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【発明の名称】 廃棄物の溶融処理設備
【発明者】 【氏名】星 弘之

【氏名】平 孝次

【要約】 【課題】溶融炉から排出される飛灰を再度溶融炉に装入して確実に溶融処理し、飛灰中の重金属の濃度を高め、飛灰の処理量を少なくして、重金属濃縮回収処理を容易にする。

【解決手段】廃棄物の溶融処理設備は、コークスベッド式の溶融炉2と、溶融炉2で発生した飛灰Fを捕集する集塵器3と、捕集した飛灰Fを空気と共に上部羽口24から溶融炉2内に吹き込むための飛灰ホッパ4と定量フィーダ41と飛灰搬送手段42とを備える。集塵器3で捕集した飛灰Fは、上部羽口24から溶融炉2内に吹き込まれ溶融される。溶融されなかった飛灰中の成分は、排ガスGと共に排出され、溶融系内で循環して、飛灰中の重金属の濃度が次第に高くなる。飛灰中の重金属の濃度が所定濃度に達すると、重金属回収設備5で回収処理を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 廃棄物を溶融するコークスベッド式の溶融炉と、溶融炉の飛灰を捕集する集塵器と、集塵器で捕集した飛灰を酸素含有ガスと共に上部羽口から溶融炉内に吹き込む飛灰吹込み装置とを備えた廃棄物の溶融処理設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみや産業廃棄物等の廃棄物の溶融処理の過程で発生する溶融炉の飛灰の重金属濃縮回収処理を容易にする廃棄物の溶融処理設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、都市ごみや産業廃棄物等は埋め立てや焼却処分されることが多い。焼却処分される場合も、焼却減容された焼却残渣は埋め立て処分されている。
【0003】しかし、埋め立て処分場の確保は次第に困難になっているので、廃棄物を溶融炉で直接溶融固化したり、あるいは廃棄物を一旦焼却した後、焼却残渣を溶融炉で溶融固化して、路盤材、骨材、ブロック等としてリサイクルするようになりつつある。
【0004】廃棄物をコークスベッド式の溶融炉で溶融する場合には、廃棄物にコークスと造滓材である石灰石を添加して溶融炉に装入し、炉内の乾燥帯、乾留ガス化帯及び燃焼溶融帯を順次降下させる。炉内には主羽口から酸素含有ガスを吹き込み、コークスや廃棄物の熱分解によって生じた炭素質を高温炉床において高温度で燃焼させ、その燃焼熱によって不燃物を溶融しスラグ化する。溶融したスラグは、溶融炉底部の出湯樋から排出した後、冷却固化する。
【0005】固化したスラグは、破砕して砕石とし路盤材、骨材として使用したり、粉砕したものをセメントと混合して成形しブロックとしたり、粉体として混練成形し焼成してセラミックス化しパネル等として利用される。
【0006】通常、このような廃棄物の溶融処理の過程で発生する飛灰には重金属が含まれているので、飛灰はセメントまたはキレートにより重金属の安定化処理を行った後、埋め立て処分されることが多い。
【0007】しかし、埋め立て処分場の確保は困難になっており、且つセメントやキレートによる安定化処理の長期的な安全性も疑問視されている。よって、重金属を濃縮回収して山元還元する方法が行われつつある。重金属の回収には、乾式、湿式の処理方法があるが、現在湿式処理が多い。
【0008】湿式処理では、飛灰に酸性薬剤を添加して重金属を溶解し、この溶液を固液分離した後、分離された重金属含有溶液にアルカリ性薬剤を添加して沈殿操作を行い、重金属を硫化物や水酸化物として沈殿させ重金属含有スラッジを生成させる。沈殿した重金属含有スラッジは精錬原料となる。処理工程から発生する排水は、pH調整により有害物質を固形物化して除去し中和放流する。
【0009】このように飛灰から重金属を濃縮回収して精錬原料とする場合、飛灰中の重金属の濃度は高い方が好ましい。そこで、飛灰中の重金属の濃度を高くするとともに、重金属の回収処理を行う飛灰の量を少なくするために、溶融炉の排ガス経路中の集塵器によって捕集した飛灰を、再度溶融炉に装入して溶融処理することが考えられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、集塵器によって捕集される飛灰は微粉体であるので、コークスベッド式の溶融炉の上部に設けられている原料投入口から投入すると、大部分が溶融されずに排ガスに随伴して排ガス経路に排出されることになり、溶融系内での循環による所期の重金属の濃縮効果が得られないという問題がある。
【0011】本発明は、廃棄物の溶融処理設備における上記課題を解決するものであって、再度溶融炉に装入した飛灰の溶融処理が確実に行われるようにすることにより、飛灰中の重金属の濃度を高めるとともに、飛灰の処理量を少なくして、飛灰の重金属濃縮回収処理を容易にする、廃棄物の溶融処理設備を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の廃棄物の溶融処理設備は、廃棄物を溶融するコークスベッド式の溶融炉と、溶融炉の飛灰を捕集する集塵器と、集塵器で捕集した飛灰を酸素含有ガスと共に上部羽口から溶融炉内に吹き込む飛灰吹込み装置とを備えている。
【0013】この廃棄物の溶融処理設備によって廃棄物を処理する場合には、廃棄物を搬送手段によってコークスベッド式の溶融炉の原料投入口へ搬送し溶融炉にコークス及び造滓材である石灰石とともに装入する。溶融炉内には、酸素含有ガスを主羽口から送ってコークスの燃焼熱で炉内を加熱する。
