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【発明の名称】 車輌用ヘッドランプ
【発明者】 【氏名】松原 雅夫

【要約】 【課題】合成樹脂材料により成形される車輌用ヘッドランプ用リフレクタの成形金型の簡略化を図り、コストを低減すると共に、反射面の反射効率が低下しないようにする。

【解決手段】リフレクタ3の成形時の型抜き方向から見てその反射面の開口周縁から上記型抜き方向で後方に延びる取付部21、21を形成し、該取付部の後端部に型抜き方向にほゞ直交する外方に突出する取付片22、22をリフレクタ本体と一体に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ランプボディに対して各別の連結部材を介して少なくとも3点で傾動自在に支持されたリフレクタを有する車輌用ヘッドランプであって、上記リフレクタは、合成樹脂材料の金型成形により成形され、上記連結部材の少なくとも一が、上記リフレクタの成形時の型抜き方向から見てその反射面の開口周縁が属する位置から外方に向かって一体に突設された取付片に支持されたことを特徴とする車輌用ヘッドランプ。
【請求項2】 上記リフレクタの前方であって、その開口周縁の外側を覆うようにエクステンションを設けたことを特徴とする請求項1に記載の車輌用ヘッドランプ。
【請求項3】 上記取付片に上記型抜き方向に平行な方向に延びるリブを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用ヘッドランプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な車輌用ヘッドランプに関する。詳しくは、合成樹脂材料により形成される車輌用ヘッドランプ用リフレクタの形状に工夫を凝らすことにより成形金型の簡略化を図り、コストを低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆるリフレクタ可動型の車輌用ヘッドランプは、リフレクタをランプボディに対して傾動自在に支持するために、2つの可動支持部と1つの固定支持部とを備え、各支持部において、各別の連結部材を介してリフレクタとランプボディとが連結されている。
【0003】図3及び図4はそのような車輌用ヘッドランプの従来のものの一例を示すものである。
【0004】aは車輌用ヘッドランプであり、ランプボディbと該ランプボディbに対して傾動自在に支持された合成樹脂製のリフレクタcとランプボディbの前面開口を覆う前面レンズdなどから成り、リフレクタcはランプボディbに対して3点で支持され、そのうちの1つが固定支持部A、他の2つが可動支持部B、Bとして構成されている。
【0005】ランプボディbは、前面に開口した凹部eを有し、ランプボディbの後部壁fの中央には挿通孔gが形成されている。
【0006】また、後部壁fの一の隅角部(前方から見て右上)の内面にはボス座hが突設されており、該ボス座hには前端に球状体iが形成された支点軸jが取着され、上記ボス座hから下方及び側方(前方から見て左方)にそれぞれ適宜離間した位置には支持孔k、kが形成され、該支持孔k、kにエイミングスクリューl、lが回転自在にかつ軸方向へは移動不能に支持されている。
【0007】リフレクタcは前方に向って開口した凹部mを有しており、該凹部mの内面が反射面とされており、その中央には電球挿通孔nが形成されている。
【0008】また、リフレクタcの後面のうち一の隅角部(前方から見て右上)であって、上記ボス座hに対応した位置に後方へ向って突出した取付部oが形成されている。該取付部oは一の側面が開口し後端部が閉塞された略角筒状をしており、その後面壁pには円形の取付孔qが形成されている。かかる取付部oの後面壁pは、当該リフレクタcの成形時の金型の抜き方向から見て、リフレクタcの凹部mと重なった位置に形成されている。そして、該取付孔qには、後端に開口した球状の凹部rが形成された受体sが支持されている。
【0009】上記取付部oから下方へ隔った位置及び側方(前方から見て左方)へ隔った位置の2箇所(上記エイミングスクリューl、lの支持孔k、kに対応した位置)に後方へ向って突出した取付部t、tが形成されている。これら取付部t、tは、上記取付部oと同様に、一の側面が開口し後端部が閉塞された略角筒状をしており、その後面壁u、uには矩形の取付孔v、vが形成されている。かかる取付部tの後面壁uは、当該リフレクタcの成形時の金型の抜き方向から見て、リフレクタcの凹部mと重なった位置に形成されている。そして、これら取付孔v、vには、エイミングナットw、wが各別に支持されている。
【0010】しかして、上記ランプボディbに取着されたボス座hに支持された支点軸jの球状体iをリフレクタcの取付部oに取着された受体sの球状凹部rに嵌合して固定支持部Aを構成し、また、ランプボディcのエイミングスクリューl、lをリフレクタcの取付部t、tに取着したエイミングナットw、wに螺合して可動支持部B、Bを構成して、これにより、リフレクタcはランプボディbに傾動自在に支持される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従来の車輌用ヘッドランプにあっては、そのリフレクタcの取付部o、t、tがその後面壁p、u、uが金型の抜き方向から見てリフレクタcの凹部mと重なった角筒状をしているため、リフレクタcの成形時にその成形金型にいわゆるスライダーを用いなければ、各取付部o、t、tをリフレクタcの一部として一体に成形することができず、よって、成形金型が複雑化し、コスト高を招くという問題があった。
