| 【発明の名称】 |
触媒燃焼装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】上原 昌徳
【氏名】近藤 靖男
|
| 【要約】 |
【課題】通電により発熱する触媒体を有する触媒燃焼装置において、通電時における触媒体の発熱を利用して燃料吸収体を加熱できる構成を提供する。
【解決手段】中心部に貫通穴2b、3bを有するリング形状をなし燃料と燃焼用空気が供給される触媒体2、3の一部が、通電することにより発熱する起動用触媒体3として構成されている。触媒体2、3の貫通穴2b、3b内部に設けられた多数の孔7aを有する金属円筒体7と燃料を吸収可能な燃料吸収部材6とが、起動用触媒体3と熱伝導可能な形態で配置されている。燃料ノズル12から貫通穴2b、3b内部に向けて供給された燃料は燃料吸収部材6に吸収され、燃料吸収部材6は起動用触媒体3からの伝導熱により加熱されて吸収した燃料を気化する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料を供給する燃料供給手段(12、14)と、燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給手段(9)と、中心部に貫通穴(2b、3b)を有するリング形状をなし、前記燃料と前記燃焼用空気の混合気を触媒燃焼させる触媒体(2、3)とを備え、前記触媒体(2、3)の一端側に、前記燃料供給手段(12、14)および前記燃焼用空気供給手段(9)が配設され、前記触媒体(2、3)の一端側から、前記貫通穴(2b、3b)内部に向けて前記燃料と前記燃焼用空気を供給する触媒燃焼装置であって、前記触媒体(2、3)の一部が、通電することにより発熱する加熱触媒体(3)として構成され、前記触媒体(2、3)の前記貫通穴(2b、3b)内部には、前記燃料を吸収可能な燃料吸収体(6、7、60)が設けられ、前記燃料吸収体(6、7、60)と前記加熱触媒体(3)とは熱伝導可能な形態で配置されており、前記加熱触媒体(3)の通電時に、前記加熱触媒体(3)からの伝導熱により、前記燃料吸収体(6、7、60)に吸収された前記燃料を気化することを特徴とする触媒燃焼装置。 【請求項2】 前記燃料吸収体は金属円筒体(7)と燃料吸収可能な円筒状の部材からなる燃料吸収部材(6)との2層構造からなることを特徴とする請求項1に記載の触媒燃焼装置。 【請求項3】 前記金属円筒体(7)の外周に前記燃料吸収部材(6)が設けられており、前記金属円筒体(7)の周面には、前記気化した燃料が通過する多数の孔(7a)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の触媒燃焼装置。 【請求項4】 前記加熱触媒体(3)の中心部には、前記加熱触媒体(3)に通電するための電極体(3c)が配置され、前記燃料吸収体(6、7、60)は前記電極体(3c)に固定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の触媒燃焼装置。 【請求項5】 前記電極体(3c)を支持する支持部材(5)を備え、前記燃料吸収体(6、7、60)は、前記触媒体(2、3)の前記貫通穴(2b、3b)に固定されて前記触媒体(2、3)を支持することを特徴とする請求項4に記載の触媒燃焼装置。 【請求項6】 前記支持部材は前記触媒体(2、3)を内蔵する燃焼筒(5)であることを特徴とする請求項5に記載の触媒燃焼装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は触媒燃焼装置に関するもので、例えば、暖房装置、乾燥装置等に用いて好適なものである。 【0002】 【従来の技術】この種の触媒燃焼装置は、燃料供給手段と燃焼用空気供給手段とを備え、これらの供給手段により供給される燃料と燃焼用空気との混合気を、触媒により燃焼させるものである。この触媒燃焼装置は火炎が形成されないため、カーボンの発生が無く、また、火炎燃焼にみられる着火、消化時の排気エミッションの発生を大幅に抑制できるため、排気ガスのクリーン性に優れている。 