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【発明の名称】 圧接用加熱バーナー
【発明者】 【氏名】松本 惇

【氏名】岡田 晴美

【氏名】山崎 恭布

【要約】 【課題】エチレンガスを使用するのに適した圧接用加熱バーナを提供することを目的とする。

【解決手段】ガス供給管(2)を周方向の一部を切り欠いたリング状に形成する。このリング状ガス供給管(2)の内周面に沿う状態で所定間隔へだてて火炎噴射孔(3)を配置する。この火炎噴射孔(3)をリング中心部に向かう中心軸を挟んでガス供給管(2)の軸芯に沿う状態に配置した一対の周方向加熱用噴射口(6)と、前記中心軸を挟んでガス供給管(2)の軸芯と直交する方向に配置した一対の幅方向加熱用噴射口(7)とで形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エチレンガスと助燃剤との混合ガスあるいはエチレンガスを燃料ガスとして使用する圧接用加熱バーナであって、ガス供給管(2)を周方向の一部を切り欠いたリング状に形成し、このリング状ガス供給管(2)の内周面にその中心軸がリング中心に向かう状態で管軸に沿う状態で所定間隔へだてて火炎噴射孔(3)を配置し、この火炎噴射孔(3)をその中心軸を挟んでガス供給管(2)の軸芯に沿う状態に配置した少なくとも一対の周方向加熱用噴射口(6)と、その中心軸を挟んでガス供給管(2)の軸芯と直交する方向に配置した少なくとも一対の幅方向加熱用噴射口(7)とを形成した圧接用加熱バーナー。
【請求項2】 幅方向加熱用噴射口(7)の噴射方向を火炎噴射孔(3)の中心軸方向に対してわずかに先拡がりに形成してなる請求項6に記載の圧接用加熱バーナー。
【請求項3】 助燃剤としてトルエン等の芳香族炭化水素、オクタン等のパラフイン系炭化水素、メタノール等のアルコールから選ばれた少なくとも一種のものを使用する請求項6又は請求項7に記載の圧接用加熱バーナ。
【請求項4】 エチレンガスと助燃剤との混合ガスまたはエチレンガスを燃料ガスとして使用する圧接用加熱バーナであって、ガス供給管(2)を周方向の一部を切り欠いたリング状に形成し、このリング状ガス供給管(2)の内周面に沿う状態で所定間隔へだてて火炎噴射孔(3)を配置し、この火炎噴射孔(3)にリング中心部に向かう中心軸に沿って形成した主噴射口(5)と、この主噴射口(5)を挟んでガス供給管(2)の軸芯に沿う状態に配置した少なくとも一対の周方向加熱用噴射口(6)と、主噴射口(5)を挟んでガス供給管(2)の軸芯と直交する方向に配置した少なくとも一対の幅方向加熱用噴射口(7)とを形成した圧接用加熱バーナー。
【請求項5】 周方向加熱用噴射口(6)の噴出方向を主噴射口(5)の噴出方向に対してわずかに先拡がりに形成するとともに、幅方向加熱用噴射口(7)の噴射方向を主噴射口(5)の噴出方向に対してわずかに先拡がりに形成し、幅方向加熱用噴射口(7)の拡がり角度を周方向加熱用噴射口(6)の拡がり角度よりも広く形成してなる請求項4に記載の圧接用加熱バーナー。
【請求項6】 助燃剤としてトルエン等の芳香族炭化水素、オクタン等のパラフイン系炭化水素、メタノール等のアルコールから選ばれた少なくとも一種のものを使用する請求項4〜5のいずれか一項に記載の圧接用加熱バーナ。
【請求項7】 エチレンガスと助燃剤との混合ガスあるいはエチレンガスを燃料ガスとして使用する圧接用加熱バーナであって、ガス供給管(2)を周方向の一部を切り欠いたリング状に形成し、このリング状ガス供給管(2)の内周面に管軸に沿う状態で所定間隔へだてて火炎噴射孔(3)を配置し、この火炎噴射孔(3)をガス供給管(2)の内径側周面でガス供給管(2)の周方向に形成したスリット溝(12)で形成した圧接用加熱バーナー。
【請求項8】 助燃剤としてトルエン等の芳香族炭化水素、オクタン等のパラフイン系炭化水素、メタノール等のアルコールから選ばれた少なくとも一種のものを使用する請求項7に記載の圧接用加熱バーナ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する分野】本発明は、鉄筋のガス圧接の際に、鉄筋接合部を加熱するための圧接用加熱バーナに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に鉄筋のガス圧接装置は、加熱装置と加圧装置で形成され、加熱装置は、燃料ガスと酸素ガスを加熱用バーナの基部に供給し、燃料ガスと酸素ガスとの混合ガスを加熱用バーナの先端ヘッド部で燃焼させてワーク(鉄筋)の接合部を加熱するように構成してある。
