| 【発明の名称】 |
車輌用前照灯 |
| 【発明者】 |
【氏名】大塩 洋彦
【氏名】速水 寿文
|
| 【要約】 |
【課題】単一の光源を用いて走行ビームとすれ違いビームとの切換えを行うように構成された車輌用前照灯において、パッシングスイッチのオンオフ操作が連続して行われた場合においても光源バルブの寿命が短くなるのを効果的に抑制する。
【解決手段】灯具非点灯時にパッシング操作Pが行われた場合(a)、一般にはパッシングスイッチがオンの間だけ光源バルブが点灯する(b)が、パッシングスイッチがオフに切り換えられたとき、光源バルブを所定時間td点灯させ続けた後に消灯させるようにする(c)。パッシングスイッチがオフになってから再びオンになるまでの時間間隔が所定時間td内であれば、光源バルブは消灯することなくそのまま点灯状態に維持されるので、連続パッシング操作P1、P2、P3が行われた場合、光源バルブはその間継続して点灯状態に維持され、その寿命短縮が抑制される。一方、シェードはパッシング操作と同期して前後に変位してビーム切換えを行うので、パッシング機能は確保される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源からの光を所定のビームとして前方へ照射する反射光学系と、この反射光学系の一部を構成する光学部材を変位させることにより、上記ビームを走行ビームとすれ違いビームとのいずれかに選択的に切り換えるビーム切換装置とを備えてなり、上記光源の点消灯を行うランプスイッチがオフの場合において、パッシングスイッチがオンのとき上記光学部材を走行ビーム位置にして上記光源を点灯させる一方、上記パッシングスイッチがオフのとき上記光学部材をすれ違いビーム位置にして上記光源を消灯させるように構成された車輌用前照灯において、上記ランプスイッチがオフの場合において、上記パッシングスイッチがオンからオフに切り換えられたとき、上記光源を所定時間点灯させ続けた後に消灯させる消灯遅延回路を備えてなる、ことを特徴とする車輌用前照灯。 【請求項2】 上記光源が、放電バルブの放電発光部である、ことを特徴とする請求項1記載の車輌用前照灯。 【請求項3】 上記所定時間td(秒)が、0.5<td<3である、ことを特徴とする請求項1または2記載の車輌用前照灯。 【請求項4】 上記所定時間td(秒)が、1<td<2である、ことを特徴とする請求項1または2記載の車輌用前照灯。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本願発明は、単一の光源を用いて走行ビームとすれ違いビームとの切換えを行うように構成された車輌用前照灯に関するものである。 【0002】 【従来の技術】車輌用前照灯は、光源からの光を反射光学系により前方へ照射して走行ビームまたはすれ違いビームの配光パターンを形成するようになっている。走行ビームとすれ違いビームとでは異なる光源を用いるのが一般的であるが、単一の光源を用いた車輌用前照灯も知られている。 【0003】このような車輌用前照灯においては、上記反射光学系の一部を構成する光学部材を変位させることにより走行ビームとすれ違いビームとの切換えを行うように構成されており、そのためのビーム切換装置を備えている。そして、車室内のランプスイッチを操作することにより、上記光源の点消灯および上記ビームの選択を行うようになっている。 【0004】また、一般に車輌用前照灯は、夜間のすれ違いビーム走行時あるいは昼間の非点灯走行時において、対向車や先行車等に注意を促す必要がある場合には、パッシングスイッチをオンにすることにより、一時的に走行ビームでの灯具点灯(パッシング)を行うことができるようになっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようなビーム切換装置を備えた車輌用前照灯において、灯具非点灯時に上記パッシングを行おうとした場合には、次のような問題がある。 【0006】すなわち、図3(a)および(b)にPで示すように、上記パッシングスイッチをオンにすると、上記ビーム切換装置により上記光学部材(シェード)がすれ違いビーム位置(後退位置)から走行ビーム位置(前進位置)に変位するとともに上記光源が点灯(光源バルブON)し、一方、上記パッシングスイッチをオフにすると、上記ビーム切換装置により上記光学部材(シェード)が走行ビーム位置(前進位置)からすれ違いビーム位置(後退位置)に変位するとともに上記光源が消灯(光源バルブOFF)するようになっている。 【0007】このような動作は、上記パッシングスイッチのオンオフのたびに行われるので、図3(a)および(b)にP1、P2,P3で示すように、上記パッシングスイッチのオンオフ操作が連続して行われた場合には、上記光源の点消灯が頻繁に繰り返されることとなり、このため光源バルブの寿命が短くなってしまう、という問題がある。 