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【発明の名称】 電球形蛍光ランプ
【発明者】 【氏名】御園 勝秀

【要約】 【課題】簡単な構成で、しかも暗所中に長時間留め置いた後でも放電開始が短時間となる電球形蛍光ランプを提供することを目的とする。

【解決手段】本発明の電球形蛍光ランプは、蛍光ランプの電極近傍部位、蛍光ランプを覆っているグローブの内面に長残光性蛍光体が付着されていることを特徴とする。さらに、蛍光ランプのバルブ内面に形成された蛍光体に長残光性蛍光体を5〜10wt%混合してもよい。長残光性蛍光体が初期電子を放出するので、暗所中に長時間留め置いた後、または暗所中で長時間消灯していた後でも放電開始が短時間となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蛍光ランプの電極近傍部位に長残光性蛍光体が付着されていることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項2】 蛍光ランプを覆っているグローブの内面に長残光性蛍光体が付着されていることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項3】 蛍光ランプのバルブ内面に形成された蛍光体に長残光性蛍光体が5〜10wt%混合されていることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項4】 蛍光ランプが始動しないことを検出して点灯出力を停止する点灯制御手段を有した点灯回路が配設されていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、始動性を改善した電球形蛍光ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】電球形蛍光ランプは、白熱電球に比べて高効率、長寿命であり、外形寸法も近年になってさらに小さく構成さきているので、白熱電球の代替が進んでいる。
【0003】ところで、蛍光ランプを長期間倉庫などの暗所中に保存した後、または長期間暗闇雰囲気で消灯していた後で点灯すると、蛍光ランプのバルブ内の初期電子が不足しているため放電開始時間が遅れる。この現象は論文(「電球型蛍光ランプの放電開始遅れ時間の評価」照明学会誌Vol.81,No.2(1997)pp175-179)等でも報告されている。
【0004】そのため、始動時にフィラメント電極を加熱して熱電子を放射させるいわゆる予熱方式によって初期電子を供給し、始動を容易にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、暗所中への長期間放置された蛍光ランプはフィラメント電極の予熱方式によっても初期電子が不足し、始動しないことがある。そこで、不足する初期電子を補うために、フィラメント電極から放射される熱電子の量を多くすることが考えられるが、特に電球形蛍光ランプはさらなる回路の簡素化とコスト低減が必要であり、安易にフィラメントを予熱して熱電子放射量を増やすことはできない。
【0006】また、電球形蛍光ランプの点灯回路として、ランプが一定時間始動しないことを検出してランプの寿命末期と判断し、出力を停止する構成が知られている。この点灯回路の場合、長期間放置された電球形蛍光ランプの始動が遅れたときにランプ寿命と誤って判断して出力を停止し、以後、電球形蛍光ランプが使用できなくなってしまうという不具合が生じるおそれがあった。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するものであって、簡単な構成で、しかも暗所中に長時間留め置いた後でも放電開始が短時間となる電球形蛍光ランプを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を達成するための手段】請求項1の電球形蛍光ランプは、蛍光ランプの電極近傍部位に長残光性蛍光体が付着されていることを特徴とする。
【0009】請求項2の電球形蛍光ランプは、蛍光ランプを覆っているグローブの内面に長残光性蛍光体が付着されていることを特徴とする。
【0010】請求項3の電球形蛍光ランプは、蛍光ランプのバルブ内面に形成された蛍光体に長残光性蛍光体が5〜10wt%混合されていることを特徴とする。
