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【発明の名称】 車両用照明灯具
【発明者】 【氏名】谷内 均

【氏名】佐藤 周作

【要約】 【課題】従来の車両用前照灯では、すれ違いようフィラメントと走行用フィラメントとにより、二種類の配光特性が得られるに過ぎず、様々な車両の走行状態に対応するものとはならない問題点を生じていた。

【解決手段】本発明により、放物面系とした第一反射面2の一部に第一焦点F1を光源3aの位置とし第二焦点F2を略水平の側方に有する楕円面系の第二反射面5を設けて凹部を形成すると共に、該凹部には放物面系とした第三反射面7が挿入退去を自在なものとし、挿入時には第三反射面7が第二反射面5を覆い、退去時には第二反射面5からの反射光と第二レンズ6とにより第一反射面の配光特性D2と水平方向に連続する配光特性が形成される車両用照明灯具1としたことで、従来のフィラメントの切換による配光特性の変更に加えて、第二反射面と第三反射面とによる幅方向の配光特性の変更も可能として課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸が車両の進行方向に向かう放物面系とした第一反射面の上半部の一部に、下方側および外方側に切欠部を有し、第一焦点を光源の位置とし第二焦点を略水平の側方若しくは前側方に有する楕円面系の第二反射面を設けて凹部を形成すると共に、該凹部には下方側に設けられた前記切欠部を介して放物面系とした第三反射面が挿入と退去を自在なものとされ、挿入が行われたときには前記第三反射面が前記第二反射面を覆うものとされ、退去が行われたときには前記第二焦点を経由する光束の前方に設けられた第二レンズにより前記第一反射面からの光が形成する配光特性と水平方向に連続する配光特性が形成されることを特徴とする車両用照明灯具。
【請求項2】 前記第二反射面の前記第二焦点は前記第一反射面の背面に設けられ、この第二焦点を経由する光は前記第一反射面の背面を通り前記第二レンズに達するものとされていることを特徴とする請求項1記載の車両用照明灯具。
【請求項3】 前記凹部は、この車両用照明灯具が取付けられる車両の外側寄りとなる位置に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用照明灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用のヘッドランプ、フォグランプなど路面の照明を目的とする灯具に関するものであり、詳細には速度など車両の走行条件、或いは、市街地、郊外など走行時の周囲条件に応じて最適の照明効果が得られるように配光特性を可変とした車両用照明灯具に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の車両用前照灯90の構成の例を示すものが図7及び図8であり、この車両用前照灯90は、フード91bが付属するすれ違い用フィラメント91aと走行用フィラメント91cとを有するバルブ91と、回転放物面とされた反射面92と、レンズ93とから構成されている。
【0003】前記すれ違い用フィラメント91aは下半部がフード91bで覆われ、反射面92の略上半部のみに光が達するものとされると共に、反射面92の焦点Fよりも前方に設置されているので、図7に示すように反射面92で反射する光は大部分が下向きのものとなり、レンズ93に施されたレンズカット93aにより適宜な拡散が行われるなどしてすれ違い用配光が得られるものとなる。
【0004】また、走行用フィラメント91cは前記焦点Fに略一致して設置されているので、この走行用フィラメント91cを点灯したときの反射面92により反射される光は図8に示すように水平方向の平行光線となり、上記と同様にレンズ93に施されたレンズカット93により拡散が行われるなどして走行用配光が得られるものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記した従来の構成の車両用前照灯90においては、すれ違い用配光の場合も、走行用配光の場合も同じレンズ93を透過させるものであるので、当然にレンズカット93aも共用されるものとなる。従って、レンズカット93aは、例えば配光の左右幅を拡げるなど、すれ違い用配光と走行用配光との形成に共通する作用のみを奏するものとせざるを得ないものとなる。
