トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F23 燃焼装置;燃焼方法




【発明の名称】 成形体の焼却方法
【発明者】 【氏名】小原 禎二

【氏名】丸山 淳子

【要約】 【課題】飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる医療用具等の成形体を焼却する際の一酸化炭素及びNOxの発生量を低くすることができる焼却方法を提供すること。

【解決手段】飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる成形体の焼却方法であって、酸素濃度が15容量%以上の支燃性ガスの存在下に上記成形体を燃焼させることを特徴とする、成形体の焼却方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる成形体の焼却方法であって、酸素濃度が15容量%以上の支燃性ガスの存在下に上記成形体を燃焼させることを特徴とする、成形体の焼却方法。
【請求項2】 上記成形体が、最大厚み50mm以下に切断されているものである、請求項1記載の成形体の焼却方法。
【請求項3】 上記重合体が、ノルボルネン系樹脂、繰り返し単位中に5〜8員環飽和環状分子構造を有する炭化水素重合体、及びビニル基含有環状炭化水素系単量体を重合してなる重合体、並びにそれらの水素化物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の成形体の焼却方法。
【請求項4】 上記成形体が医療用器材である、請求項1〜3の何れかに記載の成形体の焼却方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる成形体の焼却方法に関し、更に詳細には焼却時の一酸化炭素及びNOxの発生量を低くすることのできる、上記成形体の焼却方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】プラスチック成形品は、使用された後に再利用することも行われているが、最終的には廃棄物として焼却処理や埋め立て処理が行われているのが一般的である。しかしながら、このようなプラスチック類の多くは、埋め立てられた後に土中で長期間にわたって自然に分解するものが少ないため、埋め立て処理よりも焼却処理によりプラスチック成形品からのエネルギーを回収する方が有利であると考えられている。また、プラスチック成形品を成形する際には、廃材が発生するが、この廃材も上述のように埋め立て処理又は焼却処理が行われる。一方、医療用器材は繰り返し使用されることによりウィルス等の二次感染を引き起こす場合があるので、このような二次感染を防止するために、近年においては使い捨てのタイプのものを使用することが多くなっている。例えば、注射薬を投与する際にプラスチック製注射器を用いてガラスアンプル内の注射薬を吸引することが行われている。しかしながら、ガラス容器は焼却処理することができないという不具合がある。このため、最近においては、焼却できないガラス容器に代え、プラスチック製注射器内に注射薬を予め吸引してあるプレフィルドシリンジが採用され、使用後に焼却処理することができるようになってきている。
【0003】また、上記のような医療用器材用の材料としては、内容物の視認のための透明性、及びスチーム滅菌処理のための耐熱性等に優れたものであることが要求される。そのような材料として種々の飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体が開示されている。例えば、特開平3−275052号公報、特開平3−275067号公報、特開平3−275070号公報及び特開平5−317411号公報には、透明性及び耐熱性等に優れた熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマーからなる医療用具等が開示されており、特開平5−293159号公報及び特開平5−300939号公報には、衛生性に優れた、環状オレフィン系化合物又は架橋多環式炭化水素系化合物を成分とする樹脂を含有する衛生品用容器及び医療用具が開示されており、また、特開平7−231928号公報には、機械的強度に優れた、環状オレフィンとエチレンとを付加重合してなる共重合体からなる容器が開示されている。上記公報に開示された医療用具及び容器等の成形体も使用後には焼却処理することが望まれている。上記公報には上記重合体からなる成形体が焼却処理可能であることは開示されているが、その焼却条件については何ら開示されていない。上記公報に開示された成形体の材料である重合体はポリプロピレン及びポリエチレン等の汎用されているものではなく、焼却条件等の差異により生成するガスの差異等も明らかではなかった。また、それらの化学構造も環構造を有している点でポリプロピレンやポリエチレン等の線状ポリマーとは異なるものであり、ポリプロピレン及びポリエチレン等の汎用されているポリマーに関する知見から焼却条件を類推することは容易ではなかった。実際に、上記公報に開示された成形体の焼却処理を行うにあたっては、焼却によって発生する有毒ガス、特に一酸化炭素及びNOx等の発生を極力低減することが要求されており、上記重合体からなる成形体を焼却する方法の開発が望まれていた。
