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【発明の名称】 車両用灯具のリフレクタ
【発明者】 【氏名】丸山 淳子

【氏名】小原 禎二

【要約】 【課題】表面平滑性、耐熱性に優れ、しかも高温・高湿下での耐久性にも優れ、且つ薄くて大型のものを容易に成形可能で、車両用灯具のエクステンションリフレクタとしてのみでなく、ランプユニットの主リフレクタとしても用いられることができるリフレクタを提供すること。

【解決手段】車両用灯具に設けられ、少なくとも一主面に鏡面処理が施される車両用灯具のリフレクタにおいて、脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)と、(1)少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合またはエステル結合とを有する有機化合物、(2)有機または無機フィラー、(3)エラストマー、および(4)前記脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)と非相溶な化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の配合剤(B)とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)と、(1)少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合またはエステル結合とを有する有機化合物、(2)有機または無機フィラー、(3)エラストマー、および(4)前記脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)と非相溶な化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の配合剤(B)とからなる車両用灯具のリフレクタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば四輪自動車、二輪自動車その他の車両に用いられる前照灯、尾灯その他の灯具に組み込まれるリフレクタ(エクステンションリフレクタも含む)に係り、さらに詳しくは、高温・高湿下での耐久性を高めたリフレクタに関する。
【0002】
【従来の技術】車両用灯具は、主として、前面が開口する容器状に形成された灯具ボディと、この灯具ボディに取り付けられ光源(ランプ)を有するランプユニットと、灯具ボディの前面開口部に取り付けられる灯具カバー(またはアウタレンズ)とから構成されている。
【0003】ランプユニットには、光源からの光を集光または拡散して所望の配光特性を得るための主リフレクタが設けられているが、ランプユニットと灯具ボディとの間に大きな空間が形成されるので、灯具を外部から観察すると後ろのエイミング機構まで透けて見えるといった見栄え上の問題がある。
【0004】このため、灯室内全体を鏡面色に見せて見栄えを向上させるべく、ランプユニットの主リフレクタの周囲から灯具ボディの前面開口部に至る範囲に、鏡面処理を施したエクステンションリフレクタが配置されている。
【0005】また、前照灯と方向指示灯とを一体化したフロントコンビネーションランプや、ストップランプと方向指示灯とを一体化したリヤコンビネーションランプなどのコンビネーションランプでは、一方のランプからの光が隣接するランプ側へ漏洩しないように遮蔽する機能も兼備させたエクステンションリフレクタが設けられている。
【0006】こうしたリフレクタ(エクステンションリフレクタを含む)は、生産性を高めるためと共に軽量化を図るため、また複雑な形状にも十分に対応することができるように、ノルボルネンとエチレンとの付加共重合体などの熱可塑性樹脂で構成することが検討されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車両用部品は厳しい環境下での使用が多く、長期間にわたる高温・高湿下での耐久性が必要であるが、ノルボルネンとエチレンとの付加共重合体などの非晶質の樹脂では、特に長期間の高温・高湿環境下から常温・常湿下に環境変化すると、樹脂の耐衝撃性が低下するなどの課題があった。
【0008】本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、表面平滑性、耐熱性に優れ、しかも高温・高湿下での耐久性にも優れ、且つ薄くて大型のものを容易に成形可能で、車両用灯具のエクステンションリフレクタとしてのみでなく、ランプユニットの主リフレクタとしても用いられることができるリフレクタを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係るリフレクタは、車両用灯具に設けられる車両用灯具のリフレクタにおいて、脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)と、(1)少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合またはエステル結合とを有する有機化合物、(2)有機または無機フィラー、(3)エラストマー、および(4)前記脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)と非相溶な化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の配合剤(B)とからなることを特徴とする。
【0010】本発明に係るリフレクタは、脂環式構造含有重合体樹脂で形成されているので、少なくともその一主面に鏡面処理を施すために、たとえばアルミニウムなどの蒸着処理を施すに際し、アンダーコーティング膜を形成しなくても充分満足できる表面平滑性を得ることができる。この表面平滑性に優れていることは、本発明に係る脂環式構造含有重合体樹脂が、非晶性樹脂であることなどに起因するものと考えられる。
【0011】また、本発明に係る脂環式構造含有重合体樹脂は、耐熱性に優れ高温でも分解せずに成形可能で、溶融時の流動性にも優れているので、薄肉で、しかも大型かつ複雑な形状であっても成形不良を引き起こすことなく容易に成形することができる。したがって、複雑で大型、かつ軽量化が望まれる車両用灯具のリフレクタに適用して好ましいものである。
【0012】さらに、本発明に係るリフレクタを構成する脂環式構造含有重合体樹脂には、(1)少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合またはエステル結合とを有する有機化合物、(2)有機または無機フィラー、(3)エラストマー、および(4)前記脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)と非相溶な化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の配合剤(B)が配合してあるので、特に高温・高湿下での耐久性に優れ、エクステンションリフレクタのみでなく、ランプユニットの主リフレクタとしても好適に用いることができる。
【0013】リフレクタ本発明において、「車両」とは、二輪自動車、三輪自動車、四輪自動車その他の自動車、鉄道車両、フォークリフトその他の産業用車両等々、広義の車両を意味する。車両用に限らず、一般に使われるライト中に使用されるリフレクタとしても使用することが可能である。
