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【発明の名称】 流動床式焼却炉における流動媒体の固化防止方法
【発明者】 【氏名】前田 明徳

【氏名】鈴木 清市

【要約】 【課題】珪砂を流動媒体とする流動床式焼却炉で廃棄物を焼却する際に、不活性物質を使用しなくとも或いは廃棄物に含まれている低融点物質よりも高温度で廃棄物の焼却を行っても、珪砂に造粒やフリーボード側壁からの付着灰の落下が生じないようにし、珪砂に流動障害が生じないようにする。

【解決手段】低温で溶融するアルカリ性物質を含むSAレジン15を、珪砂5を流動媒体とする流動床式焼却炉で焼却する際に、SAレジン15中にカオリンクレー16を添加し、撹拌、混合したうえ焼却を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルカリ金属、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属のごときアルカリ性物質を含む廃棄物を、珪砂を流動媒体とする流動床式焼却炉で焼却する際に、前記廃棄物中にカオリンクレーを添加したうえ廃棄物の焼却を行うことを特徴とする流動床式焼却炉における流動媒体の固化防止方法。
【請求項2】 アルカリ金属2kgモルに対しカオリンクレーを1〜3kgモル添加する請求項1に記載の流動床式焼却炉における流動媒体の固化防止方法。
【請求項3】 アルカリ性物質を含む廃棄物が熱可塑性樹脂の場合は、前記廃棄物を溶融させてからカオリンクレーを廃棄物に添加し、溶融している状態で流動床へ供給する請求項1又は2に記載の流動床式焼却炉における流動媒体の固化防止方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ金属、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属等アルカリ性物質を含む廃棄物を流動床式焼却炉で流動焼却する場合にも、流動媒体である珪砂に流動障害が生じないようにした流動床式焼却炉における流動媒体の固化防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】流動床式焼却炉では、一般的に流動媒体として珪砂が使用されている。その理由は、珪砂は高温でも不活性で、焼き割れもほとんど無く、しかも安価で比較的簡単に入手することができるためである。
【0003】一方、アルカリ金属、アルカリ金属塩、アルカリ土類等のアルカリ性物質を含む廃棄物を流動床式焼却炉で焼却すると、流動媒体である珪砂に造粒現象が生じて粗粒化し、その結果、珪砂の流動化が不十分となり、局部的に珪砂が流動しなくなる現象(以下流動障害という)が生ずる虞れがある。
【0004】この流動障害が生じる原因は、例えばアルカリ性物質がアルカリ塩のうちのNaCl及びNa2SO4並にKClであれば、高温下で珪砂と[化1]、[化2]、[化3]の化学式に従って反応し、流動床式焼却炉内で粘性のあるNa2O・3SiO2(ソーダガラス)やK2O・3SiO2(カリガラス)が生成されるためである。
【0005】
【化1】2NaCl+3SiO2+H2O=Na2O・3SiO2+2HCl【0006】
【化2】Na2SO4+3SiO2=Na2O・3SiO2+SO2+(1/2)O2【0007】
【化3】2KCl+3SiO2+H2O=K2O・3SiO2+2HCl【0008】而して、上述のNa2O・3SiO2及びK2O・3SiO2といった中間物質は、いわゆる低融点物質であり、その融点は、前者が約635℃であり、後者は約750℃である。ところが、流動床内での焼却温度は約850℃以上と高温になっている。
【0009】このため、Na2O・3SiO2やK2O・3SiO2は上述のごとく流動床式焼却炉の流動床内で溶融して粘性のある状態となり、珪砂の表面に付着する結果珪砂同士が付着し、造粒現象により粗粒化し、その結果珪砂相互の動きが鈍くなり、前述のごとく珪砂の流動障害が生じる。
【0010】なお、珪砂の流動障害が顕著に現れるのは、例えば金属塩のアルカリ金属がNaとすると、Naの単体重量が、炉内に収納されている珪砂の重量の約2%程度以上の場合である。
【0011】而して、流動床式焼却炉内において流動床を形成する珪砂の流動障害を防止するため、アルカリ性物質を含む産業廃棄物を流動床式焼却炉内で焼却する場合、従来は以下に示す2種類の燃焼方式を採用している。
