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【発明の名称】 排ガスの再燃焼・熱分解炉
【発明者】 【氏名】鈴木 就実

【要約】 【課題】脱臭炉、工業炉、廃棄物焼却炉、炭化炉等の排ガス燃焼炉において、燃焼室の構造および燃焼方法を工夫することにより、排ガスの完全燃焼としての条件を十分有効に備え、低コストで加熱攪拌を行い、未燃焼排ガス成分を再燃焼、熱分解し浄化する。結果として微量なダイオキシン類をも分解低減する。

【解決手段】排ガス燃焼炉をたて円筒構造とし、燃焼炉10の下底付近に燃焼排ガスを流入する開口21を有し、該排ガスを燃焼用空気孔や、助燃焼バーナー32の燃焼炎が旋回炎となるよう配置した構成に、炉構造を上下二室または3室に仕切り、該仕切板26に排ガスの抜ける開口27を設け、その開口を覆うように加熱固体との接触熱分解するように接触材などを配し、旋回滞留させながら排気する排ガス燃焼炉。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃焼排ガスの燃焼炉であって、燃焼炉の構造はたて円筒構造とし、燃焼炉の下底部に、その接線方向から燃焼排ガスを流入することにより、ガス旋回流を促し、排ガス燃焼用空気で攪拌を促進せしめ、そして燃焼温度を維持する必要に応じ、バーナー火炎が旋回炎となるように、該バーナー装置を炉の円筒構造に対し接線方向に配置して、燃焼排ガスの未燃焼成分を効果的に再燃焼、熱分解させて低減させる。結果として臭気成分、黒煙、ダイオキシン類を熱分解することを特徴とする燃焼炉構造。簡易の遠心力集塵効果も得られる。
【請求項2】 請求項1の燃焼炉において必要に応じ、炉構造を上下二室に仕切り、未燃焼排ガスをその仕切り板に衝突し滞留せしめ、仕切板に排ガスの抜ける穴を設け、未燃焼排ガスが燃焼炉を短時間で通過しないよう工夫した仕切板であって、同じ容積の燃焼炉に比し、有効な滞留空間を形成し、ガス滞留の有効なる排ガス燃焼炉の構造および燃焼方法。
【請求項3】 請求項1の燃焼炉において必要に応じ、排ガス流動の圧力損失が許容範囲なら円筒炉を同心円状にいくつか仕切り、仕切壁の一部を開口させて、排ガスの通過口を設け、燃焼炉内自体を迷路状構造にすると、さらに混合滞留時間は延び効果は大きくなる。加えて仕切壁の高温蓄熱と未燃焼ガスの高温固体接触による熱攪拌や、仕切板の開口を通過する時の乱流発生で、排ガス中の未燃焼成分の高温熱分解効果が十分に得られるところの燃焼炉構造。
【請求項4】 請求項1の燃焼炉において必要に応じ、助燃焼バーナー火炎と接触する位置に前記仕切板の排ガス通過口を設け、さらにバーナー火炎およびその加熱による未燃焼排ガスの熱分解を効率よく行うため、通過口をセラミックスあるいはステンレス、ニッケル系等の耐熱金属の網状物や格子状体で覆って、効率が優れた高温固体接触を利用して熱攪拌させた燃焼炉構造および燃焼方法。これにより未燃焼排ガスと固体接触材との衝突や、接触面積の大きい網状物や格子状体の通過時に、熱攪拌が発生し熱分解が効果的に得られる。なお、排ガスの圧力損失が高くなりすぎないよう接触材は通過口を部分的に覆うだけでもよく、接触材は格子状体でなくても、安価な煉瓦やキャスタブル製、窯具類で構成した傘型もしくはフード状のものでも構わない。
【請求項5】 請求項4の燃焼炉において必要に応じ、接触材の定期交換を嫌わない場合、未燃焼ガスの酸化分解能を向上させる触媒を担持した接触材を設けた燃焼炉。なお、接触材そのものを触媒で成形してもよい。