【0008】特に、上記光源バルブが放電バルブである場合には、短い時間間隔で点消灯が繰り返されると、その寿命が著しく短くなってしまう、という問題がある。 【0009】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、単一の光源を用いて走行ビームとすれ違いビームとの切換えを行うように構成された車輌用前照灯において、パッシングスイッチのオンオフ操作が連続して行われた場合においても光源バルブの寿命が短くなるのを効果的に抑制することができる車輌用前照灯を提供することを目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本願発明は、所定の消灯遅延回路を設けることにより、上記目的達成を図るようにしたものである。 【0011】すなわち、本願発明は、請求項1に記載したように、光源からの光を所定のビームとして前方へ照射する反射光学系と、この反射光学系の一部を構成する光学部材を変位させることにより、上記ビームを走行ビームとすれ違いビームとのいずれかに選択的に切り換えるビーム切換装置とを備えてなり、上記光源の点消灯を行うランプスイッチがオフの場合において、パッシングスイッチがオンのとき上記光学部材を走行ビーム位置にして上記光源を点灯させる一方、上記パッシングスイッチがオフのとき上記光学部材をすれ違いビーム位置にして上記光源を消灯させるように構成された車輌用前照灯において、上記ランプスイッチがオフの場合において、上記パッシングスイッチがオンからオフに切り換えられたとき、上記光源を所定時間点灯させ続けた後に消灯させる消灯遅延回路を備えてなる、ことを特徴とするものである。 【0012】上記「光源」は、特定種類の光源に限定されるものではなく、例えば、白熱バルブのフィラメント、放電バルブの放電発光部等が採用可能である。 【0013】上記「光学部材」は、上記反射光学系の一部を構成するものであれば、特定の光学部材に限定されるものではなく、例えば、上記光源を備えた光源バルブ、リフレクタ、シェード、レンズ等が採用可能である。 【0014】 【発明の作用効果】一般に、ランプスイッチがオフのとき(すなわち灯具非点灯時)にパッシング操作が行われた場合には、パッシングスイッチがオンの間だけ光源が点灯するが、上記構成に示すように、本願発明に係る車輌用前照灯は、ランプスイッチがオフの場合においてパッシングスイッチがオンからオフに切り換えられたときには、消灯遅延回路により光源を所定時間点灯させ続けた後に消灯させるようになっているので、上記パッシングスイッチがオフになってから再びオンになるまでの時間間隔が上記所定時間内であれば、上記光源は消灯することなくそのまま点灯状態に維持される。したがって、上記パッシングスイッチのオンオフ操作が連続して行われた場合には、上記光源はその間継続して点灯状態に維持されることとなる。 【0015】一方、このように上記光源が点灯状態に維持されていても、上記パッシングスイッチがオフになればビーム切換装置により光学部材は走行ビーム位置からすれ違いビーム位置に変位し、また、上記パッシングスイッチが再びオンになれば、上記ビーム切換装置により上記光学部材がすれ違いビーム位置から走行ビーム位置に変位するので、上記パッシングスイッチのオンオフ操作が連続して行われた場合においても、このオンオフ操作に応じてビームに強弱をつけることができ、これによりパッシング機能を果たすことができる。 【0016】したがって、本願発明によれば、単一の光源を用いて走行ビームとすれ違いビームとの切換えを行うように構成された車輌用前照灯において、パッシングスイッチのオンオフ操作が連続して行われた場合においても光源バルブの寿命が短くなるのを効果的に抑制することができる。 【0017】請求項2に記載したように、上記「光源」が放電バルブの放電発光部である場合には、短い時間間隔で点消灯が繰り返されると該放電バルブの寿命が著しく短くなってしまうので、本願発明の構成を採用することが特に効果的である。 【0018】上記「所定時間」は、上記パッシングスイッチのオンオフ操作が連続して行われた場合のオフからオンまでの時間間隔よりも長い時間であれば、その長短は特に限定されるものではないが、請求項3に記載したように、上記所定時間td(秒)を、0.5<td<3に設定することが好ましい。 