| 【発明の名称】 |
照明色調分離器 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 有慈
|
| 【要約】 |
【課題】多数の照明器具を用いずに、単体の光源から複数種の色光を得る。
【解決手段】光源の前方に光軸と平行に配設され、かつ光源を複数分割する分光板3と、分光板3の前端にこれと直交状に固着された弯曲板状の遮光板4と、遮光体4に装着した拡散フィルター6とにより色調分離器1を構成し、分光板3にフィルター枠2を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源の前方に光軸と平行に配設され、かつ光源を複数分割する分光板と、該分光板の前端にこれと直交状に設けられた任意幅の遮光体とにより構成したことを特徴とする照明色調分離器。 【請求項2】 前記分光板の前端を、前方に突出する弧状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の照明色調分離器。 【請求項3】 前記遮光体の幅を調整可能に構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明色調分離器。 【請求項4】 前記遮光体の先端部に拡散フィルターを装着したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の照明色調分離器。 【請求項5】 前記遮光体を、遮光基板と、該遮光基板に着脱可能に取付けた遮光幅調整帯とにより構成し、該調整帯に拡散フィルターを装着したことを特徴とする請求項3に記載の照明色調分離器。 【請求項6】 前記分光板の基端部にフィルター枠を取付けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明色調分離器。 【請求項7】 前記フィルター枠を、ライトカッターのディフュザー枠に着脱可能に取付けうるようにしたことを特徴とする請求項6に記載の照明色調分離器。 【請求項8】 前記分光板の両面及び遮光体の光源側面を、白などの反射率の高い色にしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の照明色調分離器。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、写真撮影等において背景などの照明に使用される照明色調分離器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、室内で写真撮影を行なう場合、照明器具30として、図12に例示するように、光源となるフラッシュライト31を備えたライトヘッド32に、光を前方へ指向するリフレクター33を着脱可能に取付け、さらにリフレクター33先端にライトカッター34(通称バーンドア)をディフュザー枠35を介して着脱自在に取付けたものが使用されている。そして、前記ライトカッター34のディフュザー枠35には、フィルター保持片36を備えられ、これにフィルター(図示省略)を着脱自在に取付けて、任意の色光を投射できるようになっている。 【0003】また、前記照明器具30は、舞台照明等に際して、上下、左右、斜めなど各方向に多数配置され、各方向から各種色光による背景照射に使用されており、各色光によるグラデーションを行なっている。従来、室内(特に写真スタジオなど)で記念写真等の撮影を行なう場合、色々な背景布又は紙を壁面に取付けたり天井から吊るなどして使用し、該背景布に前記照明器具により任意の色光のフィルターを用いて照射を行なっており、背景布又は紙の交換を頻繁に行なわれるので、多種の背景布又は紙を準備し対応している。なお、前記背景布等は、下部を床面にまで長く伸ばしているため、客が履物のまま背景布等の上に乗っている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、撮影室が広い場合には、多くの照明器具を上下・左右の適所に配置して任意の背景照明を行なうことができるが、撮影室が狭い場合には、背景照明器具を左右の端部にしか配置できず、しかも左右の照射色光を変えて左右2色の背景を現出するということしかできないほか、場合によっては照明器具が背景の邪魔になることがあった。また、背景布又は紙は、いろいろなものを準備する必要があり、背景交換のために客を待たさなければならず、客の履物が雨に濡れていると背景布等を汚すという問題がある。 