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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】芦沢 和久

【要約】 【課題】開口面積が充分に大きな空気孔をランプボディ背面壁の望ましい所定位置に形成することの可能な車両用灯具の提供。

【解決手段】ランプボディ10と前面レンズ11とによって密閉された灯室Sが画成され、灯室S内にバルブ30が収容されるとともに、ランプボディ10の背面壁に呼吸作用を営む空気孔を設けた車両用灯具において、前記空気孔を長孔50で構成することで、バルブ交換用開口部10dやエイミング機構Aや車体への固定用ブラケット等の種々の部材と干渉することのない望ましい所定位置に、大きな開口面積をもつ空気孔を形成でき、灯室S内の通気を確保し、結露の発生を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ランプボディと前面レンズとによって密閉された灯室が画成され、前記灯室内に光源が収容されるとともに、前記ランプボディの背面壁には、光源交換用開口部と、呼吸作用を営む空気孔とが設けられた車両用灯具において、前記空気孔が長孔で構成されたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】 前記空気孔は、合成樹脂製ランプボディの背面壁を貫通して後方に突出する筒状の立壁によって構成されるとともに、この立壁内には、防塵フィルターが収容され、前記立壁の灯室側の前端部には、孔の長手方向に空気孔を横切って延びる防塵フィルター脱落防止リブが設けられたことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】 前記空気孔を構成する立壁の灯室側の前端部が灯室内に突出するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】 前記空気孔は、外部と連通する迷路状の空気通路を画成する空気通路ハウジングで覆われ、前記空気通路ハウジングは、前記空気孔を取り囲むように後方に突出形成され、下側壁の一部が切りかかれた筒状の第2の立壁と、前記第2の立壁の回りに突出形成され、下側壁の一部が第2の立壁の切り欠きと上下に重ならないように切り欠かれた第3の筒状の立壁と、前記第3の立壁の上側壁に薄肉ヒンジを介し連成され、前記第3の立壁の下側壁と凹凸ランス係合して第3の立壁開口端を閉塞する揺動蓋によって構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】 前記空気孔は、光源交換用開口部の近傍上方位置に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項6】 前記空気孔は、光源交換用開口部の上方近傍位置に設けられた第1の空気孔と、光源交換用開口部より下方のランプボディ背面壁の少なくとも左右いずれか一方の側縁部寄りに設けられた第2の空気孔によって構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項7】 前記第1の空気孔は横長に、第2の空気孔は縦長にそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前面レンズとともに灯室を画成するランプボディの背面壁に呼吸作用を営む空気孔が設けられた車両用灯具に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の灯具の従来技術の一例としては、図7に示すような自動車用ヘッドランプがあり、ランプボディ1と前面レンズ2とによって密閉された灯室が画成され、この灯室内には、光源であるバルブを挿着したリフレクター(図示せず)が、2本のエイミングスクリュー3,4と1個の玉継ぎ手5から構成されたエイミング機構Aによって、上下左右方向傾動可能に支持されている。符号1aは、ランプボディ1の背面壁に形成されたバルブ交換用の開口部、符号8は、ランプを車体に取付固定するためのブラケットである。
【0003】また、ランプボディ1の背面壁には、図8に拡大して示されるように、灯室内を外部と連通させて呼吸作用を営ませることで、前面レンズ2に結露を発生させないようにするための空気孔6が設けられている。
