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【発明の名称】 ダクト支持具
【発明者】 【氏名】佐々木 隆幸

【要約】 【課題】ダクトが地震等の外力で形鋼から外れないように支持する。

【解決手段】ずれ止め部材30の規制片32の一面32aとL形鋼5のフランジ6の一方の縁に当接させた状態で、ずれ止め部材30の基部31をL形鋼5の板フランジ6の下面とダクト1の上面との間に挟み、押さえ部材23を、その押圧片25の下端がL形鋼5のフランジ6の上面に当接し且つ係合片26にずれ止め部材30の基部31の他端が係合するように上方から載せ、下方から押さえ部材23にUボルト21のネジ部21a、21aを通し、そのネジ部21a、21aにナット22を締め付ける。これによってダクト1の長さ方向に沿った外力が加わっても、ずれ止め部材30の両端に立設された規制片32、33によって、L型鋼5に対する押さえ部材23のずれが防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ダクトを挿通させるUボルトと、前記Uボルトの両ネジ部を挿通させる穴を有し、該穴に前記Uボルトの両ネジ部を挿通させて前記ダクトの一側面に対向するように取り付けられる押さえ部材と、前記押さえ部材の穴を挿通した前記Uボルトのネジ部に螺合するナットとを有し、既設の型鋼のフランジを前記ダクトの一側面と前記押さえ部材の一端側との間に挟んで前記Uボルトの両ネジ部に前記ナットを締め付けることにより、前記ダクトを前記形鋼のフランジの外面側に該形鋼と交差する向きに支持させるダクト支持具において、前記型鋼のフランジより長く形成された平板状の基部と、前記型鋼のフランジの一方の縁部に外側から当接させるために前記基部の一端側に立設された第1の規制部と、前記押さえ部材の他端側に外側から当接させるために前記基部の他端側で該基部の厚さ方向に形成された第2の規制部とを有し、前記基部が前記型鋼のフランジの外面と前記ダクトの一側面との間に挟まれるように装着されて、前記型鋼のフランジに対する前記押さえ部材のずれを規制するずれ止め部材を設けたことを特徴とするダクト支持具。
【請求項2】前記ずれ止め部材の第2の規制部が、前記第1の規制部からの距離が異なる複数の位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1記載のダクト支持具。
【請求項3】前記ずれ止め部材の第2の規制部の少なくとも一つが、前記第1の規制部と対向するように前記基部の他端側に立設されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のダクト支持具。
【請求項4】前記ずれ止め部材の第2の規制部の少なくとも一つが、基部の他端側に設けられた穴または切欠によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のダクト支持具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建造物等でケーブル等の長尺物を配線・配管したり照明器具を吊支するためのダクトを、その建造物のフレーム等に使用されている既設の形鋼に支持させるためのダクト支持具において、ダクトの外れを防止するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】建造物等においてケーブルやパイプを配線・配管したりあるいは照明器具等を吊支するために、リップ溝形鋼等からなるレースウェイやダクト(以下、これらをダクトと総称する)が用いられている。この種のダクトは、一般的に建造物のフレーム等を構成するL形鋼やH形鋼等に交差するように取り付けられる。
【0003】図10は、ダクトをL形鋼やH形鋼で支持する際に用いられている従来のダクト支持具10を示している。
【0004】このダクト支持具10は、Uボルト11、そのネジ部11aに締め付けるナット12および金属製の押さえ部材13とからなり、押さえ部材13には、Uボルト11のネジ部11a、11aを挿通させるための穴14が設けられている。このダクト支持具10を用いて、ダクト1をL形鋼で支持する場合には、図11の(a)に示すようにL形鋼5のフランジ6の両面を押さえ部材13とダクト1との間に挟んで、押さえ部材13の穴14にUボルト11のネジ部11aを通し、穴14から突出したネジ部11aにナット12を締め付けて、ダクト1をL形鋼5のフランジ6の下面に押し付けて固定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記したような押さえ部材13のボルト固定だけでダクト1を支持するダクト支持具10では、地震等によってダクト1の長さ方向に外力が加わったときに、押さえ部材13の位置が形鋼に対してずれてしまう。