【0005】本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、多数の照明器具を用いることなく、単体の光源から複数種の色光を得ることができ、背景布、紙等の種類を減少させることが可能な照明色調分離器を提供するにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。即ち、本発明は、光源の前方に光軸と平行に配設され、かつ光源を複数分割する分光板と、該分光板の前端にこれと直交状に設けられた任意幅の遮光体とにより構成したことを特徴としている。 【0007】この場合、遮光体の幅は、光源と光照射面(背景布、壁面等)との距離(照射距離)に応じて、遮光体の幅方向端縁からの回折光線の重なりが可及的に少なくなる寸法(例えば、光軸からみて光源面積の半分程度をカットする寸法)に設計され、光軸付近の強い光線をカットして、均一な光量となるように調整される。したがって、光源からの光線は正確にかつ均一に複数分割され、前記分光板の両側に色の異なるフィルターを配することにより、照射面に色の異なる光線を照射することができ、しかも、色の境界部分のグラデーション(ぼかし)を滑らかにすることができる。 【0008】なお、前記分光板の大きさと形状は、光源の照射角度による光量低下を補う反射板の役割を兼ねるため、照射面の光量があらゆる部位から見て同程度になるように、光源となる面の形に応じて調整される。本発明は、前記分光板の形状を、その前端縁が前方(照射面積)に突出する弧状例えば円弧状とすることができる。このようにすることで、遮光体が前方に突出する円弧状となり、光線を放射状にかつ均一に拡散することができる。 【0009】また、前記遮光体の幅を調整可能に構成することで、光源と照射面との距離に応じて幅調し、良好な分光とグラデーションを得ることができる。本発明は、前記遮光体を、遮光基板と、該遮光基板に着脱可能に取付けた遮光幅調整帯とにより構成することにより、遮光体の幅を、照射距離に応じて任意に調整できる。 【0010】そして、前記遮光体の先端部(遮光幅調整帯を含む)に拡散フィルター(フィルターに遮光体幅方向端縁と直交する方向の微細線状凹部を設けたもの)を装着し、光線が遮光体の長手方向に均等に拡散して、照射面に均一な光量が照射できるようにしてある。さらに、本発明は、前記分光板の基端部にフィルター枠を取付けたものとすることができ、任意の各種フィルターを、複数枚同時に装着し、或いは交換することが可能である。 【0011】また、前記フィルター枠は、従来のライトカッターのディフュザー枠に着脱可能に取付けうるようにしてあり、ライトカッターに簡単にかつ確実に装着できる。そして、前記分光板の両面及び遮光体の光源側面は、白・銀色などの反射率の高い色にしてあり、照射光量低下を補なう反射板の機能を兼備させることができる。 【0012】なお、分光板は、正面からみて左右又は上下方向に、1又は複数を配することができ、さらには、正面視十文字状に設けることもできる。また、本発明に係る色調分離器は、左右一対で使用することにより、光照射による各種色調を一層効果的なものとすることができるほか、照射面左右の色をも変えて倍数の色の背景を得ることができる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は、本発明に係る照明色調分離器1の第一の実施形態を示し、フィルター枠2と一体的に構成されている。そして、該フィルター枠2は、従来のライトカッター34のディフュザー枠35に着脱可能とされている。 【0014】この照明色調分離器1は、前端が前方に突出する円弧状とされ光源の前方に光軸S(図7参照)と平行に配される分光板3と、該分光板3の前端にこれと直交状に固着された弯曲面を有する遮光体4と、該遮光体4の長手方向一端に固着されたフィルター枠2への取付部材5とにより主構成されている。前記遮光体4は、弯曲板からなる遮光基板4Aと該基端4Aの前面に面ファスナー(図示省略)を介して着脱可能に取付けた2つの遮光幅調整帯4Bとからなり、遮光幅調整帯4Bの外側(前方側)面には、一端(上又は下)側に突出する拡散フィルター6が接着されている。 【0015】そして、前記遮光基板4Aは、幅方向中心が前記分光板3の厚さ方向中心に位置するように、分光板3端に固着され、適所に補強材7が分光板3と遮光基板4Aに固着されている。また、遮光基板4Aの長手方向一端部外側に、略台形板状の前記取付部材5が固着され、該取付部材5には蝶番8の一方の金具8Aがビス9により固着されている。 【0016】前記補強材7のうち、取付部材5の側端とその反対側端の補強材7A,7Bは、夫々一枚物とされ、分光板3の基端部側端面にも固着されている。そして、反対側端の前記補強材7Bは、前記フィルター枠2前面に固着したストッパ10により支持されるようになっている。