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【発明の名称】 照明機器用反射体基材および照明機器用反射体
【発明者】 【氏名】富樫 直行

【氏名】町田 英明

【要約】 【課題】軽量で表面平滑性、安全性、成形性、耐熱性および取扱性がすぐれた照明機器用反射体基材および反射層形成時の前処理が不要で大量生産に適し、軽量で鏡面性が高く、耐熱性、放熱性、安全性および取扱性がすぐれると共に、低コストかつ高品質の照明機器用反射体を提供する。

【解決手段】本発明の照明機器用反射体基材1は、芳香族ポリイミドフィルムまたは芳香族ポリアミドフィルムの成形体からなることを特徴とする。また、本発明の照明機器用反射体8は、芳香族ポリイミドフィルムまたは芳香族ポリアミドフィルムの成形体からなる反射体基材1上に、反射材を蒸着することにより反射層10を形成したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 芳香族ポリイミドフィルムまたは芳香族ポリアミドフィルムの成形体からなることを特徴とする照明機器用反射体基材。
【請求項2】 前記成形体が前記フィルムを加熱型押し成形または真空成形することにより形成されたことを特徴とする請求項1に記載の照明機器用反射体基材。
【請求項3】 前記成型体が、反射面を形成する本体部、外フランジ部および内フランジ部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の照明機器用反射体基材。
【請求項4】 芳香族ポリイミドフィルムまたは芳香族ポリアミドフィルムの成形体からなる反射体基材上に、反射材を蒸着することにより反射層を形成したことを特徴とする照明機器用反射体。
【請求項5】 前記反射層がアルミニウムまたは銀の蒸着により形成されていることを特徴とする請求項4に記載の照明機器用反射体。
【請求項6】 前記成形体が、反射面を形成する本体部、外フランジ部および内フランジ部を有し、少なくとも前記本体部に反射層が形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の照明機器用反射体。
【請求項7】 ランプリフレクタとして使用することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の照明機器用反射体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として自動車のヘッドライトやフォグライトなどのランプリフレクタとして使用する照明機器用反射体基材およびこの基材から形成される照明機器用反射体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のヘッドライト(前照灯)やフォグライトの反射体(ランプリフレクタ)としては、ガラス、アルミニウムなどの金属およびポリフェニレンサルファイドや不飽和ポリエステル樹脂などのプラスチックの射出成形体または圧縮成形体などからなる反射体基材に、反射物質としてアルミニウム、ニッケル−クロム合金および酸化チタンなどを用いた金属反射層を形成したものが主として用いられている。
【0003】すなわち、自動車のヘッドライト(前照灯)およびフォグライトには、光源としてハロゲン球およびキセノン球などの電球が使用され、電球の口金部付近の温度は200℃以上に加熱されることがあるため、反射体基材としてはガラス、金属あるいはガラス繊維や炭酸カルシウムなどの無機強化材を混入することにより耐熱性を向上させたプラスチックの射出成形体または圧縮成形体(強化樹脂成形体)などが使用されているのである。
【0004】しかるに、ガラスを反射体基材とするものは、重量が大きいことおよび破損しやすいことなどの問題点があった。
【0005】また、金属および強化樹脂成形体を反射体基材とするものは、重量が大きいことに加えて、反射鏡面性能(平滑性)を向上させるために、反射物質を蒸着する前に樹脂コートなどの二次加工を必要とし、製造工数が多いことなどの問題を有していた。
【0006】しかも、強化樹脂成形体を反射体基材とするものは、金属を反射体基材とするものに比較し軽量であるが、基材強度の観点、また、成形技術上の制約からから相当の肉厚を必要とするため、基材自体の放熱性が低く、プロジェクター型などの蓄熱しやすい構造をもつランプにおいては、形状保持に耐熱的な不安があり、またハウジング内の温度上昇を助長して電球自身の寿命を短くするという問題があった。
【0007】さらに、強化樹脂成形体を反射体基材とするものは、ランプの点灯加熱時に塩素化合物などのガスを発生することがあり、このガスがヘッドライトなどの前面レンズに付着凝固してレンズを曇らせ、ランプ性能を低下させるという問題をも包含していた。
【0008】一方、実公昭62−10887公報には、アルニウム蒸着により鏡面処理されたフィルムシートからなるシート製反射体が記載されており、このシート製反射体は鏡面性を得るための脱脂などの前処理が不要であることが開示されているが、ここで用いられるフィルムシートは耐熱性に劣るポリエチレンであることから、このシート製反射体をハロゲン球などの高発熱ランプを用いたヘッドランプなどの反射体として適用することは、耐熱形状保持力の点で不可能であった。
