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【発明の名称】 HRHE(Heat Recovery Heat Exchanger)システム
【発明者】 【氏名】笹尾 俊文

【氏名】稲毛 真一

【氏名】小林 成嘉

【要約】 【課題】GTガスと高温ガスの混合を促進させ、混合ガスの温度分布を均一化させることにより、脱硝装置入口におけるガス温度を前記温度範囲に収めることを容易に可能とするHRHEを提供する。

【解決手段】高温ガス噴出装置5と脱硝装置4の間に渦発生装置6を設けて、主流方向に渦15を形成し、この渦15により、流れにおける乱れが増大し、GTガス11と高温ガス12の混合が促進される。この混合の促進により、GTガス11と高温ガス12の混合ガス13の温度分布が均一化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ガスタービンからHRHEに流入するガス(以降、GTガスと記す)に前記GTガスを昇温せしめるための高温ガスを噴出させる装置を有するHRHE(Heat Recovery Heat Exchanger)システムにおいて、GTガスと高温ガスの混合を促進させるために、前記GTガスと高温ガスの混合ガスの主流方向に渦を発生させる渦発生装置を1つ以上前記HRHE内に設けたことを特徴とするHRHE。
【請求項2】請求項1のHRHEにおいて、前記GTガスと高温ガスの混合ガスの主流方向に回転の中心軸を持つ渦を発生させる構造物を1つ以上前記HRHE内に設けたことを特徴とするHRHE。
【請求項3】請求項1及び請求項2のHRHEにおいて、前記GTガスと高温ガスの混合ガスの主流方向に回転の中心軸を持つ渦を発生させる構造物は、前記GTガスと高温ガスの混合ガスの主流方向に対して仰角を持ち、該構造物を翼形をしたことを特徴とするHRHE。
【請求項4】請求項1及び請求項2のHRHEにおいて、前記GTガスと高温ガスの混合ガスの主流方向に回転の中心軸を持つ渦を発生させる構造物を複数有し、該複数の構造物の下流に発生する複数の渦を合体させる構造を特徴とするHRHE。
【請求項5】請求項1及び請求項2のHRHEにおいて、前記GTガスと高温ガスの混合ガスの主流方向に回転の中心軸を持つ渦を発生させる構造物を有し、該構造物より発生する渦周りの流速を増大させる手段を持つ構造を特徴としたHRHE。
【請求項6】請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5のHRHEを備えているPFBC(Pressurized Fluidized Bed Combustion)発電システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はPFBC用HRHEに係わり、特にHRHEでのGTガスと高温ガス発生装置から噴出される高温ガスの混合に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンに備えられている脱硝装置では、流入するガス温度が、低温の場合には、脱硝装置内の触媒において有害物質である硝酸アンモニウムが生成される。また、耐熱温度の問題であまり高温とすることはできない。このため、脱硝装置においては、流入するガス温度をある温度範囲に保つ必要がある。プラント起動時においては、ガスタービンからHRHEに流入するGTガス温度が低いため、このGTガスに高温ガスを混合し、昇温することにより脱硝入口におけるガス温度を前記温度範囲内とする。
【0003】図1に従来一般に採用されているHRHEの構造概略図を示す。このHRHEでま、ガスタービンから吐出されるGTガス11に対して、高温ガス噴出装置5より高温ガス12を垂直に噴出して、GTガスと高温ガスの拡散のみにより混合している。この場合、高温ガスの運動量が大きく、高温ガスはGTガスを貫通し、HRHE壁面1a側に寄ってしまう。このため、従来のHRHEの脱硝装置2入口における温度分布は、図2に示すように、HRHE壁面1a側の温度が高く、HRHE壁面1b側の温度が低くなる大きな温度分布を持つため、脱硝装置の性能上必要な温度範囲に保つことが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術のHRHE構造では、GTガスと高温ガスとを均一に混合することが難しく、脱硝装置入口におけるガス温度を前記温度範囲に収めることは困難であった。