【0011】請求項4は、請求項1ないし3いずれか一記載の電球形蛍光ランプにおいて、蛍光ランプが始動しないことを検出して点灯出力を停止する点灯制御手段を有した点灯回路が配設されていることを特徴とする。
【0012】上記請求項の各発明では、電球形蛍光ランプの適当な部位に長残光性蛍光体を塗布したことを特徴とする。
【0013】長残光性蛍光体は、特に近紫外線(波長300〜380nm)で励起されて発光するものであり、例えば ユーロピウム、ジスプロシウム共付活アルミン酸ストロンチウム蛍光体(SrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al1425:Eu,Dy)、ユーロピウム、ネオジウム共付活アルミン酸カルシウム蛍光体(CaAl24:Eu,Nd)、銅付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Cu)などが挙げられる。上記各蛍光体の特性を表1に示す。
【0014】
【表1】

通常の蛍光体は、発光強度が1/10に減少する時間(以下、残光時間)はせいぜい数10ミリ秒程度であるが、長残光性蛍光体では数10分と桁違いに長く、この残光特性により長時間に渡ってランプ内に初期電子が作られ、放電開始時間が短くなる。
【0015】特にこの長残光性蛍光体の励起波長は近紫外線であるので、太陽光や人工光で容易に励起される。
【0016】図1は、上記各蛍光体の残光特性を示すグラフである。aはユーロピウム、ジスプロシウム共付活アルミン酸ストロンチウム蛍光体(SrAl2O4:Eu,Dy)、bは同じくユーロピウム、ジスプロシウム共付活アルミン酸ストロンチウム蛍光体(Sr4Al1425:Eu,Dy)、cはユーロピウム、ネオジウム共付活アルミン酸カルシウム蛍光体(CaAl24:Eu,Nd)、dは銅付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Cu)をそれぞれ示す。各蛍光体ともに発光強度が1/100に減衰する時間は約100分にも達する。
【0017】図2は、上記各蛍光体の励起および発光スペクトル特性を示すグラフである。Xは励起スペクトルを、Yは発光スペクトルをそれぞれ示す。aはユーロピウム、ジスプロシウム共付活アルミン酸ストロンチウム蛍光体(SrAl2O4:Eu,Dy)、bは同じくユーロピウム、ジスプロシウム共付活アルミン酸ストロンチウム蛍光体(Sr4Al1425:Eu,Dy)、cはユーロピウム、ネオジウム共付活アルミン酸カルシウム蛍光体(CaAl24:Eu,Nd)をそれぞれ示す。このグラフによれば、各蛍光体は近紫外線(波長300〜380nm)で効率よく励起されることが分かる。
【0018】長残光性蛍光体は、発光色の調整や、残光特性の変更の目的のために、上記の付活剤の他に、別の付活剤を添加するようにしてもよい。
【0019】この長残光性蛍光体は、例えば、水銀の輝線である波長254nmの紫外線で励起される3波長発光形蛍光体からなる蛍光体層とバルブ内面との間に積層形成されたり、3波長蛍光体に混合して塗布されたりしてもよい。
【0020】電球形蛍光ランプは、ガラス、セラミックスなどの透光性材料で形成された放電空間を形成した透光性気密容器を有する。この容器は、U字、W字、H字、鞍形、平板形、直管形状のもの端部同士で連結したものなどのような形状であってもよい。また、容器はグローブなどで覆われていてもよいが、外部に露出したものであってもよい。
【0021】容器内には、水銀蒸気圧を制御するアマルガムが配設されており、希ガスが封入されている。希ガスとしてはアルゴンの他、不活性ガスとしてクリプトン、ネオンまたはヘリウム等が含まれているものを許容する。
【0022】容器内に水銀蒸気圧制御用のアマルガムを用いてもよい。
【0023】点灯回路は、電子安定器およびチョークコイル形安定器などを含み、高周波点灯方式であってもよい。
【0024】容器には放電を生起する電極手段が設けられており、容器内に配設される熱陰極形または冷陰極形の内部電極や、容器外に配設される外部電極、高周波電磁界を印加する励起コイル等が適用可能である。
【0025】本発明によれば、長残光性蛍光体が初期電子を放出するので、暗所中に長時間留め置いた後、または暗所中で長時間消灯していた後でも放電開始が短時間となる。例えば、長時間倉庫などの暗所に留め置いていた場合には、倉庫から取り出したときに照射される太陽光または人工光によって長残光性蛍光体が励起され、初期電子が放出される。また、長時間暗所で消灯されていた場合には、長残光蛍光体が前回点灯時の励起によって初期電子を放射し続けるので、一定時間経過まで始動時間を短くすることができる。
