井壁2b及び炉底2c(底壁)から構成されて居り、横断面形状が円筒状に形成されている。又、溶融炉本体2の周壁2aには、焼却炉(図示省略)から排出された焼却残渣や飛灰等の被溶融物Aを溶融炉本体2内へ供給する為の被溶融物供給口8が形成されている。この被溶融物供給口8は、被溶融物Aのコンテナ(図示省略)に接続されて居り、コンテナ内の被溶融物Aをスクリューフィーダー等から成る供給装置3を介して炉内へ定量的に連続供給できるようになっている。更に、溶融炉本体2の周壁2aには、その直径方向に於いて被溶融物供給口8と対向する位置に溶融スラグ流出口9が形成されている。この溶融スラグ流出口9は、溶融炉本体2内の溶融スラグB′を溢流排出させると共に、炉内の排ガスCを排出させる為のものであり、スラグ水冷層(図示省略)等のスラグ処理系及び燃焼室7等の排ガス処理系に夫々接続されている。
【0021】尚、溶融炉本体2内では、被溶融物Aの溶融処理の進行に伴い溶融物が比重差により上下2層(比重の小さい溶融スラグB′層と比重の大きい溶融メタルB″層)に分離している。
【0022】そして、前記溶融炉本体2は、炉底2cに溜まった溶融メタルB″を完全に排出できるような構造となっている。即ち、図1及び図2に示す如く、溶融炉本体2の炉底2c上面を周壁2aの一個所(後述するメタル抜出し口10側)へ向って下り方向に1°〜15°好ましくは2°〜5°傾斜させると共に、溶融炉本体2の周壁2a部分で且つ炉底2c上面の最も低い部分に連通し得るメタル抜出し口10を設け、炉底2cに溜まった溶融メタルB″を炉底2c上面の傾斜を利用してメタル抜出し口10側へ流し、該メタル抜出し口10から溶融メタルB″を抜き出せるようになっている。
【0023】前記メタル抜出し口10は、通常粘土等の充填物11を充填することにより閉塞されて居り、溶融メタルB″の抜き出しを行う場合には公知のタッピングやランシング工法により充填された充填物11を取り除いてメタル抜出し口10を開口し、ここから溶融メタルB″を抜き出せるようになっている。又、メタル抜出し口10は、溶融メタルB″の抜き出し等が終了すれば、ここへ充填機(図示省略)により充填物11が機械的に充填され、再度閉塞されるようになっている。
【0024】尚、前記溶融炉本体2は、一般に1600℃〜1800℃の高温に耐え得る耐火材で構成されている。例えば、周壁2aは、溶融スラグB′に対する耐食性、耐熱性に優れたカーボン系耐火材やSiC系耐火材等で、又、天井壁2bは、排ガスCに対する耐食性、耐熱性に優れたアルミナ系耐火材で夫々構成されている。更に、炉底2cは、導電性及び溶融メタルB″に対する耐浸食性に優れたカーボン系耐火材(カーボン煉瓦、マグネシアカーボン煉瓦、カーボンペースト)により構成されて居り、必要に応じて耐火材の冷却(例えば水冷ジャケット12による冷却)が施されている。
【0025】前記黒鉛主電極4は、溶融炉本体2の天井壁2b中心部に昇降自在に挿入支持されて居り、溶融スラグB′との間を一定距離に保つように昇降操作される。又、前記黒鉛スタート電極5は、溶融炉本体2の天井壁2bの外周縁部に傾斜姿勢でもって進退移動自在に挿入支持されて居り、先端部を炉内に突出させない放電停止位置と先端部を主電極4の先端部に近接させた状態で炉内に突出する放電作用位置とに亘って昇降操作されるようになっている。
【0026】尚、主電極4及びスタート電極5は、何れも円筒状に形成されて居り、炉内を還元性雰囲気に保持するのに必要な窒素ガス等の不活性ガスが不活性ガス供給装置(図示省略)から各電極4,5の中空孔を通して炉内へ供給されるようになっている。又、主電極4は、直流電源装置(図示省略)の陰極に、スタート電極5は、陽極に夫々接続されている。