【0005】本発明の目的は、GTガスと高温ガスの混合を促進させ、混合ガスの温度分布を均一化させることにより、脱硝装置入口におけるガス温度を前記温度範囲に収めることを容易に可能とするHRHEを提供することにある。また、この混合に際して、圧力損失の増大を極力小さく抑さえる必要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、GTガスと高温ガスの混合を促進させるために、GTガスと高温ガスの混合ガスの主流方向に渦を発生させる渦発生装置を前記HRHE内の高温ガス噴出装置と脱硝装置の間に設ける。この渦発生装置により、流路を流れるガスに渦を形成し、GTガスと高温ガスの混合ガス内の乱れを増大させ、GTガスと高温ガスの混合作用を促進させ、温度分布の均一化を図る。
【0007】即ち、プラント起動時においては、GTガスの温度が低いため、このGTガスに高温ガスを噴出して混合せしめて、脱硝装置入口におけるガス温度を前記の所定温度範囲内に収める必要がある。本発明の渦を発生させる渦発生装置によれば、流路を流れるガスに形成される渦により、乱れが増大し、この強い乱れにより混合作用が促進されるため、GTガスと高温ガスは混合が促進され、GTガスと高温ガスとの混合ガスにおいて、均一な温度分布が得られる。このため、脱硝装置入口におけるガス温度は、脱硝装置の性能上必要な温度範囲に収めることが容易に可能となる。また、HRHE内面に主流方向に対して適切な仰角を持つ3個の三角錐形状をしたデルタ翼を設置する。各デルタ翼により形成されるランチェスター渦の循環(中心軸周りに渦として流れる流量)をΓa,Γb,Γcとし、各ランチェスター渦の中心間距離をRab,Rbc,Rca(Rijは渦iと渦jの中心間距離)としたとき、以下の式(1),(2)を満足するように各デルタ翼の配置及び仰角を設定する。この設定により、3個の渦を合体させて1つの強いランチェスター渦を形成せしめることができるため、強い混合作用を引き起こし、GTガスと高温ガスの混合を促進するので、温度を均一化できる。
【0008】
【数1】
Γa・Γb+Γb・Γc+Γc・Γa=0 …(数1)
【0009】
【数2】
Γa・Γb・Rab+Γb・Γc・Rbc+Γc・Γa・Rca=0 …(数2)
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施例1)図3に本発明のHRHE第1実施例の概略構造を示す。プラント起動時において、HRHE入口2より流入したGTガス11は、脱硝装置4を通り、HRHE出口3より排気ガス14として排出される。このGTガス11のガス温度を上昇させるため、高温ガス噴出装置5より高温ガス12を噴出する。GTガス11と高温ガス12は混合しながらHRHE出口3へと流れる。高温ガス噴出装置5と脱硝装置4の間に渦発生装置6を設けて、主流方向に渦15を形成せしめる。この渦15により、流れにおける乱れが増大し、GTガス11と高温ガス12の混合が促進される。この混合の促進により、GTガス11と高温ガス12の混合ガス13の温度分布が均一化される。このことにより、図4に示すように、本発明によるHRHEにおいては、従来HRHEの構造に較べ、温度勾配が小さくなり、脱硝装置の性能上必要な温度範囲に収めることが容易に可能となる。
【0011】(実施例2)図5に第2実施例の概略構造を示す。本構造は、前記渦発生装置6を高温ガス噴出装置5と脱硝装置4の間に、GTガス11と高温ガス12の混合ガス13の主流方向に複数段設置し、かつ格段を千鳥に配列したものである。この配列により、渦による乱流状態が強くなるため、GTガス11と高温ガス12の混合が、さらに促進され、温度の均一化が図られる。