【0026】また、請求項4の電球形蛍光ランプのように、蛍光ランプが始動しないことを検出して点灯出力を停止する点灯制御手段を有している場合であっても、長残光性蛍光体によって始動しやすくなり、点灯回路が不所望にランプ寿命と誤判断して出力を停止して電球形蛍光ランプが使用できなくなるという不具合が生じにくくなる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図3を参照して説明する。
【0028】図3は、一実施の形態の電球形蛍光ランプを示す一部切欠き断面図である。
【0029】Aは電球形蛍光ランプであり、1は管径12mm、電極間距離300mmのダブルU字形に屈曲形成されたソーダライムガラスからなる容器、2はインバーター装置からなる点灯回路3を収納するカバー、4は容器1を覆うようにカバー2に取付けられた透光性を有する光拡散性グローブである。
【0030】5は、カバー2に設けられた仕切板で、点灯回路3カバー2の点灯回路3側と容器1側との空間を区画するとともに、点灯回路3および容器1を支持している。
【0031】6は容器1の内面に10〜20μmの膜厚で形成された蛍光体層で、3波長発光形蛍光体と長残光性蛍光体とが混合されて塗布されている。本実施形態では、長残光性蛍光体としてユーロピウム、ジスプロシウム共付活アルミン酸ストロンチウム蛍光体(SrAl24:Eu,Dy)が使用されており、蛍光体全重量に対して5〜10wt%混合されている。
【0032】7は容器1の端部に形成されたステムに配設されたフィラメント電極であり、容器1の両端に形成されている。この電極手段7は、タングステンのトリプルコイルで構成されており、エミッタとしてアルカリ土類酸化物が塗布されている。
【0033】8は電極手段7のリードワイヤに配設された水銀とインジウムなどからなる補助アマルガムである。この補助アマルガムは8は、点灯始動時に光束が良好に立上がるように電極手段7の加熱によって所望の水銀蒸気圧で水銀を蒸発させる。
【0034】9はステムに設けられた排気管であり、この排気管9には、ビスマス(Bi)−インジウム(In)系の主アマルガム10が固着されている。なお、点灯回路3には給電ピン11が立設されており、電極手段7に接続されているアウターリード12が巻付けられている。13はカバー2の頂部14に取付けられるE26形の口金であり、点灯回路3の電源入力部(図示しない)に電気接続されている。
【0035】この電球形蛍光ランプAは、入力電力15W、ランプ電流200mA、管壁負荷1100W/m2で点灯される。
【0036】なお、グローブ4は必ずしも必要ではなく、例えば容器1が外部に露出した形であってもよい。
【0037】図4は、本実施形態の蛍光ランプを暗黒中に放置したときの放置時間と放電遅れ時間の関係を示すグラフである。aは本実施形態の電球形蛍光ランプ、eは長残光性蛍光体を混合しない従来の電球形蛍光ランプを示す。
【0038】図4から分かるように、長残光性蛍光体が蛍光体全重量に対して5〜10wt%混合されたものは放電開始時間が短くなっている。すなわち、長残光性蛍光体を用いることにより、従来のような暗黒中留め置きによる放電開始の遅れが大幅に改善され、点灯回路の簡素化と瞬時点灯が同時に達成できる。
【0039】なお、上記実施形態によらず、容器1の両端、例えばステム部分に長残光性蛍光体を塗布してもよく、3波長発光形蛍光体と容器1との間に積層するように塗布しても構わない。
【0040】さらに、長残光性蛍光体を容器1へ塗布する以外に、グローブ4の内面に光拡散膜として長残光性蛍光体を形成してもよい。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、近紫外線によって励起される長残光性蛍光体が初期電子を放出するので、暗所中に長時間留め置いた後、または暗所中で長時間消灯していた後でも放電開始が短時間となり、点灯回路を複雑にすることなく簡単な構成によって放電開始の遅れを改善することができる。
【出願人】 【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 順一
【公開番号】 特開平11−111028
【公開日】 平成11年(1999)4月23日
【出願番号】 特願平9−267555