【0014】廃棄物は、炉内の乾燥帯、熱分解帯及び燃焼溶融帯を順次降下して行く。乾燥帯で乾燥された廃棄物は、熱分解帯では還元雰囲気下で有機物が分解されて水素、酸素分がガス化し、炭素分が残留する。
【0015】この、炭素分は補助燃料となって燃焼し、コークスとともに炉内を加熱する。廃棄物中の不燃物は造滓材である石灰石とともに溶融スラグ化する。溶融したスラグは、底部の出湯樋から排出した後、冷却固化する。
【0016】この溶融過程で発生した飛灰は、排ガス経路中に設けられている集塵器によって捕集される。集塵器で捕集した飛灰は、集塵器から溶融炉側へ返送され、酸素含有ガスと共に上部羽口から溶融炉内に吹き込まれる。上部羽口から吹き込まれた飛灰は、酸素含有ガスと共に熱分解帯を通るので、低沸点重金属はガス化し、排ガスと共に排出され、再び集塵器で捕集される。また、不燃系のシリカ、アルミナ等は熱分解帯で昇温され、燃焼溶融帯へ降下し、溶融スラグ化する。
【0017】溶融系内で循環が行われることにより、飛灰中の重金属の濃度は次第に高くなる。飛灰中の重金属の濃度が所定濃度に達すると、飛灰を集塵器から重金属回収設備へ送り重金属の濃縮回収処理を行う。
【0018】このように、飛灰を循環させて溶融処理することで、飛灰中の重金属の濃度を高め、濃縮回収処理を行う飛灰の量を減少させるので、飛灰の重金属濃縮回収処理は容易となる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の実施の一形態である廃棄物の溶融処理設備の構成図である。
【0020】ここで、廃棄物の溶融処理設備は、原料ホッパ1と、廃棄物Wを溶融処理する溶融炉2と、溶融炉2の飛灰Fを捕集する集塵器3と、集塵器3で捕集した飛灰Fを貯留する飛灰ホッパ4とを備えている。
【0021】廃棄物Wを溶融処理するコークスベッド式の溶融炉2は円筒形の竪型溶融炉であり、炉頂に原料投入口21、上部に排ガス出口25、下部には主羽口22、その中間に上部羽口24、底部には出湯樋23を備えている。原料ホッパ1と、溶融炉2の原料投入口21との間には、廃棄物Wを原料ホッパ1から溶融炉2の原料投入口21へ搬送して溶融炉2内へ装入するための搬送コンベヤ11が設けられている。
【0022】飛灰ホッパ4の底部には、定量フィーダ41が設けられており、この定量フィーダ41から溶融炉2の上部羽口24へ飛灰Fを搬送する飛灰搬送手段42が設けられている。飛灰搬送手段42としては、空気輸送装置、コンベヤ、シュート等の輸送手段が適宜選択される。また、飛灰ホッパ4からは重金属回収設備5へも飛灰Fが供給できるようになっている。
【0023】この溶融処理設備によって廃棄物Wを処理する場合には、廃棄物Wを搬送コンベヤ11によって溶融炉2の原料投入口21へ搬送し、溶融炉2にコークスC及び石灰石Lとともに装入する。溶融炉2内には、主羽口22から空気又は酸素富化した空気を送ってコークスCの燃焼熱で炉内を1500°C以上に加熱する。
【0024】廃棄物Wは、炉内の乾燥帯、熱分解帯及び燃焼溶融帯を順次降下して行く。乾燥帯で乾燥された廃棄物Wは、熱分解帯では還元雰囲気下で有機物が分解されて水素、酸素分がガス化し、炭素分が残留する。
【0025】この炭素分は補助燃料となって燃焼し、コークスCとともに炉内を加熱する。廃棄物W中の不燃物は石灰石Lとともに溶融されてスラグ化する。溶融したスラグSは、底部の出湯樋23から排出した後、冷却固化する。
【0026】溶融炉2の排ガスGは、集塵器3で飛灰Fが捕集された後、クリーンエヤーAとして大気中に放出される。集塵器3で捕集した飛灰Fは、一旦飛灰ホッパ4に貯留された後、定量フィーダ41によって所定量ずつ切り出され、飛灰搬送手段42によって溶融炉2の上部羽口24に搬送され、酸素含有ガスと共に上部羽口24から溶融炉2内に吹き込まれる。上部羽口24から吹き込まれた飛灰Fは、熱分解帯を通るので、低沸点重金属は、熱分解帯、乾燥帯を通って排ガスGと共に排出され、再び集塵器3で捕集され、不燃系のシリカ、アルミナ等は熱分解帯で昇温され、燃焼溶融帯へ降下し、溶融スラグ化する。
【0027】なお、飛灰Fは、例えば塩素含有量が多いような場合等、化学組成によっては、水洗い処理(脱塩)した後上部羽口24から装入することが望ましい。溶融系内で循環が行われることにより、飛灰中の重金属の濃度は次第に高くなる。飛灰中の重金属の濃度が所定濃度に達すると、飛灰は重金属回収設備5へ送り重金属の濃縮回収処理を行う。
【0028】このように、飛灰Fを循環させて溶融処理することで、飛灰中の重金属の濃度を高め、濃縮回収処理を行う飛灰Fの量を減少させるので、重金属回収設備5における飛灰Fの重金属濃縮回収処理は容易となる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の廃棄物の溶融処理設備によれば、再度溶融炉に装入した飛灰の溶融処理が確実に行われるので、飛灰中の重金属の濃度を高めるとともに、飛灰の処理量を少なくして、飛灰の重金属濃縮回収処理を容易にすることができる。
【出願人】 【識別番号】000165974
【氏名又は名称】古河機械金属株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外4名)
【公開番号】 特開平11−337027
【公開日】 平成11年(1999)12月10日
【出願番号】 特願平10−149785