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【発明の名称】 蛍光灯安定器
【発明者】 【氏名】岡 成治

【要約】 【課題】本発明は、接着剤を加熱硬化することにより生ずる問題を解消した蛍光灯安定器を提供する。

【解決手段】積層鉄心25,30のジョイント部27,32又はエアギャップ部40に接着剤を使用する蛍光灯安定器において、前記接着剤に常温硬化接着剤を使用することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】積層鉄心のジョイント部又はエアギャップ部に接着剤を使用する蛍光灯安定器において、前記接着剤に常温硬化接着剤を使用することを特徴とする蛍光灯安定器。
【請求項2】前記常温硬化接着剤に、アクリル2液性常温硬化接着剤を使用することを特徴とする請求項1記載の蛍光灯安定器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、照明器具に使用される蛍光灯安定器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の蛍光灯安定器について、図5に示す、グロースタート式40Wトランスタイプの蛍光灯安定器の製造ラインの工程を参照して説明する。
【0003】第1の工程として、主ボビンに電線を巻回して主コイル(以下「Pコイル」)と、補助ボビンに電線を巻回した補助コイル(以下「Sコイル」という)とを作る。
【0004】第2の工程として、最初の工程で作られたPコイルとSコイルとを組合わせる。
【0005】第3の工程として、コアを圧入する。最初に、中央脚積層鉄心であるコアを組合わせたPコイルとSコイルとに嵌入するとともに、当該中央脚鉄心の両端を略ロ字状をした側脚積層鉄心であるコアの内側に圧入して、トランス本体を組み立てる。
【0006】第4の工程として、接着剤をトランス本体のジョイント部又はエアギャップ部に注入する。第3の工程で組み立てられたトランス本体には、中央脚鉄心と側脚鉄心とを結合するジョイント部と、中央脚鉄心と側脚鉄心との間に形成したエアギャップ部を有するものであり、ジョイント部を結合するために当該ジョイント部に接着剤を注入する。また、エアギャップ部の振動・騒音を抑えるために当該エアギャップ部に接着剤を注入する。
【0007】第5の工程として、トランス本体をケース内に組み付けて蛍光灯安定器としてのトランスを組み立てる。それから、トランスの特性検査をする。
【0008】第6の工程として、接着剤を硬化させる。即ち、トランスを誘導加熱ラインと保温・冷却ライン内に通す。それから、再度、トランスの特性検査をする。最後に、仕上げ・梱包する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の蛍光灯安定器としてのトランスの積層鉄心には、ジョイント部とエアギャップ部を有するものがあり、前記ジョイント部を結合するためやエアギャップ部の振動・騒音を抑えるため、特に、後者の用途には、接着剤が不可欠で、当該接着剤には、高硬度,耐熱性などが必要とされる。
【0010】また、耐熱性が良い蛍光灯安定器としてのトランスは、硬化時の加熱温度も高いので、専用の加熱ラインを設ける必要があった。
【0011】そこで、従来の蛍光灯安定器としてのトランスには、加熱硬化型接着剤を使用しており、当該加熱硬化型接着剤をエアギャップ部やジョイント部にそれぞれ注入してトランス本体を組み上げたのち、当該トランス本体をケース内に組み付けて蛍光灯安定器としてのトランスを組み立てた後、当該トランスを誘導加熱炉からなる誘導加熱ラインと保温・冷却ラインとにそれぞれ通過させ、加熱硬化型接着剤を硬化させる。
【0012】蛍光灯安定器としてのトランスを加熱する際、加熱硬化型接着剤の粘度が一時的に緩くなり、エアギャップ部やジョイント部に収まっていた加熱硬化型接着剤の一部が流れることから、蛍光灯安定器としてのトランスの特性がずれることがある。
【0013】このため、特性検査は、蛍光灯安定器としてのトランスを加熱する前と加熱した後にそれぞれ必要とし、計2回の特性検査を行っていた。加熱硬化型接着剤の垂れは、蛍光灯安定器としてのトランスの騒音・振動に影響を与える。
【0014】また、誘導加熱ラインと、その後の保温・冷却ラインは、全製造ラインの3分の1程度を占めているため、製造ラインが長くなり、それだけ、人手が必要となる。
【0015】硬化直前の軟化により、製造ラインに接着剤が垂れ、その結果、製造ラインが汚れてしまい、これがライントラブルの原因となるとともに、ラインのメンテナスが必要になる。
【0016】これを解消するために、ラインを停止する必要があり、その結果、仕掛かり在庫が出来、それを再投入する人手が必要となる。
