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【発明の名称】 電磁遮蔽室の照明装置
【発明者】 【氏名】勝又 陽一

【要約】 【課題】電磁遮蔽を破ることなく電磁遮蔽室の照明を行なえるようにすることである。

【解決手段】電磁遮蔽室10の外部の光源40と、光ファイバ30とを集光可能に接続する。この光ファイバ30を電磁フィルタ50を介して、電磁遮蔽室10内に引込み、電磁遮蔽室10内の照明装置として構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電磁遮蔽室外の光源に集光可能に接続された光ファイバを電磁フィルタを介して電磁遮蔽室内に引き込むとともに、前記電磁遮蔽室内に引き込まれた光ファイバの末端側から光を採光可能に構成したことを特徴とする電磁遮蔽室の照明装置。
【請求項2】 請求項1記載の電磁遮蔽室の照明装置において、前記光ファイバの電磁遮蔽室内への引込みに際しては、引込み部に設けた電磁フィルタのメッシュ間隙に光ファイバが通されていることを特徴とする電磁遮蔽室の照明装置。
【請求項3】 請求項1または2記載の電磁遮蔽室の照明装置において、前記光ファイバは、そのケーブル外周部が電磁遮蔽部材で被覆されていることを特徴とする電磁遮蔽室の照明装置。
【請求項4】 請求項1記載の電磁遮蔽室の照明装置であって、集光に際しては、光ファイバの複数本が束ねられて、その末端側に光収束レンズを設けて、光源からの光を前記光ファイバに通すことを特徴とする電磁遮蔽室の照明装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室外の光源からの光を光ファイバにより室内に導き、電磁遮蔽室の電磁遮蔽を破ることなく照明とする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電磁波の周囲の環境に及ぼす影響について種々の報告がなされている。そこで、かかる電磁波についての種々の詳細な実験、調査を行なうため、研究所等の建物内に電磁遮蔽室を別途設けて実験などが行なわれている。例えば、外部からの電磁波を遮断して、機器類自身から発生する電磁波を測定して、電磁波が発生しない機器類の開発を行なうなど種々の電磁波対策が、電磁遮蔽室を利用した実験を通じて行なわれている。
【0003】また、病院などでは磁気診断装置などを使用して、体内の断層画像から適切な診断を行なっている。かかる磁気診断装置は、強い電磁波を周囲に放出するため、周囲の環境に及ぼす影響に考慮して、電磁遮蔽室内に設置されて利用されている。
【0004】このように電磁遮蔽室は近年身近な所でも目にするようになってきたが、かかる電磁遮蔽室は、その遮蔽効果を高めるためには極力窓などの開口部を設けない構造が好ましく、どうしても周囲とは隔絶された閉所空間となる。そのため、自然光などの外光を取り入れることは難しく、電磁遮蔽室内には十分な照明が必要である。
【0005】かかる照明としては、通常照明として使用されている蛍光灯や、工場などの広い空間で使用されているHID照明では、電磁波的観点から電磁遮蔽室内での使用は好ましくなく、白熱照明を使用することが推奨されている。
【0006】しかし、実際には図5に示すように、電磁遮蔽室1への電源線2の引込みに際して電源フィルタ3を使用したり、照明器具4の取り付けに際して照明用ハイハット5などを使用して、極力その電磁的影響を除くようにしながら、通常照明として使用されている蛍光灯やHID照明が多く使用されているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の蛍光灯やHID照明は、電磁波発生源となるため、電磁遮蔽室内で微弱電磁波などを対象とした実験をする場合には、決して好ましい照明ではない。
【0008】また、かかる蛍光灯やHID照明を使用するに際しては、照明器具自体が電磁波の乱反射の原因となる可能性が高いため、照明用ハイハットで照明器具を隠すなどの対策がとられている。さらには、設置位置も乱反射源とならないような位置に限定して取り付けることが求められ、照明取り付け位置としては不適切な場合も多々ある。
【0009】さらに、かかる照明に電源を送るケーブルは電磁遮蔽室の壁を貫通させて設ける必要があり、そのために電源フィルタを使用して送るなどその設置にも手間がかかっていた。