【0004】空気孔6は、ランプボディ1の背面壁に突出形成された円筒部1bにより構成され、円筒部1bには、屈曲チューブ7が下方に開口するように嵌着されて、空気孔6を介し灯室S内に水や塵埃が侵入しにくいようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記した従来の空気孔6は、孔径が小さいため、呼吸作用が充分ではない場合があり、特に屈曲チューブ7に他部材が当たる等して、空気孔6に連通する空気通路が狭められたり塞がれたりした場合には、充分な呼吸作用が営まれず、結露の発生を防止できないという問題があった。
【0006】そこで、空気孔(円孔)6の孔径および屈曲チューブ7の内径を大きくして、空気孔6に連通する空気通路が狭められたり塞がれたりすることのないようにして、充分な呼吸作用が営まれるようにする方策が考えられる。
【0007】しかし、ランプボディ1の背面壁は、一般に湾曲した形状で、しかもバルブ交換用開口部1aやエイミング機構Aや車体への固定用ブラケット等の種々の部材が設けられているため、これらの部材と干渉することなく望ましい所定位置に孔径が充分に大きな空気孔6を形成することは困難であった。
【0008】本発明は前記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、開口面積が充分に大きな空気孔を望ましい所定位置に形成することの可能な車両用灯具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、請求項1に係る車両用灯具においては、ランプボディと前面レンズとによって密閉された灯室が画成され、前記灯室内に光源が収容されるとともに、前記ランプボディの背面壁に、光源交換用開口部と、呼吸作用を営む空気孔とが設けられた車両用灯具において、前記空気孔を長孔で構成するようにしたものである。ランプボディの背面壁は一般に湾曲し、平坦な形状の領域が少ない。さらに、ランプボディの背面壁には、光源交換用開口部が形成されている他、灯具を車体に固定するためのブラケットが突設され、灯具の光軸調整のためのエイミング機構が配設される場合もある。このため、光源交換用開口部,ブラケット,エイミング機構等と干渉しないランプボディ背面壁所定位置に、口径の大きな円形空気孔(円孔)を形成することが困難であっても、空気孔が長孔であれば形成できる場合が多い。即ち、円孔を形成するには、上下左右方向に少なくとも円孔の口径相当の平坦なスペースが要求されるが、例えば左右(上下)方向に長い長孔であれば、左右(上下)方向に大きなスペースをとられるものの、上下(左右)には小さなスペースでよく、それだけ空気孔を設ける位置的制約が少ない。また、長孔は、拡径した円孔と同等の大きな開口面積をもつ。請求項2では、請求項1に記載の車両用灯具において、前記空気孔を、合成樹脂製ランプボディの背面壁を貫通して後方に突出する筒状の立壁によって構成するとともに、この立壁内に防塵フィルターを収容するようにし、前記立壁の灯室側の前端部に、長孔の長手方向に空気孔を横切って延びる防塵フィルター脱落防止リブを設けるようにしたものである。空気孔を介して灯室内へ侵入しようとする水や塵埃は、立壁内(空気孔)に収容された防塵フィルターにより阻止される。また、下方から撥ね上げられて、空気孔を介して灯室内へ侵入しようとする水は、防塵フィルターによって阻止されるまでもなく、ランプボディ背面壁の後方に突出する筒状の立壁によって空気孔への侵入が阻止される。また、防塵フィルターは、その周縁部を筒状の立壁に支持されて、確実に立壁内に保持される。また、立壁内(空気孔)に収容された防塵フィルターは、脱落防止リブによって灯室側への脱落が阻止される。特に、脱落防止リブは、長孔の長手方向に延びて、長孔短径巾が狭められて、防塵フィルターの灯室側への脱落が確実に阻止される。請求項3では、請求項2に記載の車両用灯具において、前記空気孔を構成する立壁の灯室側の前端部を灯室内に突出させるように構成したものである。防塵フィルターを収容する筒状の立壁をランプボディの背面壁前方に突出させることで、立壁のランプボディ後方への突出量が小さくてすみ、それだけランプボディの後方空間が広くなる。