【0014】また、「車両用灯具」とはこうした各種車両に装着された照明用もしくは識別用、標識用の灯具を意味し、特に限定はされないが、前照灯(ヘッドランプ)、尾灯(テールランプ)、制動灯(ストップランプ)、方向指示灯(いわゆるウインカー)、車幅灯、後退灯などが該当する。
【0015】本発明において、リフレクタとは、ランプユニットの光源からの光を集光または拡散して所望の配光特性を得るための主リフレクタに限らず、エクステンションリフレクタ、およびこれらに接続または連結される部材(たとえばスリーブやレンズホルダなど)をも含む概念で用いる。
【0016】本発明において、「エクステンションリフレクタ」とは、車両用灯具のボディとカバー(またはアウタレンズ)とで形成される灯室内の、ランプの周囲に設けられ、少なくとも一主面に鏡面処理が施される、灯具の一構成部品であって、灯具を外部から観察したときに灯室内全体を鏡面色に見せて見栄えを向上させる目的、および/または、一のランプから隣接するランプ側へ漏洩する光を遮断して各ランプによる表示の視認性を高める目的で使用されるものである。自動車用灯具のエクステンションリフレクタとしては、前照灯や尾灯に多用されているが、本発明では特に限定されず、その他上述した各種灯具にも適用することができる。
【0017】脂環式構造含有重合体樹脂(A)本発明で使用される脂環式構造含有重合体樹脂は、主鎖および/または側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
【0018】重合体の脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造を有するものが最も好ましい。
【0019】脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、および成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
【0020】本発明に使用される脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%である。脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと耐熱性に劣り好ましくない。脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。
【0021】こうした脂環式構造を含有する重合体樹脂の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役系ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、およびこれらの水素添加物などが挙げられる。
【0022】これらの中でも、ノルボルネン系重合体およびその水素添加物、環状共役ジエン系重合体およびその水素添加物などが好ましく、ノルボルネン系重合体およびその水素添加物がより好ましい。
【0023】(1)ノルボルネン系重合体ノルボルネン系重合体は、格別な制限はなく、例えば、特開平3−14882号公報や特開平3−122137号公報などに示される重合体である。具体的には、ノルボルネン系モノマーの開環重合体およびその水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとビニル化合物の付加型重合体などが挙げられる。
【0024】これらの中でも、耐熱性や成形加工性を高度にバランスさせる上で、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合体可能なビニル化合物の付加型重合体などが好ましく、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が特に好ましい。
【0025】ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン; 5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン; 5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド;トリシクロ[4.3.12,5 .01,6 ]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.12,5 .01,6 ]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.12,5 .01,6 ]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.12,5 .01,6 ]ウンデカ−3,8−ジエンまたはこれらの部分水素添加物(またはシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.12,5 .01,6 ]ウンデカ−3−エン; 5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン; テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−カルボキシテトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン; 8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5 7,10.0]−ドデカ−3−エン; テトラシクロ[7.4.110,13 .01,9 .02,7 ]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.111,14 .01,10.03,8 ]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、ペンタシクロ[6.5.11,8 .13,6 .02,7 .09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.13,6 .110,13 .01,9 .02,7 ]ペンタデカ−4,11−ジエン; シクロペンタジエンの4量体; などのノルボルネン系単量体などが挙げられる。これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上組合わせて用いられる。
【0026】共重合可能なビニル化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらのビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】ノルボルネン系モノマーまたはノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル系化合物との重合方法および水素添加方法は、格別な制限はなく公知の方法に従って行うことができる。
【0028】ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体は、ノルボルネン系モノマーを、開環重合触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系を用いて、溶媒中または無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2 の重合圧力で開環(共)重合させることにより得ることができる。