【0004】従って、本発明の目的は、飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる医療用具等の成形体を焼却する際の一酸化炭素及びNOxの発生量を低くすることができる焼却方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討した結果、飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる成形体を、特定の酸素濃度の支燃性ガスの存在下に燃焼させることにより上記目的を達成し得るという知見を得た。本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる成形体の焼却方法であって、酸素濃度が15容量%以上の支燃性ガスの存在下に上記成形体を燃焼させることを特徴とする、成形体の焼却方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の成形体の焼却方法について詳述する。本発明の飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる成形体の焼却方法は、酸素濃度が15容量%以上の支燃性ガスの存在下に上記成形体を燃焼させることからなる。本発明の成形体の焼却方法において焼却される飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる成形体について説明する。上記飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体とは、飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素が重合して生成した重合体であり、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)繰返し単位の一部又は全部が、1,4結合及び/ 又は1,2−結合により連結される5〜8員環飽和環状分子構造を有する炭化水素重合体及び(3)ビニル基含有環状炭化水素系単量体を重合してなる重合体及びその水素化物等が挙げられる。
(1)ノルボルネン系重合体上記ノルボルネン系重合体とは、例えば特開平3−14882号公報や特開平3−122137号公報等に開示されている重合体をいい、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、及びノルボルネン系モノマーとビニル化合物との付加重合体等のことをいい、下記式Iで表されるものが挙げられる。
【0007】
【化1】

【0008】(式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基、シリル基、又はハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基又はシリル基等の官能基で置換された炭化水素基である。好ましくは、水素原子又は炭化水素基である。上記炭化水素基の炭素原子数としては、好ましくは1〜20個であり、更に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜6個である。上記炭化水素基の具体例としては、例えば、アルキル基及びアルケニル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基であり、その中でも炭素原子数が1〜6個のアルキル基が特に好ましい。上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。燃焼炉の腐食が少ないことから、ハロゲン原子を含まないものが好ましい。上記官能基で置換された炭化水素基としては、例えば、炭素原子数が好ましくは1〜20個、更に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜6個のエステル基含有アルキル基等が挙げられる。また、上記式(I)において、R1 及びR3 、又はR2 及びR4 が一緒になってシクロペンタン環、シクロペンテン環又はシクロヘキサン環等の(飽和又は不飽和の)単環の脂環構造、ノルボルナン環又はテトラシクロドデセン環等の多環の脂環構造等を形成していてもよい。また、上記脂環構造には、更にR1 〜R4等に相当する置換基が含まれていてもよい。また、R1 とR2 、又はR3 とR4とが一緒になってアルキリデン基を形成していてもよい。アルキリデン基の炭素数としては、好ましくは1〜20個であり、更に好ましくは1〜10個であり、最も好ましくは1〜6個である。また、上記式(I)において、破線部分は、炭素−炭素の単結合又は二重結合を示すが、通常は、単結合の割合が好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。また、上記式(I)において、R5 〜R8 は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基、シリル基、又はハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、イミド基又はシリル基等の官能基で置換された炭化水素基である。好ましくは、水素原子又は炭化水素基である。上記炭化水素基の炭素原子数としては、好ましくは1〜20個であり、更に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜6個である。上記炭化水素基の具体例としては、例えば、アルキル基及びアルケニル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基であり、その中でも炭素原子数が1〜6個のアルキル基が特に好ましい。上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。燃焼炉の腐食が少ないことから、ハロゲン原子を含まないものが好ましい。上記官能基で置換された炭化水素基としては、例えば、炭素原子数が好ましくは1〜20個、更に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜6個のエステル基含有アルキル基等が挙げられる。
