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【発明の名称】 光軸調整装置が具備された車両用灯具
【発明者】 【氏名】渡部 賢

【氏名】塚田 博之

【要約】 【課題】光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われないことを目的とする。

【解決手段】光軸調整完了後にガイド孔31を閉塞して保持部30に固定された閉塞体4、4A、4B、4C、4Dを有する。この結果、光軸調整完了後ガイド孔31は保持部30に固定された閉塞体4、4A、4B、4C、4Dにより閉塞されていることとなる。このために、工具3をガイド孔31中に挿通させてアジャストスクリュウ2を回転させることができないので、光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われない。保持部30の凹部32、溝51を有する壁5、保持部3と壁5との間のクリアランス52、環状壁53などにより、灯具を車体から取り外さなければ、光軸調整ができないので、さらに、光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源バルブからの光を前方に反射させる被調整体と、前記被調整体がピボット機構及び光軸調整装置を介して回動可能に取り付けられた取付体と、を備え、前記光軸調整装置は、前記被調整体に装備されたスクリュウマウンティングと、前記取付体に回転可能に取り付けられかつ前記スクリュウマウンティングにねじ込まれたアジャストスクリュウとを有し、前記取付体には工具を保持する保持部が設けられており、その保持部には前記工具を前記アジャストスクリュウの軸方向に対して交差する方向にガイドして前記アジャストスクリュウの係合部に係合させるガイド孔が設けられており、前記ガイド孔に挿通された前記工具を回転操作して前記係合部を介して前記アジャストスクリュウを回転操作することにより、前記被調整体が前記取付体に対して回動して光軸が調整される光軸調整装置が装備された車両用灯具において、前記被調整体の光軸調整の完了後に前記ガイド孔を閉塞して前記保持部に固定された閉塞体を有する、ことを特徴とする光軸調整装置が具備された車両用灯具。
【請求項2】 前記閉塞体は、前記ガイド孔中に挿通される軸部と、前記保持部の一面のうち前記ガイド孔の周縁に当接される頭部と、前記軸部に設けられ前記保持部の他面のうち前記ガイド孔の周縁に当接される小凸部と、から構成されており、前記頭部と前記小凸部とが前記保持部を当接挟持することにより、前記閉塞体が前記保持部に固定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の光軸調整装置が具備された車両用灯具。
【請求項3】 前記閉塞体は、前記ガイド孔中に圧入挿通される軸部と、前記保持部の一面のうち前記ガイド孔の周縁に当接される頭部と、から構成されており、前記軸部が前記ガイド孔中に圧入されることにより、前記閉塞体が前記保持部に固定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の光軸調整装置が具備された車両用灯具。
【請求項4】 前記閉塞体の頭部は、掴み難い半球形形状をなしていることを特徴とする請求項2又は3に記載の光軸調整装置が具備された車両用灯具。
【請求項5】 前記閉塞体の頭部は、掴み難い半球形形状をなしている頂部と、掴み難い円形鍔形状をなしている裾部と、からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の光軸調整装置が具備された車両用灯具。
【請求項6】 前記保持部の一面の前記ガイド孔の周縁には、前記閉塞体の頭部が埋没する凹部が設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5に記載の光軸調整装置が具備された車両用灯具。
【請求項7】 前記保持部と前記アジャストスクリュウの係合部との間には、前記ガイド孔と共に前記工具を前記係合部に係合させる際のガイドとなし、かつ、前記閉塞体をカバーするための壁が設けられており、前記壁には、溝が設けられており、前記溝は、灯具が車体に装備された状態では車体等により覆われており、灯具が車体から取り外された状態では開放されて閉塞体取外用工具が挿入できるためのものであり、前記溝に挿入した前記閉塞体取外用工具により前記閉塞体を前記保持部から取り外すことができる、ことを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6に記載の光軸調整装置が具備された車両用灯具。