【0003】従来、この種の触媒燃焼装置として、本出願人は、先に特願平9−188668号において、以下のようなものを提案している。図6にその構成を示す。燃料と燃焼用空気の混合気を触媒燃焼させる触媒体2、3を燃焼筒4内に備え、燃焼筒4のうち、触媒体2、3の一端側に、燃料ノズル10および燃焼用空気の入口8を配設し、燃焼筒4内部のうち、触媒体2、3の他端側に、燃料と燃焼用空気の混合気を形成する予混合室13を配設している。 【0004】触媒体2、3は、予混合室13側の始動用触媒体3と始動用触媒体3の燃焼排ガス下流側の主触媒体2から構成されている。始動用触媒体3は、いわゆる通電加熱触媒体を構成している。即ち、電気発熱体3aと、この電気発熱体3aに取付けられ触媒3cが担持された伝熱フィン3bとを備えており、触媒3cは電気発熱体3aからの熱伝導により予熱されるようになっている。 【0005】そして、触媒体2、3の一端側から、触媒体2、3の貫通穴2cを通して、予混合室13に向けて燃料と燃焼用空気を供給し、予混合室13において燃料と燃焼用空気とを混合し、この混合気を予混合室13で方向転換させて、触媒体2、3内をその他端側から一端側へ向けて流すようになっている。ここで、起動時時に、電気発熱体3aに通電することで、始動用触媒体3の触媒3cは、電気発熱体3aからの熱伝導によって直接予熱されるので、触媒体2、3を早期に活性温度に到達させることができ、良好な触媒燃焼の始動性を実現できる。 【0006】ところで、図6中、14は耐熱金属からなる金網状の燃料吸収体(例えばウィック等)であり、予混合室13の底壁内面から側面にかけての広い面積にわたって配置してある。燃料ノズル10および燃焼用空気の入口8から貫通穴2b内の排気混合筒5に供給された燃料及び空気は、予混合室13内の燃料吸収体14上で蒸発し、燃焼用空気と混合される。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ここで、上記の先願の触媒燃焼装置において、定常運転時には触媒の自立燃焼の熱を利用して燃料吸収体14を加熱し、燃料を気化させることが可能である。しかし、起動時の燃料気化においては、燃料吸収体14の温度が低く、燃料吸収体14を加熱する外部からの熱源供給手段(例えばグロープラグ等の電気ヒータ等)が必要となる。 【0008】しかしながら、別途、熱源供給手段を設けることは燃焼筒4内の限られたスペースでは難しく、新規にスペースを設けたとしても体格増大を招いてしまう。従って、始動用触媒体3の発熱、すなわち電気発熱体3aの発熱を熱源として用いることが望ましいが、上記のレイアウトでは燃料吸収体14とは離れた位置にあり、電気発熱体3aの熱を利用することは難しい。 【0009】本発明は上記点に鑑みて、通電により発熱する触媒体を有する触媒燃焼装置において、通電時における触媒体の発熱を利用して燃料吸収体を加熱できる構成を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、通電により発熱する触媒体と燃料吸収体との配置関係を考慮して、両者を熱伝導可能な配置関係とすることに着目し、上記目的を達成することとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、中心部に貫通穴(2b、3b)を有するリング形状をなし燃料と燃焼用空気が供給される触媒体(2、3)の一部が、通電することにより発熱する加熱触媒体(3)として構成され、触媒体(2、3)の貫通穴(2b、3b)内部には燃料を吸収可能な燃料吸収体(6、7、60)が設けられ、燃料吸収体(6、7、60)と加熱触媒体(3)とは熱伝導可能な形態で配置されており、加熱触媒体(3)の通電時に、加熱触媒体(3)からの伝導熱により、燃料吸収体(6、7、60)に吸収された燃料を気化することを特徴とする。 【0011】それによって、起動時において、貫通穴(2b、3b)内部に向けて供給された燃料が燃料吸収体(6、7、60)に吸収されるとともに、加熱触媒体(3)に通電することで加熱触媒体(3)からの伝導熱により燃料吸収体(6、7、60)が加熱される。