また請求項4では、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用灯具において、前記空気孔を、外部と連通する迷路状の空気通路を画成する空気通路ハウジングで覆い、前記空気通路ハウジングを、前記空気孔を取り囲むように後方に突出形成され、下側壁の一部が切りかかれた筒状の第2の立壁と、前記第2の立壁の回りに突出形成され、下側壁の一部が第2の立壁の切り欠きと上下に重ならないように切り欠かれた第3の筒状の立壁と、前記第3の立壁の上側壁に薄肉ヒンジを介し連成され、前記第3の立壁の下側壁と凹凸ランス係合して第3の立壁開口端を閉塞する揺動蓋によって構成するようにしたものである。空気孔を覆うハウジング内の迷路状の空気通路は、水や塵埃の空気孔への侵入を確実に阻止する。特に、空気通路を構成する第2,第3の立壁の切り欠きはそれぞれ下側壁に形成されているため、それぞれの切り欠きから第2,第3の立壁内に水や塵埃が侵入しにくく、たとえ侵入したとしても、自重によりそれぞれの切り欠きから下方に自然と排出される。迷路状の空気通路を構成する第2,第3の立壁および揺動蓋は、ランプボディに一体に形成されて、部品点数を増加させることがない。また、揺動蓋を第3の立壁の下側縁部に凹凸ランス係合させることで、迷路状の空気通路を簡単に形成できる。また、空気孔が立壁で構成されている場合には、揺動蓋は、立壁内(空気孔)に収容した防塵フィルタの押さえとして機能する。また請求項5では、請求項1〜4のいずれかに記載の車両用灯具において、前記空気孔を、光源交換用開口部の近傍上方位置に設けるように構成したものである。光源回りにおいて温められた空気は、上昇して、光源上方の近くに設けられている空気孔からスムーズに灯室外に流出する。また請求項6では、請求項1〜4のいずれかに記載の車両用灯具において、前記空気孔を、前記光源交換用開口部の上方近傍位置に設けた第1の空気孔と、光源交換用開口部より下方のランプボディ背面壁の少なくとも左右のいずれか一方の側縁部寄りに設けた第2の空気孔によって構成するようにしたものである。光源交換用開口部の周辺領域では、発熱源である光源回りにおいて温められた空気が第1の空気孔から灯室外に流出するとともに、光源交換用開口部より下方のランプボディ背面壁左右の側縁部寄りに設けた第2の空気孔から灯室外の空気が灯室内に流入することで、灯室下方の左右方向側縁部寄りの領域から灯室上方の左右方向略中央部領域に向かう活発な空気の対流が生成されて、灯室内全体の通気が確保される。また請求項7では、請求項6に記載の車両用灯具において、前記第1の空気孔を横長に、第2の空気孔を縦長にそれぞれ形成するようにしたものである。第1の空気孔を横長とすることで、光源交換用開口部の近傍上方の上下巾の狭い領域に空気孔を形成でき、第2の空気孔を縦長とすることで、ランプボディ背面壁左右の側縁部寄りの左右巾の狭い領域に空気孔を形成できる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0011】図1〜図6は本発明の一実施例を示すもので、図1は本発明の一実施例であるヘッドランプの正面図、図2は同ヘッドランプの水平断面図(図1に示す線II−IIに沿う断面図)、図3は同ヘッドランプの縦断面図(図1に示す線III−IIIに沿う断面図)、図4は同ヘッドランプの背面図、図5は同ヘッドランプの縦断面図(図4に示す線V−V沿う断面図)、図6は同ヘッドランプの空気孔周辺の斜視図である。
【0012】これらの図において、符号10は、前方から斜め側方に開口する横長矩形状の合成樹脂製ランプボディで、ランプボディ10の前面開口部には、湾曲する透明な前面レンズ11が組付けられて、横長矩形状の密閉された灯室Sが画成されている。
【0013】灯室S内には、走行ビームおよびすれ違いビーム形成用の反射式ランプユニット20が、2本のエイミングスクリュー12,13と1個の玉継手14から構成されたエイミング機構によって傾動可能に支持されている。
【0014】ランプユニット20は、アルミ蒸着処理(鏡面処理)が施された放物面形状の合成樹脂製リフレクター22と、このリフレクター22の後頂部に形成されたバルブ挿着孔23に挿着固定された光源であるバルブ30と、バルブ挿着孔23にねじ固定されてバルブ30の前方を覆う配光制御用のシェード40とから構成されている。