【0012】(i)流動床において廃棄物に含まれる低融点物質の融点よりも低い温度で廃棄物を焼却する。
【0013】(ii)廃棄物に、流動床を形成する珪砂以外に酸化鉄等、不活性物質のパウダを添加しながら廃棄物を焼却する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述の(i)(ii)の燃焼方式を採用しても、流動媒体である珪砂を総入れ替えすることなく流動床式焼却炉を連続運転できる期間はせいぜい3箇月程度であり、通常は1箇月程度で、安定した操業を継続することが困難となる。
【0015】例えば、上述の燃焼方式(i)の場合は、廃棄物の融点から流動床内での焼却温度を700℃以下の低温にしなければならず、流動床内での燃焼速度も当然遅くなる。
【0016】従って、廃棄物の燃焼は、流動床内では完全には行われず、流動床上方のフリーボードでも燃焼が継続することになる。
【0017】この場合、フリーボードでの燃焼温度は、流動床の温度よりも約100〜150℃高温となるので、部分的に揮発したアルカリ金属等のアルカリ性物質が高温に晒され、粘性を帯びて飛散灰に接触し、粘性灰となって炉内のフリーボード側壁に付着する。
【0018】このため、運転の経過につれてフリーボード側壁に付着した付着灰が成長し、或る程度の大きさになると、剥離して流動床内に脱落し、これも流動床での流動媒体である珪砂の流動障害を招来する原因となる。
【0019】又、上述の燃焼方式(ii)の場合には、廃棄物の燃焼中に低融点物質が溶融を始めて粘性を帯び始めたら、添加した不活性物質で低融点物質の表面をコーティングし、粘性のない造粒物質を生成させる必要があるが、斯かる粘性のない造粒物質を生成させるための運転条件を見付け出すことが非常に難しいばかりか、期待通りの成果が得られない。
【0020】更に、燃焼方式(ii)の場合には、不活性物質の添加量を多くしなければならないため、廃棄物焼却後の残渣量が場合によっては発生焼却灰の量の数倍になってしまい、その処理が大掛かりになるという問題があった。
【0021】本発明は上述の実情に鑑み、廃棄物中に含まれている低融点物質を不活性にする不活性物質を使用することなくしかも廃棄物を廃棄物に含まれている低融点物質よりも高温度で焼却しても、流動媒体である珪砂に造粒或いはフリーボード側壁からの付着灰の落下等が生じず、流動床式焼却炉の流動媒体である珪砂に流動障害が生じることがないようにすることを目的としてなしたものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の流動床式焼却炉における流動媒体の固化防止方法は、アルカリ金属、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属のごときアルカリ性物質を含む廃棄物を、珪砂を流動媒体とする流動床式焼却炉で焼却する際に、前記廃棄物中にカオリンクレーを添加したうえ廃棄物の焼却を行うものである。
【0023】又、本発明では、アルカリ金属2kgモルに対しカオリンクレーを1〜3kgモル添加すると良く、更には、アルカリ性物質を含む廃棄物が熱可塑性樹脂の場合は、前記廃棄物を溶融させてからカオリンクレーを廃棄物に添加し、溶融している状態で流動床へ供給するのが望ましい。
【0024】従って、本発明では、廃棄物を焼却する際に、不活性物質を使用しなくても或いは廃棄物に含まれている低融点物質よりも高温度で廃棄物の焼却を行っても、珪砂に造粒やフリーボード側壁からの付着灰の落下が生じず、従って流動媒体である珪砂に流動障害が生じず、その結果、信頼性の高い確実な運転を行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
【0026】図1〜図5は本発明の実施の形態の一例を示す。
【0027】図1は本発明の方法に適用する流動床式焼却炉の一例で、図中、1は縦向きに立設された内部が中空の焼却炉本体であり、焼却炉本体1の下端には、図示してない送風機により送給されて来た一次燃焼空気2を受け入れるウインドボックス3が設けられている。
【0028】ウインドボックス3と焼却炉本体1との間には両者を仕切るよう仕切り板4が設けられ、仕切り板4には、ウインドボックス3へ導入された一次燃焼空気2を焼却炉本体1内へ吹込み、焼却炉本体1底部にある珪砂5を流動化させて流動床を形成するよう、多数の空気分散ノズル6が設けられている。
