トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F21 照明




【発明の名称】 照明制御装置
【発明者】 【氏名】前原 恒男

【要約】 【課題】照射対象の位置を認識して、照明器具の照射方向を照射対象の移動に自動的に追尾させるように制御する照明制御装置において、照射対象の顔方向に応じて照射対象上の照度を制御して逆光状態を防止する。

【解決手段】照射対象の顔方向を判定して照射対象上の顔方向からの照度Aと頭部後方向からの照度BをA≧Bとなるように照明器具を制御する。例えば、照射対象を含む画像情報から照射対象の頭部を検出し、識別することで顔方向を判定しても良いし、照射対象に携帯させた発光装置又は発音装置の発する光又は音を複数の位置で受光又は受音し、その受光又は受音状態から顔方向を判定しても良い。また、照射対象の位置情報の時間的変化から照射対象の進行方向を識別することで顔方向を判定しても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 照射対象の位置を認識して、照明器具の照射方向を照射対象の移動に自動的に追尾させるように制御する照明制御装置において、照射対象の顔方向を判定して照射対象上の顔方向からの照度を頭部後方向からの照度以上となるように照明器具を制御することを特徴とする照明制御装置。
【請求項2】 請求項1において、顔方向を判定する手段は、照射対象を含む画像情報から照射対象の頭部を検出し、識別することで顔方向を判定する手段であることを特徴とする照明制御装置。
【請求項3】 請求項1において、顔方向を判定する手段は、照射対象に携帯させた発光装置の発する光を複数の位置で受光し、受光状態から顔方向を判定する手段であることを特徴とする照明制御装置。
【請求項4】 請求項1において、顔方向を判定する手段は、照射対象に携帯させた発音装置の発する音を複数の位置で受音し、受音状態から顔方向を判定する手段であることを特徴とする照明制御装置。
【請求項5】 請求項1において、顔方向を判定する手段は、照射対象の位置情報の時間的変化から照射対象の進行方向を識別することで顔方向を判定する手段であることを特徴とする照明制御装置。
【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかにおいて、少なくとも照射対象と照明器具の距離と、照射対象の顔方向と照明器具の照射方向との水平方向角度とを用いて照明器具を制御することを特徴とする照明制御装置。
【請求項7】 請求項6において、少なくとも照明器具の明かりレベル又は照明器具のパターン径のいずれかを制御することを特徴とする照明制御装置。
【講求項8】 請求項6又は7において、照射対象の顔方向と照明器具の照射方向の角度を用いて照明器具を制御することを特徴とする照明制御装置。
【請求項9】 請求項6乃至8のいずれかにおいて、照明器具ごとに明かりレベルに対する照度の比を設定可能としたことを特徴とする照明制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1台または複数台の照明器具の照射方向等を制御する照明制御装置に関するものであり、例えば、テレビスタジオ、舞台、ホール、ホテル宴会場、結婚披露宴会場などにおいて用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】図5は自動追尾機能を有する照明制御装置の説明図である。この装置は、照射対象Mの位置を認識して、照明器具Aの照射方向を照射対象Mの移動に自動的に追尾させるように制御するものであり、図中のスポットPが照射対象Mの移動に追随して動くように照明器具Aの照射方向を制御する装置である。ここで、図6に示すように、移動している照射対象Mを自動追尾するように2台の照明器具A、Bを制御している場合を考える。例えば、披露宴では追尾される照射対象Mは新郎新婦であるが、図6の状態で新郎新婦を正面から写真またはビデオで撮影すると、照明器具Aの明かりが逆光となってしまう場合がある。これは通常の自動追尾機能を有する照明制御装置では、照明器具A、Bの照射方向のみを制御するだけで照射対象M上での明かりの照度を制御しないことが原因となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述のような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、照射対象の位置を認識して、照明器具の照射方向を照射対象の移動に自動的に追尾させるように制御する照明制御装置において、照射対象の顔方向に応じて照射対象上の照度を制御することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明にあっては、上記の課題を解決するために、照射対象Mの位置を認識して、照明器具Li (i=0,1,2,…,m)の照射方向を照射対象Mの移動に自動的に追尾させるように制御する照明制御装置において、照射対象Mの顔方向を判定して照射対象M上の顔方向からの照度Aと頭部後方向からの照度BをA≧Bとなるように照明器具Li を制御することを特徴とするものである。顔方向を判定する手段としては、例えば、照射対象Mを含む画像情報から照射対象Mの頭部を検出し、識別することで顔方向を判定するものでも良いし、あるいは、照射対象Mに携帯させた発光装置又は発音装置の発する光又は音を複数の位置で受光又は受音し、その受光又は受音状態から顔方向を判定するものでも良い。また、照射対象Mの位置情報の時間的変化から照射対象Mの進行方向を識別することで顔方向を判定しても良い。
【0005】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例1の構成を示すブロック図である。この照明制御装置は、照射対象の位置データを取得する照射対象位置取得部1と、照射方向と明かりレベルを指示入力することができるリモコン照明器具Li (i=0,1,2,…,m)と、各照明器具Li の取付位置データを設定、取得することができる器具取付位置データレジスタ2と、画像情報を取り込むためのカメラ3と、カメラ3からの画像情報をもとに照射対象の頭部を検出・認識して照射対象の顔方向を判定できる顔方向取得部4と、照度指数比設定値Rを設定、取得することができる照度指数比設定レジスタ5と、明かりレベルに対する照度の比を設定、取得することができる明かりレベル照度比レジスタ6と、これらに接続された演算装置7とから構成されている。
【0006】以下、本実施例の動作について説明する。まず、追尾開始前の動作として、予め照度指数比設定値Rを照度指数比設定レジスタ5に、照明器具Li ごとの明かりレベルDi に対する照度の比Ki を明かりレベル照度比レジスタ6に、それぞれ設定しておく。ここで、照明器具Li ごとの明かりレベルDi に対する照度の比Ki について説明すると、同じ100%の明かりレベルでも器具種類ごとに照射面での照度は異なるので、照明器具Li ごとに明かりレベルに対する照度を比で表すものである。
【0007】次に、追尾を開始した後の動作を図2及び図3に示す。各リモコン照明器具Li (i=0,1,2,…,m)の照射方向は従来の自動追尾装置と同様にして決定する。照明器具Li の明かりレベルは以下の手順で求める。
■照射対象位置取得部1から得た照射対象Mの座標(x,y,z)と器具取付位置データレジスタ2から取得した器具取付位置座標(XLi,YLi,ZLi)とから照射対象Mと照明器具Li の距離di を次式により取得する。
【0008】
【数1】