そのため、燃料吸収体(6、7、60)に吸収された燃料が貫通穴(2b、3b)内部にて気化する。 【0012】従って、起動時において燃料吸収体(6、7、60)の温度が低い時でも、加熱触媒体(3)が発熱して、その伝導熱により燃料吸収体(6、7、60)を加熱できるので、その加熱は効率良く行われ、燃料の気化を促進できる。よって、起動性の良好な触媒燃焼装置を提供することができる。また、上記のように起動時において、加熱触媒体(3)の発熱を利用して燃料吸収体(6、7、60)を加熱できるので、加熱触媒体(3)の熱源供給手段を利用でき、燃料吸収体(6、7、60)加熱用の別体の熱源供給手段を設ける必要が無くなる。 【0013】また、請求項2記載の発明によれば、燃料吸収体は、金属円筒体(7)と燃料吸収可能な円筒状の部材からなる燃料吸収部材(6)との2層構造からなるものであるから、簡単で且つ触媒体(2、3)の貫通穴(2b、3b)に配置可能な構造の燃料吸収体とできる。また、請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の構成において、金属円筒体(7)の外周に燃料吸収部材(6)が設けられており、金属円筒体(7)の周面には、気化した燃料が通過する多数の孔(7a)が形成されていることを特徴とする。それによって、燃料吸収部材(6)から気化した燃料を孔(7a)を通して貫通穴(2b、3b)内に容易に導入できる。 【0014】また、請求項4記載の発明によれば、加熱触媒体(3)の中心部には、加熱触媒体(3)に通電するための電極体(3c)が配置され、燃料吸収体(6、7、60)は電極体(3c)に固定されているから、この電極体(3c)を利用して加熱触媒体(3)及び燃料吸収体(6、7、60)の両方を支持できる。また、請求項5記載の発明によれば、請求項4の支持構造に加えて、電極体(3c)を支持する支持部材(5)を備え、燃料吸収体(6、7、60)は、触媒体(2、3)の貫通穴(2b、3b)に固定されて触媒体(2、3)を支持することを特徴とする。 【0015】それによって、触媒体(2、3)は、燃料吸収体(6、7、60)および電極体(3c)を介して支持部材(5)に支持されるから、触媒体(2、3)の外周等に、別途、緩衝部材等からなる支持部材を設ける必要がなくなり、部品数の低減および構成の簡素化を図ることができる。また、請求項6記載の発明のように、支持部材は触媒体(2、3)を内蔵する燃焼筒(5)にすれば、別体の支持部材を設けることが不要とできる。 【0016】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。 【0017】 【発明の実施の形態】 (第1実施形態)図1は本発明の第1実施形態を示す縦断面図であり、本例の触媒燃焼装置(以下、燃焼装置という)は自動車用暖房装置に適用したもので、図1の上下方向は車両搭載時の上下方向と一致している。1は燃焼装置で、図1において上下方向に軸を有する円筒形状のものである。 【0018】2は燃焼装置1に内蔵された主触媒体であり、その中心部をくり抜いたリング状(円筒状)の形状となっている。3は起動用触媒体(加熱触媒体)で、主触媒体2の下端面側に重力方向(図1の上下方向)への燃料ダレを防止するリング状のシール材4を介して隣接配置されており、主触媒体2と同様にリング状の形状となっている。2b、3bはこのリング形状の中心部の貫通穴である。 【0019】主触媒体2は、セラミックス或いはメタルなどの担体2aに、例えばPt、Pdなどの貴金属を触媒として担持したもので、図1の上下方向に通風性を有する構造(例えばハニカム構造)としている。起動用触媒体(加熱触媒体)3は、通電により発熱する耐熱性の金属(例えばステンレス等)等からなる発熱抵抗体3aを担体として、この発熱抵抗体3aに例えばPt、Pdなどの貴金属が触媒として担持されたものとなっている。起動用触媒体3も、主触媒体2と同様に、図1の上下方向に通風性を有する構造を有しており、その構造は本例では、平箔と波箔からなる発熱抵抗体3aが巻回された、いわゆるコルゲートフィン形状(図3参照)としている。 