【0029】ウインドボックス3部の中央部には、上端が仕切り板4を貫通して若干焼却炉本体1内へ突出し、下端がウインドボックス3下端からウインドボックス3外方へ突出した粗粒抜出し管7が設けられており、粗粒抜出し管7のウインドボックス3よりも下方の部分には、開閉ゲート8が設置されている。
【0030】粗粒抜出し管7の下端には、電動機9により駆動し得るようにしたスクリュウコンベヤ式の粗粒抜出し冷却機10が配置され、流動床から粗粒抜出し管7を経て粗粒抜出し冷却機10へ排出された粗粒は後工程へ送給されるようになっている。
【0031】焼却炉本体1の高さ方向中途部には、操業開始時に流動床を形成する流動媒体を所定の温度まで昇温させるための昇温バーナ11が装着され、焼却炉本体1の昇温バーナ11設置部よりも上方には、二次燃焼空気12を焼却炉本体1内へ送給するための二次空気供給ノズル13が設けられている。
【0032】焼却炉本体1の二次空気供給ノズル13設置位置よりも若干下方には、駆動可能なスクリュウコンベヤ式の混合フィーダ14が設けられており、混合フィーダ14に供給された低融点物質を含む液状のSAレジン(ソルビン酸カリ)15と固体状のカオリンクレー(Al23・2SiO2・2H2O)16は混合フィーダ14により撹拌、混合されつつ焼却炉本体1内へ投入され得るようになっている。
【0033】SAレジン15は加熱装置17を備えた貯留タンク18に貯留されるようになっていると共に、貯留タンク18内のSAレジン15は、全長に亘り加熱装置19が装着された管路20中をポンプ21により送給されて前記混合フィーダ14へ導入され得るようになっている。
【0034】カオリンクレー16は、貯留タンク22に貯留されるようになっていると共に、貯留タンク22内のカオリンクレー16は、定量フィーダ23により管路24中を送給されて混合フィーダ14へ導入され得るようになっている。
【0035】焼却炉本体1の混合フィーダ14よりも下方位置で流動床上面よりも上方位置には、活性汚泥等を処理して形成した脱水ケーキ25を焼却炉本体1内へ投入するための、駆動可能なスクリュウコンベヤ式のケーキ投入装置26が設けられており、焼却炉本体1下部の流動床形成部には、塗装後の洗浄廃液や不要なエンジンオイル等の廃液27を焼却炉本体1内の流動床形成部に導入し得るよう複数の廃液投入ガン28が設置されている。
【0036】ウインドボックス3と焼却炉本体1の流動床形成部よりも上方には、夫々圧力検出器29,30が接続されており、圧力検出器29,30で検出したガス圧力P1,P2の差圧△Pが予め設定した差圧△P以上の場合には、制御装置31から粗粒抜出し冷却機10の電動機9に駆動指令Vを与え得るようになっている。
【0037】なお、図1中、32は焼却炉本体1上部のフリーボード、33は焼却炉本体1の上部から排出されて排ガス処理設備へ送給される焼却排ガスである。
【0038】次に、本発明の実施の形態の作動について説明する。
【0039】運転に際しては、ウインドボックス3から空気分散ノズル6を経て一次燃焼空気2が焼却炉本体1内に供給され、このため、流動媒体である珪砂5は流動化して流動床が形成されており、又昇温バーナ11により流動媒体は所定の温度まで昇温されている。
【0040】焼却すべき廃棄物が低融点物質を含まない脱水ケーキ25や廃液27の場合には、ケーキ投入装置26或いは廃液投入ガン28から脱水ケーキ25或いは廃液27を焼却炉本体1内へ投入する。このため、これらの廃棄物は珪砂5により形成されている高温の流動床で燃焼し、焼却灰となる。
【0041】廃棄物の燃焼により生じた燃焼ガスは、焼却炉本体1内を上昇し、燃焼ガス中の未燃分は、二次空気供給ノズル13から焼却炉本体1内へ導入される二次燃焼空気12により更に燃焼し、焼却排ガス33となって後工程の廃ガス処理設備へ送給される。
【0042】焼却すべき廃棄物が低融点物質を含む液状のSAレジン15の場合には、液化させたSAレジン15が固化しないよう、貯留タンク18及び管路20を加熱装置17及び19に加熱し、ポンプ21により貯留タンク18内のSAレジン15を貯留タンク18から管路20を流通させて混合フィーダ14へ送給し、又同時に貯留タンク22内のカオリンクレー16を定量フィーダ23により一定量ずつ切出して管路24から混合フィーダ14へ送給する。