【0019】ここに、下限を0.5秒に設定したのは、ドライバが連続してパッシング操作を行う場合、上記パッシングスイッチがオフになってから再びオンになるまでに要する時間は通常0.5秒以下であることによるものであり、また、上限を3秒に設定したのは、上記ランプスイッチがオフになっているような状況下において、パッシング操作が終了した後いつまでも上記光源を点灯状態に放置しておくことは自車および他車のドライバに違和感を与えてしまうことによるものである。 【0020】さらに、上記所定時間td(秒)は、請求項4に記載したように、1<td<2に設定することがより好ましい。ここに下限を1秒に設定したのは、ドライバによっては連続してパッシング操作を行った場合でもその操作が比較的ゆっくり行われる可能性もあることを考慮したものであり、また上限を2秒に設定したのは、パッシング操作後の点灯放置による違和感発生をより確実に無くすことを意図したものである。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。 【0022】図1は、本願発明の一実施形態に係る車輌用前照灯を示す斜視図である。 【0023】図示のように、本実施形態に係る車輌用前照灯10は、レンズ12とランプボディ14とで形成される空間内に、リフレクタユニット16が上下方向および左右方向に傾動可能に設けられてなっている。 【0024】上記リフレクタユニット16は、放電バルブ(メタルハライドバルブ)18と、この放電バルブ18を挿着支持するリフレクタ20と、上記放電バルブ18を部分的に囲むシェード22と、ビーム切換装置24とを備えてなっている。 【0025】上記レンズ12は素通しレンズであって、上記リフレクタユニット16に配光制御機能が付与されている。すなわち、上記リフレクタ20は、上記放電バルブ18の放電発光部18a(光源)からの光を前方へ反射する反射面20aを備えており、該反射面20aの拡散あるいは偏向反射機能により、所定の配光パターンを形成するビームを前方に照射するようになっている。 【0026】上記ビーム切換装置24は、上記リフレクタ20に固定された装置本体26と、この装置本体26から上方に延出して上記シェード22に固定された可動部材28とを備えてなり、これにより上記ビームを走行ビームとすれ違いビームとのいずれかに選択的に切り換えるようになっている。 【0027】すなわち、上記可動部材28は、上記装置本体26に対して前後方向(図示矢印方向)に往復動可能に設けられており、上記装置本体26の駆動により前進位置と後退位置とを採り得るようになっている。そして、上記可動部材28が前進位置にあるときには、上記放電発光部18aから放射される光に対する上記シェード22の遮蔽立体角が小さくなり、これにより上記リフレクタユニット16から照射されるビームは走行ビームを形成するようになっている。一方、上記可動部材28が後退位置にあるときには、上記放電発光部18aから放射される光に対する上記シェード22の遮蔽立体角が大きくなり、これにより上記リフレクタユニット16から照射されるビームはすれ違いビームを形成するようになっている。 【0028】このビーム切換装置24は、その装置本体26が通電状態にあるときには上記シェード22を前進位置に位置せしめ、非通電状態にあるときには上記シェード22を後退位置に位置せしめるようになっている。 【0029】図2は、上記車輌用前照灯10を、ランプスイッチ102およびパッシングスイッチ104と共に示す回路図である。 【0030】図示のように、上記車輌用前照灯10の放電バルブ18は、始動回路32および安定回路34からなる点灯回路36と、消灯遅延回路38とに直列で接続されており、上記消灯遅延回路38には、上記ランプスイッチ102および上記パッシングスイッチ104が並列で接続されている。また、これらランプスイッチ102およびパッシングスイッチ104は、上記車輌用前照灯10のビーム切換装置24に対しても並列で接続されている。 【0031】上記ランプスイッチ102は、走行ビームモード(MAIN)、すれ違いビームモード(SUB)および消灯モード(OFF)のいずれかを選択的に採り得るように構成されており、また、上記パッシングスイッチ104は、オン位置とオフ位置とを採り得るように構成されている。これらランプスイッチ102およびパッシングスイッチ104は車室内に設けられており、上記ランプスイッチ102のモード切換えおよび上記パッシングスイッチ104のオンオフ切換えは、ドライバの操作により行われるようになっている。上記ビーム切換装置24の上記ランプスイッチ102への接続は、その走行ビームモード端子に対して行われている。 