【請求項8】 前記保持部と前記壁との間には、クリアランスが設けられており、このクリアランスは、灯具が車体から取り外された状態において、閉塞体変形用工具が前記閉塞体を前記ガイド孔及び前記壁のガイド方向に対して交差する方向に挟み込んで変形させるためのものであり、前記クリアランスにおいて前記閉塞体変形用工具で前記閉塞体を変形させることにより前記小凸部を前記保持部の他面のガイド孔の周縁から外すことができる、ことを特徴とする請求項7に記載の光軸調整装置が具備された車両用灯具。
【請求項9】 前記閉塞体は、弾性変形し得るように、透孔を有し、かつ、弾性部材から構成されている、ことを特徴とする請求項8に記載の光軸調整装置が具備された車両用灯具。
【請求項10】 前記取付体のうち、前記工具が前記ガイド孔及び前記壁によりガイドされる箇所を除いた部分には、前記アジャストスクリュウの係合部を囲う環状壁が設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至9のうちの1項に記載の光軸調整装置が具備された車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アジャストスクリュウの軸方向に対して交差する方向からの工具の回転操作により光軸調整が行われる光軸調整装置が具備された車両用灯具に係り、特に、光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われないように構成された光軸調整装置が具備された車両用灯具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の光軸調整装置が具備された車両用灯具を図13乃至図15を参照して説明する。この例はリフレクタ可動タイプの自動車用前照灯について説明する。
【0003】図13において、1は光軸調整装置が具備されたリフレクタ可動タイプの自動車用前照灯である。この自動車用前照灯1は取付体としてのランプハウジング10及びレンズ11により灯室12が画成形成されている。この灯室12内には被調整体としての可動リフレクタ13がピボット軸受機構14及び上下方向用の光軸調整装置16、左右方向用の光軸調整装置17により、水平軸H−H回りに上下方向に及び垂直軸V−V回りに左右方向に回動可能に取り付けられている。この可動リフレクタ13の前面側には例えば回転放物面の反射面18が設けられている。前記灯室12内には光源バルブ15が配設されており、この光源バルブ15が前記可動リフレクタ13の反射面18側に着脱可能に取り付けられている。この光源バルブ15を点灯することにより、光源バルブ15からの光が反射面18で反射されて、この反射光がレンズ11を経て前方に所定の配光パターンで照射される。
【0004】そして、上述の自動車用前照灯1の灯具は、メーカにおいて、自動車の車体に装備されて、上述の上下方向用の光軸調整装置16及び左右方向用の光軸調整装置17により、光軸調整が行われる。
【0005】上述の上下方向用の光軸調整装置16及び左右方向用の光軸調整装置17は、前記ランプハウジング10と前記可動リフレクタ13との間にそれぞれ装備されている。前記上下方向用の光軸調整装置16若しくは左右方向用の光軸調整装置17のアジャストスクリュウ2を回転操作することによって、前記可動リフレクタ13(光源バルブ15をも含む。)が前記ランプハウジング10に対して、ピボット軸受機構14と左右方向用の光軸調整装置17とを結ぶ水平軸H−H回りに上下方向に、若しくはピボット軸受機構14と上下方向用の光軸調整装置16とを結ぶ垂直軸V−V回りに左右方向に回動して、光軸調整が行なわれる。
【0006】なお、上述のピボット機構14及び上下方向用の光軸調整装置16及び左右方向用の光軸調整装置17の配置は、上述の図13の例示以外に、ピボット機構14は左上に、また上下方向用の光軸調整装置16は左下に、さらに左右方向用の光軸調整装置17は右上に、それぞれ配置されている場合、ピボット機構14は右上に、また上下方向用の光軸調整装置16は右下に、さらに左右方向用の光軸調整装置17は左上に、それぞれ配置されている場合、ピボット機構14は左下に、また上下方向用の光軸調整装置16は左上に、さらに左右方向用の光軸調整装置17は右下に、それぞれ配置されている場合等々がある。
【0007】次に、上述の光軸調整装置のうち上下方向用の光軸調整装置16について図14及び図15を参照して説明する。まず、前記ランプハウジング10の上下方向用の光軸調整装置16を装備する箇所の外側には円柱形状の取付ボス部100が一体に設けられており、かつその取付ボス部100の中心には円形の挿通孔101が設けられている。この挿通孔101にはアジャストスクリュウ2の中間部20がプッシュナットやウエーブワッシャー等102により回転可能にかつ軸方向に移動不可能に装着されている。