【0027】前記炉底電極6は、溶融炉本体2の炉底2cに設けられたものであり、主電極4との間で所定のプラズマアークを発生させる限りに於いては任意に構成することができる。この実施の形態では、溶融炉本体2の炉底2c全体を炉底電極6に構成してある。即ち、炉底電極6は、直流電源装置の陽極に接続された金属円板製の集電板13と、集電板13上に形成されて炉底2cを形成する導電性耐火材層とから構成されている。
【0028】而して、上記構成のプラズマ溶融炉1に於いて、供給装置3により溶融炉本体2内へ供給された焼却残渣や飛灰等の被溶融物Aは、黒鉛主電極4と炉底電極6との間のプラズマアーク放電による熱エネルギーにより、溶融点(1200℃〜1400℃)を越える温度にまで加熱され、1400℃〜1800℃の高温液体状の溶融物となる。この溶融物は、溶融炉本体2内に於いて金属類等の溶融物が沈下することにより、下部層の溶融メタルB″と上部層のスラグ類が溶融した溶融スラグB′の二層に分離した状態となる。
【0029】溶融炉本体2内に形成された溶融スラグB′は、溶融スラグ流出口9からスラグ処理系へと順次溢流排出されて行くと共に、溶融炉本体2内で発生した排ガスCも、溶融スラグ流出口9から排ガス処理系へと排出されて行く。
【0030】そして、炉底2cの耐火材や炉底電極6の点検・補修等を行う際には、溶融炉1の運転を停止すると共に、公知のタッピングやランシング工法によりメタル抜出し口10に充填している充填物11を取り除いてメタル抜出し口10を開口し、炉底2cに溜まっている溶融メタルB″及び溶融スラグB′をメタル抜出し口10から抜き出す。このとき、炉底2c上面がメタル抜出し口10へ向って下り方向に傾斜している為、炉底2cに溜まっている溶融メタルB″及び溶融スラグB′は炉底2c上面をメタル抜出し口10側へ向って流れ、メタル抜出し口10から完全に排出されることになる。即ち、比重の大きい溶融メタルB″が先に完全に排出され、その後比重の小さい溶融スラグB′がメタル抜出し口10から排出される。
【0031】その結果、この溶融炉1は、従来のプラズマ溶融炉のように炉底の耐火材や炉底電極の点検・補修時に炉底に残って冷却・固化したメタルを削岩機や酸素ランス等で除去する必要もなく、点検・補修等を簡単且つ容易に行えると共に、点検・補修時に炉底2cの耐火材を損傷させることもない。
【0032】尚、溶融メタルB″及び溶融スラグB′の抜き出し(若しくは炉底2cの耐火材や炉底電極6の点検・補修)が終了すれば、充填機を用いて機械的にメタル抜出し口10内へ再度充填物11を充填し、メタル抜出し口10を閉塞する。
【0033】図3及び図4は本発明に係る溶融炉1(プラズマ溶融炉)の第2の実施の形態を示すものであり、この溶融炉1は、炉底2c上面に溶融炉本体2の直径方向に亘って溝14を形成すると共に、溶融炉本体2の周壁2a部分で且つ溝14の一端部に連通し得るメタル抜出し口10を設け、炉底2cに溜まった溶融メタルB″及び溶融スラグB′を炉底2c上面の溝14を利用してメタル抜出し口10側へ流し、該メタル抜出し口10から溶融メタルB″及び溶融スラグB′を抜き出せるようにしたものである。
【0034】前記メタル抜出し口10は、通常粘土等の充填物11を充填することにより閉塞されて居り、溶融メタルB″及び溶融スラグB′の抜き出しを行う場合には公知のタッピングやランシング工法によって開口され、又、溶融メタルB″及び溶融スラグB′の抜き出し(若しくは炉底2cの耐火材や炉底電極6の点検・補修)が終了すれば、充填機(図示省略)により機械的にメタル抜出し口10内へ再度充填物11が充填されて閉塞されるようになっている。
【0035】尚、この溶融炉1は、炉底2c上面を傾斜させる代わりに炉底2c上面に溝14を形成し、該溝14の一端部にメタル抜出し口10を設けたこと以外は、上記第1の実施の形態に係る溶融炉1と全く同一構造に構成されている。