【0010】本発明の目的は、電磁遮蔽を破らずに電磁遮蔽室内を照明できるようにすることにある。
【0011】本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0013】すなわち、電磁遮蔽室外で、通常照明などに使用されている蛍光灯やHID照明などの光源に、例えば光収束レンズなどを介して集光可能に光ファイバを接続し、光ファイバ内に光を通す。
【0014】さらに、この光ファイバを電磁遮蔽室内に引き込んで、引き込んだ光ファイバの末端側から、光拡散レンズなどにより採光して電磁遮蔽室の照明とする。
【0015】光ファイバの外周は、金属テープなどの電磁遮蔽材で被覆しておけばよい。かかる光ファイバを電磁遮蔽室内に導くには、光ファイバの電磁遮蔽室の貫通部に電磁フィルタを設けておき、この電磁フィルタのメッシュ間隙に細い光ファイバを通すようにすればよい。
【0016】このようにすることにより、電磁遮蔽室内に電源ケーブルや、照明器具を従来のように設けずに済み、電磁遮蔽室内の電磁遮蔽を破らずに、併せて不要な電波の乱反射を防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】本発明の実施の形態では、図1に示すように、電磁遮蔽室10内の天井20部分から、光ファイバ30を所定長さ貫通させて電磁遮蔽室10内の照明装置が構成されている。
【0019】なお、本実施の形態で使用する光ファイバ30は、従来構成の石英ガラス製のものでも、あるいはプラスチック製のものでも構わない。光通信を行なうのではないため、光ファイバ30の延長距離を長くしなくても済み、光の損失をそれ程考慮しなくても大丈夫である。
【0020】本実施の形態の電磁遮蔽室10は、従来の大きな室内空間の一部を仕切った状態で電磁シールドルームまたは電波暗室として使用するために電磁遮蔽室10を構成したものでも、あるいは建物全体を電磁遮蔽室10として構成したものでも、いずれの構成でも構わない。
【0021】さらに、電磁遮蔽室10も、従来構成のものでよく、例えば壁面に金属線を格子状に形成するなどして電磁遮蔽部材を張っておけばよい。
【0022】光ファイバ30は、電磁遮蔽室10外に設けた光源40に、図2に示すように、光収束レンズ41を介して、光ファイバ30内に光を通すことかできるようになっている。
【0023】かかる光源40には、本実施の形態では、通常照明として使用されている蛍光灯や、HID照明が使用されている。蛍光灯やHID照明は、電磁波発生源となるため、通常は電磁遮蔽室10内で使用するには好ましくないが、本実施の形態では、電磁遮蔽室10外で使用されているため、電磁遮蔽室10内に電磁的な悪影響を与えずに済む。
【0024】さらに、光ファイバ30を介して、かかる蛍光灯やHID照明などからなる光源40の光を、光ファイバ30内に導けばよい。
【0025】また、光源40としては、これらの蛍光灯やHID照明以外のものでも構わないが、昼間には、自然光を光源40として電磁遮蔽室10内に導くようにしても構わない。
【0026】さらに、広い室内空間の一部に電磁遮蔽室10を構成する場合には、上記光源40として、電磁遮蔽室10用に専用光源を使用しても構わないが、上記室内空間用の照明光源と併用するようにしても構わない。かかる場合には、室内光源の一部の側に、前記構成の光収束レンズ41を介して、光ファイバ30内に光を集光するようにすればよい。
【0027】また、本実施の形態で使用する光ファイバ30は、軸方向に沿って外周側にクラッドを設けた既知構成のものが使用されている。さらに、本実施の形態では、光ファイバ30の外周を電磁遮蔽材で被覆することにより、電磁遮蔽室10内の電磁遮蔽が破られないように配慮されている。
【0028】電磁遮蔽材としては、例えば、金属テープや金属箔を使用すればよい。あるいは、電磁遮蔽効果を有する塗料を塗布するようにしても構わない。
【0029】かかる電磁波遮蔽用塗料としては、例えば従来既知の、合成樹脂ビヒクルの中に導電性が高く抵抗値が低い金属粉末を多量に混入したものを使用すればよい。導電性フィラーとして、銀、銅、ニッケル、カーボンなどを使用すればよく、バインダーには、アクリル・ウレタン樹脂やエポキシ樹脂などを使用すればよい。
【0030】また、光ファイバ30の上記構成の電磁波遮蔽塗料による塗布に際しては、塗料中に浸漬しても良いし、あるいは刷毛塗りしてでも対処できる。