【0003】従来は燃料ガスとしてアセチレンガスが使用されており、加熱用のバーナはアセチレン燃焼に適するように、そのヘッド部をワークが出退可能となるように一部を切欠いた円環状に形成してあり、その円環内周面に円環中心に向かう状態で所定間隔へだてて火炎噴射孔が形成してあった。
【0004】ところが、このようなバーナーヘッドでは、手振れや斜め差し込みという作業上の外乱要素により、酸化皮膜が接合面部分に形成されるという強度低下につながる問題があった。また、ワークの接合近傍部分も加熱しなければならないことから、バーナをワーク軸芯に沿って往復移動させなければならず、加熱ムラが生じるという問題もあった。
【0005】そこで、一部切欠き円環状に形成したヘッド部分から、ワーク軸芯に沿う方向に左右一対の分岐管を周方向適当間隔置きに導出し、各分岐管の先端に周縁部加熱用の火炎噴射孔を装着したガス圧接用バーナが提案されている(特許2547705号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記、先行の加熱用バーナは燃料ガスとしてアセチレンガスを使用している。ところが、アセチレンガスは最低発火温度が約305℃と比較的低く、かつ爆発限界が空気中2.5〜80%と広いことから逆火しやすく、取り扱いが面倒であるという問題があった。また、アセチレンガスを使用した場合、遊離炭素の影響でワークの接合部が表面硬化をおこすという問題がある。
【0007】そこで、他の燃料ガス(例えば、エチレンガス)を使用することも考えられるが、その場合、アセチレンガス用に形成された加熱用バーナではエチレンガスが完全燃焼されず、十分な火力を得ることができない。本発明はこのような点に鑑み、エチレンガスを使用するのに適した加熱用バーナを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために請求項1に記載の本発明は、ガス供給管を周方向の一部を切り欠いたリング状に形成し、このリング状ガス供給管の内周面に沿う状態で所定間隔へだててその中心軸がリング中心に向かう状態で火炎噴射孔を配置し、この火炎噴射孔を中心軸を挟んでガス供給管の軸芯に沿う状態に配置した少なくとも一対の周方向加熱用噴射口と、その中心軸を挟んでガス供給管の軸芯と直交する方向に配置した少なくとも一対の幅方向加熱用噴射口とで形成したことを特徴とし、請求項2に記載した発明は、幅方向加熱用噴射口の噴射方向を中心軸方向に対してわずかに先拡がりに形成したことを特徴としている。
【0009】請求項4に記載の発明は、ガス供給管を周方向の一部を切り欠いたリング状に形成し、このリング状ガス供給管の内周面に沿う状態で所定間隔へだてて火炎噴射孔を配置し、この火炎噴射孔にリング中心部に向かう中心軸に沿って形成した主噴射口と、この主噴射口を挟んでガス供給管の軸芯に沿う状態に配置した一対の周方向加熱用噴射口と、主噴射口を挟んでガス供給管の軸芯と直交する方向に配置した一対の幅方向加熱用噴射口とを形成したことを特徴とし、請求項5に記載した発明は、周方向加熱用噴射口の噴出方向を主噴射口の噴出方向に対してわずかに先拡がりに形成するとともに、幅方向加熱用噴射口の噴射方向を主噴射口の噴出方向に対してわずかに先拡がりに形成し、幅方向加熱用噴射口の拡がり角度を周方向加熱用噴射口の拡がり角度よりも広く形成したことを特徴としている。
【0010】請求項7に記載の発明は、ガス供給管を周方向の一部を切り欠いたリング状に形成し、このリング状ガス供給管の内径側周面部分に管軸に沿う状態で所定間隔へだてて火炎噴射口を配置し、この火炎噴射口をガス供給管に形成した管周方向のスリット溝で形成したことを特徴としている。
【0011】