【0008】このアジャストスクリュウ2は、小外径の中間部20と、大外径の一端部21と、他端部のねじ部22とから構成されている。このアジャストスクリュウ2の中間部20と一端部21との段部、上述のランプハウジング10の取付ボス部100の挿通孔101の内周面間にはOリング104がセットされていて、ランプハウジング10とアジャストスクリュウ2との間の水密性が保たれている。
【0009】一方、前記可動リフレクタ13の背面のうち、上下方向用の光軸調整装置16を装備する箇所には取付部130が一体に設けられている。この取付部130の先端部には球凹面131が設けられており、この球凹面131にはスクリュウマウンティング132が回転不可能にかつ軸方向に移動不可能に装着されている。このスクリュウマウンティング132には前記アジャストスクリュウ2のねじ部22がねじ込まれている。
【0010】そして、前記アジャストスクリュウ2を工具で回転させると、スクリュウマウンティング132がねじの送り作用でアジャストスクリュウ2のねじ部22において移動し、それに伴ってリフレクタ13がピボット軸受機構14と左右方向用の光軸調整装置17とを結ぶ水平軸H−H回りに上下方向に傾動することとなる。なお、上述の左右方向用の光軸調整装置17の構成及び作用も上述の上下方向用の光軸調整装置16の構成及び作用とほぼ同一である。
【0011】上述の自動車用前照灯1において、この自動車用前照灯1の後部側空間であって、アジャストスクリュウ2の軸方向Z−Z側の空間が、自動車の車体やその他の部品や装置等々(以下、車体等と称する)との設置関係またスペース上、図14中の矢印方向(アジャストスクリュウ2の軸方向Z−Z)からの工具の回転操作が行えない程度に狭い場合がある。このような場合においては、アジャストスクリュウ2の軸方向Z−Zに対して交差する方向(図14中においてはほぼ直交する方向)から工具を回転操作させる必要がある。
【0012】また、図14及び図15において、アジャストスクリュウ2の周囲の左方及び右方及び下方の三方にも車体等が配置されていて、工具をアジャストスクリュウ2の軸方向Z−Zに対して交差する方向であって、上方向から工具を挿入する必要がある。
【0013】そこで、アジャストスクリュウ2の軸方向Z−Zに対して交差する方向であって、上方向からの工具(例えば、+ドライバ)3の回転操作をアジャストスクリュウ2の回転に変換させる係合部としてのクラウンギア23がアジャストスクリュウ2の一端部21に一体に設けられている。一方、ランプハウジング10のアジャストスクリュウ2の近傍、例えば、上方には板形状の保持部30が一体に設けられており、その保持部30にはガイド孔31が設けられている。上述の保持部30は、工具3を回転操作してアジャストスクリュウ2を回転させる際に、その工具3がクラウンギア23回りに回動するのを防ぐために、アジャストスクリュウ2を回転させるための反力受けとなるように工具3を保持するものである。また、上述のガイド孔31は、目視できない場所においてでも、このガイド孔31中に工具3を挿通させることにより、工具3先端をガイドしてクラウンギア23の噛合歯に係合させることができるものである。
【0014】上述の工具3を保持部30のガイド孔31にアジャストスクリュウ2の軸方向Z−Zに対して交差する方向であって、上方向から挿通させて、工具3の先端をクラウンギア23にガイド係合させると共に、その工具3を保持部30に保持させ、その工具3を回転操作させることにより、アジャストスクリュウ2が回転して光軸調整(上下方向の光軸調整、左右方向の光軸調整)が行われる。このように、自動車用前照灯1の後部側空間が狭く、またアジャストスクリュウ2の左右下方に車体等が配置されている場合でも、アジャストスクリュウ2の軸方向Z−Zに対して交差する方向であって、上方向からの工具3の回転操作により光軸調整が行われる。なお、工具を挿入する方向は、アジャストスクリュウ2の周囲のうち車体等が配置されていない方向であれば、上述の図14及び図15の上方向以外に、下方向、左方向、右方向、斜方向等々があり得る。そして、上述の自動車用前照灯1においては、上述の光軸調整が完了した後、光軸調整が簡単に行われないことが重要である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の従来の光軸調整装置が具備された車両用灯具においては、光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われないように構成された手段が何等施されていない。光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われる場合がある。