【0017】加熱後、冷却のための時間とライン長があるため、蛍光灯安定器としてのトランスは完全に冷えず、熱い状態で製品の特性検査や仕上・梱包作業を行っていた。
【0018】このため、熱いままでの特性確認となり、正確な特性の確認が出来ない。また、作業環境も問題である。
【0019】上記に記載したように、以下の問題がある。
【0020】第1には、蛍光灯安定器としてのトランスを加熱することにより、当該トランスの特性がずれるので、加熱の前と加熱の後とに特性検査が必要であった。
【0021】第2には、蛍光灯安定器としてのトランスの加熱により、接着剤の粘度が小さくなり、ジョイント部やギャップ部に入っていた接着剤が垂れ下がり、部分的に接着剤の無い部分が出来、騒音の原因となることがある。
【0022】第3には、加熱後、冷却のための時間とライン長があるため、蛍光灯安定器としてのトランスは、完全に冷えず、熱い状態で製品の最終検査を行うため、正確な特性がはかれない。
【0023】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、接着剤を加熱硬化することにより生ずる問題を解消した蛍光灯安定器を提供することを課題とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するために、請求項1記載の本発明に係る蛍光灯安定器は、積層鉄心のジョイント部又はエアギャップ部に接着剤を使用する蛍光灯安定器において、前記接着剤に常温硬化接着剤を使用することを特徴とするものである。
【0025】請求項2記載の本発明に係る蛍光灯安定器は、前記常温硬化接着剤に、アクリル2液性常温硬化接着剤を使用することを特徴とするものである。
【0026】上記の構成において、加熱硬化型の接着剤を使用せず、常温硬化型の接着剤を使用することにより、蛍光灯安定器としてのトランスを加熱する必要がなくなり、誘導加熱ラインと保温・冷却ラインとが不要になる。
【0027】さらに、接着剤の垂れによる特性のずれや騒音の原因が解消出来る。
【0028】また、常温硬化型接着剤は、加熱硬化に比べ、比較的、硬化時間の選択範囲が広いため、製造ラインに合った硬化時間の接着剤を選択することが出来る。
【0029】さらに、人手,コストが削減でき、ラインの汚れと言った問題も解消できるとともに、作業環境,省エネにも効果がある。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図4を参照して本発明の実施の形態に係る蛍光灯安定器を説明する。図1は本発明に係る例えばグロースタート式40Wトランスタイプの蛍光灯安定器の製造ラインに係る工程を示すとともに、図2〜図4は蛍光灯安定器としてのトランスの構成を示すものである。
【0031】図1に示す蛍光灯安定器製造ラインの工程に沿って、図2〜図4に示した蛍光灯安定器の構成と当該蛍光灯安定器の組み立て工程を説明する。
【0032】蛍光灯安定器としてのトランスは、図2に示すトランス本体を図4に示すようにケース内に収納して組み立てられる。
【0033】前記トランス本体5は、図2に示すように、Pコイル10と、Sコイル20と、これらPコイルとSコイルとにそれぞれ嵌入した略I字状をなす中央脚積層鉄心25と、当該PコイルとSコイルとを嵌入した中央脚積層鉄心25が圧入される略ロ字形をなす側脚積層鉄心30とから構成している。
【0034】第1の工程として、Pコイル10とSコイル20とをそれぞれ組み立てる。
【0035】前記Pコイル10は、長手方向中心線に沿って前記中央脚積層鉄心25が圧入される矩形状の挿入孔12と、電線8が巻回される電線巻回部13とを有する主ボビン11と、当該主ボビンの電線巻回部13に巻回された電線8とから構成している。なお、主ボビン11の一方端には、端子台14が形成され当該端子台には端子9がそれぞれ取り付けられている。
【0036】前記Sコイル20は、長手方向中心線に沿って前記中央脚積層鉄心が圧入される矩形状の挿入孔12aと、電線8aが巻回される電線巻回部22とを有する補助ボビン21と、当該補助ボビンの電線巻回部22に巻回された電線8aとから構成している。なお、補助ボビン21の他方端には、端子台23が形成され当該端子台には端子9がそれぞれ取り付けられている。
【0037】第2の工程として、PコイルとSコイルとを組み合わせる。
【0038】第1の工程で組み立てたPコイルの挿入孔12と、Sコイルの挿入孔12aとを揃わせて直列に配列するとともに、Pコイル10の引き出し線(図示せず)とSコイル20の引き出し線(図示せず)とをそれぞれ端子に接続し、PコイルとSコイルとを組み合わせる。
【0039】第3の工程として、コア圧入する。