【請求項6】 請求項4の燃焼炉室において必要に応じ、接触材の定期交換を嫌わない場合、接触材をアルカリ性の材料で成形する、あるいはアルカリ性の材料を含浸あるいは塗布した接触材を用いることで、酸性ガスおよびダイオキシン類前駆体あるいはダイオキシン類そのものの除去能を有した燃焼炉室。さらにこのアルカリ材料を、酸性ガスやダイオキシン類前駆体あるいはダイオキシン類そのものの吸着あるいは分解能を有した他の無機材料で置き換えてもよい。その候補としてアルミナ系、シリカ系、アルミナシリカ系などの多孔質吸着材や、イオン交換性を有する材料があげられる。その一部がCa、Na、Mg、Li、Kなどのアルカリ土類金属、あるいはTi、V,Ba、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuなどの金属元素で置換された化合物はさらに好ましい接触材となる。
【請求項7】 請求項1の燃焼炉において必要に応じ、燃焼炉の煙導ダクトに流入する排ガスに向けて、燃焼用空気を吐出させ乱流混合させるべく空気孔を設け、その空気孔は煙導ダクトの円周状に垂直あるいは少し角度をもって複数配置させた流入ガスとの空気混合部を有した燃焼炉構造。
【請求項8】請求項1の燃焼炉において必要に応じ、燃焼炉円筒の中間位置に燃焼用空気を導入させ、混合攪拌性を良好にする空気孔を配した燃焼炉構造。尚、これら燃焼炉構造は、既設の炉と一体になるよう組み込んだ燃焼室でも構わない。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は脱臭炉、工業炉、廃棄物焼却炉、炭化炉の排ガス燃焼炉において、排ガスの加熱攪拌を効果的に行わしめる燃焼炉の構造および燃焼方法に関するものである。結果として未燃焼ガスの臭気成分や黒煙、ダイオキシン類の抑制低減に貢献する発明である。
【0002】
【従来の技術】 廃棄物を焼却炉で焼却することが行われている。一般の焼却炉は、廃棄物を投入し燃焼空気を取り込んで燃焼させる燃焼室と、その燃焼ガスを導入し、排ガスの未燃焼成分を燃焼させるガス燃焼室を有しており、その後に煙突より排気する構造である。従来の焼却炉の排ガス燃焼室は、箱状の燃焼室にバーナーを配置し、排ガス燃焼室を650〜800℃以上に保てばよしとする単純な構造であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記のような排ガス燃焼室を用いた焼却炉では、次のような問題がある。従来の燃焼室はイニシャルおよびランニングコストの制約から、排ガスの滞留時間と燃焼温度を十分に確保できず、かつ排ガスの高温での攪拌、混合を効果的に有せず、結果として排ガス燃焼室としての役割を全うしていなかった。
【0004】 近年、ダイオキシン類排出規制の問題から、焼却の条件は、800℃以上のガス燃焼温度で、かつ2秒以上の滞留時間を必要とした「ダイオキシン類発生抑制ガイドライン」が厚生省から発表され、廃棄物焼却炉の建設コストおよび運転維持管理コストの上昇を余儀なくしている。
【0005】 このダイオキシン類発生抑制の基本原理は、燃焼排ガスの完全燃焼であり、その完全燃焼の三条件として燃焼温度、滞留時間、攪拌混合の三つが大切な条件としてあげられている。
【0004】に記した燃焼温度と滞留時間は、数字で提案されているが、もう1つの燃焼攪拌混合の数値表現については、具体的に条件がきめられていない。このため一般のごみ焼却炉においては、燃焼温度と滞留時間の条件を満たしただけで、攪拌混合がおろそかになり、十分に排ガスを燃焼をすることができない、いわゆるダイオキシン類の発生抑制がなされていない炉が大半である。
【0006】
【問題を解決するための手段】 本発明に係る排ガスの再燃焼・熱分解炉は、排ガスの攪拌混合を促進する手段を、たて円筒炉に導入するガス旋回流と、炉内の中位に設けた、排ガス通過口を設けた仕切板の組み合わせ構成を基本とした燃焼炉であり、排ガスの再燃焼・熱分解炉の構造および燃焼方法に関するものである。