【0016】本発明の目的は、光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われないように構成された光軸調整装置が具備された車両用灯具を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するために、被調整体の光軸調整の完了後にガイド孔を閉塞して保持部に固定された閉塞体を有することを特徴とする。
【0018】この結果、本発明の光軸調整装置が具備された車両用灯具は、光軸調整完了後ガイド孔が保持部に固定された閉塞体により閉塞されているものであるから、工具をガイド孔中に挿通させてアジャストスクリュウを回転させることができないので、光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われない。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光軸調整装置が具備された車両用灯具の実施の形態のうちの5例を図1乃至図12を参照して説明する。図1及び図2は本発明の光軸調整装置が具備された車両用灯具の第1の実施の形態を示す。この例はリフレクタ可動タイプの自動車用前照灯について説明する。図中、図13乃至図15と同符号は同一のものを示す。
【0020】図1及び図2において、4は閉塞体(クリップ)である。この閉塞体4は、金属若しくは樹脂等からなり、ガイド孔31中に挿通される軸部40と、保持部30の一面(上面)のうちガイド孔31の周縁に当接される頭部41と、軸部40に設けられ保持部30の他面(下面)のうちガイド孔31の周縁に当接されるランス形状の2個の小凸部42と、から構成されている。なお、上述の小凸部42の形状及び個数は特に限定しない。上述の軸部40の外径はガイド孔31の内径よりも若干小さい。また、上述の頭部41は、掴み難い半球形形状をなしている頂部43と、掴み難い円形鍔(スカート)形状をなしていてガイド孔31の周縁に当接する裾部44と、からなる。
【0021】この実施の形態における本発明の光軸調整装置が装備された車両用灯具は、以上の如き構成からなるので、光軸調整完了後、図1中の矢印に示すように、閉塞体4の軸部40及び小凸部42をガイド孔31中に圧入させる。すると、図2に示すように、頭部41の裾部44の下面と小凸部42の上面とがガイド孔31の周縁の保持部30の上下両面を当接挟持して、閉塞体4が保持部30に固定される。この結果、光軸調整完了後、ガイド孔31が保持部30に固定された閉塞体4により閉塞されているものであるから、工具3をガイド孔31中に挿通させてアジャストスクリュウ2を回転させることができないので、光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われない。特に、この実施の形態においては、閉塞体4の頭部41の頂部43が掴み難い半球形形状をなしており、かつ閉塞体4の頭部41の裾部44が掴み難い円形鍔形状をなしているので、閉塞体4の頭部41(43、44)を工具や手等で掴んで閉塞体4をガイド孔31から抜き取るのが困難である。従って、光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われない。
【0022】図3は本発明の光軸調整装置が具備された車両用灯具の第2の実施の形態を示す。図中、図1及び図2と同符号は同一のものを示す。この実施の形態における閉塞体4Aは、頭部41Aが掴み難い半球形形状をなしているものである。
【0023】図4は本発明の光軸調整装置が具備された車両用灯具の第3の実施の形態を示す。図中、図1乃至図3と同符号は同一のものを示す。この実施の形態における閉塞体4Bは、ガイド孔31中に圧入挿通される軸部40Bと、頭部41(43、44)とから構成されている。上述の軸部40Bの外径はガイド孔31の内径とほぼ同等か若しくは若干大きい。この結果、軸部40Bをガイド孔31中に圧入することにより、閉塞体4Bが保持部30に固定されることとなる。
【0024】図5は本発明の光軸調整装置が具備された車両用灯具の第4の実施の形態を示す。図中、図1乃至図4と同符号は同一のものを示す。この実施の形態における閉塞体4Cは、ガイド孔31中に圧入挿通される軸部40Cと、掴み難い半球形形状をなしている頭部41Cとから構成されている。
【0025】上述の第2、第3、第4の実施の形態のものは、上述の第1の実施の形態のものと同様の作用効果を達成することができる。なお、閉塞体4、4A、4B、4Cを破壊すれば、再度光軸調整を行うことができ、その再度光軸調整完了後にガイド孔31中に新たな閉塞体4、4A、4B、4Cを圧入すれば、再度光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われない。