さらに、顔方向取得部から得た顔方向(xf ,yf ,0)から照射対象Mの顔方向と照明器具Li の照射方向との角度φi を取得する。また、図4に示すように、照射対象Mの顔方向と照明器具Li の照射方向との水平方向角度θi を次式により取得する。
【数2】

■照射対象Mと照明器具Li の距離di と、照射対象Mの顔方向と照明器具Li の照射方向との角度φi とから照度指数Ci を以下のように定義する。
【0009】
【数3】

照射対象Mの顔方向と照明器具Li の照射方向との水平方向角度θi の大きさにより、顔方向の照度指数の和Cf 、頭部後方向の照度指数の和Cb を求める。
f =ΣCi (i:θi ≧90度)
b =ΣCi (i:θi <90度)
すなわち、θi ≧90度のときは、照明器具Li は照射対象Mの顔方向を照らしており、θi <90度のときは、照明器具Li は照射対象Mの頭部後方向を照らしているものとして、それぞれの場合の照度指数Ci の和を求める。
【0010】■次に、照度指数比rを以下のように定義し、取得する。
r=Cf /Cb照度指数比設定値Rを照度指数比設定レジスタから取得し、照明器具Li の明かりレベルDi を以下のように設定する。
i =100% (i:θi ≧90度)
i =r/R×100% (i:θi <90度、r/R≦1)
i =100% (i:θi <90度、r/R>1)
すなわち、θi ≧90度のときは、照明器具Li は照射対象Mの顔方向を照らしており、逆光を招く状態ではないので、照明器具Li の明かりレベルDi は100%とする。また、θi <90度のときは、照明器具Li は照射対象Mの頭部後方向を照らしているが、r/R>1であれば、逆光状態とは言えないので、照明器具Li の明かりレベルDi は100%とする。一方、θi <90度で、且つr/R≦1であれば、逆光状態となっており、その原因が照射対象Mの頭部後方向を照らしている照明器具Li にある可能性が高いので、照明器具Li の明かりレベルDi をr/R×100%とする。これにより、照明器具Li による逆光状態への寄与は低減される。他の照明器具が逆光状態に寄与している場合についても同様の割合で明かりレベルが低減されるので、全体として、逆光状態は解消される方向に制御されるものである。
【0011】本実施例1によれば、顔方向からの照度Aと頭部後方向からの照度BをA≧Bと設定することで、照射対象の顔方向からのカメラ、ビデオ等の撮影に対して器具の明かりが逆光とならないように制御できるという効果がある。また、照射対象Mと各照明器具Li の距離di を用いて制御することで、通常、器具の照射面での照度は器具から照射面までの距離の2乗に反比例するので、照射対象M上の照度を実際に計測しなくても照射対象Mの照度を制御できるという効果がある。
【0012】さらに、照明器具Li の明かりレベルDi を制御することで、器具の明かりレベルを消灯から点灯まで滑らかに変化させることができるので、明かりレベルの急激な変化による違和感を軽減できるという効果がある。また、照射対象Mの顔方向と照明器具Li の照射方向の角度φi を用いて制御することで、器具ごとに取り付け高さが異なる場合にも対応できるという効果がある。さらに、照明器具Li ごとに明かりレベルDi に対する照度の比Ki を設定することで、異なる種類の器具を使用する場合にも対応できるという効果がある。
【0013】(実施例2)本発明の実施例2では、図1に示した実施例1の構成から、カメラ3と、顔方向取得部4とを削除し、照射対象Mに携帯させた発光装置と、この発光装置が発した光を複数の位置で受光する受光装置Ej (j=1,2,3,…,n)とを付加する。そして、実施例1の動作■で照射対象Mの顔方向を取得する際に、受光装置Ej の受光の有無の組み合わせで顔方向を判定するものである。この実施例2によれば、実施例1のカメラと顔方向取得部に比べて、発光装置と受光装置は通常コストが低いので、安価で実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0014】(実施例3)本発明の実施例3では、図1に示した実施例1の構成から、カメラ3と、顔方向取得部4とを削除し、照射対象Mに携帯させた発音装置と、この発音装置が発した音を複数の位置で受音する受音装置Sj (j=1,2,3,…,n)とを付加する。