【0007】まず(1)燃焼炉の構造はたて円筒構造とし、燃焼炉の下底部に、その接線方向から燃焼排ガスを流入する開口を有し、該排ガスを排ガス燃焼用空気で旋回流攪拌を促進せしめるため、該燃焼用空気を接線方向に吐出させる配置とする。ついで燃焼温度を維持するに必要に応じ、バーナー火炎を炉の円筒構造に対し接線方向に配して、該バーナーの燃焼炎が旋回炎となるようバーナー装置を配置した構成である。(2)そして燃焼炉において必要に応じ、炉構造を上下二室に仕切り、該仕切板に排ガスの抜ける穴を設け、排ガスが燃焼炉内を短時間で通過しないよう工夫した仕切板であって、同じ容積の燃焼炉に比し、有効な滞留空間を形成し、ガス滞留の有効なる燃焼炉構造を特徴とする。
【0008】その仕切板に設ける排ガスの抜ける穴は、円筒炉の上からの投影面積比で、9%から25%の範囲の開口率とし、その開口形状は円形を基本とし、開口の中心位置は、上から見た断面でみると、導入ガスの開口軸に平行で本体円形断面の中心を通る軸を基準軸とすると、反時計回りに0度から90度の角度範囲であり、仕切板開口の縁を燃焼炉の中心部から離した位置、いわゆる偏心した位置に設けた構造がよろしい。
【0009】また本発明に係る燃焼炉は必要に応じ、円筒炉を同心円状にいくつか仕切る仕切板を設け、該仕切板の一部を【0008】に記した面積の開口を設け、燃焼炉内自体を迷路状構造にすると、さらに攪拌混合性と滞留時間は延びる。加えて未燃焼ガスの仕切開口を通過する時の乱流発生で、排ガス中の未燃焼成分の高温熱分解効果が十分に得られるところの燃焼炉構造を特徴とする。
【0010】さらに燃焼炉において、前記仕切板の排ガス通過口を上昇する排ガスに衝突旋回する位置に向けて、円筒炉の接線位置を決めて助燃焼バーナーを設けた構造。
【0011】ついで仕切板開口をセラミックスあるいはステンレス、クロム、ニッケル系等の耐熱金属の網状物や格子状体で覆って、高温固体接触を利用して熱分解させる燃焼炉構造および燃焼方法。なお排ガスの圧力損失が高くならない様、接触材は開口を部分的に覆うだけでもよく、接触材は格子状体でなくても安価な煉瓦やキャスタブル製、窯具類で構成した傘型もしくはフード状のものでも構わない。
【0012】さらに仕切板開口をセラミックスあるいはステンレス、クロム、ニッケル系等の耐熱金属の網状物や格子状体は、未燃焼ガスの酸化分解能もつ触媒を担持した材料でも構わない。なお接触材そのものを触媒で成形してもよい。
【0013】
【0011】に記した接触材は、接触材の定期交換を嫌わない場合、接触材をアルカリ性の材料で成形する、あるいはアルカリ性の材料を含浸あるいは塗布した接触材を用いることで、塩化水素ガスや二酸化硫黄などの酸性ガス除去能を有する。さらにこのアルカリ材料を、酸性ガスやダイオキシン類前駆体あるいはダイオキシン類そのものの吸着あるいは分解能を有した他の無機材料で置き換えてもよい。その候補としてアルミナ系、シリカ系、アルミナシリカ系などの多孔質吸着材や、イオン交換性を有する材料があげられる。その一部がCa、Na、Mg、Li,Kなどのアルカリ土類金属あるいはTi,V,Ba、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuなどの金属元素で置換された化合物はさらに好ましい接触材となる。
【0014】排ガス燃焼炉において必要に応じ、燃焼炉の煙導ダクトに流入する排ガスに向けて、燃焼用空気を吐出させることを目的とした空気孔を設け、その空気孔は煙導ダクトの円周状に垂直もしくは少し角度をもって複数配置させた、流入ガスとの空気混合部を有した燃焼炉構造を形成する。