【0026】図6乃至図12は本発明の光軸調整装置が具備された車両用灯具の第5実施形態を示す。図中、図1乃至図5及び図13乃至図15と同符号は同一のものを示す。
【0027】この実施形態のものは、保持部30の一面(上面)のガイド孔31の周縁に後述する閉塞体4Dの頭部41Dが埋没する凹部(段差)32が設けられている。この凹部32は、上から見て円形をなし、内径及び深さが閉塞体4Dの頭部41Dの外径及び高さとほぼ等しいか若しくは若干大であり、頭部41Dが突出することなく完全に埋没するものである。
【0028】取付体としてのランプハウジング10の背面側であって、保持部30とアジャストスクリュウ2の係合部としてのダブルギア(固定ギア24、空転ギア25)との間には、左右2枚の板形状の壁5が間に隙間を開けて一体に設けられている。この壁5は、保持部30のガイド孔31と共に工具3をダブルギア24、25に係合させる際のガイドとなし、かつ、閉塞体4Dをカバーして、灯具(自動車用前照灯1)が車体(車体等50)に装備された状態ではドライバー等の閉塞体取外用工具3Aが閉塞体4Dに係合したり、ニッパやペンチ等の閉塞体変形用工具(図示せず)が閉塞体4Dを挟み込んだり等ができないようにするためのものである。
【0029】この壁5の車体等50と対向する背面側には、溝51が設けられている。この溝51は、2枚の壁5の車体等50と対向する背面側が開口されていてその2枚の壁5の間の隙間からなるものである。この溝51は、灯具が車体に装備された状態では、図10に示すように、車体等50により覆われているので、閉塞体取外用工具3Aが挿入できず、灯具が車体から取り外された状態では、図11に示すように、開放されて閉塞体取外用工具3Aが挿入できるためのものである。その溝51に挿入した閉塞体取外用工具3Aにより閉塞体4Dを保持部30から取り外すことができる。
【0030】保持部30の下面と壁5の上面との間には、クリアランス52が設けられている。このクリアランス52は、灯具が車体から取り外された状態において、閉塞体変形用工具が閉塞体4Dをガイド孔31及び壁5のガイド方向A−Aに対して交差する方向(図8中の矢印E、E方向)に挟み込んで変形させるためのものである。このクリアランス52において、閉塞体変形用工具で閉塞体4Dを変形させることにより、閉塞体4Dの小凸部42Dを保持部30の他面(下面)のガイド孔31の周縁から外すことができる。
【0031】ランプハウジング10の背面側のうち、工具3がガイド孔31及び壁5によりガイドされる箇所を除いた部分には、ダブルギア24、25を囲うほぼ円環状形状の壁53が一体に設けられている。
【0032】前記閉塞体4Dは、図12に示すように、弾性変形し得る弾性部材、例えば樹脂から構成されており、軸部40Dと、頭部41Dと、2個の小凸部42Dとからなる。軸部40Dの外径は、ガイド孔31の内径よりも若干小である。この軸部40Dの上端部には、ガイド孔31の内周面に当接する4個の当接凸部43Dが+方向に一体に突設されている。保持部30の上面に当接する頭部41Dは、薄い円形皿形状をなす。また、この閉塞体4Dの頭部41Dの表面には、凹凸(−溝、+溝、六角穴等々)が無く、かつ、この閉塞体4Dの頭部41Dの外形は掴み難い円形をなす。保持部30の下面に当接する2個の42Dは、−方向に一体に突設されている。
【0033】この閉塞体4Dの軸部40Dの上端部から中間部にかけて2本の透孔44Dが前記小凸部42Dの突設方向に対してほぼ直交する方向に設けられており、閉塞体4Dがガイド孔31及び壁5のガイド方向A−Aに対して交差する方向(矢印E、E方向)に変形し得るように構成されている。
【0034】この第5実施形態における本発明の光軸調整装置が具備された車両用灯具は、以上の如き構成からなるので、灯具が車体に装備された状態では、図6及び図9に示すように、工具3を保持部30のガイド孔31及び2枚の壁5の間の溝51を挿通させることにより、工具3先端がガイドされてアジャストスクリュウ2のダブルギア24、25に係合する。この状態で工具3を回転操作することにより、光軸調整(上下方向の光軸調整、左右方向の光軸調整)が行われる。
【0035】光軸調整が完了した時点で、閉塞体4Dを保持部30のガイド孔31に圧入する。すると、図7及び図10に示すように、閉塞体4Dの頭部41Dが保持部30の凹部32中に埋没された状態で、閉塞体4Dの頭部41Dの下面と小凸部42Dの上面とがガイド孔31の周縁の凹部32の上面及び保持部30の下面を当接挟持して、かつ、4個の当接凸部43Dがガイド孔31の内周面に当接して、閉塞体4Dが保持部30に固定されることとなる。なお、図10中符号54はボンネットである。