【0031】さらに、光ファイバ30の電磁遮蔽室10の天井20の貫通部では、電磁フィルタ50が設けられ、この電磁フィルタ50を介して光ファイバ30が貫通させられている。
【0032】電磁フィルタ50には、従来構成のメッシュ状の電磁フィルタ50を使用すればよい。本実施の形態では、図3に示すように、電磁フィルタ50の略八角形状のメッシュ間隙51に、その略八角形状のメッシュ間隙51内に挿通できる程度の口径の光ファイバ30が通されている。
【0033】電磁フィルタ50のメッシュ間隙51は、遮蔽対象とする電磁波により種々異なるが、光ファイバ30の口径もそれに合わせた口径のものを使用すればよい。
【0034】このようにすることにより、光ファイバ30の電磁遮蔽室10の天井20の貫通部から電磁波が漏れたり、あるいは外部電磁波の侵入したりすることを防いで、電磁遮蔽を破らないで済む。
【0035】なお、電磁フィルタ50を使用せずに、図4に示すように、光ファイバ30の外装31を金属で覆い、かかる構成の光ファイバ30を複数本束ねて使用すれば、光ファイバ30自身に電磁フィルタ50の機能が働き、電磁フィルタ50を使用せずに、天井20側を通過させることができる。かかる外装31の金属としては、例えば電気の良導体である高誘電体を使用すればよい。
【0036】本実施の形態では金属管を外装31とし、その管内に光ファイバ30を挿通させている。金属管が効果的に電磁遮蔽するために、光ファイバ30を電磁フィルタ50を通したと同様の電磁遮蔽効果が得られる。
【0037】また、電磁遮蔽室10内で使用する電磁波を考慮して、光ファイバ30のケーブル径、外装31の径、電磁フィルタ50のメッシュ間隙51の径を適宜に選択すればよい。
【0038】また、上記説明では、天井20側から、光ファイバ30を電磁遮蔽室10内に導入するように構成したが、側壁60から導入させるようにしても構わない。
【0039】さらには、電磁遮蔽室10内への光ファイバ30の導入長を比較的長くとっておき、光ファイバ30の電磁遮蔽室10での引回しがある程度自由にできるようにしても構わない。このようにして、光ファイバ30の比較的自由な引回しを実現することにより、適宜箇所のスポット照明が容易に行なえる。
【0040】一方、電磁遮蔽室10内に引き込まれた光ファイバ30の末端側には、本実施の形態では、光拡散用のレンズ42が設けられ、光ファイバ30からの光の採光とともに、電磁遮蔽室10内にその光を拡散して照明範囲を広くとれるようになっている。
【0041】以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0042】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0043】(1).本発明では、電磁遮蔽室の外部の光源からの光を、光ファイバを引き込んで電磁遮蔽室内の照明としているため、電磁遮蔽室内に蛍光灯などの通常光源を設ける場合に比べて、電磁遮蔽を破らずに電磁遮蔽室内の照明ができる。
【0044】(2).本発明では、光ファイバの電磁遮蔽室内への引込みに際して、引込み部に電磁フィルタを使用して、そのフィルタ間隙に光ファイバを通しているので、引込み部における電磁遮蔽の破れが発生しない。
【0045】(3).本発明では、電磁遮蔽室内に光導となる光ファイバが引き込まれるため、電源ケーブルを引き込む必要がなく、電磁遮蔽室内の電磁遮蔽を破ることがない。
【0046】(4).本発明では、光ファイバを電磁遮蔽室内に引き込んで照明とするため、取り付け位置がある程度固定された通常照明に比べて、光ファイバの引回しを自由に行なえるので、適切位置での照明が可能となる。併せて、適所のスポット照明ともなる。
【0047】(5).本発明では、電磁遮蔽室内に引き込んだ光ファイバの末端側から採光して照明とするため、従来の照明器具を照明用ハイハットなどを使用して電磁遮蔽室内に設ける場合に比べて、電磁遮蔽室内での凹凸を少なくでき、電波の乱反射を防ぐことができる。
【出願人】 【識別番号】000112668
【氏名又は名称】株式会社フジタ
【出願日】 平成9年(1997)9月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和 (外2名)
【公開番号】 特開平11−86618
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−244153