【0009】上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン;5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.3.0.12,5 ]ウンデカ−3,8−ジエンまたはこれらの部分水素添加物(またはシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3−エン、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン; 8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン; テトラシクロ[7.4.0.110,13 .02,7 ]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.0.111,14 .03,8 ]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.0.13,6 .110,13 .02,7 ]ペンタデカ−4,11−ジエン及びシクロペンタジエンの4量体等が挙げられる。上記ノルボルネン系重合体としては、上記ノルボルネン系モノマーの1種からなるものでもよく、2種以上からなるものでもよい。上記ノルボルネン系モノマーと付加共重合可能なビニル化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン及び1−エイコセン等の炭素数2〜20個のα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン及び3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン等のシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等の非共役ジエン;等が挙げられる。上記共重合可能なビニル化合物は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。更に、付加共重合可能なビニル化合物として、環状オレフィンを挙げることができる。上記環状オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、1−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロブテン、3,4−ジイソプロペニルシクロブテン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、1−メチルシクロオクテン、5−メチルシクロオクテン、シクロオクタテトラエン及びシクロドデセン等の単環シクロオレフィンや前記ノルボルネン環を有するモノマーのうち不飽和結合が1つのものが挙げられる。
【0010】(2)繰返し単位の一部又は全部が、1,4結合及び/ 又は1,2−結合により連結される5〜8員環飽和環状分子構造を有する炭化水素重合体上記繰返し単位の一部又は全部が、1,4結合及び/ 又は1,2−結合により連結される5〜8員環飽和環状分子構造を有する炭化水素重合体としては、例えば、環状オレフィン系単量体単位、環状共役ジエン系単量体単位、鎖状共役ジエン系単量体単位、ビニル芳香族系単量体単位、極性単量体単位、エチレン、及びα−オレフィン系単量体単位からなる群から選択される単量体単位からなる重合体が挙げられる。そのような重合体の例としては、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘプタジエン及び1,3−シクロオクタジエン等の5〜8員炭素環を有する環状共役ジエンの重合体及び共重合体の水素化物等が挙げられる。
【0011】(3)ビニル基含有環状炭化水素系単量体を重合してなる重合体及びその水素化物上記ビニル基含有環状炭化水素系単量体を重合してなる重合体を構成するビニル基含有環状炭化水素系単量体としては、例えば、ビニルシクロペンタン及びイソプロペニルシクロペンタン等のビニルシクロペンタン系単量体;4−ビニルシクロペンテン及び2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体等のビニル化化五員環炭化水素系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン及び4−フェニルスチレン等のスチレン系単量体;ビニルシクロヘキサン及び3−メチルイソプロペニルシクロヘキサン等のビニルシクロヘキサン系単量体;4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン及び2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン等のビニルシクロヘキセン系単量体;d−テルペン、1−テルペン及びジテルペン等のテルペン系単量体等のビニル化六員環炭化水素系単量体;ビニルシクロヘプタン及びイソプロペニルシクロヘプタン等のビニルシクロヘプタン系単量体;4−ビニルシクロヘプテン及び4−イソプロペニルシクロヘプテン等のビニルシクロヘプテン系単量体等のビニル化炭化水素系単量体等が挙げられる。