【0036】このとき、閉塞体4Dの頭部41Dが保持部30の凹部32中に埋没された状態にあり、また、頭部41Dの表面には凹凸が無く、かつ、頭部41Dの外形は掴み難い円形をなすので、マイナスドライバー等で保持部30の凹部32中に埋没された閉塞体4Dの頭部41Dを抉じ開けて閉塞体4Dを保持部30のガイド孔31から取り外すことは、不可能である。
【0037】また、閉塞体4Dの軸部40Dの中間部から下端部にかけての部分は、2枚の壁5の間の溝51中に位置し、かつ、灯具が車体に装備されている状態であって、2枚の壁5の背面側に開口する溝51は、車体等50により覆われているので、閉塞体取外用工具3Aが閉塞体4Dに係合したり、閉塞体変形用工具が閉塞体4Dを挟み込んだり等ができず、閉塞体4Dを保持部30のガイド孔31から取り外すことは、不可能である。
【0038】さらに、保持部30と壁5との間にはクリアランス52が設けられているが、閉塞体4Dはランプハウジング10と車体等50との狭い前後の間に位置するので、クリアランス52において閉塞体変形用工具で閉塞体4Dを挟み込むことができず、閉塞体4Dを保持部30のガイド孔31から取り外すことは、不可能である。
【0039】さらにまた、アジャストスクリュウ2のダブルギア24、25は環状壁53により囲まれているので、工具3をダブルギア24、25に係合させることができず、アジャストスクリュウ2を回転させることは不可能である。
【0040】このように、本発明の光軸調整装置が具備された車両用灯具は、灯具を車体に装備し、それから、光軸調整(上下方向の光軸調整、左右方向の光軸調整)を行い、その光軸調整が完了した時点で、閉塞体4Dを保持部30に固定することにより、光軸調整を行うことが不可能となる。
【0041】再度光軸調整を行う場合は、図8及び図11に示すように、灯具を車体から一旦取り外す。すると、灯具の周囲が車体等50から解放されることとなる。そこで、まず、クリアランス52において、閉塞体変形用工具で閉塞体4Dの中間部を、ガイド孔31及び壁5のガイド方向A−Aに対して交差する方向(図8中の矢印E、E方向に挟み込む。すると、その閉塞体4Dの中間部がその中間部の透孔44Dの作用により、変形し、それに伴って、閉塞体4Dの小凸部42Dが保持部30の下面のガイド孔31の周縁から外れる。次に、上述の閉塞体4Dの中間部を変形させたままの状態で、閉塞体取外用工具3Aの先端を2枚の壁5の間の溝51に図11中の矢印F方向に挿入して閉塞体4Dの下端に係合させる。次いで、その閉塞体取外用工具3Aを図8及び図11中の矢印G方向に移動させる(押し上げる)ことにより、閉塞体4Dを保持部30から取り外すことができる。
【0042】それから、閉塞体4Dを取り外した灯具を車体に再度装備させることにより、光軸調整(上下方向の光軸調整、左右方向の光軸調整)を再度行うことができる。そして、その再度の光軸調整が完了した時点で、閉塞体4Dを保持部30に再度固定することにより、光軸調整を行うことが不可能となる。
【0043】上述の第5実施形態において、保持部30の凹部32と、溝51を有する壁5と、保持部30と壁5との間のクリアランス52と、ダブルギア24、25の周囲の環状壁53と、変形し得る閉塞体4Dは、それぞれの作用機能に合せて、別個に又は適宜に組み合わせて使用しても良い。例えば、小凸部42、42Dが無い閉塞体4B、4Cの場合、クリアランス52において、閉塞体4B、4Cを変形させる必要が無いので、クリアランス52を設ける必要が無く、また変形し得る閉塞体4Dを使用する必要が無い。
【0044】なお、上述の実施の形態においては、リフレクタ可動タイプの自動車用前照灯について説明したが、本発明は、ランプユニット可動タイプの車両用灯具にも適用できる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光軸調整装置が具備された車両用灯具は、光軸調整完了後ガイド孔が保持部に固定された閉塞体により閉塞されているものであるから、工具をガイド孔中に挿通させてアジャストスクリュウを回転させることができないので、光軸調整完了後に光軸調整が簡単に行われない。
【出願人】 【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)8月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】秋本 正実
【公開番号】 特開平11−185505
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平10−228152