【0015】バルブ30は、走行ビーム用のフィラメント31aとすれ違いビーム用のフィラメント31bとがガラス球内に一体に収容された構造で、バルブ30がバルブ挿着孔23に固定された状態では、フィラメント31a,31b間の略中間位置にリフレクター22の焦点が位置する形態となって、走行ビーム用のフィラメント31aの発光により走行ビームが形成され、すれ違いビーム用のフィラメント31bの発光によりすれ違いビームが形成されるようになっている。
【0016】ランプボディ10は、略水平に延在し、車体取付固定用ブラケット15が突出形成された上側面壁10aと、この上側面壁10aと平行に延在する下側面壁10bと、これらの上下の側面壁10a,10b間にあって、後方に膨出する湾曲した背面壁10cとから構成されている。そして、ランプボディ10の背面壁10cには、バルブ交換用の開口部10dが設けられ、この開口部10dからはバルブ30のバルブソケット32が後方に突出しているが、この開口部10dを構成する円筒部10eとバルブソケット32間には、伸縮可能なゴム製フード34が介装されて、ランプボディ10の後方開口部(バルブ交換用の開口部)10dが閉塞されている。
【0017】そして、ランプユニット20は、ランプボディ10の背面壁10cに回転可能に支承されて前方に延出する2本のエイミングスクリュー12,13と、1個の玉継手14とによって、ランプボディ10に対し傾動可能に支持されている。即ち、リフレクター22の背面に突設されたブラケット22a,22aには、エイミングスクリュー12,13に螺合するナット12a,13aが嵌着されており、エイミングスクリュー12,13の回動操作によって、ナット12a,13aがエイミングスクリュー12,13に沿って進退し、これによってランプユニット20が水平軸Lx、垂直軸Ly回りに傾動して、ランプユニット20の光軸Lを上下左右方向に傾動調整できるようになっている。
【0018】なお、エイミングスクリュー12,13の後端部には、冠状歯車12b,13bが一体化されており、ドライバーでこの冠状歯車12b,13bを回すことで、エイミングスクリュー12,13を回動操作できる。符号18は、ランプボディ10の前面開口部から前面レンズ11の内側に沿って設けられたエクステンションリフレクターで、このエクステンションリフレクター18には、ランプユニット20のリフレクター22に対応する開口部18aが形成されている。また、エクステンションリフレクター18の表側には、リフレクター22と同様のアルミ蒸着処理(鏡面処理)が施されており、ランプユニット20の周辺領域を隠すとともに、灯室S内全体を単一の鏡面色に見せてヘッドランプの見栄えを良好ならしめるという働きがある。符号50(50A,50B,50C)は、ランプボディ10の背面壁10cに設けられた空気孔、符号H(H1 ,H2 ,H3 )は、空気孔50(50A,50B,50C)を覆うように設けられた空気通路ハウジングで、ハウジングH(H1 ,H2 ,H3 )内には、空気孔50(50A,50B,50C)にそれぞれ連通し、かつ外部に連通する迷路状の空気通路h(h1 ,h2 ,h3 )が形成されている。そして、灯室S内は、これらの空気孔50および空気通路hを介して外部と連通することで通気が確保され、いわゆる呼吸作用が営まれて、前面レンズ11に結露が発生しないようになっている。
【0019】ランプボディの背面壁10cには、バルブ交換用開口部10dが形成され、リフレクタ22に略倣った湾曲形状の左右方向中央部領域10c1 の左右に、エイミング機構や車体取付固定用ブラケット16の配設された平坦なエイミング機構配設用段差部10c2 ,10c3 が形成され、エイミング機構配設用段差部10c2 の左側(背面から見た左側)には、車体取付固定用ブラケット17の突設された平坦なブラケット形成用段差部10c4 が形成された構造となっている。そして、ランプボディ背面壁10cの湾曲した中央部領域10c1 には、第1の空気孔50Aと空気通路ハウジングH1 が形成され、右側の平坦なエイミング機構配設用段差部10c3 と左側の平坦なブラケット形成用段差部10c4 の下部領域には、第2の空気孔50B,50Cと空気通路ハウジングH2 ,H3 が形成されている。
【0020】第1の空気孔50Aは横長の長孔で、ハウジングH1 は、空気孔50Aを拡大したような横長矩形状に形成されて、ランプボディ背面壁中央部領域10c1 の左右巾に比べて上下巾が狭いバルブ交換用開口部10d上方近傍領域に設けられている。