【0020】さらに、起動用触媒体3において、起動用触媒体3に通電するための正極部としての電極体3c(図2参照)が中心部の貫通穴3bに配置され、外周面に電極体3cの対極となる負極部としての電極部3dが配置されている。これら電極体3c及び電極部3dは耐熱性の金属(例えばステンレス等)等からなり、発熱抵抗体3aに溶接されている。なお、電極体3c及び電極部3dにおいて正極と負極の関係は逆でもよい。 【0021】電極体3cは、起動用触媒体3の貫通穴3bから下方に延びて、燃焼筒5の底面に絶縁層5aを介して貫通して固定され、外部電源(図示せず)と接続可能となっている。一方、電極部3dは燃焼筒5の側面に当接し、図1に示すように燃焼筒5を介してアースされている。従って、外部電源から電極体3cに通電することにより、起動用触媒体3が通電され発熱するようになっている。このように、本例において触媒体2、3の一部をなす起動用触媒体3はいわゆる通電加熱触媒として構成されている。 【0022】ここで、燃焼筒5は燃焼装置1の本体形状を区画形成するもので、ステンレスのような耐熱金属にて有底円筒形状に成形されている。燃焼筒5の内部において、触媒体2、3を収納している部分により燃焼室が構成される。また、触媒体2の貫通穴2bの内周面には、後述の燃料ノズル12から供給される燃料を吸収可能なセラミックや金属のファイバー、ウィック材等からなる円筒状の燃料吸収部材6が、ロウ付け若しくははんだ付け等により接合されている。 【0023】さらに、燃料吸収部材6の内周面および起動用触媒体3の貫通穴3bの内周面には、耐熱性の金属(例えばステンレス等)等からなる金属円筒体7が設けられている。金属円筒体7は、その周面に多数の孔7aを有しており(図2参照)、これら孔7aによって金属円筒体7の内部と燃料吸収部材6とを連通している。なお、燃料吸収部材6と金属円筒体7とは後述のように圧入等により組み付けられ互いに固定されている。 【0024】ここで、本例では、燃料吸収部材6と金属円筒体7とが燃料吸収体を構成している。つまり、両触媒体2、3の貫通穴2b、3bの内部に、金属円筒体7の外周に燃料吸収部材6を備える2層構造の中空円筒状の燃料吸収体が設けられた形となっている。なお、燃料吸収部材6は金属円筒体7と触媒体2とを緩衝する緩衝材も兼ねている。 【0025】また、燃料吸収体の内部すなわち金属円筒体7の内部は、触媒体2、3の排気の一部を燃料と燃焼用空気との混合気に混合する排気混合筒としても構成されている。そして、上記燃料吸収体は、起動用触媒体3とは熱伝導可能な形態で配置されており、起動用触媒体3の通電時に、起動用触媒体3からの伝導熱により、燃料吸収体に吸収された燃料を気化するようになっている。 【0026】ここで、燃料吸収体と起動用触媒体3との具体的配置およびその組付け方法について、図2および図3を参照して述べる。図2は、起動用触媒体3の分解斜視図であり、図3は、起動用触媒体3を図1の下方向からみた構成図である。図2に示すように、電極体3cは、棒状の本体30cの一端側に板状の一本ないし複数本(本実施形態では4本)のアーム31cが、本体30aの長軸と平行放射状に延設された形状を有している。各アーム31cには、発熱抵抗体3aが溶接されている。ここで、発熱抵抗体3aは、波箔と平箔とがロウ付け等により接合されたものであり、上記貴金属触媒が担持されている。 【0027】金属円筒体7は、その下部にスリット状の溝7bが形成されている。溝7bと電極体3cのアーム31cとを嵌合した後、この嵌合部分を溶接することで、金属円筒体7は電極体3cに固定支持される。そして、各アーム31cに、それぞれ溶接された発熱抵抗体3aを、互いに積層するように金属円筒体7の外周回りに同一方向に巻いて、リング状のコルゲートフィン形状とし、巻回された発熱抵抗体3aの外周に電極部3dを溶接して、図3に示すように、中心部に貫通穴3bを有するリング状の起動用触媒体3を形成する。 