【0029】触媒系に、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸などの第三成分を加えて、重合活性や開環重合の選択性を高めることができる。
【0030】水素添加ノルボルネン系重合体は、常法に従って、開環(共)重合体を水素添加触媒の存在下に水素により水素化する方法により得ることができる。
【0031】ノルボルネン系モノマーとビニル系化合物との付加共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中または無溶媒で、チタン、ジルコニウム、またはバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2 の重合圧力で共重合させる方法により得ることができる。
【0032】(2)単環の環状オレフィン系重合体単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開昭64−66216号公報に開示されているシクロロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
【0033】(3)環状共役ジエン系重合体環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体およびその水素添加物などを用いることができる。
【0034】(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体ビニル脂環式炭化水素系重合体としては、例えば、特開昭51−59,989号公報に開示されているビニルシクロヘキセンやビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素単量体の重合体およびその水素添加物、特開昭63−43,910号公報、特開昭64−1,706号公報などに開示されているスチレンやα−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素添加物などを用いることができる。
【0035】本発明で使用される脂環式構造含有重合体樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量で、5,000以上、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは8,000〜200,000、特に好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、機械的強度と成形加工性とが高度にバランスし、好適である。
【0036】本発明で使用される脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50〜300℃、好ましくは100〜280℃、特に好ましくは120〜250℃の範囲にあるときに、耐熱性と成形加工性とが高度にバランスし、好適である。
【0037】本発明で使用される脂環式構造含有重合体樹脂の、280℃、荷重2.16kgfにおけるJIS K6719により測定したメルトフローレートは、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、通常4〜100g/10min.、好ましくは10〜50g/10min.の範囲が好適である。メルトフローレートが低すぎると成形時に成形材料を加温する温度がより高温となるため加工しにくい場合が生じ、高すぎると成形時にバリなどの成形不良の発生する場合が生じる。
【0038】ちなみに、これらの脂環式構造含有重合体樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】配合剤(B)(1) 部分エーテル化合物および部分エステル化合物本発明に使用される、少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合を有する化合物、あるいは、少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエステル結合とを有する有機化合物を、脂環構造含有熱可塑性樹脂に配合することで、高温高湿度環境下での白濁を防止し、高い透明性を維持することが可能である。
【0040】少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合を有する化合物とは、フェノール性の水酸基ではないアルコール性の水酸基を少なくとも1個と、分子中にエーテル結合単位を少なくとも1個有する有機化合物であれば特に限定はされない。例えば2価以上の多価アルコール、より好ましくは3価以上の多価アルコール、さらに好ましくは3〜8個の水酸基を有する多価アルコールなどの水酸基の1つがエーテル化された部分エーテル化合物が挙げられる。
【0041】また、少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエステル結合を有する化合物とは、フェノール性の水酸基ではないアルコール性の水酸基を少なくとも1個と、分子中にエステル結合単位を少なくとも1個有する有機化合物であれば特に限定はされない。例えば2価以上の多価アルコール、より好ましくは3価以上の多価アルコール、さらに好ましくは3〜8個の水酸基を有する多価アルコールなどの水酸基の1つがエステル化された部分エステル化合物が挙げられる。
【0042】2価以上の多価アルコールとしては例えば、ポリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ジペンタエリスリトール、1,6,7−トリヒドロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−4−オキソヘプタン、ソルビトール、2−メチル−1,6,7−トリヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−オキソヘプタン、1,5,6−トリヒドロキシ−3−オキソヘキサンペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられるが、これらのうち、特に3価以上の多価アルコール、さらには3〜8この水酸基を有する多価アルコールが好ましい。また部分エステル化合物を得る場合には、α、β−ジオールを含む部分エステル化合物が合成可能なグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールなどが好ましい。
【0043】このような部分エーテル化物および部分エステル化物として、具体的には例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノベヘネート、ジグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンジラウレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノベヘレート、ペンタエリスリト^ルジステアレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジペンタエリスリトールジステアレートなどの多価アルコールのエーテル化物、エステル化物;3−(オクチルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(デシルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(ラウリルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(4−ノニルフェニルオキシ)−1,2−プロパンジオール、1,6−ジヒドロオキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−7−(4−ノニルフェニルオキシ)−4−オキソヘプタン、p−ノニルフェニルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化合物、 p−オクチルフェニルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化合物、 p−オクチルフェニルエーテルとジシクロペンタジエンの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化合物などが挙げられる。
