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【発明の名称】 屋内照明器具
【発明者】 【氏名】田辺 吉徳

【氏名】矢野 正

【要約】 【課題】地球環境保護の観点から多く使用されるている再生紙が黄色みを帯びていることに関し、黄色みを帯びた紙が白色に見え、紙に印刷された黒い文字の明瞭感が高まり、かつ不快グレアのない屋内照明器具を提供する。

【解決手段】屋内照明器具を下方へ指向性の光8を放射する27Wのコンパクト蛍光ランプ2と、反射鏡2と、周辺に光9を放射する40Wの環形蛍光ランプ4とで構成し、指向性の光8の色温度が6000K以上、周辺への光9の色温度が3800K以下にあるようにしたものである。さらに、指向性の光による直下付近の照度E1を500[lx]以上とし、かつ、周辺の照度E2とをE1/10≦E2≦E1/4としたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】下方へ略指向性の光を放射する手段と、周辺に光を放射する手段を備え、前記略指向性の光の色温度K1と前記周辺に放射する光の色温度K2とをK1>K2とする屋内照明器具。
【請求項2】略指向性の光の色温度K1を5000[K]以上、周辺に放射する光の色温度K2を3800[K]以下とする請求項1記載の屋内照明器具。
【請求項3】略指向性の光による直下付近の照度E1を500[lx]以上、かつ、周辺への光による周辺の照度E2とをE1/10≦E2≦E1/4とする請求項1記載の屋内照明器具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋内照明器具に関し、特に黄色みを帯びた新聞紙や再生紙の白さ感を高めて文字とのコントラストを明瞭にし、かつ、不快グレアを与えず、室内の照明環境として光色の違和感を与えない2種類の色温度と配光を有する屋内照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、地球環境保護の観点から新聞や雑誌、コピー用の紙には再生紙が多く使用されている。従来、雑誌やコピー用として使用されていたのは上質紙であり、その色彩はいわゆる白色であるが、最近使用の多くなっている再生紙の色彩は黄色みを帯びている。このため、新聞や雑誌のように黄色みを帯びた再生紙を使用した紙が白色に見え、かつ、印刷された黒い文字が上質紙のような白い紙に印刷されているように明瞭に見える手段の実現が望まれていた。特に高齢者社会に入ったことで視覚の衰えた高齢者からそのニーズが高まってきている。
【0003】このことに関し、色温度の高い光源で照明すると紙が白っぽく見えることは経験的に知られていた。又、色温度の高い光源では不快なまぶしさ(不快グレア)を受けやすく、特に、高齢者が受けやすいという弊害のあることも周知であった(照学誌、第77巻第6号p24−p31)。
【0004】従って、上述のニーズに応えるためには新聞等を読むための十分な照度が得られることは当然のこととして、黄色みを帯びた紙を白色に見せ、文字の明瞭感を高め、かつ不快グレアがなく、生活空間となる室内が光色的に違和感のない照明照明環境となるような手段が必要である。
【0005】従来技術の第一例として概念を示す住宅用の照明器具の断面図を図4に示す。すなわち、この照明器具は直下付近を照明する指向性配光の反射型ハロゲン電球10と、周辺を照明する拡散配光の蛍光ランプ11,12とで構成されており、反射型ハロゲン電球10の色温度は3000[K]で、蛍光ランプ11,12の色温度は5000[K]である(例えば、松下電工(株)’96〜’97カタログ、住宅・店舗d編p137)。
【0006】この第一の従来例では、直下付近を低色温度の反射型ハロゲン電球10で照明している。この電球は白色光源として分類されているが、実際の光色は黄橙みを帯びており、黄色みを帯びた紙を白色に見せる効果はない。
【0007】色温度5000[K]の蛍光ランプ11,12は周辺を照明するためのものであり、直下付近を照明の主対象としておらず、逆に高齢者に対しては不快グレアを与えやすい構成となっている。つまり第一の従来例は、2種類の色温度の光源と配光を備えているが、暖かい雰囲気が得られることと併せてハロゲン電球10と蛍光ランプ11,12との点灯回路を適宜切り替えることによる光色の変化で雰囲気を変えられることに効果としての狙いがある。
【0008】従来技術の第二例として、特許登録第2529477号に記載のものがある。これは指向性の強い光を放射する光源と拡散光を放射する光源を構成要素とし、指向性の強い光を放射する光源の色温度K1と拡散光を放射する光源の色温度K2とをK1<K2とし、かつ色温度K1を5500[K]以下、K2を6000[K]以上としている。この第二の従来例の効果は、屋外の自然に近い快適な光環境が得られることにあり、黄色みを帯びた紙を白色に見せるという点では第一の従来例と同様に効果はない。