【0015】排ガス燃焼炉において必要に応じ、燃焼炉円筒の下底と仕切板の中間位置に側面空気孔を設け、旋回流を促進させると同時に攪拌混合性を良好にすることを意図して、空気孔を配した燃焼炉構造。
【0016】
【作用】本燃焼炉を用いて排ガスの再燃焼・熱分解をさせる運転手順は、まず仕切板の開口から上昇する排ガスに衝突旋回するように配した助燃焼バーナーを点火し、燃焼炉内を急速に加熱する。このバーナーの運転制御は燃焼炉の出口に設けられた熱電対の計測指示に従って設定された温度範囲になるよう制御されている。この炉では800℃から1100℃の範囲である。10分から30分で設定温度になり、未燃焼ガスを導入するため、前もって煙導ダクトで接続された焼却炉の運転操作を始める。
【0017】焼却炉の運転は、焼却炉の廃棄物投入口から紙くずなどの雑芥を主体とした廃棄物が投入される。投入された廃棄物の上部に着火した後、焼却炉の運転操作盤にあるスイッチの操作で、送風機を起動させて運転が開始される。続いて対象廃棄物を投入する操作で廃棄物の焼却は継続する。
【0018】その燃焼ガスは、焼却炉内にある二次燃焼室と呼ばれる仕切られた部屋に連続的に導かれ、未燃焼ガスの再燃焼を行う。この二次燃焼室は燃焼の初期、追加投入時の不安定燃焼時や焼却物の過剰投入、プラスチック等の異物混入時等においては、廃棄物を投入する焼却室だけでは完全燃焼することは技術的に困難な場合が多い。そのため該二次燃焼室は焼却室のバッファーエリアとしての役割をもつ。
【0019】しかしながら、【0018】に記した二次燃焼室を用いた焼却炉では、次のような問題がある。一般的に焼却室で燃え切らない黒煙や未燃焼ガス等を再燃焼させることは容易ではない。さらに従来二次燃焼室は、排ガスの燃焼滞留時間は0.3秒から0.7秒程度と臭気成分の加熱分解に重点を置いた設計構造であった。また焼却室から導かれた燃焼ガスの通過構造は、垂直に仕切られた仕切壁の下部を通過するように構成されていて、排ガスの高温での攪拌、混合を効果的に有せず、しばしば発煙を経験するところであった。かつこうした構造だけでは、排ガスの燃焼温度を十分に確保できず、結果として排ガス燃焼室としての役割を全うしていなかった。
【0020】
【0019】に記した既焼却炉からの燃焼排ガスを、本考案の排ガスの再燃焼・熱分解炉に導入する場合、焼却炉出口と排ガスの再燃焼・熱分解炉とをダクトで接続した。この接続ダクトは排ガスの温度を低下させないことが求められ、該ダクトは断熱を有するものとする。
【0021】未燃焼排ガスは、たて円筒形の下部より導入され、円周に沿って旋回し始める。さらに、円周の接線方向から吐出する燃焼用空気に勢いを得る。ついで仕切板に衝突するように旋回し、該仕切板の開口を螺旋状態で旋回上昇を始める。
【0022】この仕切板の排ガス通過口を上昇する排ガスに向けて、円筒炉の適当な接線方向に設けた助燃焼バーナーを用い、この未燃焼排ガスを加熱攪拌し、燃焼炉の温度を低下させないように維持する。この助燃焼バーナーにより800℃から1100℃の設定温度範囲に常に制御されるものとする。
【0023】ついで仕切板開口を覆うように、セラミックスあるいはステンレス、クロム、ニッケル系等の耐熱金属の網状物や格子状体を設置し、これら接触材を通過接触させて、未燃焼ガス成分を熱分解させる方法は非常に効果が高い。なお排ガスの圧力損失が高くなりすぎないよう、接触材は開口を部分的に覆うだけでもよく、さらに接触材は格子状体でなくても安価な煉瓦やキャスタブル製、窯具類で構成した蓋板や、バーナー火炎に対向したエルボ状のものでも構わない。
【0024】さらに仕切板開口を覆うセラミックスあるいは耐熱金属の網状物や格子状体は、未燃焼ガスの酸化分解能もつ触媒を担持した材料でも構わない。なお接触材そのものを触媒で成形してもよい。