【0043】混合フィーダ14送給されたSAレジン15とカオリンクレー16は、混合フィーダ14を送給される間に撹拌、混合され、混合フィーダ14から焼却炉本体1内へ投入されて流動床へ落下し、流動床において燃焼し、焼却灰となる。
【0044】廃棄物の燃焼により生じた燃焼ガスは、この場合にも焼却炉本体1内を上昇し、燃焼ガス中の未燃分は、二次空気供給ノズル13から焼却炉本体1内へ導入される二次燃焼空気12により更に燃焼し、焼却排ガス33となって後工程の排ガス処理施設へ送給される。
【0045】廃棄物としてSAレジン15を燃焼させる場合には、焼却炉本体1内の温度は約850〜900℃となる。
【0046】上述のカオリンクレー16を添加、混合されたSAレジン15中に含まれる低融点物質がアルカリ金属、例えばNaとすると、該Naは流動媒体である珪砂5(SiO2)と反応し、粘性のあるソーダガラス(Na2O・3SiO2)のような中間物質を生成させることなく、焼却温度範囲を越えた高い融点を持つ鉱物が直接生成される。
【0047】具体的には、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属とカオリンクレーとは[化4][化5]のごとき反応を行って高い融点をを持つ鉱物が生成される。
【0048】(I)アルカリ金属或いはアルカリ土類金属等がK(カリウム)を含む場合【化4】2KCl+Al23・2SiO2・2H2O=K2O・Al23・2SiO2+2HCl+H2O【0049】(II)アルカリ金属或いはアルカリ土類金属等がNa(ナトリウム)を含む場合【化5】2NaCl+Al23・2SiO2・2H2O=Na2O・Al23・2SiO2+2HCl+H2O【0050】[化4]のK2O・Al23・2SiO2 は正長石に類似した硅酸塩鉱物であり、融点は約1100℃である。
【0051】又[化5]のNa2O・Al23・2SiO2はかすみ石であり、融点は約1280℃である。
【0052】図2は温度と耐火度の相関を表わしたものであり、図3はカオリンクレー単味に代表的な低融点物質であるNa2O、又はK2Oを添加した場合におけるカオリンクレーの耐火度の低下を表わしたものである。
【0053】本実施の形態例においては、カオリンクレーとNa2O、K2Oといった低融点物質とを反応させ、硫酸塩鉱物を生成させる場合、硫酸塩鉱物はカオリンクレー1モルに対してNa2O又はK2O1モルずつで反応を完結する。
【0054】而して反応完結により生成した鉱物の融点は、図3により、Na2Oの場合は1280℃、K2Oの場合は1100℃となり、本実施の形態例における対象の廃棄物の焼却温度域をはるかに越えていることが理解できる。
【0055】このため、上述のごとく、焼却炉本体1内の温度が約850〜900℃の場合であっても、粘性の高い融点750℃のK2O・3SiO2や融点635℃のNa2O・3SiO2を生成することなく、融点の高い正長石に類似した硅酸塩鉱物やかすみ石が生成されるため、従来のごとき不活性物質を使用しなくとも或いは低融点物質の融点よりも高温度で廃棄物の燃焼を行っても焼却炉本体1内には、流動媒体である珪砂5に造粒現象が生じることがなく、その結果、珪砂5が粗粒化することなく、十分流動を継続することができ、又フリーボードに付着した灰が塊状になって落下することもないため、珪砂5に流動障害が生ずる虞れはない。
【0056】本発明の実施の形態例の場合、低融点物質を含む廃棄物として液体状のSAレジンを焼却する場合について説明したが、低融点物質を含む廃棄物が液体か固体かによっても燃焼形態が異なる。このため、カオリンクレーの添加の仕方も、その燃焼形態から判断して最も反応効率を高める方法で行う必要がある。
【0057】例えば、SAレジン15は、上述のごとく液化させた状態で、カオリンクレー16を添加しながら、混合フィーダ14により撹拌、混合され、焼却炉本体1内に投入される。
【0058】又、汚泥或いは脱水ケーキ25等に低融点物質が含まれている場合にも、汚泥や脱水ケーキ25とカオリンクレー16とを十分に撹拌、混合して焼却炉本体1内に投入する。
【0059】斯かる撹拌、混合を十分行うことにより、アルカリ金属やアルカリ土類金属等とカオリンクレーとの反応効率を向上させることができる。
【0060】実験によると、アルカリ金属の場合は、アルカリ金属2kgモルに対してカオリンクレーを1〜3kgモル添加するのが良いが、例えばカオリンクレーを1kgモル添加した場合には、その反応率は平均85%程度となり、未反応率は約15%となる。