【0006】よって、すれ違い用配光も走行用配光もそれぞれを理想的なものとすることができず、可もなく不可もない中途半端なものと成り、使用者に不満を与える問題点を生じている。更に言えば、例え理想的とするすれ違い用配光と走行用配光とが得られたとしても、車両の走行条件は千変万化であり二つの配光のみで対応すること自体に無理があると言う問題点もあり、これらの点の解決が課題とされるものであった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来の課題を解決するための具体的な手段として、軸が車両の進行方向に向かう放物面系とした第一反射面の上半部の一部に、下方側および外方側に切欠部を有し、第一焦点を光源の位置とし第二焦点を略水平の側方若しくは前側方に有する楕円面系の第二反射面を設けて凹部を形成すると共に、該凹部には下方側に設けられた前記切欠部を介して放物面系とした第三反射面が挿入と退去を自在なものとされ、挿入が行われたときには前記第三反射面が前記第二反射面を覆うものとされ、退去が行われたときには前記第二焦点を経由する光束の前方に設けられた第二レンズにより前記第一反射面からの光が形成する配光特性と水平方向に連続する配光特性が形成されることを特徴とする車両用照明灯具を提供することで課題を解決するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1および図2に符号1で示すものは本発明に係る車両用照明灯具であり、この車両用照明灯具1は、基本的には軸Z、即ち、光の反射方向を車両の進行方向に向かうものとした、回転放物面など放物面系の第一反射面2と、この第一反射面2の焦点F0の近傍にフィラメント3aを有するバルブ3と、前記第一反射面2からの反射光にレンズカット4aで適宜の拡散などを行う第一レンズ4とで基本的な配光特性が形成されるものとされている。尚、図2中に符号9で示すものはハウジングである。
【0009】加えて、本発明においては前記第一反射面2の一部に第二反射面5を設けるものであり、この第二反射面5は前記第一反射面2の上半部であり、且つ、図3に示すようにこの車両用照明灯具1が運転席から見て車両10の右側に取付けられるものである場合には右側半部、左側に取付けられるものである場合には左側半部と、車両の外側寄りと成る位置に設けられるものとされている。
【0010】前記第二反射面5は第一焦点F1と第二焦点F2とを有する回転楕円面など楕円面系の反射面として形成されるものであり、このときには、前記第一焦点F1は前記フィラメント3a(即ち、光源の位置)に一致し、第二焦点F2は前記第一反射面2の裏側に位置するように、第一焦点F1に対し水平で且つ側方、若しくは、水平で且つやや前寄りの側方とする軸Y上としている。
【0011】このように、第一反射面2の一部に第二反射面5を形成すると、この第二反射面5が設けられている位置は第一反射面2に対して凹部となる。そして、第二反射面5の外側の端部と下側の端部とは第一反射面2に対して大きな段差を生じるものとなり、本発明においては、この部分を開口させ下方切欠部5aと外方切欠部5bとしている。
【0012】そして、第二反射面5に反射するフィラメント3aからの光は、一旦に第一反射面2の裏側にある第二焦点F2に収束した後に放射光となり所定方向に向かう光束となるので、この光束の向かう方向には第二レンズ6が設けられているものとされている。尚、この実施形態では前記第二レンズ6は、いわゆるインナーレンズ形式として第一レンズ4の内側に設けられている。尚、第二反射面5と第二レンズ6および第一レンズ4とにより形成される配光特性については、後に詳細に説明する。
【0013】また、本発明では上記第一反射面2と第二反射面5とに加えて第三反射面7を設けるものであり、この第三反射面7は前記第一反射面2と同様にフィラメント3aを略焦点F3とする回転放物面など放物面系の反射面として形成され、第一反射面2の背面に設けられると共に、例えばモーター、ソレノイドなどの駆動装置8により下記の説明のように無効位置Nと有効位置Aとの間に移動を可能なものとされている。
【0014】前記第三反射面7の無効位置Nは前記第一反射面2の背面であり且つ第二反射面5の下方とされており、従って、この無効位置Nにおいては第三反射面7は第一反射面2に遮られてフィラメント3aからの光が達することはなく何等の作用も行なわず、第一反射面2と第二反射面5とが光を反射する(図2を参照)ものとなる。
【0015】そして、駆動装置8により第三反射面7を移動させると、この第三反射面7は図4に示すように下方切欠部5aを通って第二反射面5の前方である有効位置Aに進出するものであり、これにより第二反射面5は第三反射面7に覆われてフィラメント3aからの光が達することがなくなり、即ち、有効位置Aにおいては第一反射面2と第三反射面7とが光を反射するものとなる。