【0012】成形体本発明の成形体の焼却方法において用いられる成形体は、上記ノルボルネン系重合体、繰返し単位の一部又は全部が、1,4結合及び/ 又は1,2−結合により連結される5〜8員環飽和環状分子構造を有する炭化水素重合体又はビニル基含有環状炭化水素系単量体を重合してなる重合体及びその水素化物から成形された成形体である。上記成形体は、上記重合体以外に、ゴム質重合体、その他の熱可塑性樹脂等の高分子材料、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、有機又は無機の充填剤等の各種添加剤等の成分が配合されたものであってもよい。本発明の成形体としては、上記重合体を材料として公知の成形方法により成形されたものが用いられる。上記成形方法としては、例えば、射出成形、プレス成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形及び回転成形等が挙げられ、本発明の成形体の焼却方法においては上記方法により成形された成形体を焼却することができるが、それらに限定されるものではない。また、上記成形体の形状にも特に制限はなく、例えば、レンズ、容器状、トレー状、シート状及びフィルム状等の形状の成形体を焼却することができる。上記成形体としては、例えば、光学部品、医療用器材、情報記録媒体部品、電子部品処理用器材、電気・電子部品、日用雑貨、食品容器及び透明シート等が挙げられる。
【0013】本発明の成形体の焼却方法は、医療用器材である成形体の焼却に特に適している。AIDSウイルスからの汚染をはじめとする、医療用器材廃棄物に固有の問題を無害化できるからである。上記医療用器材としては、例えば、注射用の液体薬品容器、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ、輸液用バッグ、密封薬袋、プレス・スルー・パッケージ、固体薬品容器及び点眼薬容器等の液体、粉体又は固体薬品の容器;血液検査用サンプリング試験管、薬品容器用キャップ、採血管及び検体容器等のサンプリング容器;注射器等の医療器具;医療器具等の滅菌容器(メス用、鉗子用、ガーゼ用及びコンタクトレンズ用等)、ビーカー、シャーレ、フラスコ、試験管及び遠心管等の実験・分析器具;医療検査用プラスチックレンズ等の医療用光学部品;医療用輸液チューブ、配管、継ぎ手及びバルブ等の配管材料;人工臓器や、義歯、人工心臓及び人造歯根等の人工臓器の部品等が挙げられる。
【0014】燃焼方法本発明の成形体の焼却方法においては、上記飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる成形体を、酸素濃度が15容量%以上の支燃性ガスの存在下に燃焼させることからなる。上記支燃性ガス中の酸素濃度が15容量%未満であると、一酸化炭素の発生量が増加し、また成形体が炭化物として残り、好ましくない。また、上記支燃性ガス中の酸素濃度は好ましくは18容量%以上であり、更に好ましくは20容量%以上である。上記支燃性ガス中の酸素濃度を15容量%以上にする方法に特に制限はないが、例えば、空気を送り込みながら燃焼する方法、酸素を直接送り込み系内の酸素濃度を調節する方法により実施することができる。また、上記燃焼を行う装置としては特に制限はなく、プラスチックを焼却するために使用される通常の装置を何ら制限なく使用することができる。例えば、成形体を直接燃焼し、発生したガスに支燃性ガスを吹き込み、更に燃焼させる直接燃焼法、成形体を熱分解し、分子量の小さい炭化水素とした後、支燃性ガスを送入し、拡散燃焼させる間接燃焼法等が挙げられる。直接燃焼法の場合、成形体が不完全燃焼しないように、1200℃以上の温度で焼却するのが好ましい。しかしながら、高温で焼却すると、NOxの発生量が増加するため、より低温で焼却可能な間接燃焼法が好ましい。この場合、成形体を燃焼させる前に、500〜700℃の温度で熱分解によりガス化し、その後に燃焼温度を1000〜1200℃の範囲になるように調節すると、不完全燃焼によるCOの発生及び空気中の窒素の酸化によるNOxの発生量が少なくなるので好ましい。好ましい酸素の量は、重量比で、成形体の3.2倍以上であることが好ましく、3.5倍以上であることが更に好ましい。上記成形体を燃焼させる際には、上記成形体をそのままの形状で燃焼させてもよいが、最大厚みが50mm以下となるように切断して行うことが好ましく、最大厚みが20mm以下となるように切断して行なうことが更に好ましい。成形体の厚みとは、その点における表面平面の法線と反対側表面とが交わる点との距離として定義され、最大厚みとは、1個の又は切断された成形体の中における各点における厚みのうち最大のものをいう。上記最大厚みに下限は特にない。成形体が、例えば、薄いフィルム状である場合には切断する必要はなく、厚い肉厚部分を有する成形体の場合には、最大厚みを好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは1mm以上に切断することが作業の効率の点からは好ましい。