【0044】これらの多価アルコールのエーテル化合物またはエステル化合物の分子量は特に限定されないが、通常500〜2000、好ましくは800〜1500のものが、透明性の低下も少なく好ましい。これらの多価アルコールのエーテル化物またはエステル化物は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
【0045】(2)有機または無機フィラー有機、または無機のフィラーは、高分子工業で通常使用されるものであれば、特に限定はされない。
【0046】有機フィラーとしては、例えば、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、フッ素繊維、ポリアミド繊維などの繊維、エボナイト粉末、熱硬化性樹脂中空球、エポキシ樹脂フィラー、シリコン系フィラー、サラン中空球、セラック、木粉、コルク粉末、ポリビニルアルコール繊維、セルロースパウダ、木材パルプなどを例示することができる。これらの中でも、特に、耐熱性(熱分解温度が高い)、機械特性などに優れる理由からエポキシ樹脂フィラー、シリコン系フィラー、熱硬化樹脂中空球、フッ素繊維などが好ましい。
【0047】無機フィラーは、1族、2族、4族、6族、7族、8〜10族、11族、12族、13族、14族元素の酸化物、水酸化物、硫化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、硼酸塩およびそれらの含水化合物、これらを中心とする複合化合物、これらの化学的組成を持つ天然鉱物粒子である。具体的には、フッ化リチウム、硼砂(硼酸ナトリウム含水塩)などの1族元素化合物;炭酸マグネシウム、燐酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、チタン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウム含水塩(タルク)、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、亜燐酸カルシウム、硫酸カルシウム(石膏)、酢酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、フッ化カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸バリウム、燐酸バリウム、硫酸バリウム、亜燐酸バリウムなどの2族元素化合物; 二酸化チタン(チタニア)、一酸化チタン、窒化チタン、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)、一酸化ジルコニウムなどの4族元素化合物;二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、硫化モリブデンなどの6族元素化合物;塩化マンガン、酢酸マンガンなどの7族元素化合物;塩化コバルト、酢酸コバルトなどの8〜10族元素化合物;沃化第一銅などの11族元素化合物;酸化亜鉛、酢酸亜鉛などの12族元素化合物;酸化アルミニウム(アルミナ)、フッ化アルミニウム、アルミノシリケート(珪酸アルミナ、カオリン、カオリナイト)などの13族元素化合物;酸化珪素(シリカ、シリカゲル)、石墨、カーボン、グラファイト、ガラスなどの14族元素化合物;カーナル石、カイナイト、雲母(マイカ、キンウンモ)、バイロース鉱などの天然鉱物の粒子が挙げられる。
【0048】無機フィラーの平均粒径は、電子顕微鏡などにより、3000〜5000個の粒子の直径から測定される平均粒径で、0.05〜50μm、好ましくは0.1〜30μmの範囲である。また針状粒子よりも長辺と短辺の長さの比が2対1以下である球状粒子が好ましい。フィラーの大きさがこの範囲にある時に、透明性と高温高湿度環境下での白濁防止効果との高度なバランスが得られる。
【0049】(3) エラストマーエラストマーは、ガラス転移温度が40℃以下の重合体であって、通常のゴム質重合体および熱可塑性エラストマーが含まれる。なおブロック共重合したゴム質重合体などでガラス転移温度が2点以上ある場合は、最も低いガラス転移温度が40℃以下であれば本発明のガラス転移温度が40℃以下のゴム質重合体として用いることができる。
【0050】エラストマーの例としては、イソプレン・ゴム、その水素添加物;クロロプレンゴムその水素添加物;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体などの飽和ポリオレフィンゴム;エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、α−オレフィン・ジエン共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体、イソブチレン・ジエン共重合体などのジエン系共重合体これらのハロゲン化物ジエン系重合体またはそのハロゲン化物の水素添加物;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、その水素添加物;フッ化ビニリデン・三フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン・四フッ化エチレン共重合体、プロピレン・四フッ化エチレン共重合体などのフッ素ゴム;ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエーテル系ゴム、アクリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレンアクリルゴムなどの特殊ゴム;ノルボルネン系単量体とエチレンまたはα−オレフィンの共重合体、ノルボルネン系単量体とエチレンとα−オレフィンの三元共重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物などのノルボルネン系ゴム質重合体;乳化重合または溶液重合したスチレン・ブタジエン・ゴム、ハイスチレンゴムなどのランダムまたはブロック・スチレン・ブタジエン系共重合体、これらの水素添加物;スチレン・ブタジエン・スチレン・ゴム、スチレン・イソプレン・スチレン・ゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン・ゴムなどの芳香族ビニル系モノマー・共役ジエンのランダム共重合体、これらの水素添加物;スチレン・ブタジエン・スチレン・ゴム、スチレン・イソプレン・スチレン・ゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン・ゴムなどの芳香族ビニル系モノマー・共役ジエンの直鎖状または放射状ブロック共重合体、それらの水素添加物などのスチレン系熱可塑性エラストマーをはじめ、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;等のうち、主成分となる脂環構造含有熱可塑性樹脂と非相溶のものが挙げられる。