【0006】即ち、図11の(a)に示したようにL形鋼5でダクト1を支持する場合、ダクト1の長さ方向に沿って強い外力Fが右方(図11において)に加わると、L形鋼5に対して、ダクト1とともに押さえ部材13の位置が大きく右方にずれて、図11の(b)のように、押さえ板13がL形鋼5のフランジ6の縁から外れ、ダクト1が落下する危険性がある。
【0007】また、この押さえ部材13の右方へのずれを防ぐためにナット12を強く締め付けると、押さえ部材13自体が変形してしまうという問題があった。
【0008】本発明は、この問題を解決し、地震等の強い外力で形鋼からダクトが外れることを防止したダクト支持具を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の請求項1のダクト支持具は、ダクトを挿通させるUボルトと、前記Uボルトの両ネジ部を挿通させる穴を有し、該穴に前記Uボルトの両ネジ部を挿通させて前記ダクトの一側面に対向するように取り付けられる押さえ部材と、前記押さえ部材の穴を挿通した前記Uボルトのネジ部に螺合するナットとを有し、既設の型鋼のフランジを前記ダクトの一側面と前記押さえ部材の一端側との間に挟んで前記Uボルトの両ネジ部に前記ナットを締め付けることにより、前記ダクトを前記形鋼のフランジの外面側に該形鋼と交差する向きに支持させるダクト支持具において、前記型鋼のフランジより長く形成された平板状の基部と、前記型鋼のフランジの一方の縁部に外側から当接させるために前記基部の一端側に立設された第1の規制部と、前記押さえ部材の他端側に外側から当接させるために前記基部の他端側で該基部の厚さ方向に形成された第2の規制部とを有し、前記基部が前記型鋼のフランジの外面と前記ダクトの一側面との間に挟まれるように装着されて、前記型鋼のフランジに対する前記押さえ部材のずれを規制するずれ止め部材を設けている。
【0010】このため、ダクトの長さ方向に外力が加わっても、型鋼のフランジに対する押さえ部材のずれは、ずれ止め部材の第1の規制部と第2の規制部によって規制され、ダクトが形鋼から外れる恐れはなくなる。
【0011】また、本発明の請求項2のダクト支持具は、請求項1記載のダクト支持具において、前記ずれ止め部材の第2の規制部が、前記第1の規制部からの距離が異なる複数の位置にそれぞれ設けられている。
【0012】このため、1種類のずれ止め部材で型鋼のフランジの幅が異なる種々の型鋼に対応することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1〜3は、建造物内に横架されたL形鋼5の水平なフランジ6の下面側に、リップ溝形鋼からなるダクト1をL形鋼5と交差した状態に取り付けるためのダクト支持具20を示している。
【0014】このダクト支持具20は、図1に示すように、ダクト1を内側に通すことができるUボルト21、Uボルトのネジ部21a、21aに締め付けるナット22、金属製の押さえ部材23およびずれ止め部材30とによって構成されている。
【0015】押さえ部材23は、Uボルト21のネジ部21a、21aの間隔より広い幅を有する矩形平板状の基部24と、基部24の一端側の両端から下方に屈曲された一対の押圧片25、25と、基部24の他端側から下方に屈曲された係合片26とからなり、基部24の中間部には、Uボルト21のネジ部21a、21aを挿通させるための1対の長穴27、27が一直線上に並んで設けられ、係合片26の下端中間部にはダクト1およびずれ止め部材30の第2の規制部33を受け入れるためにダクト1の幅より僅かに広い幅で切り欠かれた切欠部28が形成されている。
【0016】ずれ止め部材30は、ダクト1の幅とほぼ等しい幅で、押さえ部材23およびL型鋼5のフランジ6の幅より長く形成された略長方形の平板状の基部31と、基部31の一端側から上方に屈曲された規制片32と、基部31の他端側から規制片32に対向するように上方に屈曲された規制片33とによって構成されている。なお、基部31の一端側に立設された規制片32はこの実施形態の第1の規制部を形成し、基部31の他端側に立設された規制片33はこの実施形態の第1の規制部を形成するものである。また、基部31の両側部には、ダクト1より幅の狭いダクトを幅の狭いUボルトで支持する場合にUボルトが基部31にぶつかるのを防ぐために、台形状の切欠34、34が設けられている。