【0009】以上の従来例はいずれも2種類の色温度と配光を有しているが、指向性配光を有する光の色温度K1が周辺への光の色温度K2より低い、すなわち本発明とは逆のK1<K2が特徴であり、その効果も新聞紙や再生紙など黄色みを帯びた紙を”見た目に白く見せる”効果はない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題を解決するもので、黄色みを帯びた紙面を白色に見せて印刷されている文字の明瞭感を高め、併せて新聞等の文字を読むのに必要な照度が得られ、かつ、不快グレアがなく、違和感のない光色の照明環境が得られる照明器具を提供することに目的がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、屋内照明器具を下方へ略指向性の光を放射する手段と、周辺に光を放射する手段とで構成し、指向性の光の色温度K1と周辺に放射する光の色温度K2とをK1>K2とするものである。
【0012】屋内照明器具の構成を上記のごとくし、かつ、指向性の光の色温度K1と周辺に放射する光の色温度K2とをK1>K2とすることによって、黄色みを帯びた紙が白色に見え、不快グレアの少ない照明環境が得られる。
【0013】第2の発明は、第1の発明の構成に加えて、略指向性の光の色温度K1を5000[K]以上、周辺への光の色温度K2を3800[K]以下とするものである。
【0014】さらに略指向性の光の色温度K1と周辺への光の色温度K2とを上記のごとくすることによって、黄色みを帯びた紙がより白色に見え、不快グレアがさらに少ない照明環境が得られる。
【0015】第3の発明は、第2の発明の構成に加えて、指向性の光による直下付近の照度E1を500[lx]以上とし、かつ、周辺の照度E2とをE1/10≦E2≦E1/4とするものである。
【0016】照度を上記のごとくすることによって、第2の発明の効果に加えて読書等のための照度を確保でき、光色としての違和感の小さい照明環境が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】屋内照明器具を、用途の一例として、住宅のリビングや和室で使用するものとして天井取り付け用とし、照明器具の直下付近で新聞や雑誌を見ることを想定して、下方へ指向性を有する光を放射する手段と、壁面等の周辺へ光を放射する手段を備えた構成とし、下方へ指向性の光を放射する手段の光源の色温度K1と、周辺へ光を放射する手段の光源の色温度K2とをK1>K2とする。
【0018】これによって、黄色みを帯びた紙は周辺より色温度の高い光で照明されるので白色に見え、通常の視線の場合に目に入って不快グレアの原因となる周辺への光の色温度K2は下方向への光の色温度K1より低いので、室内全体を色温度K1の光で照明した場合より不快グレアが少なくなる。
【0019】さらに、下方への指向性の光の色温度K1を5000[K]以上、周辺への光の色温度K2を3800[K]以下にする。これによって、黄色みを帯びた紙がより白色に見え、不快グレアもさらに小さくなる。
【0020】さらに、下方へ略指向性の光を放射する手段を色温度が5000[K]以上の光源と例えば回転放物面を有する反射鏡とで構成し、直下付近の照度が少なくとも500[lx]は得られるようにするとともに、周辺へ光を放射する手段を、色温度が3800[K]以下の光源を、例えば前記反射鏡の外側に配置して、光源を包含するように拡散透光材で照明カバーを形成し、周辺の照度が直下付近の照度の1/10以上、1/4以下になるようにする。
【0021】これによって、読書のための直下付近の照度を確保でき、色温度の高い光と低い色温度の光が室内に存在するにも拘わらず光色による違和感のない照明環境が得られる。
【0022】以下、これの論拠について説明する。色温度の高い光源で照明された紙は白っぽく見えることは経験的に知られていたが、定量的に検討されたことはなかった。そこで、屋内で最も広く使用されている蛍光ランプで平均演色評価数Raが80以上の、色温度の異なる蛍光ランプを試作し、そして黄色みを帯びた紙の代表例として新聞紙を選び、ランプの分光分布と新聞紙の分光反射率とから、色温度に応じて新聞紙の色味がどのように変化するかを計算で求めた。次に実際に観測(観測者7名)した場合、どのような色味に見えるかを主観評価実験で求めた。その計算結果を示したのが図2であり、観測結果も相対値として図2と同様な結果であった。
【0023】図2の横軸は色温度[K]であり、縦軸は色味b*である。b*の値が0に近いほど無彩色(白色)に見えることを示し、値が大きければ黄色みを帯びて見えることを示す。図2から、色温度が10000[K]程度までは高くなるほど白色に見える。しかし、色温度が5000[K]を越えると白色に見える効果が飽和する傾向にあることが判る。
