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【発明の名称】 ガスバーナの燃焼方法
【発明者】 【氏名】嶋田 利生

【氏名】池田 勇

【要約】 【課題】燃焼容量(ターンダウン比)に拘わらず材料をほぼ均一に加熱可能なガスバーナの燃焼方法を提供する。

【解決手段】ガスバーナで燃料を燃焼するにあたって、高負荷燃焼の範囲では燃焼ガスノズル内における燃料ガスの流れを乱流状態とする一方、低負荷燃焼の範囲では燃料ガスの流れを層流状態とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスバーナを燃焼するに際し、高負荷燃焼の範囲では燃焼ガスノズル内における燃料ガスの流れを乱流状態とする一方、低負荷燃焼の範囲では燃料ガスの流れを層流状態とすることを特徴とするガスバーナの燃焼方法。
【請求項2】 上記ガスバーナが多孔式スリットガスバーナであり、かつ、低負荷燃焼の範囲が当該バーナの最大燃焼容量の25%以下であることを特徴とする請求項1のガスバーナの燃焼方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスバーナの燃焼方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】工業用加熱炉では、処理材料を均一に加熱するために、炉内温度の均一化を図ることが重要である。ところで、気体燃料の燃焼を化学的な連鎖反応として捉えると、炭素(C)と水素(H)が中心の燃焼反応と、一酸化炭素(CO)が中心の燃焼反応に分けられる。前者は後者よりも反応速度が速く高温で、熱量の少ない可視炎である。これに対して、後者は前者よりも反応速度が遅く低温で、熱量の多い不可視炎である。これらの燃焼反応をたとえば、多孔式スリットガスバーナについてみると、明るい帯状火炎部分が炭素と水素を中心とする燃焼反応領域で、一酸化炭素を中心とする燃焼反応領域はバーナ軸方向の火炎先端側(後流)に位置している。しかし、実際には燃料ガスと燃焼空気は各ノズル内における流れが乱流状態であることから、吐出された直後から燃料ガスの乱流と燃焼空気の乱流とが渾然一体となって上記2形態の燃焼反応が生じている。つまり、可視炎部分でも上記2形態の燃焼反応が同時に起きているが、燃焼反応速度の違いより、可視炎部分と不可視炎部分が存在することになる。そして、燃料ガスと燃焼空気を共に乱流状態で吐出しながらガスバーナの燃焼容量を低下(ターンダウン)させていくと、燃焼容量の減少と共に炉内熱量分布におけるピークが徐々に顕在化し、燃焼容量が25%以下になると、材料温度の不均一化が許容限度を越える。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、燃焼容量に拘わらず材料をほぼ均一に加熱可能なガスバーナの燃焼方法を提供することを目的とし、ガスバーナを燃焼するに際し、高負荷燃焼の範囲では燃焼ガスノズル内における燃料ガスの流れを乱流状態とする一方、低負荷燃焼の範囲では燃料ガスの流れを層流状態とすることを特徴とするものである。また、本発明にかかるガスバーナの燃焼方法の第2の形態は、上記ガスバーナが多孔式スリットガスバーナであり、かつ、低負荷燃焼の範囲が当該ガスバーナの最大燃焼容量の25%以下であることを特徴とするものである。
【0004】
【発明の作用効果】上記燃焼方法によれば、ガスバーナ燃焼時の燃焼容量が当該ガスバーナの低負荷燃焼であっても、炉内の熱量分布はほぼ均一な状態に保たれ、これにより材料は均一に加熱される。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。図1と図2は多孔式スリットガスバーナ(以下、「バーナ」と略す。)10を示す。バーナ10は水平方向に延びる長方形のバーナタイル12を備えており、このバーナタイル12が炉壁14に固定されている。バーナタイル12には所定の間隔を置いてほぼ等間隔に複数の燃料ガスノズル(以下、「燃料ノズル」という。)16が配置されており、各燃料ノズル16から炉内18に燃料ガスが吐出されるようになっている。バーナタイル12には各燃料ノズル16を包囲する矩形状の空気ノズル20が形成され、この空気ノズル20から炉内18に吐出された燃焼空気が燃料ガスと混合されるようになっている。このように構成されたバーナ10では、燃料ノズル16と空気ノズル20からそれぞれ燃料ガスと燃焼空気が炉内18に吐出されて火炎が形成される。