【0032】上記ランプスイッチ102により走行ビームモードが選択されたときには、上記シェード22が前進位置に位置するとともに上記放電バルブ18が点灯して走行ビームでの照射が行われ、また、上記ランプスイッチ102によりすれ違いビームモードが選択されたときには、上記シェード22が後退位置に位置するとともに上記放電バルブ18が点灯してすれ違いビームでの照射が行われ、さらに、上記ランプスイッチ102により消灯モードが選択されたときには、上記シェード22が後退位置に位置するとともに上記放電バルブ18が消灯するようになっている。 【0033】一方、上記パッシングスイッチ104は、上記ランプスイッチ102がすれ違いビームモードまたは消灯モードにあるときにのみオンにすることができるようになっている。 【0034】上記ランプスイッチ102がすれ違いビームモードにある場合には、上記パッシングスイッチ104がオンになると、上記シェード22が前進位置へ変位して上記ビームが走行ビームに切り換えられ、上記パッシングスイッチ104がオフになると、上記シェード22が後退位置へ変位して上記ビームがすれ違いビームに戻されるようになっている。 【0035】上記ランプスイッチ102が消灯モードにある場合には、図3(a)および(c)にPで示すように、上記パッシングスイッチ104がオンになると上記シェード22が前進位置へ変位するとともに上記放電バルブ18が点灯して走行ビームでの照射が行われ、上記パッシングスイッチ104がオフになると、上記シェード22が後退位置へ変位するとともに上記放電バルブ18が消灯するようになっている。 【0036】ただし、この消灯は、上記パッシングスイッチ104がオフになったと同時に行われるのではなく、オフになった後に上記放電バルブ18を所定時間td(td=1.5秒)点灯させ続けた後に行われるようになっている。この消灯遅延動作は、上記消灯遅延回路38により行われるようになっている。 【0037】このため、上記パッシングスイッチ104がオフになってから再びオンになるまでの時間間隔が上記所定時間td内であれば、上記放電バルブ18は消灯することなくそのまま点灯状態に維持される。したがって、図3(a)および(c)にP1、P2,P3で示すように、上記パッシングスイッチ104のオンオフ操作が連続して行われた場合には、上記放電バルブ18はその間継続して点灯状態に維持されることとなる。 【0038】一方、このように上記放電バルブ18が点灯状態に維持されていても、上記パッシングスイッチ104がオフになれば上記ビーム切換装置26により上記シェード22は前進位置から後退位置に変位し、上記パッシングスイッチが再びオンになれば上記ビーム切換装置26により上記シェード22は後退位置から前進位置に変位するので、上記パッシングスイッチ104のオンオフ操作が連続して行われた場合においても、このオンオフ操作に応じてビームに強弱をつけることができ、これによりパッシング機能が確保される。 【0039】上記放電バルブ18は、短い時間間隔で点消灯が繰り返されるとその寿命が著しく短くなってしまうが、本実施形態においては、上記パッシングスイッチ104のオンオフ操作が連続して行われた場合においても上記放電バルブ18が短い時間間隔で点消灯を繰り返すことはないので、上記放電バルブ18の寿命が短くなるのを効果的に抑制することができる。 【0040】特に、本実施形態においては、消灯遅延時間すなわち上記所定時間tdが1.5秒に設定されているので、連続パッシング操作が緩慢に行われた場合でも上記放電バルブ18の点灯状態を維持することができ、かつ、パッシング操作後の点灯放置による違和感を自車および他車のドライバに与えてしまうのを防止することができる。 【0041】なお、本実施形態においては、上記ランプスイッチ102を走行ビームモードあるいはすれ違いビームモードから消灯モードに切り換えた場合にも、上記消灯遅延回路38による上記消灯遅延動作が行われることとなるが、上記パッシングスイッチ104をオフにしたときにのみ上記消灯遅延動作が行われるようにしたければ、上記ランプスイッチ102を、上記消灯遅延回路38を介することなく直接上記点灯回路36に接続するようにすればよい。 【0042】また、本実施形態においては、上記消灯遅延回路38が上記点灯回路36とは別回路で構成されているが、これを上記点灯回路36に組み込むようにしてもよい。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001133 【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月24日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】森山 隆
|
| 【公開番号】 |
特開平11−185506 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−366529 |
|