【0036】而して、このプラズマ溶融炉1は、炉底2cの耐火材や炉底電極6の点検・補修等を行う際には、溶融炉1の運転を停止すると共に、公知のタッピングやランシング工法によりメタル抜出し口10に充填されている充填物11を取り除いてメタル抜出し口10を開口し、炉底2cに溜まっている溶融メタルB″及び溶融スラグB′をメタル抜出し口10から抜き出す。このとき、炉底2c上面にメタル抜出し口10に連通する凹形の溝14を形成している為、炉底2cに溜まっている溶融メタルB″及び溶融スラグB′は溝14へ流れ込んだ後、溝14を通ってメタル抜出し口10側へ流れ、該メタル抜出し口10から完全に排出されることになる。従って、この溶融炉1も、上記第1の実施の形態に係る溶融炉1と同様の作用効果を奏することになる。
【0037】図5及び図6は本発明に係る溶融炉1(プラズマ溶融炉)の第3の実施の形態を示すものであり、この溶融炉1は、炉底2c上面を周壁2aの一個所(メタル抜出し口10側)へ向って下り方向に1°〜15°好ましくは2°〜5°傾斜させると共に、溶融炉本体2の周壁2a部分で且つ炉底2c上面の最も低い部分に連通し得るメタル抜出し口10を設け、更に溶融炉本体2の周壁2a部分で且つメタル抜出し口10の直上位置に第2メタル抜出し口15を形成したものである。
【0038】前記第2メタル抜出し口15は、通常粘土等の充填物11を充填することにより閉塞されて居り、溶融メタルB″の抜き出しを行う場合には公知のタッピングやランシング工法によって開口され、又、溶融メタルB″の抜き出しが終了すれば、充填機(図示省略)により機械的に第2メタル抜出し口15内へ再度充填物11が充填されて閉塞されるようになっている。
【0039】尚、この溶融炉1は、メタル抜出し口10の直上位置に第2メタル抜出し口15を設けたこと以外は、上記第1の実施の形態に係る溶融炉1と全く同一構造に構成されている。
【0040】而して、このプラズマ溶融炉1は、炉底2cの耐火材や炉底電極6の点検・補修等を行う際には、溶融炉1の運転を停止すると共に、公知のタッピングやランシング工法によりメタル抜出し口10に充填されている充填物11を取り除いてメタル抜出し口10を開口し、炉底2cに溜まっている溶融メタルB″及び溶融スラグB′をメタル抜出し口10から抜き出す。このとき、炉底2c上面がメタル抜出し口10へ向って下り方向に傾斜している為、炉底2cに溜まっている溶融メタルB″及び溶融スラグB′は炉底2c上面をメタル抜出し口10側へ向って流れ、メタル抜出し口10から完全に排出されることになる。即ち、比重の大きい溶融メタルB″が先に完全に排出され、その後比重の小さい溶融スラグB′がメタル抜出し口10から排出される。
【0041】一方、溶融メタルB″を抜き出した後、耐火材や炉底電極6の点検・補修等を行わず、引き続き溶融運転を行いたい場合には、起動を容易にすることと、炉底2cの耐火材の保護の為に適量の溶融メタルB″及び溶融スラグB′を炉底2cに残しておくことが望ましい。従って、この場合には、第2メタル抜出し口15を利用して炉内の溶融メタルB″を抜き出す。即ち、公知のタッピングやランシング工法により第2メタル抜出し口15に充填されている充填物11を取り除いて第2メタル抜出し口15を開口し、炉底2cに溜まっている溶融メタルB″の一部を第2メタル抜出し口15から抜き出す。このとき、第2メタル抜出し口15は、メタル抜出し口10よりも上方位置に設けられている為、炉内には適量の溶融メタルB″が残留することになる。
【0042】このように、この溶融炉1は、必要に応じて炉底2cの溶融メタルB″及び溶融スラグB′を完全に抜き出したり、或いは炉内に一定量の溶融メタルB″を残留させたりすることができ、至極便利である。