【0006】上記バーナ10について、燃焼容量と炉内温度分布、燃焼容量と炉内抜熱量比との関係を調べるために実験を行った。なお、炉内抜熱量比とは、炉内の幅方向に配置した複数の水冷パイプが抜熱した熱量(炉内抜熱量)と各水冷パイプの平均より求めた平均熱量との比率をいうものである。
実験1:ターンダウン比を100%,75%,50%及び25%に設定し、いずれのターンダウン比の場合でも、燃料ノズル16内を流れる燃料ガスの流れを乱流状態(レイノズル数:2300以上)とし、また、空気ノズル20を流れる燃焼空気の流れを乱流状態として、各ターンダウン比について火炎形状を観察すると共に炉内温度分布と炉内抜熱量比を求めた。
【0007】実験1の結果、ターンダウン比の減少と共に火炎は直進性を失って徐々に浮き上り現象を生じ、炉内温度分布はターンダウン比に拘わらずほぼ同一の傾向を示し、バーナ軸方向に関して後流側に向かうにしたがって炉内温度は徐々に減少する傾向を示した。一方、炉内抜熱量比はターンダウン比の減少と共に不均一性が増加し、特にターンダウン比が25%では許容限度を越えた。
【0008】実験2:ターンダウン比25%の場合についてのみ、燃料ノズル16内を流れる燃料ガスの流れを層流状態(レイノルズ数:2300以下)とし、各ターンダウン比について炉内温度分布と炉内抜熱量比を求めた。実験2の結果を、図3(ターンダウン比と炉内温度分布)と図4(ターンダウン比と炉内抜熱量比)に示す。なお、図3の縦軸は炉内温度比で平均炉内温度を100としたときの炉内各位置における比率を示すもので、また、図4の縦軸は炉内抜熱量比を示すものである。
【0009】そして、図3は、ターンダウン比が25%であっても、他のターンダウン比の場合と同様の炉内温度分布が得られることを示す。図4は、ターンダウン比が減少するとバーナ軸方向に関して火炎基端側の炉内抜熱量が上昇する傾向を示し、ターンダウン比25%の場合に乱流状態で燃料ガスを供給すると炉内抜熱量の位置変動は極めて大きくなる(本実験結果は図示せず)が、ターンダウン比が25%の場合にあっても層流状態で燃料ガスを供給すれば炉内抜熱量の位置変動が減少してほぼ均一な材料の加熱状態が得られることを示す。
【0010】ターンダウン比が25%の場合に、燃料ガスを乱流と層流で供給した場合の違いを検討してみる。燃料ガスを乱流状態で供給した場合、図5に示すように、火炎基端側の熱量が高く、火炎先端側に向かうにしたがって除々に熱量が減少していく傾向を示す。これは、燃料ノズル16から吐出した燃料ガスは空気ノズル20から吐出した燃焼空気と素早く混合して燃焼反応を生じるものと考えられる。これに対して、燃料ガスを層流状態で供給した場合、図6に示すように、火炎基端側から順次熱量が減少していく傾向を示す。これは燃料ノズル16から吐出した燃料ガスはその後も層流状態で直進性を保つことから、最外層の燃料ガス層から徐々に炭素と水素が中心の燃焼反応と一酸化炭素が中心の燃焼反応がバーナ軸方向に同時に進行していくものと、また、炭素と水素を中心とする反応速度の速い燃焼反応は可視火炎を発した時点で自らの浮力で舞い上がるが、一酸化炭素を中心とする燃焼反応は燃料ガスの層流状態及び直進性が保たれている限りバーナ軸方向に連続していき、バーナ軸方向後流(バーナ遠方)に均一な熱量分布をもった擬定常状態の高温ガス塊を形成するものと考えられる。なお、一酸化炭素が中心の燃焼反応は可視火炎の後流域でも生じているが、この領域での熱量はバーナ軸方向後流に形成される擬定常状態の高温ガス塊よりも小さいと考えられる。
【0011】実験3:ターンダウン比100%から25%では燃料ガスを乱流状態で供給すると共にターンダウン比25%以下では燃料ガスを層流状態で供給した場合(本発明)と、ターンダウン比が25%以下でも乱流状態で燃料ガスを供給した場合(比較例)の、材料温度差(同一材料内における最大温度と最小温度の差)を求めた。実験3の結果、図7に示すように、本発明では比較例に比べて材料温度差が約5度低く、比較例に比べて均一な材料加熱が達成できることが確認できた。
【出願人】 【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
【公開番号】 特開平11−14017
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−167022