【0025】仕切板を通過しバーナー火炎との接触混合や、加熱された接触材を通過し再燃焼・熱分解をした導入ガスは、仕切板の開口が偏心した位置に設けられているため、円筒形状の円周に沿ってさらに旋回しながら滞留する。そして円筒形状の天井部に開口した煙突内へと上昇し、煙突の先端より排出される。なお、煙突の中位にエジェクター機構を配し、燃焼炉の燃焼ガスの通風抵抗をカバーするようにし、かつ炉内圧を常に負圧に維持しながら、対象の燃焼ガスを導入するように計画することは必要なことである。
【0026】これらの構造、効果的な配置により、該燃焼炉に導入された未燃焼ガスは十分燃焼が促進される。その結果、焼却炉の不完全燃焼で発生した未燃焼成分、いわゆる一酸化炭素、黒煙、アンモニアやトリメチルアミンなどの窒素を含む臭気成分、メチルメルカプタンや硫化水素の硫黄を含む臭気成分、炭化水素類、さらにダイオキシン類前駆体およびダイオキシン類を熱分解して低減する。その結果としてダイオキシン類の熱分解抑制が安定して得られることになる。さらに簡易の旋回流集じんも得られる。
【0027】また、ダイオキシン類を除去するものとして、粉末活性炭を噴霧してバグフィルターで吸着除去する方法や、粒状活性炭層を通過させて吸着する方法、酸化チタン系触媒フィルターの充填を用いた分解方式がある。これらの装置と比較して、該燃焼炉方式は構造が簡単で、製作コストが安価に抑えられ、さらに圧力損失が小さいため、排風機も小さい出力になり、装置の維持管理コストが安価となり、経済的メリットが大きい発明でもある。
【0028】
【発明の効果】本発明の燃焼炉は、既設にある臭気発生源や焼却炉の未燃焼ガスを導入し、燃焼用空気および助燃焼火炎、かつ仕切板の効用、仕切板の開口部に設置した接触材の組み合わせ構造において、対象の未燃焼ガスが十分攪拌され、滞留し、完全燃焼させることができる。その結果未燃焼成分である一酸化炭素、臭気成分類、黒煙、炭化水素類、さらにダイオキシン類前駆体を含むダイオキシン類そのものを再燃焼、熱分解させ、有毒なダイオキシン類の発生抑制、分解低減できるものである。
【0029】
【発明の補助】ダイオキシン発生抑制、分解低減を低コストで行うために、(1)廃棄物になる前に、まず塩化ビニル樹脂や塩化ビニリデンなど、塩素を含むプラスチック廃棄物や、防腐処理と難燃化のために、臭素や塩素系の材料を含浸した建材や合板類を分別し、ダイオキシン類が発生しやすい廃棄物を分別して処理をすることが大切である。(2)そして焼却炉の運転を適正に行うことが大切な要素と言われている。さらに本発明の場合は、導入する未燃焼ガス量が該排ガス燃焼炉の分解維持能力を超えないよう制御する工夫が必要である。そのためには、燃焼送風機のモーターの回転数制御による風量可変(インバーターによる)とエジェクター機構による平衡通風の炉圧制御、焼却炉の発生ガスが安定化しやすいガス化燃焼(廃棄物の焼却の場合)、一酸化炭素濃度を連続して計測し、燃焼空気量や燃焼温度を制御する方法などが有効な技術である。コストに余裕があれば、該再燃焼・熱分解炉の煙突以降に、ダイオキシン類の冷却域での再合成を防ぐため、煙突排気ガスを200℃以下に急冷却する設備、集じんバグフィルター、ダイオキシン類分解触媒塔、活性炭充填塔、またはその組み合わせ設備を設けると、極めて微量にまでダイオキシン類を除去できる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は排ガス再燃焼・熱分解炉の基本断面例である。図2は該再燃焼・熱分解炉の断面例である。図2において、10は燃焼炉の本体である。本体10は金属材料によるケーシング11の内側に、ケイ酸カルシウム断熱材12、耐火断熱炉材13であるキャスタブル製または耐火断熱レンガ等で構成されて、その内部は燃焼室が形成されている。本体10の下部22には、円筒形状の接線方向から導入ダクト21があり、21の円周方向には、多数の空気孔23が開かれている。既設炉との接続は、導入ダクト21に付帯するダクト20で接続を容易とする。さらに導入ダクト21には助燃焼バーナー30をバーナータイル31を用いて装着できる構成である。燃焼炉10に導入ガスの旋回を促し、さらに燃焼用空気を供給する空気口25を複数設ける。