【0043】図7及び図8は本発明に係る溶融炉1(プラズマ溶融炉)の第4の実施の形態を示すものであり、この溶融炉1は、炉底2c上面に溶融炉本体2の直径方向に亘って溝14を形成すると共に、溶融炉本体2の周壁2a部分で且つ溝14の一端部に連通し得るメタル抜出し口10を設け、更に溶融炉本体2の周壁2a部分で且つメタル抜出し口10の直上位置に第2メタル抜出し口15を形成したものである。
【0044】前記第2メタル抜出し口15は、通常粘土等の充填物11を充填することにより閉塞されて居り、溶融メタルB″の抜き出しを行う場合には公知のタッピングやランシング工法によって開口され、又、溶融メタルB″の抜き出しが終了すれば、充填機(図示省略)により機械的に第2メタル抜出し口15内へ再度充填物11が充填されて閉塞されるようになっている。
【0045】尚、この溶融炉1は、メタル抜出し口10の直上位置に第2メタル抜出し口15を設けたこと以外は、上記第2の実施の形態に係る溶融炉1と全く同一構造に構成されている。
【0046】而して、このプラズマ溶融炉1も、メタル抜出し口10若しくは第2メタル抜出し口15の何れか一方を使用することにより、炉底2cの溶融メタルB″及び溶融スラグB′を完全に抜き出せたり、或いは炉内に一定量の溶融メタルB″を残留させたりすることができ、上記第3の実施の形態に係る溶融炉1と同様の作用効果を奏することができる。
【0047】上記各実施の形態に於いては、溶融炉1を所謂プラズマ溶融炉としているが、プラズマ溶融炉以外の溶融炉例えばアーク溶融炉や電気抵抗式溶融炉等へも本願発明を適用できることは勿論である。
【0048】上記第2及び第4の実施の形態に於いては、炉底2c上面に断面形状が凹形の溝14を形成するようにしたが、他の実施の形態に於いては、炉底2c上面に断面形状が半円状の溝14若しくは断面形状が三角形状の溝14を形成するようにしても良い。
【0049】上記第2及び第4の実施の形態に於いては、炉底2c上面及び溝14の底面を水平になるように形成したが、他の実施の形態に於いては、炉底2c上面を溝14に向って下り傾斜させるようにしても良く、又、溝14の底面をメタル抜出し口10側へ向って下り傾斜させるようにしても良い。
【0050】
【発明の効果】上述の通り、本発明の請求項1及び請求項2の発明に於いては、炉底上面を傾斜させると共に炉底の最も低い個所にメタル抜出し口を設け、或いは炉底上面に直径方向に亘って溝を形成すると共にこの溝の一端部にメタル抜出し口を設け、炉底に溜まっている溶融メタル及び溶融スラグを炉底上面の傾斜若しくは溝を利用してメタル抜出し口から抜き出すようにしている。その結果、本発明の溶融炉は、炉底に溜まった溶融メタル及び溶融スラグを完全に抜き出すことができ、炉底の耐火材や炉底電極の点検・補修時に従来のプラズマ溶融炉のように炉底に残っている冷却・固化したメタル又はスラグを削岩機や酸素ランス等で除去する必要もなく、点検・補修を簡単且つ容易に行えると共に、点検・補修時に炉底の耐火材を損傷させることもない。
【0051】本発明の請求項3の発明に於いては、溶融炉本体の周壁部分で且つメタル抜出し口の上方位置に第2メタル抜出し口を形成し、必要に応じてメタル抜出し口若しくは第2メタル抜出し口から溶融メタルを抜き出すようにしている。その結果、この溶融炉は、炉底の溶融メタル及び溶融スラグを完全に抜き出させたり、或いは炉内に一定量の溶融メタル及び溶融スラグを残留させたりすることができ、至極便利である。
【出願人】 【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
【出願日】 平成9年(1997)10月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫 (外1名)
【公開番号】 特開平11−108330
【公開日】 平成11年(1999)4月23日
【出願番号】 特願平9−272957