【0012】(実施例3)図6に第3実施例の概略構造を示す。図7は、翼形状構造物部分の詳細、図8は、図7の翼形状構造物のA方向矢視図である。翼形状構造物7は、高温ガス噴出装置5と脱硝装置4の間にGTガス11と高温ガス12の混合ガス13の主流方向13aに対して適切な仰角αを持って備えられている。ここで、図8に示すように、翼形状構造物7は三角錐形状をしており、7a,7b,7cを3頂点とする三角形の面(頂点7aと辺7b−7c)(頂点7bと7cを両端とする辺)の中心とを結ぶ線(図8の破線))が、GTガス11と高温ガス12の混合ガス13の主流方向13aに対して仰角αとなるようにHRHE内面に固定されている。
【0013】HRHEでは、ガスタービンから吐出したGTガス11と高温ガス噴出装置5から噴出される高温ガス12が、拡散により混合しながらHRHE1内を流れる。このGTガス11と高温ガス12の混合ガスが、翼形状構造物7を通過する際、翼形状構造物7後方にランチェスター渦と呼ばれる主流方向13aに対して回転中心軸を持つ渦(縦渦)が形成される。このランチェスター渦16は、GTガス11と高温ガス12を巻き込んで、混合しながらHRHE下流へと進行する。ランチェスター渦16は下流側へと進行するに従い、渦回転直径が増大し、角運動量も増加するので、強い混合作用を引き起こし、GTガス11と高温ガス12の混合を促進するので、温度を均一化できる。また、この実施例では、圧力損失の増大を抑さえることができる。
【0014】(実施例4)図9に第4実施例の概略構造の翼形状構造物設置個所の詳細図を示す。本実施例は、第3実施例の主流方向13aに対して適切な仰角αを持つ翼形状構造物7をHRHE1内面に複数個有している。本実施例においても、GTガス11と高温ガス12の混合ガス13が翼形状構造物7を通過する際、翼形状構造物7後方にランチェスター渦16が形成される。複数個の翼形状構造物7より形成されるランチェスター渦16は、互いに干渉し、渦形状を崩壊させるため、強い乱流状態を形成する。この強い乱流状態により、強い混合作用を引き起こし、GTガス11と高温ガス12の混合を促進するので、温度を均一化できる。また、この実施例では、圧力損失の増大を抑さえることができる。
【0015】(実施例5)図10に第5実施例の概略構造の翼形状構造物設置個所の詳細図を示す。本実施例は、HRHE内面に3個の三角錐形状をしたデルタ翼8a,8b,8c(構造は、図8と同じ)を各デルタ翼8a,8b,8cの高さをそれぞれL1/3,L2/3,L2/3となるようにし、各デルタ翼の頂点8a−1,8b−1,8c−1が正三角形31の頂点となるように配置する。前記配置において、デルタ翼8a,8cにより形成されるランチェスター渦16a,16cの循環(中心軸周りに渦として流れる流量)をΓとし、デルタ翼8bにより形成されるランチェスター渦16bの循環をΓ/2(負号は渦回転方向が逆であることを示す)となるように各デルタ翼の仰角を設定する。
【0016】この設定により、各デルタ翼8a,8b,8cにより形成されるランチェスター渦16a,16b,16cは、前述の式(1),(2)を満足するため、3個のランチェスター渦16a,16b,16cを合体させて1つの強いランチェスター渦16dを形成せしめることができる。本実施例では、このランチェスター渦16dの作用により、GTガス11と高温ガス12の混合ガス13の混合をさらに促進できるので、温度をより均一化できる。また、この実施例では、圧力損失の増大を抑さえることができる。
【0017】
【発明の効果】本発明の渦発生装置を備えたHRHEにより、GTガスと高温ガスの混合を促進させることが可能となり、GTガスと高温ガスの混合ガスの温度分布が均一化される。このため、脱硝装置入口における混合ガス温度の温度勾配を小さくできる。このことにより、脱硝装置入口における混合ガス温度を脱硝装置の性能上必要な温度範囲に容易に保つことが可能なHRHEを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成9年(1997)6月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
【公開番号】 特開平11−14035
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−165602