【0017】このように構成されたダクト支持具20は、図2、図3に示しているように取り付けられる。即ち、ずれ止め部材30の規制片32の一面32aとL形鋼5のフランジ6の一方の縁に連続するように立ち上がる垂直なフランジ7の一面7aとを当接させた状態で、ずれ止め部材30の基部31をL形鋼5の板フランジ6の下面6aとダクト1の側面(この場合上面)との間に挟み、押さえ部材23を、その押圧片25、25の下端がL形鋼5のフランジ6の上面6bに当接し且つ係合片26の切欠部28にずれ止め部材30の基部31の他端が係合するように上方から載せ、下方から押さえ部材23の長穴27、27にUボルト21のネジ部21a、21aを通し、そのネジ部21a、21aにナット22を締め付ける。
【0018】これによって、押さえ部材23の押圧片25、25がL形鋼5のフランジ6の上面6bを強く押圧して、ずれ止め部材30の基部31がダクト1とL形鋼5のフランジ6の間にはさまれた状態で固定され、ダクト1はL形鋼5に対してほぼ直交する向きに支持される。また、ずれ止め部材30の一方の規制片32の内壁面32a側はL型鋼5のフランジ6の一方の縁(垂直なフランジ7の側面)に外側から当接し、他方の規制片33の内壁面33aは、押さえ部材23の他端側の係合片26に外側から当接した状態となる。
【0019】このように取り付ければ、図3のように、地震等によって水平方向の外力Fがダクト1に加わった場合、その力は、ダクト1に接しているずれ止め部材30およびUボルト21を介して、押さえ部材23をL形鋼5から右方へずらす方向に伝わるが、押さえ部材23の係合片26に規制片33の内壁を当接させているずれ止め部材30の右方への移動は、L形鋼5のフランジ6の左縁に内壁を当接している規制片32によって規制されているので、たとえ、ダクト1がL型鋼5に対して右方へずれても、押さえ部材23の右方へのずれは規制される。このため、ダクト1がL形鋼5から外れることはない。
【0020】また、逆方向の外力F′が加わった場合、その力は、ダクト1に接しているずれ止め部材30およびUボルト21を介して、押さえ部材23をL形鋼5から左方へずらす方向に伝わるが、この方向は、押さえ部材23とL形鋼5のフランジ6との重なりが増す方向であり、しかも、Uボルト21がL形鋼5のフランジ6の先端に当接することで、押さえ部材23の左方への移動を規制するので問題はない。
【0021】このように、押さえ部材23をL型鋼5のフランジ6から離間させるようなダクト1の長さ方向に沿った外力が加わっても、ずれ止め部材30の両端に立設された規制片32、33によって、L型鋼5に対する押さえ部材23のずれが防止されるので、L型鋼5からダクト1が外れる恐れがない。
【0022】なお、この実施形態のずれ止め部材30は、Uボルト21の間を通過できる幅に形成されているので、ずれ止め部材30を用いないで既に取り付けられている従来のダクト支持具に対して、ナットの緩め作業だけでずれ止め部材30を挿入追加することができ、また、新規工事の場合にずれ止め部材30を付け忘れても、その取付け作業が簡単に行なえるという利点がある。
【0023】また、ずれ止め部材30の両端の規制片32、33の間隔(この場合基部31の長さ)は、型鋼のフランジの幅に対応させる必要がある。例えば、図4に示すダクト支持具20′のように、フランジ9の幅が広いI型鋼8(あるいはH型鋼)にダクト1を支持する場合には、前記ずれ止め部材30の基部31より長い基部31′を有するずれ止め部材30′を用いればよい。
【0024】また、図5に示すずれ止め部材40のように、基部41とその一端側に立設された規制片42とを幅広に形成し、基部41の他端側に延設された延設片43の先端に規制片44を設けるとともに、基部41の両側にUボルト21のネジ部を挿通させるための長穴45、45を設けておけば、押さえ部材23、ずれ止め部材40をUボルト21にナット止めした状態で予め一体にしておくことができ、作業が容易になるとともに、部品の管理が容易になる。
