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【発明の名称】 耐圧部の寿命監視装置
【発明者】 【氏名】時吉 巧

【氏名】田中 保幸

【氏名】横山 知充

【氏名】藤田 正昭

【要約】 【課題】ボイラの管寄せリガメント部内周面の温度を検出する温度センサの設置に伴う寿命監視装置の不具合を解消できる耐圧部の寿命監視装置を提供する。

【解決手段】耐圧部の寿命監視装置は、耐圧部1の寿命を監視する寿命消費10の演算に必須の、リガメント部11の内周面温度をリガメント部11から突出させた管台20の外周面に設けるようにした温度センサF26で計測するようにした。これにより、上述した従来の寿命監視装置の不具合を解消し、より正確な耐圧部の寿命予測ができるとともに、既設ボイラ等の耐圧部の寿命監視装置に容易に適用でき、既設ボイラ等においても、寿命予測が容易に、しかも正確にできるようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 管寄せリガメント部を設けた耐圧部各部の温度、および前記耐圧部内部の圧力の検出値から前記耐圧部の寿命消費を演算し、前記耐圧部の寿命監視を行うようにした耐圧部の寿命監視装置において、前記管寄せリガメント部の内周面温度を検出する温度センサが、前記管寄せリガメント部から外部に突出された管台外周面に設けられていることを特徴とする耐圧部の寿命監視装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボイラのスーパーヒータヘッダ、リヒータヘッダ等、管寄せリガメント部を設けるようにした高温厚肉の耐圧部の寿命監視装置に係わり、特に、寿命消費演算に必要な管寄せリガメント部における内周面の温度を、穴開け加工作業が難しい既設の耐圧部の管寄せリガメント部に穴開け加工することなく、検出できるようにした耐圧部の寿命監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の寿命監視装置は、ボイラ等の厚肉耐圧部における一般部の内、外周面の温度を計測し、これから熱応力を計算して一般部の寿命監視のみを行うようにしていた。
【0003】しかし、最近の欧米での知見によれば、ボイラ厚肉耐圧部の損傷は、一般部ではなく管寄せリガメント部、すなわち、耐圧部に管台を取り付ける部分である管穴貫通周辺部に多発することが知られるようになってきている。このため、一般部の内、外周面の温度を計測して行うようにした、従来の一般部の寿命監視のみでは信頼性において不安のあるものとなってきた。このような従来の寿命監視装置の信頼性における不安を解消するため、本出願人は、特願平7−55608号「耐圧部の寿命監視装置」を提案した。
【0004】この装置においては、図4に示すように、耐圧部1の寿命消費を演算するための耐圧部1各部の温度を検出する温度センサ2は、特に、寿命消費の監視を必要とする対象である管寄せリガメント部11の内、外周面および管寄せリガメント部11の反対側である一般部12の内、外周面にそれぞれ配設されて、管寄せリガメント部11の内面温度T2 、外面温度T1 、および一般部の内面温度T4 、外面温度T3 を検出し、各温度信号を出力するようにしている。
【0005】また、配置上の都合等により、内周面又は外周面ではなく内周面近傍又は耐圧部1の中央部にセンサ2′を取り付けるようにした場合には、例えば、2次曲線で温度分布を近似し、内面温度T2 ,T4 および外面温度T1 ,T3 を推定して求め、各温度信号を出力するようにする事も可能である。このような温度センサ2,2′で計測された内面温度T2 ,T4 および外面温度T1 ,T3 の各温度信号は、熱応力計算装置3に入力され、数1により管寄せリガメント部11に、これらの内面温度T2 ,T4 および外面温度T1 ,T3 で生じる熱応力σが算出される。
【0006】
【数1】