前記蝶番8の相手方の金具8Bは、前記フィルター枠2の側面にビス9により固着され、ピン8Cを介して前記金具8Aに相対回動可能に連結されている。したがって、照明の分光を必要としないとき、即ち、単色光のみでの照射時には、図6に示すように、照明色調分離器1を蝶番8を介して開くことができる。 【0017】また、ピン8Cは、金具8A側に設けられており、金具8Bに対して上方から挿脱自在とされているので、照明色調分離機1をフィルター枠2に対して上方にスライドさせると、照明色調分離機1をフィルター枠2から取り外すこともできる。前記拡散フィルター6は、透明フィルターに、図3に示すように、遮光体4の幅方向端縁と直交する方向の微細線状凹部11を設けたもので、遮光基板4A又は遮光幅調整帯4Bの端縁部近傍を通る光線を、遮光体4の長手方向にムラなく拡散させ、光量の均一化を図ると共に滑らか(ソフト)な光が得られるようにしてある。 【0018】前記フィルター枠2は、正面視正方形を呈し、内側に通光開口12を備え、前面側三方にはフィルター(図示省略)の端部を収容保持する深い溝状のフィルターポケット13が、前記開口12側及び一方(上)側に開くように形成されており、上側がフィルム挿入口14とされている。また、フィルター枠2の背面側には、ライトカッター34のディフュザー枠35に装着可能な背面視正方形でかつ外向き鍔状の係合部15が設けられている。 【0019】したがって、前記フィルター枠2は、前記ディフュザー枠35に対して、縦・横いずれの向きにも装着でき、光線(フィルターを通して得られた面光源を含む)を、左右又は上下に分けることができる。前記分光板2、遮光基板4A及び遮光幅調整帯4Bの背面側、補強板7及び取付部材5の内側面は、白色・銀色などの反射率の高い色に着色してあり、照射光量低下を補なう反射板の機能を兼備させてある。 【0020】なお、フィルター枠2、遮光体4前面及び取付部材5の外側面は、ライトカッター34と同じ黒色とされている。また、前記ライトカッター34のディフュザー枠35前面には、断面L字形のフィルター保持片36が、上側を除く三方に突設されており、該保持片36により前記フィルター枠2の係合部15が係止保持されるようになっている。 【0021】前記フィルター枠2に装着されるフィルターとしては、ライト31の光を面光源にするフィルター、光量を制限するためのフィルター(全面用と半面用)及び色を得るためのフィルター(18色)が準備され、これらのフィルムはすべてラミネート加工して使用する。上記第一実施形態において、照明色調分離器1を用いて光照射を行なう場合、該分離器1をフィルター枠2を介してライトカッター34のディフュザー枠35に装着し、フィルター枠2に面光源フィルター及び上下異色のフィルターを装着して、ライト31を点灯し、照射面16に照射すると共に、照射距離に応じて遮光幅調整帯4Bを上下に移動させて、該帯4B端縁からの回折光線の重なりを可及的に少なくなるように調整する。 【0022】この場合、ライト31の光線は、図7に示すように、フィルター枠2に装着した面光源フィルターにより面光源とされ、分光板3により上下に2分割され、しかも円弧状端縁を備えた遮光体4により光軸S付近の強い光線がカットされ、夫々異なる色の光となって照射面16に達し、上下に鮮明な2色の背景a,bを得ることができる。そして、遮光体4の円弧状端縁と拡散フィルター6によって、遮光体4幅方向近傍の光線が、左右方向に均一に拡散され、上下2色光の境界部分に滑らかなグラデーションが得られる。また、色調分離器1は、背景の左右両側に一対で使用するのが好ましい。 【0023】なお、本発明における遮光体4を使用せず、分光板3のみからなる色調分離器を使用した場合、図8に示す比較例から明白なように、光軸S付近は、分光板3より上方の光と下方の光とが一部重なり合って、上下2色の背景a,bの間に、横方向に延びる白い帯状部分cが現われたり、2色が混り合った変な色の帯状部分が現われ、上下2色光の境界部分に滑らかなグラデーションを得ることができない。 【0024】上記実施形態によれば、前記分光板3が垂直になるようにフィルター枠2をディフュザー枠35に取付けることにより、背景を左右2色に分けることができる。そして、カラーフィルターの交換によって、背景を様々な2色に簡単に変えることができ、背景布の種類が少なくても所望の背景を得ることが可能であり、しかも、光源を左右両側に配しうるので背景の邪魔にならない。また、背景の交換が容易でかつ短時間で行なえるので、客の待ち時間を大幅に短縮できる。 【0025】さらに、前記分離器1を使用する場合、背景の材質を選ばないので、Pタイルやクッションフロアの床を壁紙とで専用の撮影スタジオを作っておくことができ、客の履物が雨に濡れていても、従来のように背景布を汚すこともなく、気軽に撮影できる。