【0009】また、特公平5−88481号公報には、ポリイミド樹脂およびポリエーテルケトン樹脂製フィルムからなる反射体基材に可視光反射赤外線透過多層膜を形成した反射鏡が記載されており、この反射鏡はフィルムからなる基材の軽量性、破損しにくさなどに加え、ポリイミド樹脂などを使用することによりハロゲン球などの発熱にも耐え得るものであることが開示されているが、この反射鏡は可視光反射赤外線透過多層膜を基材上に形成したものであって、自動車用ヘッドライトおよびフォグライトの反射体としては実用できないものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0011】したがって、本発明の第1の目的は、軽量で表面平滑性、安全性、成形性、耐熱性および取扱性がすぐれた照明機器用反射体基材を提供することにある。
【0012】また、本発明の第2の目的は、反射層形成時の前処理が不要で大量生産に適し、軽量で鏡面性が高く、耐熱性、放熱性、安全性および取扱性がすぐれると共に、低コストかつ高品質の照明機器用反射体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するために、本発明の照明機器用反射体基材は、芳香族ポリイミドフィルムまたは芳香族ポリアミドフィルムの成形体からなることを特徴とするものである。
【0014】本発明の照明機器用反射体基材は、それ自体の耐熱性がすぐれた特定のプラスチックフィルムの成形体からなるため、その表面平滑性が良好で反射層形成時の前処理が不要であり、加熱型押し成形などの簡易な成形法により低コストに得ることができ、しかもきわめて軽量で破損し難いことから安全性および取扱性にすぐれるものである。
【0015】なお、本発明の照明機器用反射体基材においては、成形体が前記フィルムを加熱型押し成形することにより形成されたことおよび成形体が反射面を形成する本体部、外フランジ部および内フランジ部を有することが好ましい条件であり、これらの条件の適用により上記の効果をさらに高めることができる。
【0016】また、上記第2の目的を達成するために、本発明の照明機器用反射体は、芳香族ポリイミドフィルムまたは芳香族ポリアミドフィルムの成形体からなる反射体基材上に、反射材を蒸着することにより反射層を形成したことを特徴とするものである。
【0017】本発明の照明機器用反射体は、それ自体の耐熱性および表面平滑性がすぐれた特定のプラスチックフィルムの成型体からなる反射体基材上に蒸着による反射層を形成してなるため、反射層蒸着前に樹脂コーティングなどの前処理を行う必要がなくて、大量生産により低コストに得ることができ、しかもきわめて軽量で破損し難く、ランプ点灯時に実用上障害となる脱ガスを生じないことから、放熱性、安全性および取扱性にすぐれるばかりか、耐熱性および鏡面性が高く、ランプリフレクタとして高品質の性能を発揮するものである。
【0018】なお、本発明の照明機器用反射体においては、反射層がアルミニウムまたは銀の蒸着により形成されていること、成型体が反射面を形成する本体部本体部、外フランジ部および内フランジ部を有し、少なくとも前記本体部に反射層が形成されていることおよびランプリフレクタとして使用することが好ましい条件であり、これらの条件の適用により上記の効果をさらに高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、図面にしたがって、本発明の照明機器用反射体基材および照明機器用反射体についてさらに詳述する。
【0020】図1は本発明の照明機器用反射体基材の一例を示す一部破断斜視図、図2は本発明の照明機器用反射体の一例を示す一部破断側面図である。
【0021】図1に示したように、本発明の照明機器用反射体基材1は、芳香族ポリイミドフィルムまたは芳香族ポリアミドフィルムを加熱型押し成形することにより得られた成型体からり、反射部を形成する本体部2、外フランジ部4および内フランジ部6を有するものであって、この例は自動車用ヘッドライトのランプリフレクタベースとしてのとして構成したものである。
【0022】この照明機器用反射体基材1においては、本体部2の表面平滑性はフィルムの時の平滑性をそのまま保持しており、何らの前処理を施さずとも、投光機用反射面を得るに十分な性能を有している。
【0023】なお、本体部2の強度が問題になるような場合には、プラスチックの射出成形、金属のプレスおよびFRPなどによるフレームを、本体部2の外側に取り付けることにより容易に補強することができる。
【0024】図1に示した実施例では、本体部2を回転抛物面からなる単純な反射面形状としたが、目的に応じて、例えば本体部2を多面体とするなどの成形可能な形状であれば、任意の形状を選択することが可能である。
【0025】また、図2に示す照明機器用反射体8は、図1に示す反射体基材1の内周面に、アルミニウムなどの反射材を公知の手段で蒸着することにより、反射層10を形成している。この反射層10の形成工程においては、反射体基材1がフィルム時の平滑性をそのまま保持しているため、樹脂コーティングや脱脂などの前処理を一切行う必要がない。
【0026】なお、図2に示した照明機器用反射体基材2においては、内フランジ部6の中央に電球(図示せず)の差込口12を開口し、この差込口12の周囲に内フランジ6aを形成することにより、ランプリフレクタを構成している。
【0027】図1に示した反射体基材1においては、外フランジ部4を図2に示す反射体8の最終形状に成形したが、工業的には1枚のフィルムに複数個の反射体基材1を並べて成形し、蒸着処理してから外フランジ部4の外形を整えながら切り離すようにすることもできる。