【0028】ここで、巻回された発熱抵抗体3aの最内周部分は、金属円筒体7の外周と当接し、金属円筒体7の外周に対応した形状の貫通穴3bを形成する。なお、図3において、実際には起動用触媒体3全体に存在する波箔は、一部のみ図示している。さらに、図4に示すように、金属円筒体7が固定された起動用触媒体3には、上記のシール材4を介して、貫通穴2bに燃料吸収部材6が固定された主触媒体2が圧入等により挿入され、組み付けられる。こうして、触媒体2、3と燃料吸収体(燃料吸収部材6と金属円筒体7)とが固定一体化され、電極体3cを燃焼筒5へ固定することで、組付けが終了する。なお、電極体3cの燃焼筒5への固定は、上記組付けの途中でもよい。 【0029】従って、起動用触媒体3の通電時、すなわち電極体3cの通電時には、発熱抵抗体3aが通電発熱するとともに、この発熱は発熱抵抗体3aと当接する金属円筒体7に熱伝導し、金属円筒体7及び燃料吸収部材6が加熱される。また、以上の構成から、触媒体2、3は、貫通穴2b、3bに固定された燃料吸収体により、燃焼筒5に固定された電極体3cを介して、支持された構成となっている。そのため、主触媒体2の外周と燃焼筒5との間に、緩衝材等の保持部材を設ける必要がない。 【0030】図1において、8は一次ノズルで、燃焼筒5内で、主触媒体2の一端側(本例では上端側)に隣接して配設されている。この一次ノズル8は、その下端部側に漏斗状に細く絞られた絞り部8aを有しており、耐熱金属にて成形されている。この一次ノズル8の下端部から上記したように排気混合筒をも構成するち燃料吸収体の内部すなわち金属円筒体7の内部に、燃焼用空気および燃料を導入する。ここで、上記燃焼用空気は、エアポンプ(燃焼空気供給手段)9により供給され、空気入口10から一次ノズル8へ送られる。 【0031】また、一次ノズル8の絞り部8aは、金属円筒体7内に所定量挿入されており、この金属円筒体7の一端部と絞り部8aとの間にリング形状の二次ノズル8bを形成している。この二次ノズル8bは、一次ノズル8の外周側に形成される排気ガス室11からの排気循環ガスを金属円筒体7内に還流するためのものである。 【0032】なお、一次ノズル8の内側空間は、絞り部8aの先端の小径開口部以外の部分では排気ガス室11と仕切られている。換言すると、一次ノズル8は、その内側空間(燃料、空気の供給側空間)と排気ガス室11と仕切る仕切り部材としての役割も果たしている。12は燃料ノズルであり、燃料タンク13から燃料ポンプ14により送られた液体燃料(例えば、灯油)を、燃料ノズル12の外周方向にむけて噴霧する。すなわち金属円筒体7の内側および金属円筒体7の多数の孔7aを通して燃料吸収部材6の内側に向けて噴霧することとなる。ここで、本例では、燃料ノズル12と燃料ポンプ14とにより燃料供給手段を構成している。 【0033】15は液体燃料と燃焼用空気の混合を行う予混合室で、燃焼筒5内部のうち、主触媒体2及び起動用触媒体3の他端側(本例では下端側)に配置されている。16は耐熱金属からなる金網状の補助燃料吸収体であり、予混合室15の底壁内面から側面にかけての広い面積にわたって、配置してある。ここで、補助燃料吸収体16としては、金網状の部材(ウイック)の他に、発泡金属部材、薄板状の多孔質セラミック部材等を使用できる。 【0034】なお、予混合室15のうち、起動用触媒体3の下側面に対向する底壁部は、燃料と空気の混合気の流れを中心部から径外方側へスムースに方向転換させるために、中央部が山状に突出した形状になっている。15aはその突出部である。17は排気ガス室11から排気ガスを外部へ排出する排気ガス出口である。18は排気ガス室11のうち排気ガス出口17付近に配設された温度検出器(サーミスタ)である。19は燃焼筒5の外周囲全体にわたって配設された断熱材であり、この断熱材19を挟んでカバー20が設置してある。21は燃焼筒5とカバー20の上端開口部を閉塞する上端板であり、この上端板21に燃料ノズル12および空気入口10が取付られている。 【0035】なお、排気ガス出口17から排出された排気ガスは図示しない熱交換器に送られ、ここで排気ガスと水(暖房用熱媒体)との間で熱交換を行って水を加熱し、この加熱された温水をポンプにて空調装置のヒータコアに送り、このヒータコアで空調空気を加熱して、車室内を暖房するようになっている。