【0007】また、応力範囲演算装置13は、熱応力計算装置3で新しく計算された熱応力σと、メモリー4中に温度検出の都度計算されて入力された熱応力とを比較して、最大応力範囲を求め、そのデータを疲労損傷評価装置5へ送る。疲労損傷評価装置5では、この入力された最大応力範囲のデータから疲労損傷率Df を算出する。
【0008】一方、内圧応力計算装置7は、耐圧部1の内部に設けた圧力センサ6からの内部圧力の出力信号を受け、この出力信号から内圧応力を算出し、この内圧応力をクリープ損傷評価装置8へ送る。クリープ損傷評価装置8では、この入力された内圧応力からクリープ損傷率Dcを算出する。
【0009】疲労損傷評価装置5で算出された疲労損傷率Df 、およびクリープ損傷評価装置8で算出されたクリープ損傷率Dc は、それぞれ加算器14へ送られ、加算器14では疲労損傷率Df およびクリープ損傷率Dc を加算して、その結果を寿命消費演算装置9へ送る。寿命消費演算装置9では、この入力された疲労損傷率Df とクリープ損傷率Dcの加算値から、監視対象の管寄せリガメント部11の寿命消費10を算出して、耐圧部1において、特に損傷が多発する管寄せリガメント部11の寿命監視を行うようにしている。
【0010】しかしながら、本出願人が提案したこの耐圧部1の寿命監視装置では、従来の一般部の内、外周面の温度を計測して行うようにした耐圧部の寿命監視では、信頼性において不安があり、厚肉耐圧部1で最も損傷を起こすことが知られてきた管寄せリガメント部11の寿命消費が、実機の挙動に即して定量的に算出されるので、ボイラ等の耐圧部1の管寄せリガメント部11の損傷程度が常時監視でき、耐圧部1の構造信頼性が向上する利点がある反面、耐圧部1の一般部12の内、外周面に加えて、温度センサ2を管寄せリガメント部11の内、外周面、又は温度センサ2′の如く、内、外周面の近傍に取り付けて、温度データを取得するようにしているために、既設ボイラ等に、新たにこのような耐圧部の寿命監視装置を取り付ける場合、特に、管寄せリガメント部11の内周面に温度センサ2を取付ける場合に、不具合が発生することがある。
【0011】すなわち、管寄せリガメント部11外周面には、本図では図示省略している多数の管台20を取り付けるようにしているため、温度センサ2,2′設置のための耐圧部1の管寄せリガメント部11での穴開け加工作業が困難であり、管寄せリガメント部内周面の温度を計測する温度センサ2,2′の設置が難しくなるという不具合があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐圧部において損傷が多発することが知られてきた、管寄せリガメント部の損傷状況が常時定量的に把握され、耐圧部全体としての構造信頼性を向上させることができる反面、特に、多数の管台が設けられ、穴開け加工作業が難しく、管寄せリガメント部の内周面の温度を検出する温度センサの設置が困難であった、従来の耐圧部の寿命監視装置の不具合を解消するため、温度センサを管台の外周面に取付けて、この温度センサにより、耐圧部の管寄せリガメント部の寿命監視に必要な管寄せリガメント部内周面の温度を検出できるようにした耐圧部の寿命監視装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の耐圧部の寿命監視装置は、次の手段とした。
【0014】管寄せリガメント部を設けた耐圧部の管寄せリガメント部を含む各部の温度および耐圧部内部の圧力の検出値から耐圧部の寿命消費を算出し、耐圧部の寿命監視を行うようにした耐圧部の寿命監視装置において、管寄せリガメント部の寿命消費の演算に必要な管寄せリガメント部の内周面温度を検出する温度センサを、管寄せリガメント部から外部に向けて突出された管台外周面に設けるものとした。
【0015】これにより、管寄せリガメント部の内周面温度を検出する温度センサの設置が、多数の管台が取り付けられている管寄せリガメント部の穴開け加工作業を行うことなくできるようになり、設置がきわめて容易になり、管寄せリガメント部の内周面温度データの取得が容易になるとともに、内周面の正確な温度データが得られるようになる。
【0016】特に、管寄せリガメント部を設けた既設ボイラ等への、新たな耐圧部の寿命監視装置が設置が容易になるため、耐圧部で最も損傷を起すことが知られてきた管寄せリガメント部の寿命消費が、実機の挙動に即し定量的に、常時算出できるようになるので、ボイラ等の耐構造にされた耐圧部の信頼性を著しく向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の耐圧部の寿命監視装置の実施の一形態を、図面にもとづき説明する。図1は、本発明の耐圧部の寿命監視装置の実施の第1形態を示す温度センサの取付位置における耐圧部の横断面図、並びにこれらの温度センサからの温度信号および耐圧部内に設けた圧力センサからの圧力信号から耐圧部の寿命消費を算出する装置を示すブロック図、図2は図1に示す矢視A−Aにおける管寄せリガメント部の部分外周面を示す図である。なお、図において図4に示す部材と同一部材には同一符号を符して説明は極力省略した。