そして、実施例1の動作■で照射対象Mの顔方向を取得する際に、受音装置Sj の受音の有無の組み合わせで顔方向を判定するものである。この実施例3によれば、実施例1のカメラと顔方向取得部に比べて、発音装置と受音装置は通常コストが低いので、安価で実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0015】(実施例4)本発明の実施例4では、図1に示した実施例1の構成から、カメラ3と、顔方向取得部4とを削除し、照射対象Mの位置を設定、取得することができる前回位置レジスタを付加する。そして、予め追尾開始時における照射対象Mの位置を前回位置レジスタに設定しておいて、実施例1の動作■で照射対象Mの顔方向を取得する際に、前回位置レジスタから取得した位置データと照射対象位置取得部1から取得した位置データとから、照射対象Mの進行方向を取得し、進行方向を顔方向とする。この実施例4によれば、実施例1のカメラ3と顔方向取得部4が不要であり、さらに実施例2、3と比べても照射対象Mに発光装置や発音装置を携帯させなくても良く、安価で実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0016】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、照射対象の位置を認識して、照明器具の照射方向を照射対象の移動に自動的に追尾させるように制御する照明制御装置において、照射対象の顔方向を判定して照射対象上の顔方向からの照度を頭部後方向からの照度以上となるように照明器具を制御するものであるから、照射対象の顔方向からのカメラ、ビデオ等の撮影に対して器具の明かりが逆光とならないように制御できるという効果がある。
【0017】請求項2の発明によれば、照射対象を含む画像情報から照射対象の頭部を検出し、識別することで顔方向を判定するものであるから、確実に照射対象の顔方向を判定することができる。また、照射対象はテレビカメラで撮影されている場合が多いので、画像処理部のみを追加すれば良く、コストの増加は少なくて済む。また、請求項3、4の発明によれば、照射対象に携帯させた発光装置又は発音装置の発する光又は音を複数の位置で受けて、その受光又は受音状態から顔方向を判定するようにしたから、請求項2のカメラと画像処理の組み合わせに比べて、非常に安価で同様の効果を得ることができる。
【0018】さらに、請求項5の発明によれば、照射対象の位置情報の時間的変化から照射対象の進行方向を識別することで顔方向を判定するようにしたから、請求項2のカメラと画像処理の組み合わせに比べて非常に安価であり、請求項3、4の発明と比べても照射対象に発光装置や発音装置を携帯させなくても良く、簡単且つ低コストで同様の効果を得ることができる。
【0019】また、請求項6の発明によれば、少なくとも照射対象と照明器具の距離と、照射対象の顔方向と照明器具の照射方向との水平方向角度とを用いて照明器具を制御するようにしたから、通常、器具の照射面での照度は器具から照射面までの距離の2乗に反比例するので、照射対象上の照度を実際に計測しなくても照射対象の照度を制御できるという効果がある。
【0020】さらに、請求項7の発明によれば、少なくとも照明器具の明かりレベル又は照明器具のパターン径のいずれかを制御するようにしたから、明かりレベルやパターン径の急激な変化による違和感を軽減できるという効果がある。また、請求項8の発明によれば、照射対象の顔方向と照明器具の照射方向の角度を用いて照明器具を制御することで、器具ごとに取り付け高さが異なる場合にも対応できるという効果がある。
【0021】さらに、請求項9の発明によれば、照明器具ごとに明かりレベルに対する照度の比を設定可能としたので、異なる種類の器具を使用する場合にも対応できるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月15日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】倉田 政彦
【公開番号】 特開平11−176210
【公開日】 平成11年(1999)7月2日
【出願番号】 特願平9−345567