【0021】一方、第2の空気孔50B,50Cは、縦長の長孔で、ハウジングH2 ,H3は空気孔50B,50Cを拡大したような縦長矩形状に形成されて、ランプボディ背面壁の上下巾に比べて左右巾が狭い段差部10c3 ,10c4 におけるバルブ交換用開口部10dより下方位置に設けられている。
【0022】そして、バルブ30の周辺において温められた空気は、灯室S内を上昇し、空気孔50Aから灯室外にスムーズに流出するとともに、空気孔50B,50Cから灯室外の空気が灯室内に流入して、灯室内に空気の対流が生成される。即ち、空気孔50A,50B,50Cによって灯室内の通気が確保されて、呼吸作用が営まれ、前面レンズ11に結露が発生することがない。
【0023】また、図5に示されるように、リフレクター22の背面壁における第1の空気孔50Aと正対する位置には、通気孔60が設けられており、リフレクター22内側の温まった空気は、図5矢印に示すように、リフレクター22の外側を通って空気孔50Aに向かって流れる他、通気孔60を通って空気孔50Aに向かって流れることで、呼吸作用が活発化されている。
【0024】特に、空気孔50(50A,50B,50C)は大きな開口面積の長孔で形成されていることから、灯室S内には充分な通気が確保されている。さらに、灯室S内には、灯室の左右方向側端部寄り下方位置の空気孔50B,50Cから侵入した空気が灯室の左右方向中央部上方位置の空気孔50Aから排出されるという空気の対流が生成されていることから、灯室内全体に対流が生じ、従来では対流が不充分なため結露が生じ易かった前面レンズ11の隅部での結露の発生もない。
【0025】また、空気孔50は、防塵,防水を図るために、ランプボディ背面壁10cを貫通する筒状の立壁51によって構成されている。即ち、ランプボディ背面壁10cから後方に突出する筒状の立壁51の存在によって、立壁51内の空気孔50には、水や塵埃が侵入しにくい。また、この立壁51内には、スポンジ状の防塵フィルター53が収容されて、空気孔50におけるさらなる防塵,防水が図られている。
【0026】また、立壁51の前端部には、孔50を横切るように延びる防塵フィルター脱落防止リブ52が設けられて、立壁51内の防塵フィルター53が灯室S側に脱落しないようになっている。なお、脱落防止リブ52は、空気孔(長孔)50の長手方向に延びており、長孔の短径巾がさらに狭められて、防塵フィルター53の脱落が確実に阻止される構造となっている。
【0027】また、空気孔50を構成する立壁51の前端部51aは、灯室S内に突出して、ランプボディ後方への立壁51の突出量が少なく、これによって、立壁51を覆うように設けられた、空気通路ハウジングHの後方突出量もそれだけ小さくてすむようになっている。
【0028】ランプボディ背面壁10cの立壁51の回りには、下側壁が一部切り欠かれ、立壁51より一回り大きい口径で、立壁51より背の高い第2の立壁54が形成され、さらに、第2の立壁54の回りには、下側壁が一部切り欠かれ、第2の立壁54より背の高い矩形状の第3の立壁56が形成されている。
【0029】立壁54,56の切り欠き55,57はいずれも下側壁に設けられて、切り欠き55,57から立壁54,56内にたとえ水が侵入したとしても、切り欠き55,57から自然に排水されて、立壁54,56内に水が溜まらないようになっている。
【0030】また、第3の立壁56の切り欠き57は、第2の立壁54の切り欠き55と上下方向に重ならない位置に設けられて、第3の立壁56の切り欠き57から侵入した水が第2の立壁54の切り欠き55内に侵入しにくいようになっている。
【0031】第3の立壁56の上側壁には、第3の立壁56の開口端部を塞ぐ揺動蓋59が薄肉ヒンジ58を介して連成され、揺動蓋59の揺動先端部には、第3の立壁56の下側壁に設けられた係合孔56aと係合可能な係止突起59aが形成されている。
【0032】そして、揺動蓋59を薄肉ヒンジ58位置で折り曲げて、係止突起59aを係合孔56aに係合(凹凸ランス係合)させると、第3の立壁56の開口端部が揺動蓋59で閉塞された形態となって、空気孔50を介し灯室Sに連通するとともに、切り欠き57を介し外部に連通する迷路状の空気通路h(h1 ,h2 ,h3)が形成される。また、揺動蓋59を閉じた状態では、防塵フィルタ53は蓋59に押圧されて立壁51内に保持されるので、防塵フィルタ53は立壁51内でガタつくことなく保持される。