【0018】図において、20は管寄せリガメント部11に貫通された穴27に差し込まれた管台、21は耐圧部1の一般部12の外周面に設置された温度センサA、22は一般部12の管厚の中間部に埋設された温度センサB、23は一般部12の内周面近傍に埋設された温度センサC、24は管寄せリガメント部11の外周面で図2に示すように周方向に間隔hで配置された管台20の隣接する管台20の中央部に設置された温度センサD、25は管寄せリガメント部11の外周面で図に示すよう軸方向に間隔lで配置された管台20の隣接する管台20の中央で、温度センサD24と同一の周位置に設けられた温度センサE、26は管台20の一般部外周面に設けた温度センサFである。
【0019】すなわち、設置が容易にできる温度センサA〜E 21〜25は、図4に示す従来の耐圧部の寿命監視装置と同様に、耐圧部1の管寄せリガメント部11の外周面、一般部12の外周面に設けられる温度センサ2および一般部12の耐圧部1内に設けられる温度センサ2′と同様にして配設するようにしている。
【0020】しかしながら、管寄せリガメント部11の内周面温度を計測するために管寄せリガメント部11の内周面に従来設けていた温度センサ2については、管台20外周面の一般部に設けた温度センサF26で代用して計測するようにした。これは、温度センサF26の取付けが容易であるばかりでなく、管寄せリガメント部内面は多数の穴27が空けられており、温度応答が早く、その温度応答が肉厚の薄くされた管台11の一般部外周面での温度が管寄せリガメント部の内周面の温度と等しくなる温度応答が早く、同等にできるためである。
【0021】これらの仮定については、図3に示す非定常温度分布計算結果により妥当である事を確認した。
【0022】すなわち、図3に示すように本非定常温度分布計算結果に示すように、温度センサA21、温度センサB22および温度センサC23のそれぞれを模擬する温度出力位置J2041、J2036、およびJ2055のメタル温度は、それぞれ▽、△および菱形で示すように、耐圧部1の温度を上昇させたとき、当然ながら温度差を保って上昇するが、一般部12の内周面温度を計測する温度センサC23、および管台10の外周面温度を計測する温度センサF26のそれぞれを模擬する温度出力位置J2055およびJ810のメタル温度である菱形、□は、耐圧部1の温度を上昇させたとき管寄せリガメント部11内周面の温度出力位置J528のメタル温度○と略一致して上昇しており、管寄せリガメント部11内周面の温度が、管台20の一般部外周面に設けた温度センサF26で計測できることが確認された。
【0023】このように、管寄せリガメント部11の内周面の温度計測位置を、管台20の外周面で代用することにより、既設ボイラに、新たに本実施の形態の耐圧部の寿命監視装置を取り付ける場合等に、外面に多数の管台20が設置されている管寄せリガメント部11の狭隘な箇所で、管寄せリガメント部11の内周面の温度計測を行う温度センサを設置するための穴開け加工を行う必要が無くなり、温度センサの取付が容易になり、本出願人が提案した従来の耐圧部の寿命監視装置の不具合が解消でき、厚肉耐圧部1で最も損傷を起こすことが知られてきた、管寄せリガメント部11の寿命消費が実機の挙動に即して定量的に算出され、ボイラ等の耐圧部1の管寄せリガメント部11の損傷程度が常時監視でき、耐圧部1の構造信頼性が向上する利点を既設ボイラ等においても享有できるようになる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐圧部の寿命監視装置によれば、寿命消費の演算に必要な耐圧部の管寄せリガメント部の内周面温度を、管寄せリガメント部から外部に突出させて設けた管台の外周面に設置した温度センサで検知するようにした。
【0025】これにより、耐圧部の寿命監視に必須となる管寄せリガメント部の内周面の温度を検出するための温度センサの設置が、多数の管台を取り付け、狭隘な管寄せリガメント部の穴開け加工作業を行うことなくできるようになり、耐圧部の寿命監視設置がきわめて容易になり、管寄せリガメント部の内周面の温度が容易にできるとともに、正確な温度データが得られ、精度の高い寿命消費が算出でき、精度の高い耐圧部の寿命監視ができ、ボイラ等の耐圧部の構造信頼性が向上する。
【0026】また、狭隘な管寄せリガメント部の穴開け加工作業を必要とする管寄せリガメント部の内周面の温度を検出する内周面に設置する温度センサの設置が不要になるため、耐圧部の寿命監視装置の既設ボイラ等への適用が容易になり、既設ボイラ等の寿命監視ができ、不慮の事故の発生等を確実に防止できる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】石川 新 (外1名)
【公開番号】 特開平11−132406
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−298561