【発明の作用】請求項1に記載の発明では、一部を切欠いた円環状ガス供給管の内周面に中心軸がリング中心に向かう火炎噴射孔を適当間隔へだてて位置させ、この火炎噴射孔を中心軸を挟んでガス供給管の軸芯に沿う状態に配置した少なくとも一対の周方向加熱用噴射口と、その中心軸を挟んでガス供給管の軸芯と直交する方向に配置した少なくとも一対の幅方向加熱用噴射口とで形成してあるから、圧接接合部の幅方向はもちろん周方向にも広い範囲で炎を作用させることができ、接合近傍部分を均一に加熱することになる。また、請求項2に記載した発明では、幅方向加熱用噴射口の噴射方向を火炎噴射孔(3)の中心軸方向に対してわずかに先拡がりに形成してあるから、ワークの接合近傍部でワークの長手方向での広い範囲に炎を作用させることができ、接合近傍部をより均一に加熱できることになる。
【0012】請求項4に記載の発明では、一部を切欠いた円環状ガス供給管にリング中心に向かう主噴射口とこの主噴射口を取り囲む状態で配置した2対の噴射口とを有する火炎噴射孔を適当間隔へだてて位置させ、各火炎噴射孔で一対の噴射口をガス供給管の軸芯方向に沿わせて配置することにより、周方向加熱用噴射口とするとともに、残る一対の噴射口をガス供給管の軸芯方向と直交する方向に配置して幅方向加熱用噴射口としているので、幅方向はもちろん周方向にも広い範囲で炎を作用させることができ、接合近傍部分を均一に加熱することになる。さらに、請求項5に記載した発明では、周方向・幅方向両噴射口からの噴出方向を主噴射口の噴出方向に対して先拡がりとなるように形成し、幅方向加熱用噴射口の拡がり角度を周方向加熱用噴射口の拡がり角度よりも広く形成してあるので、幅方向はもちろん周方向にもより広い範囲で炎を作用させることができ、接合近傍部分をより均一に加熱することになる。
【0013】また、前述の構成からなる加熱用バーナでは、燃料ガスとしてエチレンガスと助燃剤との混合ガスあるいはエチレンガスを使用していることから、最低発火温度がアセチレンガスよりも高く、かつ空気中での爆発限界濃度範囲もアセチレンガスに比べて狭いことから、取り扱いが容易になる。また、エチレンガスの燃焼では遊離炭素の発生がなく、また広範囲同時加熱のため、活性端面(接合面)が空気巻き込みにより酸化することを防止するとともに、ワーク接合部が表面硬化を起こすこともなくなる。
【0014】なお、請求項7に記載した発明のように、一部を切欠いた円環状ガス供給管の内径側周面部分に管軸に沿う状態で所定間隔へだてて配置した火炎噴射口をガス供給管に形成したガス供給管周面方向のスリット溝で形成した場合には、ワークの軸芯方向に広がる扇状の炎となり、この扇状の炎でワークを一定幅にわたって加熱することになるから、ワークの接合近傍部を均一に加熱することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図は本発明の実施態様を示し、図1は圧接用加熱バーナの斜視図、図2は火炎噴射孔部分の一部切除斜視図、図3は図2のA−A線断面図、図4は図2のB−B線断面図である。この圧接用加熱バーナは、エチレンガスに助燃剤としてトルエン等の芳香族炭化水素やオクタン等のパラフイン系炭化水素あるいはメタノール等のアルコールを添加したものを燃料ガスとして燃焼させるもので、基端部分に燃料ガス供給ホースと酸素ガス供給ホースとを接続してなる基管部分(1)と、その基管部分(1)の先端部分から導出したリング状ガス供給管(2)部分と、リング状ガス供給管(2)の内周面部分に所定間隔へだてて形成した火炎噴射孔(3)とで構成してある。
【0016】火炎噴射孔(3)はリング状ガス供給管(2)に装着したノズル(4)に形成してあり、このノズル(4)には主噴射口(5)と2対の副噴射口(6)(7)が透設してある。主噴射口(5)はノズルの中心部分を貫通する状態に形成してあり、この主噴射口(5)がリング状ガス供給管(2)の円環中心部分に向く状態でノズル(4)がリング状ガス供給管(2)に固定されている。
【0017】2対の副噴射口(6)(7)は、主噴射口(5)を取り囲む状態で配置してあり、そのうちの一対の副噴射口(6)はリング状ガス供給管(2)の軸芯に沿う状態に配置して周方向加熱用副噴射口に形成してあり、他の一対の副噴射口(7)はリング状ガス供給管(2)の軸芯と直交する方向に配置して幅方向加熱用副噴射口に形成してある。そして、主噴射口(5)及び両副噴射口(6)(7)が開口しているノズル(4)の先端部分での外周縁部分から前記主副噴射口(5)(6)(7)を取り囲む状態で筒壁(8)が立設してある。なお、周方向加熱用副噴射口(6)及び幅方向加熱用副噴射口(7)はそれぞれ複数対形成してもよい。