【0033】このように、空気通路ハウジングHを構成する第2の立壁54,第3の立壁56,揺動蓋59により、空気孔50(50A,50B,50C)をそれぞれ外部と連通させる迷路状の空気通路h(h1 ,h2 ,h3 )が形成されている。
【0034】また、揺動蓋59の揺動先端部寄りには、横方向に延びる凸状リブ59bが設けられて、揺動蓋59をスムーズに閉めることができるようになっている。即ち、揺動蓋59を閉める際には、図5の仮想線で示すように、作業者の指の腹がこの凸状リブ59bに当たって滑り止めされるので、指の押圧力が揺動蓋59の折り曲げ力として効率よく伝達され、係止突起59aを係合孔56aにスムーズに係合させることができる。
【0035】また、空気通路ハウジングH(H1 ,H2 ,H3 )は、従来の屈曲チュ−ブのようにランプボディと別部材で構成されている訳ではなく、ランプボディ10に一体形成されており、部品点数もそれだけ少なくてすむ。また、空気通路h(h1 ,h2 ,h3 )を構成するには、揺動蓋59を折り曲げて凹凸ランス係合させればよく、その作業も非常に簡単である。
【0036】なお、前記実施例では、自動車用ヘッドランプについて本発明を説明したが、ヘッドランプに限定されるものではなく、その他の車両用灯具に広く適用できる。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項1に係わる車両用灯具によれば、呼吸作用を営ませるための空気孔を長孔によって構成したので、大きな開口面積をもった空気孔を光源交換用開口部等と干渉しないランプボディの背面壁所定位置に設けることで、灯室内外間の通気を確保し、結露の発生を確実に防止できる。また、空気孔を設ける位置的制約が少ないので、ランプボディの設計もそれだけ容易となる。請求項2によれば、立壁内(空気孔)に収容された防塵フィルターにより、水や塵埃の灯室内への侵入が阻止されるので、空気孔における防塵と防水が長期にわたり保証される。また、防塵フィルターは、立壁内に隙間なく支持されるので、防塵及び防水が確実となる。また、立壁内(空気孔)に収容された防塵フィルターは、脱落防止リブによって灯室側への脱落が確実に阻止されるので、防塵フィルタを立壁内に簡単に収容できるとともに、長期間にわたり脱落することもない。請求項3によれば、立壁のランプボディ後方への突出量が小さく、ランプボディの後方空間が広くなり、それだけ立壁が他部材と干渉することもない。請求項4によれば、空気孔に連通するハウジング内の迷路状の空気通路によって、空気孔における防塵と防水が確実に保証される。また、空気通路ハウジングの外部との連通孔よりも空気孔が高い位置に設けられているため、空気孔における防塵と防水が一層確実に保証される。また、迷路状の空気通路構成部材(ハウジング)がランプボディに一体に形成されているので、灯具構成部品点数を削減できるとともに、凹凸ランス係合により揺動蓋を閉じるだけで、空気通路を形成できるので、灯具の組み立ても簡単である。請求項5によれば、光源回りの温まった空気は、光源の上方近傍に設けられた空気孔から灯室外に流出できるので、通気(空気の対流)がスムーズに形成されて、結露の発生が防止される。請求項6によれば、灯室下方の左右方向側縁部寄りの領域から灯室上方の左右方向略中央部領域に向かう活発な空気の対流が生成されて、灯室内全体における結露の発生防止に有効となる。請求項7によれば、光源交換用開口部の近傍上方の上下巾の狭い領域に形成する第1の空気孔を横長とし、ランプボディ背面壁左右の側縁部寄り下方の左右巾の狭い領域に形成する第2の空気孔を縦長とすることで、光源交換用開口部やエイミング機構や車体への固定用ブラケット等の種々の部材と干渉することなく望ましい所定位置に開口面積が充分に大きい空気孔を形成することができ、これによって、灯室内全体の通気が確保されて、前面レンズの裏面全域における結露の発生が確実に防止される。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成9年(1997)9月4日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
【公開番号】 特開平11−86613
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−239366