【0051】これらの中でも、芳香族ビニル系モノマーと共役ジエン系モノマーの共重合体、およびその水素添加物が、脂環構造含有熱可塑性樹脂との分散性が良く、好ましい。芳香族ビニル系モノマーと共役ジエン系モノマーの共重合体はブロック共重合体でもランダム共重合体でも良い。耐候性の点から芳香環以外の部分を水素添加しているものがより好ましい。具体的には、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、およびこれらの水素添加物、スチレン・ブタジエン・ランダム共重合体およびこれらの水素添加物などが挙げられる。
【0052】(4)脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)と非相溶な化合物脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)と非相溶な化合物は、脂環構造含有熱可塑性樹脂に完全に溶解しない非相溶な成分であれば特に限定はされない。ここで非相溶な成分とは、脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、化合物5重量部とを溶融混合した組成物を、光学顕微鏡で50,000倍に拡大、観察し、2.0mm×2.0mmの範囲に1個以上のドメインを確認したものをいう。
【0053】非相溶な化合物としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルホンポリスルフォン、などのエーテル系重合体;液晶プラスチック、芳香族ポリエステル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、などのポリエステル系重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−ペンテン−1、環状オレフィン系重合体などのポリオレフィン系重合体;ポリメチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレート共重合体、ポリアクリロニトリルスチレン(AS樹脂)などの汎用透明プラスチック;その他、脂環式アクリル樹脂;MS樹脂などが挙げられる。
【0054】成形体として透明性が要求される場合には、脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)と配合剤(B)との屈折率差は、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下である。屈折率の差が大きいものを混合すると、多量に添加した場合に成形品が不透明となりやすい。
【0055】配合剤(B)のうち、(1)少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合またはエステル結合とを有する有機化合物、または(3)エラストマーが、透明性、耐熱性、成形加工性に優れ好ましい。
【0056】(配合)本発明においては配合剤は脂環構造含有熱可塑性樹脂に適量配合する。配合量は脂環構造含有熱可塑性樹脂と配合剤の組み合わせによって決まるが、一般に、配合量が多すぎれば、組成物のガラス転移温度が大きく低下し、車両灯具用灯具のリフレクタとして使用するのに不適である。また配合量が少なすぎれば、高温高湿下における耐久性が低下する傾向にある。配合剤の配合量としては、脂環構造含有熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部の割合で配合する。配合量が上記範囲にある場合に、成形品の耐熱性、高温高湿度環境下における耐久性が高度にバランスされて好適である。
【0057】配合する方法は配合剤が脂環構造含有熱可塑性樹脂中で十分に分散する方法であれば、特に限定されない。例えば、ミキサーや一軸混練機、二軸混練機などで樹脂を溶融した状態で配合剤を添加して混練する方法や、適当な溶剤に溶解して配合剤を分散させた後、凝固法、キャスト法、または直接乾燥法により溶剤を除去する方法などがある。
【0058】混練する場合には、一般に、樹脂のガラス転移温度をTgとすると、Tg+20℃〜Tg+150℃の樹脂温度で、十分にシェアをかける。樹脂温度が低すぎると粘度が高くなり混練が困難であり、高すぎると樹脂や配合剤が劣化し、粘度や融点の差により両者がうまく混練できない。
【0059】配合剤(B)として、(3)エラストマーまたは(4)脂環構造含有熱可塑性樹脂に非相溶の化合物を用いる場合は、多くの場合ミクロドメインを形成し、分散する。ミクロドメインを形成する場合には、電子顕微鏡で観察したドメインの平均粒径は、0.001〜0.5μm、好ましくは0.005〜0.3μm、特に好ましくは0.01〜0.2μmの大きさである。粒径がこの範囲にある時、成形品の透明性と、高温高湿度環境下での耐久性とが高度にバランスされ好適である。
【0060】その他の配合剤本発明に使用される脂環構造含有熱可塑性樹脂(A)は、必要に応じて、その他の配合剤を添加することができる。その他の配合剤としては、樹脂工業で一般的に用いられるものであれば格別な限定はないが、例えば、フェノール系、フォスファイト系、チオエーテル系などの酸化防止剤;ヒンダードフェノール系などの紫外線吸収剤;脂肪族アルコール、脂肪族エステル、芳香族エステル、トリグリセライド類、フッ素系界面活性剤、高級脂肪酸金属塩などの離型剤;その他の滑剤、防曇剤、可塑剤、顔料、近赤外吸収剤、帯電防止剤などを挙げることができる。これらの配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。配合剤の使用量は、本発明の範囲を損ねない範囲で適宜選択される。
【0061】成形材料および成形方法本発明では、脂環式構造含有重合体は、上記成分を必要に応じて混合して使用される。混合方法は、脂環式構造含有重合体中に、これらの配合剤が十分に分散する方法であれば、特に限定されない。例えば、ミキサー、二軸混練機、ロール、ブラベンダー、押出機などで樹脂を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させて凝固法、キャスト法、または直接乾燥法により溶剤を除去する方法などがある。
【0062】二軸混練機を用いる場合、混練後は、通常は溶融状態で棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切り、ペレット化して用いられることが多い。
【0063】本発明に係る車両用灯具のリフレクタは、上記の成形材料を成形して得られるものである。成形方法は、従来公知の成形方法に従えば良く、射出成形、プレス成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などが挙げられる。成形精度からは、射出成形、プレス成形が好ましい。成形時の樹脂の溶融温度は脂環式構造含有重合体の種類によっても異なるが、通常100〜400℃、好ましくは200〜350℃である。
【0064】反射膜層の形成上記のリフレクタに、アルミ、ニッケル、金等の反射率の高い金属を用いて反射膜層を形成する場合、その方法は特に限定されず公知の方法に従えば良く、例えば、通常の蒸着法、すなわち真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等が挙げられる。