【0016】次いで、上記の構成とした本発明の車両用照明灯具1の作用および効果について説明を行う。先ず、第三反射面7が無効位置Nにあるときには、上記したようにフィラメント3aからの光は第一反射面2と第二反射面5とに達するものとなる。このときに、第一反射面2からの反射光と、この第一反射面2からの反射光が透過する部分に施された第一レンズ4のレンズカット4aとで、図5に配光特性D2として示すように、従来の前照灯と同様な手段ですれ違い配光などが形成されている。
【0017】このときに、フィラメント3aから第二反射面5に達した光は、この第二反射面5の第二焦点F2が第一反射面2の背面に設けられていることで、外方切欠部5bを通過して第一反射面2の背面に至り、そして第二レンズ6に入射する。このときに第二レンズ6に入射する光は一旦に第二焦点F2で収束した光であるので、第二レンズ6に施すレンズカットを第二焦点F2に焦点F4を有するフレネルカット6aとしておけば、透過した後には平行光となり第一レンズ4に入射する。
【0018】本発明では、第二レンズ6を透過した光に対応する部分の第一レンズ4のレンズカット4bを、第一反射面2とレンズカット4aとにより形成される配光特性に対して、第二反射面5が設けられた側、この実施形態の場合では車両用照明灯具1は車両に対して左側設置用であるので、配光特性D2の運転席から見て左側の端部に水平方向で連続する配光特性D5Lとして形成する(図5を参照)ものである。
【0019】尚、このときに、図3にも示したように車両10には右側にも車両用照明灯具1が設けられるものであるので、右側の車両用照明灯具1の第二反射面5からの光は配光特性D2の右側の端部に水平方向で連続する配光特性D5Rとして形成されるものとなる。従って、総合としての配光特性は、配光特性D2と配光特性D5Lと配光特性D5Rとが加算されたものとなる。
【0020】また、第三反射面7が有効位置Aにあるときには、上記したようにフィラメント3aからの光は第一反射面2と第三反射面7とに達するものとなる。このときに、第三反射面7はフィラメント3aを焦点F3とする放物面系であるので、反射光は平行光線となり第一レンズ4の所定の部分に達して透過し、図6に示すように第一反射面2からの反射光で形成されている配光特性D2上に重なるものとなる。
【0021】このときに、第三反射面7の反射光の向かう方向を、例えば配光特性D2の水平線Hと垂直線Vとの交点の近傍とし、且つ、この第三反射面7からの反射光が透過する位置に対応する第一レンズ4のレンズカット4c(図2および図4を参照)を比較的に拡散性の低いものとしておけば、第三反射面7からの配光特性D7は上記の交点の近傍、即ち、車両10の正面をスポット状として照明するものとなる。
【0022】よって、上記の構成とした車両用照明灯具1においては、第三反射面7が無効位置Nにセットされているときには、第二反射面5からの光で水平方向に広い配光特性が得られ、市街地走行に適するものとなり、第三反射面7が有効位置Aにセットされているときには、この第三反射面7により車両10正面の遠方まで照射するものとなって、郊外などの高速走行に適するものとなる。
【0023】尚、この実施形態においては、第三反射面7は有効位置Aと無効位置Nとに切り替えられるものとして説明したが、中間位置を与えることも自在であり、更に言えば、前記第三反射面7の有効位置Aと無効位置Nとの間の移動は例えば速度計の信号により自動化しても良く、運転者の意思による手動とすることも自在である。また、本発明の車両用照明灯具1が取付けられる車両が、例えば二輪自動車など一灯のものである場合には、この車両が左側通行用である場合には、左側に第二反射面が設けられたものを採用するなど適宜な選択を行えば良い。
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように本発明により、放物面系とした第一反射面の一部に第一焦点を光源の位置とし第二焦点を略水平の側方に有する楕円面系の第二反射面を設けて凹部を形成すると共に、該凹部には放物面系とした第三反射面が挿入と退去を自在なものとし、挿入が行われたときには第三反射面が第二反射面を覆い、退去が行われたときには第二反射面からの反射光と第二レンズとにより第一反射面からの配光特性と水平方向に連続する配光特性が形成される車両用照明灯具としたことで、従来のフィラメントの切換による主に光の向きの上下方向への配光特性の変更に加えて、第二反射面と第三反射面とを切換えることにより左右の幅方向の配光特性の変更も可能とするものであり、これにより、市街地走行、高速走行など様々な車両の走行条件に一層に適応できるものとして、この種の車両用照明灯具の性能向上に極めて優れた効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
【公開番号】 特開平11−111009
【公開日】 平成11年(1999)4月23日
【出願番号】 特願平9−271345