【0024】一方、本発明者は、光源の輝度は同じであっても色温度が高くなると不快グレアが増大することを明らかにしている(照学誌、第77巻第6号p24−30)。そのことを示したのが図3である。
【0025】よって、下方への光の色温度K1と周辺への光の色温度K2とをK1>K2とすることによって黄色みを帯びた紙を白色に見せ、かつ不快グレアを少なくできる効果が得られる。さらにK1を5000[K]以上とすることによって黄色みを帯びた紙が白く見える最大の効果が得られる。一方、K2の色温度を3800[K]以下にすることによって、不快グレアの増大を、実用光源として最も色温度の低い電球(3000[K])の10%以内にする効果が得られる。
【0026】加えて、照明器具の直下付近と周辺とを照明する光の色温度が上記条件を満たすときの、光色による違和感が少なくなる照度の組み合わせを、直下付近の照度すなわち新聞等を見るための照度はJISで少なくとも500[lx]にすることが推奨されているので、直下付近の平均照度を500[lx]に設定して主観評価実験で求めた。
【0027】その結果、壁面の照度が50〜110[lx]にあれば光色の違和感が最も少なくなることが判った。このことは、明るさに対する人間の目の順応特性を考慮すれば、周辺の照度は直下付近の照度の1/10以上、1/4以下であればよいことになる。なお、これに関連するものとして特願平7−218524号、特願平9−58922号があるが、いずれも視作業に対する集中のしやすさと照度比に関するもので、本発明の目的とは異なる。
【0028】以上より、屋内照明器具を直下付近を照明する手段と周辺を照明する手段とで構成し、直下付近を照明する手段として色温度が5000[K]以上の光源を用い、直下付近の照度が500[lx]以上となるようにし、周辺を照明する手段として色温度が3800[K]以下の光源を用い、周辺の照度が直下付近の照度の1/10以上、1/4以下になるようにすることによって、黄色みを帯びた紙が白色に見え、かつ不快グレアがなく、光色の違いによる違和感も少ない室内の照明環境が得られる。
【0029】以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施例である照明器具の構成を示す断面図である。図1において、1は照明器具本体、2は下方への光となる6700Kの色温度を有する27Wのコンパクト蛍光ランプ、3はコンパクト蛍光ランプ2の光を指向光として下方へ放射する略回転放物面を持つ反射鏡、4は周辺への光となる3000[K]の色温度を有する40Wの環形蛍光ランプ、5は拡散透光性の照明器具カバー、6は点灯制御部、7は天井、8は下方への光、9は周辺への光である。
【0030】図1に示すように、蛍光ランプ2から放射された色温度6700[K]の光は反射鏡3によって下方への光8となり、環形蛍光ランプ4から放射された色温度3000[K]の光は照明器具カバー5で拡散され、周辺光9として周辺をほぼ一様に照明する。
【0031】図1に示した照明器具を、広さ8畳のリビングを模した実験室の天井中央に設置した結果、直下のテーブル面で平均照度として620[lx]が得られ、壁面の上半部で平均照度として65[lx]が得られた。また、直下付近で新聞紙を広げて見た場合に紙面が白く見え、文字の明瞭感も高く、視線を水平に向けた状態でも不快グレアがなく、光色の違和感もない照明環境が得られた。
【0032】なお、図1の実施例おいて、6700Kの色温度を有する27Wコンパクト蛍光ランプ2の光源に同等色温度の高輝度放電ランプを用いても、3000[K]の色温度を有する40Wの環形蛍光ランプ4の光源に同等色温度の複数の線状蛍光ランプまたは複数のコンパクト蛍光ランプを用いてもよい。
【0033】
【発明の効果】以上のように第1の発明によれば、屋内照明器具を下方へ略指向性の光を放射する手段と、周辺に光を放射する手段とで構成し、指向性の光の色温度K1と周辺に放射する光の色温度K2とをK1>K2とすることによって、黄色みを帯びた紙が白色に見え、不快グレアの少ない照明環境が得られる。
【0034】また、第2の発明によれば、第1の発明の構成に加えて、略指向性の光の色温度K1を5000[K]以上、周辺への光の色温度K2を3800[K]以下とすることによって、黄色みを帯びた紙がより白色に見え、不快グレアがさらに少ない照明環境が得られる。
【0035】また、第3の発明によれば、第2の発明の構成に加えて、指向性の光による直下付近の照度E1を500[lx]以上とし、かつ、周辺の照度E2とをE1/10≦E2≦E1/4とすることによって、第2の発明の効果に加えて読書等のための照度を確保でき、光色としての違和感の小さい照明環境が得られる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
【公開番号】 特開平11−111024
【公開日】 平成11年(1999)4月23日
【出願番号】 特願平9−268475