【0065】反射膜を成膜する時の条件は特に限定されないが、例えば、アルミを真空蒸着し反射膜を形成する場合は、以下の条件が好ましい。すなわち、真空度は0.1〜1,000Pa、好ましくは1〜100Paの範囲であり、この範囲にある時、キメが細かく接着力に優れたアルミ膜を蒸着することができる。成形品を加熱しながら製膜しても良く、成形品の表面温度を常温〜100℃の範囲で製膜すると接着力が高まり好ましい。反射膜の厚みは、5〜10,000nm、好ましくは10〜2,000nmであり、膜厚が過度に薄すぎると反射率が低過ぎ、リフレクタとして十分な反射率が得られず、また過度に厚すぎても反射率が上がらず、成膜時間が長くなり生産性が低下する。膜厚が上記の範囲にある時、高い生産性で高反射率の反射膜が得られ、好ましい。
【0066】リフレクタと上述した反射膜との密着性を向上させるために、リフレクタ表面を改質処理および/またはプライマー処理を施しても良い。表面改質処理の例としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理などのエネルギー線照射処理や重クロム酸カリウム溶液等の酸化剤水溶液と接触させる薬品処理が挙げられる。
【0067】必要に応じて、リフレクタおよび反射膜にキズ、汚れが付かないように保護層を設けても良い。保護層形成の方法は特に限定されない。例えば、紫外線硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂を、スピンコート、スプレー塗装、ディッピング、フローコーティング等の方法で成形品表面に塗布後、硬化する方法が挙げられる。
【0068】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は第1の発明に係る車両用灯具の実施形態を示す正面図、図2は図1のII-II 線に沿う断面図、図3は図1のIII-III 線に沿う断面図、図4は第1の発明に係るエクステンションリフレクタを前面から示す分解斜視図、図5は同エクステンションリフレクタを背面から示す斜視図である。
【0069】本実施形態の車両用灯具1は、乗用車用ヘッドランプであって、灯具ボディ(本発明にいうボディ)11,ユニット型ランプ12,13、エクステンションリフレクタ14およびアウターレンズ(本発明にいうカバー)15を有している。なお、図1〜図5は、車両右側のヘッドランプを示し、車両左側のものは車両の前後方向の中心線に対してこれと対称形状をなす。
【0070】灯具ボディ11は、光を透過しない樹脂により成形され、この灯具ボディ11の内部に、ヘッドランプのハイビームランプを構成する第1のユニット型ランプ12が設けられ、またその車両外側に、ロービームランプを構成する第2のユニット型ランプ13が配設されている。
【0071】これらのユニット型ランプ12,13は、楕円球状の主リフレクタ121,131の底面に電球(バルブ)122,132(132については図3参照)がコネクタソケット123,133で支持されている。この主リフレクタ121,131の前側縁には、略円筒状のスリーブ(レンズホルダ)124,134が取り付けられており、さらにこのスリーブ124,134の前側縁に集光レンズ125,135が接着により保持されている。
【0072】これら第1および第2のユニット型ランプ12,13は、主リフレクタ121,131の反射特性および集光レンズ125,135の集光特性によって、ランプ単独で所要の配光特性を得ることができる。なお、各ユニット型ランプ12,13のコネクタソケット123,133と灯具ボディ11の開口部との間の隙間は、ソケットカバー126,136により密封されている。
【0073】灯具ボディ11内であって、第1および第2のユニット型ランプ12,13と灯具ボディ11の内面との間には、エクステンションリフレクタ14が配設されており、これらユニット型ランプ12,13と灯具ボディ11の内面との間の隙間を隠蔽し、灯具1を外部から観察したときに後ろに位置する灯具ボディ11の内面が透けて見えるのを防止し、灯室16内全体を単一の鏡面色に見せることで見栄えを良くして商品性を高める機能を有する。
【0074】図4および図5に、正面視および背面視で示すように、エクステンションリフレクタ14の外形形状は、灯具ボディ11に内装される形状とされ、背面部141と、その上下の前方に張り出した上面部142および下面部143とを有している。
【0075】また、背面部141には、後方に突出する固定部144が左右にそれぞれ1つずつ形成され、この固定部144にボルトを挿通してナットを螺合することで、エクステンションリフレクタ14が灯具ボディ11に固定される。エクステンションリフレクタ14の背面部141には、2つの孔145が開設されており、これらの孔145を通して上述したユニット型ランプ12,13の集光レンズ125,135が灯具1の前面側に露呈する。
【0076】灯具ボディ11の前面開口には、アウターレンズ15が取り付けられている。すなわち、アウターレンズ15の周縁部にシール用脚部151が形成され、このシール用脚部151が灯具ボディ11の開口縁に形成されたシール用溝111に挿入され、ホットメルトなどのシール剤を用いて気密状態に固定されている。
【0077】本実施形態では、前記主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14を、各々、脂環式構造含有重合体樹脂で成形してあり、それらの表面(ランプ12および13の内面およびアウターレンズ15側の面)にアルミニウムを蒸着し、反射面を形成している。
【0078】このように、本実施形態の主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14が、各々、上述した脂環式構造含有重合体樹脂で形成してあるので、アルミニウムの蒸着処理を施すに際し、アンダーコーティング膜を形成しなくても充分満足できる表面平滑性を得ることができる。
【0079】また、これらの主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14を構成する脂環式構造含有重合体樹脂は、耐熱性に優れ高温でも分解せずに成形可能で、溶融時の流動性にも優れているので、薄肉で、しかも大型かつ複雑な形状であっても成形不良を引き起こすことなく容易に成形することができる。したがって、これらの主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14の構造が複雑で大型、かつ薄肉であったとしても、成形不良を起こすことなく容易に成形することができる。
【0080】さらにまた、これらの主リフレクタ121,131,スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14を構成する脂環式構造含有重合体樹脂には、前述した特定の配合剤(有機化合物含む)を配合してあるので、特に高温・高湿下での耐久性に優れている。