【0040】中央脚積層鉄心25からなるコアを組み合わせたPコイルの挿入孔12とSコイルの挿入孔12aにそれぞれ嵌入する。当該中央脚積層鉄心からなるコアをPコイルとSコイルに嵌入した状態では、中央脚積層鉄心の両端部は、PコイルとSコイルの両端からそれぞれ同一寸法だけ突出した形状に形成されている。なお、前記略I字状をなす中央脚積層鉄心25は、両端が円弧状に突出形成された円弧状端部27,27を有する中央脚鉄心26を積層したものから形成されている。
【0041】中央脚積層鉄心25が組み込まれる略ロ字形をなす側脚積層鉄心30は、両端中心線上に前記中央脚積層鉄心の円弧状端部が圧入される円弧状凹部32,32を有するとともに、両側に形成した側部33,33の真ん中から内方に向けて対向する一対の矩形状からなる側脚パス部34,34を有する側脚鉄心31を積層したものから形成されている。
【0042】PコイルとSコイルとを組み付けた中央脚積層鉄心のジョイント部である円弧状端部27,27と、側脚積層鉄心のジョイント部である円弧状凹部32,32とを位置合わせしたのち、中央脚積層鉄心25を側脚積層鉄心30に圧入する。中央脚積層鉄心を側脚積層鉄心に圧入した状態では、図3に示すように、側脚パス部34の先端と中央脚パス部28との間にはエアギャップ部40が形成されている。
【0043】第4の工程として、トランス本体のジョイント部とエアギャップ部とに接着剤をそれぞれ注入する。
【0044】接着剤注入時には、トランス本体の状態で、左右側脚33,33の側脚パス部34,34と中央脚パス部28,28とで形成された両側エアギャップ部40,40に上部からアクリル2液性常温硬化接着剤を注入する。さらに、中央脚積層鉄心の円弧状端部27と側脚積層鉄心の円弧状凹部32とからなるジョイント部に上部からアクリル2液性常温硬化接着剤を注入する。
【0045】第5の工程として、図4に示すように、トランス本体をケースに組み合わせる。
【0046】最初に、トランス本体5を底板2に図示しない方法で取り付けるとともに、カバー3の両端開口に端板4,4をそれぞれ配置しつつ、当該カバー3をねじ7で底板2に螺着固定する。最後に、底板の下面に銘板(図示せず)を貼り付ける。第6の工程として、最終検査となる特性検査をしたのち、仕上・梱包して、完成品となる。
【0047】上記で記載したように、従来技術に示した加熱工程以後銘板貼り前までの工程が、本発明では、すべて省略でき、その間に起こりうる問題点もすべて解消できる。即ち、第5図の点線で囲んだ部分の工程が省略出来る。
【0048】上記実施の形態に係る蛍光灯安定器としてのトランスの作用を説明する。
【0049】本発明に係る蛍光灯安定器としてのトランスは、加熱硬化型の接着剤を使用せず、常温硬化型の接着剤を使用することにより、蛍光灯安定器としてのトランスを加熱する必要がなくなり、加熱ラインと保温・冷却ラインとが不要となることから、ラインの短縮,人員の削減を図ることができる。
【0050】さらに、加熱工程が不要となることから、加熱による特性のズレが無くなり、加熱の前後にあった検査工程が1つになるとともに、接着剤の垂れによる特性のずれや騒音の原因が解消できる。
【0051】また、加熱による接着剤の垂れが無くなり、ラインの汚れが少なくなるとともに、メンテナンス作業が不要になるので省力化を図ることができる。
【0052】さらに、常温硬化型接着剤は、加熱硬化に比べ、比較的、硬化時間の選択範囲が広いため、製造ラインに合った硬化時間の接着剤を選択することが出来る。
【0053】また、人手,コストが削減できるとともに、ラインの汚れと言った問題も解消できる。さらに、作業環境,省エネにも効果がある。
【0054】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、加熱工程が不要となることから、以下の効果がある。
【0055】第1に、ラインの短縮および人員削減を図ることができる。
【0056】第2に、加熱による特性のずれが無くなり、加熱の前後にあった検査工程が1つになる。
【0057】第3に、加熱による接着剤の垂れが無くなり、ラインの汚れが少なくなるとともに、メンテナンス作業が不要となり省力化を図ることができる。
【0058】第4に、常温硬化型の接着剤は加熱硬化に比べ、比較的硬化時間選択範囲が広いため、製造ラインに合った硬化時間の接着剤を選択することが出来る。
【0059】第5に、省エネ化を図ることができる。
【0060】第6に、作業環境の改善を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開平11−185522
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平9−350898