【0061】このように、反応率が100%にならないため、未反応率15%に対する対応が必要となる。すなわち、未反応のアルカリ金属等の一部は、前述したような粘性のあるソーダガラス(Na2O・3SiO2)となり、残りの未反応物質は、部分的にソーダガラスとなった粗粒と、珪砂を核とした表面にソーダガラスがバインダとして作用し、灰がコーティングされた造粒物との混合物であり、それらは運転の経過につれて、ある程度粘性を帯びた流動床を形成する。
【0062】このためウインドボックス3から焼却炉本体1内へ導入される一次燃焼空気2の流量を増加させることにより、流動床内の空筒速度を通常の速度よりも速くし、若干粘着性を帯びた流動媒体を強制的に破砕し、流動媒体である珪砂の活発な流動を維持させる。
【0063】未反応率15%程度のアルカリ金属等により、上述のごとく僅かに粘性のあるソーダガラスが形成されるため、空筒速度をあげても、珪砂同士の付着等による粗粒化を完全に防止することは困難である。
【0064】而して、珪砂の粗粒化により、流動床の通気抵抗が増加するため、圧力検出器29,30で検出されるウインドボックス3内のガス圧力P1と焼却炉本体1内の流動床よりも上部のガス圧力P2の差は増大する(P1≫P2)。
【0065】従って、この場合には、ガス圧力P1,P2の差圧ΔP(=P1−P2)が予め定めた所定の値よりも大きくなった場合には、制御装置31から電動機9へ駆動指令Vを与え、電動機9を起動することにより粗粒抜出し冷却機10を駆動する。
【0066】このため、焼却炉本体1内で流動床を形成している珪砂の一部は、予め開閉ゲート8のあけてある粗粒抜出し管7を通って粗粒抜出し冷却機10へ抜出され、粗粒抜出し冷却機10により系外へ排出される。
【0067】粗粒抜出し管7の上端開口は流動床底部中央に位置しているため、流動床からの珪砂の抜出しに偏流が生じることがない。
【0068】次に、SAレジンのみを資料として加熱空気により昇温温度10℃/minで約900℃まで加熱した場合と、SAレジン10gにカオリンクレーを3.1g添加した資料を造り、加熱空気により昇温温度10℃/minで約900℃まで加熱した場合の実験結果をグラフに示すと図4、5に示すごとくなる。
【0069】図4はSAレジンのみを資料とした場合で、図4中、Iは昇温曲線、IIは示差熱曲線、IIIは資料の重量変化を示している。而して、示差熱曲線IIは、X1部からX2部へかけて温度が870℃から866℃へと大きく落ち込んでいるが、これはSAレジンの低融点物質が溶融を行った結果、吸熱反応が生じたことを示している。
【0070】図5は、SAレジンにカオリンクレーを添加し撹拌、混合して資料とした場合で、図5中、IVは昇温曲線、Vは示差熱曲線、VIは資料の重量変化を示している。而して、示差熱曲線Vには、図4のX1部からX2部のごとき温度の大きな落ち込みはなく、全体としてなだらかな曲線となっており、これはSAレジンが吸熱反応を行わず、従ってSAレジンが溶融しないことを示している。
【0071】なお、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ること、等は勿論である。
【0072】
【発明の効果】本発明の流動床式焼却炉における流動媒体の固化防止方法によれば、対象の廃棄物中にカオリンクレーを添加することにより、珪砂を流動媒体として前記対象の廃棄物の焼却に使用した場合にも、アルカリ金属、アルカリ金属塩或いはアルカリ土類金属に含まれている低融点物質が溶融して粘性のある物質が生じることがなく、従って珪砂同士が造粒化したり、フリーボードに付着した灰が塊状となって流動床へ落下する虞れがないため、珪砂により流動床を形成する際に珪砂に流動障害が生じることがなく、その結果、信頼性の高い確実な運転を行うことができる、等種々の優れた効果を奏し得る。
【出願人】 【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
【識別番号】596052902
【氏名又は名称】三機化工建設株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
【公開番号】 特開平11−132426
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−294091