【0081】なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0082】たとえば、上述した実施形態では、主リフレクタ121,131、スリーブ124,134およびエクステンションリフレクタ14は、それぞれビスやボルトなどの締結具により連結してあるが、本発明では、これらの一部または全てを、上述した特定の配合剤または有機化合物が配合してある脂環式構造含有重合体樹脂で一体に成形しても良い。また、集光レンズ125,135をも、エクステンションリフレクタ14またはスリーブ124,134と、上述した特定の配合剤または有機化合物が配合してある脂環式構造含有重合体樹脂で一体に成形しても良い。ただし、この場合、集光レンズ125,135は、透明性が要求されるため、このレンズ部分をマスクして、エクステンションリフレクタ14またはスリーブ124,134の内面に、アルミニウムなどを蒸着し、反射面を形成する必要がある。また、集光レンズ125,135の種類は、特に限定されず、フレネルレンズであっても良い。
【0083】集光レンズ125,135を一体成形することで、別部品である集光レンズをエクステンションリフレクタ14またはスリーブ124,134に組み付ける工程が不要となる。またこれに加え、集光レンズ125,135を上述した特定の配合剤または有機化合物が配合された脂環式構造含有重合体樹脂で成形することで、通常の樹脂レンズに比較して、複屈折が小さく、環境変化に対する変形も小さいという効果が期待できる。しかも成形性が良好で面精度にも優れたものとなる。
【0084】また、上述した実施形態では、エクステンションリフレクタ14を灯具ボディ11側に固定したが、エクステンションリフレクタ14の取り付け構造は、特に限定されず、アウターレンズ15側に取り付けても良い。
【0085】さらにまた、本発明に係るリフレクタが適用される車両用灯具の具体的構造は、図1〜5に示すものに限定されず、種々に改変することができる。たとえば主リフレクタ121および/または131の前面に、すれ違いビームのカットオフラインを形成するための部材であるシェードを装着しても良い。
【0086】また、本発明のリフレクタは、ヘッドランプ以外にも、リアランプその他の車両用灯具に適用することができる。
【0087】
【実施例】以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて、より具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例および比較例において、部または%は、特に断りがない限り、重量基準である。
【0088】以下の実施例および比較例において、各種物性の測定法は次のとおりである。
【0089】(1) 水素添加率は、 1H−NMRにより測定した。
【0090】(2) ガラス転移温度は、JIS K7121に基づいて測定した値とする。
【0091】(3) 試験片表面の精度は、最大高さRmax値が10μm以下のものを「○」、10μm以上のものを「×」と判断した。
【0092】(4) 試験片の外観は、ひけ、反り、シルバー、ヤケおよび着色の有無を目視で観察し、これらの不良の無い物を「○」、不良の発生したものを「×」と判断した。
【0093】(5) 耐熱性試験は、試験片を水平な板上に置き、120℃のギヤーオーブン中で48時間加熱保持した後、試験片の反り、外観変化、膜の密着性について試験した。(A)反りは、加熱前に比べて加熱後の試験片の反りが0.3mm以下のものを「○」、0.3mm以上のものを「×」とした。(B)外観変化は、耐熱性試験前に比べて蒸着膜の外観に変化の無かったものを「○」、鏡面の曇り、反射不良、膜フクレ、変色などの生じたものを「×」とした。(C)耐熱性試験後の蒸着膜の密着性は、碁盤目剥離試験により判断した。碁盤目剥離試験は、成形品表面に形成された蒸着膜の上から、カッターにより1mm間隔でタテ、ヨコ各11本の切れ目を入れて1mm四方の碁盤目を100個作り、セロハンテープ(積水化学社製)を貼り、勢い良く剥がし、剥離した蒸着膜の個数を数え、10個未満を良好(○)、10個以上を不合格(×)とした。
【0094】(6) 高温高湿試験は、試験片を85℃、相対湿度90%の高温高湿槽中に500時間保持した後、その前後において、試験片の耐衝撃性、反射率について試験した。(A)耐衝撃性変化は、試験片に3/4インチ半径のミサイル型の重り(重さ100g)を1mの高さより自然落下させ、割れや亀裂の無いものを「○」、割れや亀裂の生じたものを「×」とした。(B)反射率変化は、JIS D5705に準じて、直接測定法にて測定し、(高温高湿試験後の反射率/試験前の反射率)×100(%)の値が95%以上のものを「○」、95%未満のものを「×」とした。
【0095】[参考例1] シクロヘキサン258リットルを装入した反応容器に、常温、窒素気流下でビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下NBと略す)(118kg)を加え、5分間撹拌を行った。さらにトリイソブチルアルミニウムを系内の濃度が1.0ml/リットルとなるように添加した。続いて、撹拌しながら常圧でエチレンを流通させ系内をエチレン雰囲気とした。オートクレーブの内温を70℃に保ち、エチレンにて内圧がゲージ圧で6kg/cm2 となるように加圧した。10分間撹拌した後、予め用意したイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドおよびメチルアルモキサンを含むトルエン溶液5.0リットルを系内に添加することによって、エチレン、NBの共重合反応を開始させた。このときの触媒濃度は、全系に対してイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドが0.015mmol/リットルであり、メチルアルモキサンが7.5mmol/リットルである。
【0096】重合中、系内にエチレンを連続的に供給することにより、温度を70℃内圧をゲージ圧で6kg/cm2 に保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、その後、水1 m3に対し濃塩酸5リットルを添加した水溶液と1:1の割合で強撹拌下に接触させ、触媒残渣を水相へ移行させた。この接触混合液を静置したのち、水相を分離除去し、さらに水洗を2回行い、重合液相を精製分離した。
【0097】次いで精製分離された重合液を3倍量のアセトンと強撹拌下で接触させ、共重合体を析出させた後、固体部(共重合体)を濾過により採取し、アセトンで十分洗浄した。さらに、ポリマー中に存在する未反応のモノマーを抽出するため、この固体部を40kg/m3 となるようにアセトン中に投入した後、60℃で2時間の条件で抽出操作を行った。抽出処理後、固体部を濾過により採取し、窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥し、エチレン・NB共重合体を得た。
【0098】以上のようにして、得られたエチレン・NB共重合体は、130℃、デカリン溶液での極限粘度[η];0.60dl/g、Tg;140℃であり、NB含量は53モル%であった。
【0099】[参考例2]撹拌翼を備えた1m3 重合器上部からテトラシクロドデセン(以下TCDと略す)のシクロヘキサン溶液を、重合器内におけるTCDの供給濃度が60kg/m3 となるように、連続的に供給した。また重合器上部から触媒として、VO(O・C2 5 )Cl2 のシクロヘキサン系溶液を、重合器内のバナジウム濃度が0.9mol/ m3 となるように、エチルアルミニウムセキスクロリド(Al(C2 5 1.5 Cl1.5 )のシクロヘキサン溶液を重合器内のアルミニウム濃度が7.2mol/ m3 となるようにそれぞれ重合器内に連続的に供給した。また重合系にバブリング管を用いてエチレンを85 m3 /時間、窒素を45m3 /時間、水素を6 m3 /時間の量で供給した。