また、燃焼装置1は、図示しない制御装置(図示せず)を有しており、この制御装置は、燃焼装置1をオンオフするための運転スイッチ(図示せず)および温度検出器18からの信号に応じて、上記電気機器(3、9、14)を制御する。 【0036】次に、上記構成において作動を説明する。いま、上記運転スイッチを投入すると、上記制御装置により、電極体3cへ通電すなわち起動用触媒体3へ通電され、発熱抵抗体3aの発熱により起動用触媒体3全体の予熱を行う。この際、起動用触媒体3すなわち発熱抵抗体3aからの伝導熱により、金属円筒体7および隣接する燃料吸収部材6も昇温、予熱される。 【0037】起動用触媒体3が活性温度(例えば約350℃以上)に達する所定時間のもと、制御装置内のタイマー手段によりエアポンプ9および燃料ポンプ14に通電され、燃焼用空気及び燃料の供給を開始する。ここで、燃料の気化温度は、起動用触媒体3の活性化温度より低いことから、上記所定時間のもとには、金属円筒体7および燃料吸収部材6は、燃料の気化に十分な温度まで予熱される。 【0038】液体燃料は燃料ノズル12から、金属円筒体7の内側面部に向けて噴霧され、金属円筒体7表面および多数の孔7aを通り、燃料吸収部材6内に吸収、蒸発気化する。また、燃焼用空気は空気入口10から一次ノズル8内へ送られ、金属円筒体7内で気化燃料と予混合される。この混合気は予混合室15で方向転換(Uターン)して、起動用触媒体3にその下方から上方へ向かって流入し、起動用触媒体3で反応し、燃焼する。その際、金属円筒体7内で気化し得なかった液体燃料は、いったん予混合室15内の補助燃料吸収体16に浸透、吸収される。そして、後述の定常作動時に十分発熱した触媒体2、3からの輻射熱(放射熱)により、補助燃料吸収体16が予熱されることで蒸発気化し、再度、予混合室15内で燃焼用空気と混合され、以下同様に燃焼する。 【0039】ここで、燃焼用空気および燃料の供給量は、最初は、制御装置により両ポンプ9、14の回転数を低回転に設定して、微小流量(例えば、最大燃焼量の1/10程度)とする。この理由は、最初から燃焼用空気を多量に流すと、起動用触媒体3や金属円筒体7および燃料吸収部材6が冷却され、触媒反応や燃料の気化が行われない恐れがあるためである。 【0040】主触媒体2は起動用触媒体3からの放射熱および高温の反応ガスにより、徐々に加熱されていく。そして、燃料と空気の供給開始後、所定時間が経過するか、又は排気ガス室11に設けられた温度検出器18の検出温度が、所定温度(例えば灯油燃料の場合、約300℃)に到達すると、制御装置により両ポンプ9、14の回転数を徐々に上昇させて、燃焼量を徐々に上げていく。起動用触媒体3および主触媒体2を上昇した燃焼ガスは排気ガス室11に流入した後に、排気ガス出口17から外部へ排出される。 【0041】そして、主触媒体2が活性温度に達したことを、温度検出器18で判断したら、制御装置により起動用触媒体3への通電を停止し、以後、定常燃焼へ移行する。定常燃焼中においては、金属円筒体7および燃料吸収部材6は主触媒体2の反応熱により加熱されることで、燃料ノズル12から噴霧された燃料の気化を行う。 【0042】ところで、上記定常燃焼中においては、一次ノズル8の絞り部8aから燃焼空気が金属円筒体7内に増速されて噴出され、この増速された燃焼空気流によるエジェクタ効果により、二次ノズル8b付近が減圧され、この二次ノズル8bを通って、排気ガス室11内の排気ガスの一部が金属円筒体7内に還流される。すなわち金属円筒体7は、排気混合筒として機能する。 【0043】このように本実施形態の装置では、排気ガス室11の排気ガスの一部を燃焼空気中に再循環させることにより、高温の排気ガス熱で燃焼用空気を予熱することができ、触媒体2、3を活性化状態に維持できるので、触媒燃焼を良好に継続できる。そして、燃焼を停止するときは、運転スイッチをオフする。