【0025】また、前記実施形態のずれ止め部材30では、第2の規制部としての規制片33を一つだけ設けていたが、第2の規制部を第1の規制部としての規制片32からの距離が異なる位置にそれぞれ設けるようにすれば、1種類のずれ止め部材によってフランジ幅の異なる型鋼に対応することができる。また、第2の規制部を基部に設けた穴や切欠で形成することも可能である。
【0026】例えば、図6に示すずれ止め部材50のように、基部51とその一端側に立設された第1の規制部としての規制片52を幅広に形成し、基部51の両側にUボルト21を挿通させるとともに押さえ部材23の係合片26の両端下部を受け入れるための大きな一対の規制穴53、53を設け、さらに、基部51の他端側で一定の間隔を開けて上方に屈曲された一対の規制片54、54を設け、その一対の規制片54、54の間から延びた延設片55の先端から上方に屈曲する規制片57を設けるようにしてもよい。
【0027】このように第2の規制部を複数有するずれ止め部材50を有するダクト支持具では、L型鋼5のフランジ6の幅が狭い場合には、図7および図8の(a)のように、押さえ部材23の係合片26の両端をずれ止め部材50の一対の規制穴53、53の内壁に当接させた状態でUボルト21にナット22を締め付ける。
【0028】また、L型鋼5のフランジ6の幅が広い場合には、図8の(b)のように、押さえ部材23の係合片26をずれ止め部材50の一対の規制片54、54の内壁に当接させた状態でUボルト21にナット22を締め付け、L型鋼5のフランジ6の幅がさらに広い場合には、図8の(c)のように、押さえ部材23の係合片26をずれ止め部材50の規制片57の内壁に当接させた状態でUボルト21にナット22を締め付ける。
【0029】また、前記したずれ止め部材30の規制片33のかわりに、ずれ止め部材50のような一対の規制片54、54と規制片56を設けてもよい。
【0030】また、図9に示すずれ止め部材50′のように、一対の規制穴53、53の後方に、押さえ部材23の係合片26の両端を受け入れる一対の規制穴61、61を設け、さらにその後方に規制片62を立設して、ずれ止め部材50′に対する押さえ部材23の位置を3段階に変えられるようにしてもよく、このずれ止め部材50′の規制片62を省略して、基部51′の一端側の規制片52と基部51′の他端側に設けた規制穴53、61で押さえ部材23のずれを防止するようにしてもよい。
【0031】また、前記実施形態では、L形鋼およびH形鋼の下方でダクトを支持する場合について説明したが、I形鋼、T形鋼等にダクトを支持する場合でも本発明を同様に適用でき、また、形鋼の上方にダクトを支持したり、あるいは、上下方向に架設された形鋼に交差するようにダクトを支持する場合にも本発明を同様に適用できる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のダクト支持具は、既設の型鋼のフランジをダクトの一側面と押さえ部材の一端側との間に挟んで、ダクトを挿通させ押さえ部材の穴にネジ部を挿通させたUボルトをナット締めすることにより、ダクトを形鋼のフランジの外面側に該形鋼と交差する向きに支持させるダクト支持具において、型鋼のフランジより長く形成された平板状の基部と、型鋼のフランジの一方の縁部に外側から当接させるために基部の一端側に立設された第1の規制部と、押さえ部材の他端側に外側から当接させるために基部の他端側で基部の厚さ方向に形成された第2の規制部とを有し、基部が型鋼のフランジの外面とダクトの一側面との間に挟まれるように装着されて、型鋼のフランジに対する押さえ部材のずれを規制するずれ止め部材を設けている。
【0033】このため、ダクトの長さ方向に外力が加わっても、型鋼のフランジに対する押さえ部材のずれは、ずれ止め部材の第1の規制部と第2の規制部によって規制され、ダクトが形鋼から外れる恐れはなくなる。
【0034】また、ずれ止め部材の第2の規制部を第1の規制部から異なる距離の位置に複数設けたダクト支持具では、1種類のずれ止め部材で型鋼のフランジの幅が異なる種々の型鋼に対応することができる。
【出願人】 【識別番号】000136686
【氏名又は名称】株式会社ブレスト工業研究所
【出願日】 平成9年(1997)9月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】早川 誠志
【公開番号】 特開平11−86624
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−252899