【0015】
【実施例】本発明を、以下の実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例において、燃焼ガス中のCO、CO2 及びNOxの濃度は以下の方法により測定した。
燃焼ガスの分析法JIS K7217に準じて試料を燃焼し、発生したガスをガス捕集用袋に捕集した後、注射器で200mlのガスを採取し、北川式ガス検知管でCO及びCO2 濃度を測定し、同様にして500mlのガスを採取し北川式ガス検知管でNOx濃度を測定した。
【0016】製造例18−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エンの開環重合体水素添加物(水素添加率;100%、重量平均分子量(Mw);40,200、ガラス転移温度;140℃)100重量部に、酸化防止剤(チバガイギー社製;イルガノックス1010)0.1重量部、ゴム質重合体(旭化成社製;タフテックH1052)0.2重量部を加え、2軸混練機で混練し、ペレット化した。このペレットを、青木固研究所製SB250を用いて、シリンダー温度280℃、ホットランナー280℃、パリソン型温度150℃、ブロー型温度110℃の条件で、直径5cm、高さ10cm、最大厚み2mmの中空容器をインジェクションブロー成形により、ブロー倍率2.25倍でバイアル瓶を作製した。
製造例28−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エンの開環重合体水素添加物(主鎖水素添加率;99.5%、ガラス転移温度;168℃)を用いて、製造例1と同様にペレット化及び成形を行い、中空容器(バイアル瓶)を得た。
製造例3エチレン、及びテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン(以下TCDという)(極限粘度[η];0.42dl/g、Tg;136℃、TCD含量;41モル%)の付加型を用いて、製造例1と同様にペレット化及び成形を行い、中空容器を得た。
【0017】実施例1製造例1で得られた成形体を10×10×2mm以下の大きさになるように切断し、燃焼ガス生成装置に入れた。次いで燃焼ガス生成装置内の支燃性ガス中の酸素濃度を20容量%となるように調整し、上記成形体を、炉の温度を750℃に調節して燃焼させた。発生したCO、CO2 及びNOxの濃度を測定し、その結果を表1に示した。
実施例2製造例2で得られた成形体を10×10×2mm以下の大きさになるように切断し、燃焼ガス生成装置に入れた。次いで燃焼ガス生成装置内の支燃性ガス中の酸素濃度を20容量%となるように調整し、上記成形体を、炉の温度を750℃に調節して燃焼させた。発生したCO、CO2 及びNOxの濃度を測定し、その結果を表1に示した。
実施例3製造例3で得られた成形体を10×10×2mm以下の大きさになるように切断し、燃焼ガス生成装置に入れた。次いで燃焼ガス生成装置内の支燃性ガス中の酸素濃度を20容量%となるように調整し、上記成形体を、炉の温度を750℃に調節して燃焼させた。発生したCO、CO2 及びNOxの濃度を測定し、その結果を表1に示した。
【0018】実施例4支燃性ガス中の酸素濃度を30容量%となるように調整した以外は実施例1と同様に操作を行い、成形体を燃焼させた。発生したCO、CO2 及びNOxの濃度を測定し、その結果を表1に示した。
実施例5燃焼温度を1400℃とした以外は実施例1と同様に操作を行い、成形体を燃焼させた。発生したCO、CO2 及びNOxの濃度を測定し、その結果を表1に示した。
実施例6成形体を熱プレスし、100×100×100mmの方形に成形した以外は実施例1と同様に操作を行い、成形体を燃焼させた。発生したCO、CO2 及びNOxの濃度を測定し、その結果を表1に示した。
【0019】比較例1支燃性ガス中の酸素濃度を10容量%となるように調整した以外は実施例1と同様に操作を行い、成形体を燃焼させた。発生したCO、CO2 及びNOxの濃度を測定し、その結果を表1に示した。
【0020】
【表1】
酸素濃度 最大厚み 燃焼温度 (容量%) (mm) (℃) 実施例1 20 2 750 2 20 2 750 3 20 2 750 4 30 2 750 5 20 2 1400 6 20 100 750 比較例1 10 2 750 CO濃度 CO2 濃度 NOx濃度 焼却残渣・ (ppm) (ppm) (ppm) すすの有無 実施例1 130 1400 50 無 2 140 1400 50 無 3 140 1500 50 無 4 140 1400 30 無 5 150 1300 400 無 6 200 1300 100 有 比較例1 500 1000 60 有 【0021】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明の成形体の焼却方法によれば、飽和炭化水素環を有する熱可塑性炭化水素重合体からなる成形体を焼却する際の一酸化炭素及びNOxの発生量を低くすることができる。
【出願人】 【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔 (外6名)
【公開番号】 特開平11−304133
【公開日】 平成11年(1999)11月5日
【出願番号】 特願平10−111985