【0031】本体10の中段に、開口27を有する仕切板26を配し、導入ガスの衝突、旋回をさせて、該開口27より旋回しながら上昇させる。その開口27の上昇ガス流に衝突攪拌するように、助燃焼バーナー32をバーナータイル33を介して取り付けてある。熱分解した排ガスは、仕切板26と本体10の炉天井部50の間の空間で旋回しながら、煙突基部排気口51へと導かれ、煙突より排気される。なお本体10の製作と、搬送組立を簡単容易にするために、接続フランジ40や41、42を用いている。
【0032】図3は仕切板26の開口の形状例である。実証例では圧力損失が小さい開口27−1を用いたが、開口27−2,27−3のような形状でも良い。
【0033】図4は本体10に仕切板26と36を用いて3段で構成した例である。滞留時間は燃焼炉の容積を排ガスの流量速度で除して求めるが、本体10の円周径を大きくとれない場合、円周径をやや小さくして高さで容積を調節することで解決される。なお燃焼室内で低圧力損失で排ガスが旋回しやすいのは、炉内径は煙突基部排気口51の直径の2.0倍から3.6倍が適当である。
【0034】図5、図6、図7、図8そして図9は開口27の種類を表す。図5の例は、中心軸が傾斜した円筒の開口をもつ円盤61で、耐火炉材で形成されている。図6の例は、開口を塞ぐように耐火材の蓋板63を、支柱62で支えて、排ガスが抜ける様にした形態である。図7の例は、仕切板通過口を覆うように、セラミックスあるいはステンレス、クロム、ニッケル系等の耐熱金属の網状物64を設置した例で、この接触材を通過接触させて、未燃焼ガス成分を熱分解させる方法は非常に効果が高い。なお排ガスの流動抵抗が高くなりすぎないよう、接触材は開口を部分的に覆うだけでもよい。図8の例は、板材に千鳥に開口を設けた、セラミックチェッカーなる板状接触材66で、上部からの助燃焼バーナー32の火炎が、この接触材に接する様な位置は、効果は極めて良好である。尚この接触材の形状は、格子状体でなくても安価な煉瓦や耐火材製のロストル状でも構わない。図9の実施例は仕切板26の開口27−1に、耐火材で成形した耳付き円筒67を挿入したもので、下部方向から旋回したガスが、この開口周辺で少し下降流をもって反転通過する道具である。これにより排ガス中の粉塵は、旋回流の遠心力と下降流により簡易な集じん作用を得ることになる。なお燃焼炉本体10の側面には手入れ用の扉を設けている。また本体10に燃焼炉運転の燃焼制御するための制御盤60が付帯されている。
【0035】以上のように構成された排ガス再燃焼・熱分解炉10を用いて、焼却炉からの未燃焼ガスを処理した例を図10および図11にて説明する。工場から排出した雑芥類、紙くず、紙袋、包装材、梱包木枠、梱包材、ウエス類、油ウエス、プラスチックフィルムや容器、茶がら、たばこの吸いがらなどの混合廃棄物を焼却する焼却炉100の煙突基部から煙導ダクト110を用いて接続した、排ガス再燃焼・熱分解炉本体10の姿図である。本体10の側面に自立して制御盤60と、助燃焼バーナー32、焼却炉出口測定口111、そして煙突測定口53、煙突52を配している。