このスイッチのオフにより、制御装置は燃料ポンプ14を直ちに停止するが、エアポンプ9は所定時間の間、作動を継続させ、燃焼筒5内の残存燃料を燃焼させ、その後燃焼筒5内部の冷却を行う(ポストパージ運転)。そして、所定時間経過後に、エアポンプ9も停止させ、全機器が停止する。 【0044】ところで、本実施形態によれば、装置の起動時において燃料吸収体(燃料吸収部材6、金属円筒体7)の温度が低い時でも、起動用触媒体3からの伝導熱により燃料吸収体を加熱できるので、その加熱は効率良く行われ、燃料の気化を促進できる。よって、起動性の良好な触媒燃焼装置1を提供することができる。また、起動時において、起動用触媒体3からの伝導熱により燃料吸収体を加熱できるので、起動用触媒体3の熱源供給手段である電極体3cおよび電極部3dを利用でき、燃料吸収体加熱用の別体の熱源供給手段を設ける必要が無くなる。 【0045】また、本実施形態によれば、燃料吸収体は、金属円筒体7と燃料吸収可能な円筒状の部材からなる燃料吸収部材6との2層構造からなるものであるから、簡単で且つ触媒体2、3の貫通穴2b、3bに配置可能な構造の燃料吸収体とできる。また、金属円筒体7の周面には、気化した燃料が通過する多数の孔7aが形成されているから、燃料吸収部材6から気化した燃料を孔7aを通して貫通穴2b、3b内に容易に導入できる。 【0046】また、本実施形態によれば、起動用触媒体3および燃料吸収体は、起動用触媒体3の中心部の貫通穴3bに配置された電極体3cにより支持固定されているから、両者の支持を簡単な構造とできる。さらに、主触媒体2は、燃料吸収体および起動用触媒体3を介して電極体3cに支持され、さらに電極体3cは支持部材としての燃焼筒5に支持されているので、主触媒体2の外周と燃焼筒5との間に、緩衝材等の保持部材を設ける必要がなく、簡易な構造とでき、部品数の低減等が図れる。 【0047】(第2実施形態)本第2実施形態を図5に示す。上記第1実施形態では、燃料吸収体が金属円筒体7と燃料吸収部材6との2層構造であったが、本第2実施形態の燃料吸収体60は、燃料吸収部材のみから構成されているものである。燃料吸収部材としては、上記第1実施形態の燃料吸収部材6と同様の部材を用いることができる。 【0048】中空円筒形の燃料吸収体60は、その下部に形成されたスリット状の溝60aにより、電極体3cのアーム31cとを嵌合した後、この嵌合部分を溶接することで電極体3cに固定支持される。その後、上記第1実施形態と同様にして起動用触媒体3を形成する。そして、燃料吸収体60外周を主触媒体2の貫通穴2b内面に固定する。従って、燃料吸収体60は両貫通穴2b、3bに配置されることになる。 【0049】本第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、燃料吸収体60で燃料が気化され燃料吸収体60内部で燃焼用空気との混合気が作れる。また、上記第1実施形態における金属円筒体7を無くすことができるので、部品数の低減が図れる。 (他の実施形態)なお、上記実施形態において、燃料吸収体のうち金属円筒体7は貫通穴2bおよび3bに設けられ、燃料吸収部材6は貫通穴2bのみに設けられているが、燃料吸収部材は貫通穴3bにも設けられていても良い。この場合、発熱抵抗体3aからの熱は直接燃料吸収部材に伝導され、上記実施形態と同様の作用効果を生じる。 【0050】また、上記実施形態において、金属円筒体7と燃料吸収部材6との位置を逆にする、すなわち燃料吸収部材6の外側に金属円筒体7を配置してもよい。その場合には金属円筒体7の周面に多数の孔7aが形成されていなくともよい。また、燃料吸収体は中空円筒でなくとも、複数枚の板が貫通穴に沿って貼付けられたものでもよい。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月13日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開平11−118114 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−279103 |
|