なお、撮影スタジオをPタイルと壁紙で構成する場合、床と壁紙の境界部分即ち背景下部は、半径が約900mmの凹曲面とすることにより、光が溜らずきれいなグラデーションを得ることができる。 【0026】また、組み合わせるカラーフィルターの透過率は、光源が単体であるため、色の濃さを揃える必要性から、同程度にするのが好ましい。そして、使用頻度の多い組み合わせのカラーフィルターは、上下一体物にしておくと、フィルター交換時間を半減することができる。背景を左右一対の照明器具で照射する場合、左右の色調分離器1のフィルター枠2に、左右異なる色のフィルターを装着することで、上下・左右に異なる4色の背景を得ることができる。また、夫々の色について、NDフィルター(濃度だけのフィルター)の使用や、光源ライト31の出力を調整することで、様々な雰囲気の色に調整することができる。なお、光照射の際、照射面16に影響する他の光は、その分だけ色の効果が弱まるので、必要な色調を得るためには、これをコントロールしなければならないこと当然である。 【0027】また、前記分光板3の面積と形は、光源の照射角度による光量低下を補う反射板の役割を兼ねるため、照射面16のあらゆる部位から見て光量が同程度になるように光源となる面の形によって調整されたものにしなければならない。上記実施形態では、分光板3の前端を円弧状にし、遮光板4を弯曲させることで、照射面16の光量が同程度になるようにしている。 【0028】なお、前記遮光幅調整帯4Bを遮光基板4Aに着脱自在に取付ける手段は、面ファスナーのほか、他のスライド式調整機構を採用することができる。図9〜図11は、本発明の第二実施形態を示し、第一実施形態と異なるところは、分光板3がフィルター枠2に着脱自在に装着可能とされ、遮光幅調整帯を省略し基板のみからなる遮光体4に拡散フィルター6を固着した点であり、遮光体4の幅調整ができないことを除き、第一実施形態と略同じ作用効果を期待することができる。 【0029】即ち、フィルター枠2のポケット13前面左右には、上下方向中央に位置して垂直状に分光板支持片17が突設され、外側に夫々補強部18が設けられている。他方、前記分光板3の基端部左右には、前記字片17と干渉しないように切欠部19が設けられ、該切欠部19の上側の一部と下側を全部を塞ぐ支持片挟持板20,21が固着されている。 【0030】したがって、フィルター枠2に照明色調分離器1を装着する場合、前記フィルター枠2の左右分光板支持片17を、前記分離器1の支持片挟持板20,21の間に挿入することにより、至極簡単に行なうことができる。また、前記分離器1が不要な場合は、分光板支持片17を前記挟持板20,21間から抜き出せばよく、非常に便利である。 【0031】また、第二実施形態においても、遮光体4を第一実施形態と同じように、幅調整可能に構成することができる。なお、第一実施形態と共通する構成部分については、図1〜図5と同符号を付し詳細説明を省略する。また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、前記色調分離器1を直接ライトカッターに取付けでき、またフィルター枠2を分光板3に固着し、一体構造とすることができるほか、分光板3を複数枚平行に又は直交状に配するなど適宜設計変更可能である。 【0032】 【発明の効果】以上のように、本発明は、光源の前方に光軸と平行に配設され、かつ光源を複数分割する分光板と、該分光板の前端にこれと直交状に設けられた任意幅の遮光体とにより構成したことを特徴とするものであるから、遮光体により光軸付近の強い光線をカットして、均一な光量の背景を得ることができ、単体の光源から複数種の色光を得ることができ、しかも色光の境界部分に滑らかなグラデーションを得ることができる。 【0033】また、前記分光板の前端を前方に突出する弧状に形成することにより、光線を放射状にかつ均一に拡散させることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】598026404 【氏名又は名称】有限会社ひかり写真室
|
| 【出願日】 |
平成10年(1998)2月26日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】安田 敏雄
|
| 【公開番号】 |
特開平11−250705 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月17日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−45703 |
|