【0036】焼却炉100の投入扉101を開けて廃棄物を投入する。投入された廃棄物に着火した後、焼却炉の操作盤103にて、燃焼送風機102を起動して、燃焼用空気を焼却炉内の適所に配するため、エアーチャンバー104にて分配供給する。この給気により、廃棄物は急速に燃焼を始める。その後は1時間に5から7回の投入を繰り返して廃棄物を焼却する。こうして燃焼した焼却炉排ガスは、煙導ダクト110を経て、焼却炉出口測定口111で排ガス性状を計測されて、排ガス再燃焼・熱分解炉本体10へと導入される。
【0037】排ガス再燃焼・熱分解炉10の運転は、制御盤60において制御される。炉内の温度を800℃から1100℃のうち、今回は820℃から900℃の範囲に助燃焼バーナー30、32を、それぞれ温度調節形161で制御する。さらに焼却炉150の炉内圧を圧力調節形162で、10から50パスカル程度の負圧になるように、排風機151の回転数を可変して、エジェクターエルボ153から吐出する風量で、煙突の排気力を高めるようにした。焼却炉の運転を停止したのち、再燃焼・熱分解炉本体10の運転を停止することで、未燃焼排ガスの浄化が達成され、本発明を実施することができる。
【0038】表1は本発明の一実施測定結果である。焼却炉150に投入した廃棄物は、機械工場の工場雑芥である。焼却炉150は水冷ジャケット製で、焼却能力は40から60kg/hである。焼却炉150の燃焼室容積は1.31m。焼却炉150に約10分おきに8〜10kgの廃棄物投入を繰り返した。焼却炉150の燃焼室熱負荷は、26×10kcal/mhとなった。運転中の排ガス挙動については、まず排ガス酸素濃度は8%から13%の範囲での折れ線パターンであり、平均値で10.8%と非常に安定した燃焼が可能となっている。焼却炉150が水冷ジャケット製であるので、炉内壁面温度が350℃から450℃と低く、一酸化炭素の発生が懸念されたが、排ガス再燃焼・熱分解炉10で高温度、滞留時間の確保と攪拌混合での完全燃焼条件の運転と、さらに【0037】に記したような炉圧制御により導入ガスを安定化させて、結果として、煙突測定口53での一酸化炭素濃度は、平均9ppmへと削減された。なお表1のO2は酸素、COは一酸化炭素、HCLは塩化水素ガス、SOxは硫黄酸化物、CL2は塩素ガスを表す。
【0039】ダイオキシン類と呼ばれるものは、基本的には2つのベンゼン核と塩素よりなる有機化合物群である。本来なら燃焼過程で高温熱分解される物質である。しかし、一酸化炭素の発生を伴う不完全燃焼状態での非意図的なる発生や、燃焼に続く排ガスの冷却過程にて、未燃の炭化水素類と塩化水素がダスト中に含有される金属化合物の触媒作用により、再合成されて発生する(De Nove合成)ことが明らかになっている。従って、排ガス中の未燃焼の有機物質をいかにして完全に熱分解するか(生成抑制)が最善のポイントとなっています。これを実証するためダイオキシン類の測定結果をみると、焼却炉出口測定口111と再熱分解炉煙突測定口53でのダイオキシン類濃度を比較すると、57g−TEQ/mNから0.61ng−TEQ/mNに、約99%削減され、高い再燃焼・熱分解の除去性能が得られた。これはダイオキシン類の排出基準値5ng−TEQ/mNの数値を大きくクリアしたものとなっている。廃棄物の焼却能力が200kg/h未満の規模の対策では、本発明はダイオキシン類の抑制、低減装置として極めて有効なものであることを確認した。
【0040】表1は図11に表した装置での実証運転時の測定結果である。
【表1】

【出願人】 【識別番号】592114068
【氏名又は名称】株式会社大東
【出願日】 平成9年(1997)10月31日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−132423
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−337631