【0100】重合器外部に取り付けられたジャケットに熱媒体を循環させた重合系を10℃に保持しながら共重合反応を行った。上記共重合反応によって生成する共重合体の重合溶液を重合器上部から、重合器内の重合液が常に1 m3 になるように(すなわち平均滞留時間が0.5時間となるように)連続的に抜き出した。この抜き出した重合液に、シクロヘキサン/イソプロピルアルコール(1:1)混合液を添加して重合反応を停止させた。その後、水1m3 に対し濃塩酸5リットルを添加した水溶液と1:1の割合で強撹拌下に接触させ、触媒残渣を水相へ移行させた。この接触混合液を静置したのち、水相を分離除去し、さらに水洗を2回行い、重合液相を精製分離した。
【0101】次いで精製分離された重合液を3倍量のアセトンと強撹拌下で接触させ、共重合体を析出させた後、固体部(共重合体)を濾過により採取し、アセトンで十分洗浄した。さらに、ポリマー中に存在する未反応のモノマーを抽出するため、この固体部を40kg/m3 となるようにアセトン中に投入した後、60℃で2時間の条件で抽出操作を行った。抽出処理後、固体部を濾過により採取し、窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。
【0102】以上のようにして、得られたエチレン・TCD共重合体は、130℃、デカリン溶液での極限粘度[η];0.42dl/g、Tg;140℃であり、TCD含量は31モル%であった。
【0103】[参考例3](重合)窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500重量部に、1-ヘキセン0.56重量部、ジブチルエーテル0.11重量部、トリイソブチルアルミニウム0.22重量部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、8-メチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ-3-エン200重量部および六塩化タングステン0.70重量%トルエン溶液30重量部を2時間かけて連続的に添加し、重合した。シクロヘキサンを移動層とした高速液体クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)より、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は、18,000、重量平均分子量(Mw)は、36,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.01であった。
【0104】(水素添加)作成した重合反応液を耐圧の水素化反応器に移送し、珪藻土担持ニッケル触媒(日産ガードラー社製;G−96D、ニッケル担持率58重量%)10重量部及び200重量部を加え、180℃、水素圧45kgf/cm2で10時間反応させた。この溶液を、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網をそなえたろ過器によりろ過し、触媒を除去した。得られた反応溶液を3000重量部のイソプロピルアルコール中に撹拌下に注いで水素添加物を沈殿させ、ろ別して回収した。さらに、アセトン500重量部で洗浄した後、1torr以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、開環重合体水素添加物190重量部を得た。
【0105】(重合体物性)得られた開環重合体水素添加物の主鎖水素添加率は99.9%、数平均分子量(Mn)は、20,400、重量平均分子量(Mw)は、41,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.02であった。280℃におけるメルトフローレートは、20g/10min.であり、ガラス転移温度は140℃、比重は1.01であった。
【0106】[実施例1]参考例1で作製したエチレン・NB系共重合体100重量部に酸化防止剤(チバガイギー社製;イルガノックス1010、テトラキス〔メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン)0.1重量部、水素化スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体水素添加物(旭化成社製;タフテックH1051D)0.2重量部を加え、2軸混練機で混練し、ペレット化した。このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ1mm×長さ200mm×幅100mmの金型を用いて、樹脂温度320℃、型温度120℃で射出成形し、試験片Aを作成した。さらに、この試験片Aの鏡面側に真空蒸着法で厚さ400nmのアルミ反射膜を形成し、試験片Bを作成した。
【0107】[実施例2]参考例2で作製したエチレン・TCD系共重合体を実施例1と同様にしてペレット化、射出成形およびアルミ膜の蒸着を行い、試験片AおよびBを作成した。
【0108】[実施例3]参考例3で作製した開環重合体水素添加物を実施例1と同様にしてペレット化、射出成形およびアルミ膜の蒸着を行い、試験片AおよびBを作成した。
【0109】[実施例4]実施例1の水素化スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体水素添加物に代わり、ノニルフェニルグリシジルエーテル0.5重量部を配合し、その他は実施例1と同様にしてペレット化、射出成形およびアルミ膜の蒸着を行い、試験片AおよびBを作成した。
【0110】[比較例1]参考例1で作製したエチレン・NB系共重合体100重量部に酸化防止剤(チバガイギー社製;イルガノックス1010、テトラキス〔メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン)0.1重量部のみを配合し、実施例1と同様にしてペレット化、射出成形およびアルミ膜の蒸着を行い、試験片AおよびBを作成した。
【0111】実施例1、2、3、4および比較例1で成形した試験片Aを用い、試験品表面の平滑性および外観、試験片Bを用いて測定した耐熱性試験の結果を表1に示す。
【0112】
【表1】

【0113】実施例1、2、3、4および比較例1で成形した試験片Bを用いて測定した高温高湿試験の結果を表2に示す。
【0114】
【表2】

【0115】表1に示した成形性の評価で、実施例1、2、3、4および比較例1では添加剤の有無に関わらず、成形性、耐熱性に差がないことが確認された。表2に示した高温高湿試験後の耐衝撃性および反射率の評価で、比較例1は試験後の耐衝撃性および反射率が低下していた。表1、2の結果から、本発明の非相溶な配合剤または、少なくとも一つのエーテル結合またはエステル結合を有する有機化合物が配合されている脂環式構造含有重合体樹脂からなるリフレクタは、配合していないものと同等の成形性、成形品の表面精度および耐熱性を有し、さらに高温高湿試験後の耐衝撃性の低下がみられず、反射性能の低下のない優れた性能を有することが確認された【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、表面平滑性、耐熱性に優れ、しかも高温・高湿下での耐久性にも優れ、且つ薄く大型のものを容易に成形可能な車両用灯具のリフレクタを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】前田 均 (外1名)
【公開番号】 特開平11−273405
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−95270