【0028】上記の構成において、照明機器用反射体基材2を形成するフィルムとしては、それ自体の耐熱性がすぐれた芳香族ポリイミドフィルムあるいは芳香族ポリアミドフィルムが使用され、このフィルムの厚さは通常のフィルムとして供給されている厚さ、例えば数マイクロメートルから数百マイクロメートル程度のものが使用可能である。
【0029】フィルムは延伸および未延伸のものをいずれも使用することができるが、加工性改善などを目的として無機質または有機質の添加物を含有するフィルムは、一般に反射体基材1の表面平滑性を低下させることになるため好ましくない。
【0030】そして、本発明の照明機器用反射体基材1は、前記フィルムの加熱型押し成形、真空成形および高圧ガス吹付け成型などの手段で所望の形状に成型することにより得られるが、この成型方法は基材表面に傷を付けることのないない手段であれば特に限定はなく、なかでも加熱型押し成形が工程的に最も有利である。
【0031】この照明機器用反射体基材1に反射材として蒸着させる金属としては、反射率の観点からアルミニウムまたは銀が最も適しているが、化学的に安定した金属化合物を適宜使用することができ、またクロムおよびニッケル−クロム合金などを反射材あるいはフィルムとの密着強度向上のための下地として使用することもできる。
【0032】反射層10を形成するための蒸着手段としては、真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム法およびイオンプレーティング法などを用いることができるが、本発明は特にこれらに限定するものではない。また、得られた反射層10上に、さらにコーティングや蒸着などにより保護膜を形成して使用してもよい。
【0033】本発明の照明機器用反射体8の形状としては、ヘッドライトやフォグライトとして使用されるいかなる形状のものでもよく、反射層10が反射体基材1の反射必要部分にのみ形成されているものであってももよい。
【0034】また、反射層10を反射体基材1に対して電球と反対側に形成することができ、この場合には反射層10を電球の外側に設けることによって、芳香族ポリイミドフィルムおよび芳香族ポリアミドフィルムの原色である黄色を反射光として得ることができる。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。「カプトン」(米国デュポン社商標名:芳香族ポリイミドフィルム、厚み:75〜125マイクロメートル)を使用し、加熱型押し成形により、図1に示した形状の自動車ヘッドライト用反射体基材(ランプリフレクタ基材)を得た。
【0036】得られたランプリフレクタ基材の表面平滑性は、フィルムの平滑性をそのまま保持しており、投光機用反射面を得るに十分であった。
【0037】次に、上記ランプリフレクタ基材に対し、アルミニウムを公知の真空蒸着法によりで蒸着し、厚み:0.3マイクロメートルの反射層を形成した。この反射層形成工程においては、樹脂コーティングや脱脂などの前処理を行わなかったが、きわめて平滑な蒸着面を形成することができた。
【0038】そして内フランジ部の中央に電球の差込口を開口し、この差込口の周囲に内フランジを形成した。
【0039】得られた反射層の平滑性はきわめて高く、ヘッドライト用ランプリフレクタとして実用した場合に、十分な反射光を得ることができた。
【0040】しかも、この照明機器用反射体は、ヘッドライトの他の部品に比べてきわめて軽量であり、また芳香族ポリイミドフィルムは放熱性に優れ、厚みが薄いことから、ランプの熱が反射体内にこもることを低減でき、反射体およびランプの耐久性を向上させることができた。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の照明機器用反射体基材は、それ自体の耐熱性がすぐれた特定のプラスチックフィルムの成形体からなるため、その表面平滑性が良好で反射層形成時の前処理が不要であり、加熱型押し成形などの簡易な成形法により低コストに得ることができ、しかもきわめて軽量で破損し難いことから安全性および取扱性にすぐれるものである。
【0042】また、本発明の照明機器用反射体は、それ自体の耐熱性および表面平滑性がすぐれた特定のプラスチックフィルムの成形体からなる反射体基材上に、蒸着による反射層を形成してなるため、反射層を蒸着する前に樹脂コーティングなどの前処理を行う必要がなくて、大量生産により低コストに得ることができ、しかもきわめて軽量で破損し難く、ランプ点灯時に実用上障害となる脱ガスを生じないことから、放熱性、安全性および取扱性にすぐれるばかりか、耐熱性および鏡面性が高く高品質の性能を発揮するものであり、自動車のヘッドライトやフォグライトあるいは大型投光器などのランプリフレクタとして有利に使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000103323
【氏名又は名称】オー・エス・イー株式会社
【識別番号】000219266
【氏名又は名称】東レ・デュポン株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
【公開番号】 特開平11−273431
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−96765