【0018】各対の副噴射口(6)(7)の中心軸(9)(10)はそれぞれ主噴射口(5)の中心軸(11)に対して先拡がりとなるように開き角をもって形成してあり、幅方向加熱用副噴射口(7)の開き角度は周方向加熱用副噴射口(6)の開き角度よりも広く形成してある。このため、各火炎噴射孔(3)に生じる火炎での加熱範囲は略楕円状となり、接合部での周方向をムラなく加熱することができるうえ、接合部での入熱と同時に接合近傍部も加熱することができる。
【0019】上述の実施形態では、リング状ガス供給管(2)にノズル(4)を装着して火炎噴射孔(3)に形成しているが、図5に示すように、リング状ガス供給管(2)の内周面にガス供給管(2)の軸芯方向と直交する状態で複数のスリット溝(12)をリング状ガス供給管(2)の軸芯方向に所定間隔へだてて刻設し、このスリット溝(12)を火炎噴射孔(3)に形成するようにしてもよい。また、このスリット溝(12)はガス供給管(2)の周面方向のスリット溝とガス供給管(2)の管軸に沿う方向のスリット溝とからなる十字溝であってもよい。
【0020】また、図は省略したが、リング状ガス供給管(2)の周面に主副の噴射口を直接形成して火炎噴出孔としてもよい。なお、リング状ガス供給管(2)に直接火炎噴射口を形成する場合にも、火炎噴射孔(3)となるスリット溝(12)を取り囲む状態で筒壁(8)を形成しておくことが望ましい。
【0021】さらに、図6に示すように、ノズル(4)を長円乃至楕円状に形成し、この長円乃至楕円状ノズル(4)に主噴射口(5)と周方向加熱用副噴射口(6)及び幅方向加熱用副噴射口(7)を形成し、両副噴射口(6)(7)の噴出方向を主噴射口(5)の噴出方向と平行に形成するようにしてもよい。この場合でも、火炎噴射孔(3)に生じる火炎での加熱範囲は略楕円状となり、接合部での周方向をムラなく加熱することができるうえ、接合部での入熱と同時に接合近傍部も加熱することができることになる。
【0022】図7は本発明の別の実施形態を示し、これは、リング状ガス供給管(2)に装着したノズル(4)で火炎噴射孔(3)を形成し、ノズル(4)の中心軸を挟む状態で2対の噴射口(6)(7)が透設してある。一方の対になっている噴射口(6)はリング状ガス供給管(2)の軸芯に沿う方向に並んで形成され、周方向加熱用噴射口に形成してあり、他方の対になっている噴射口(7)はリング状ガス供給管(2)の軸芯と直交する方向に並んで形成され、幅方向加熱用噴射口に形成してある。そして、周方向加熱用噴射口(6)はその噴射方向をノズル(4)の中心軸と平行に形成してあり、幅方向加熱用噴射口(7)はその噴射方向をノズル(4)の中心軸に対して先広がりとなるように形成してある。
【0023】
【発明の効果】本発明の圧接用加熱バーナは、燃焼に伴う遊離炭素の発生によるワーク接合部の表面硬化がないうえ、空気中での最低発火温度が高く、かつ爆発限界濃度範囲も狭くて取り扱い易いエチレンガスを主材とする燃料ガスを使用するものであるから、鉄筋の圧接作業が手軽に行える。
【0024】さらに、本発明の圧接用加熱バーナは、鉄筋接合部での鉄筋中心に向かう主噴出口と鉄筋接合部の周面方向を加熱する周方向加熱用副噴射口、及びワークの幅方向で接合近傍部を加熱する幅方向加熱用副噴射口を有していることから、バーナーを往復移動させることなくワークの接合部分及びその近傍部分を加熱することができ、ワークを短時間に均一に加熱することができる。これにより、圧接作業を容易に行うことができるうえ、作業者の熟練度を問うことなく圧接品質を均質化することができる。
【出願人】 【識別番号】393026995
【氏名又は名称】東亜圧接株式会社
【識別番号】391037308
【氏名又は名称】マツモト機械株式会社
【識別番号】597147625
【氏名又は名称】ヤマザキ産業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北谷 寿一
【公開番号】 特開平11−230514
【公開日】 平成11年(1999)8月27日
【出願番号】 特願平10−121576