【0012】また、リフレクタcの反射面の裏面側に上記取付部o、t、tのような突出部を形成することは、成形品として完成したときに、反射面側に「ひけ」が生じ、反射効率を悪くするという問題もあった。かかる問題は、前面レンズの素通し化により、反射面のみで所望の配光を形成することが進んだ近年特に問題となっている。
【0013】そこで、本発明は、合成樹脂材料により成形される車輌用ヘッドランプのリフレクタの成形金型の簡略化を図り、コストを低減すると共に、反射面の反射効率が低下しないようにすることを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明車輌用ヘッドランプは、上記した課題を解決するために、リフレクタの成形時の型抜き方向から見てその反射面の開口周縁が属する位置から外方に向かって一体に突設された取付片に、ランプボディとリフレクタとを連結する連結部材の少なくとも一を支持したものである。
【0015】従って、本発明車輌用ヘッドランプにあっては、連結部材を支持するためのリフレクタの取付片をリフレクタの金型抜き方向から見た開口周縁の属する位置から外方に向かって一体に突設したので、これら取付片を成形するためにスライダを必要としない成形金型でリフレクタの一部として一体に成形することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明車輌用ヘッドランプの詳細を図示した実施の形態に従って説明する。
【0017】図1及び図2は本発明車輌用ヘッドランプの一の実施の形態を示すものである。
【0018】1は車輌用ヘッドランプであり、上記従来の車輌用ヘッドランプaと同様に、ランプボディ2と該ランプボディ2に対して傾動自在に支持された合成樹脂製のリフレクタ3とランプボディ2の前面開口を覆う前面レンズ4などから成り、リフレクタ3はランプボディ2に対して3点で支持され、そのうちの1つが固定支持部A、他の2つが可動支持部B、Bとして構成されている。
【0019】ランプボディ2は、合成樹脂材料からなり、前面に開口した凹部5を有し、ランプボディ2の後部壁6の中央には挿通孔7が形成されている。
【0020】また、後部壁6の一の隅角部(前方から見て左下)の内面には後述する支点軸の球体を受ける受体8が一体に形成されており、該受体8には前方に開口する球状凹部9が形成されている。
【0021】10、10(一方のみ図示する。)はランプボディ2の後部壁6のうち上記受体8から上方に隔った隅角部と側方(前方から見て右方)に隔った隅角部に形成された正面から見て円形をした支持孔である。
【0022】11、11(一方のみ図示する。)はランプボディ2に回転自在に支持されるエイミングスクリュー、即ち、調整軸である。
【0023】エイミングスクリュー11の前半部はリフレクタ3との連結部となる螺軸部12に形成され、該螺軸部12の後方が軸部13となっている。そして、軸部13のうち後端寄りの位置にフランジ14が突設され、更に、エイミングスクリュー11の後端部には六角状の頭部15が形成されている。
【0024】エイミングスクリュー11をその螺軸部12側からランプボディ2の上記支持孔10にその後方から挿通させてフランジ14を後部壁6後面に当接させる。そして、該螺軸部12のランプボディ2の前方に突出した部分に抜止ワッシャ16を外嵌して、該抜止ワッシャ16をランプボディ2の後部壁6前面に当接させることにより、エイミングスクリュー11はランプボディ2に回転自在でかつ軸方向には移動不能に支持される。
【0025】リフレクタ3は上記ランプボディ2よりもその奥行き及び開口が共に一回り小さな椀状をしており、該リフレクタ3がランプボディ2内の所定の位置に配設されてときに前方から見て、その開口周縁の外側に上記エイミングスクリュー11、11が位置するようになっている。また、リフレクタ3の前方に向って開口した凹部17の内面は反射面とされ、その中央には電球挿通孔18が形成されている。
【0026】リフレクタ3の背面のうち上記受体8に対応する位置には、ボス座19が後方に向かって突設されており、該ボス座19の後面に開口した下穴19aが形成されている。
【0027】20は支点軸であり各部が金属によって一体に形成されており、該支点軸20は全体として棒状をしており、中間部に形成されたフランジ20aより前側の部分が螺軸部20bとされ、後端には球部20cが形成されている。
【0028】そして、かかる支点軸20はその螺軸部20bがリフレクタ3に形成された前記ボス座19の下穴19aにフランジ20aのところまで捩じ込まれ、これによって、支点軸20の球部20cがリフレクタ3の上記ランプボディ2の受体8に対応した位置から後方へ突出するように取着される。
【0029】リフレクタ3の前面開口の周縁のうち上記ボス座19から上方へ隔った位置及び側方(前方から見て右方)へ隔った位置の2箇所であって上記エイミングスクリュー11、11にそれぞれ対応する位置には、リフレクタ3の成形時の抜き方向で後側に延びる取付部21、21(一方のみ図示する。)が形成されていて、該取付部21、21の後端部には成形時の抜き方向に対してほゞ直交する方向で外側に突出した取付片22、22が一体に形成されている。
【0030】該取付片22には、矩形の取付孔23が形成され、該取付片22と取付部21の主部との間にはリブ24が一体に形成されており、取付片22の補強がなされている。尚、取付部21の主部とリフレクタ3の後面との間にも補強用のリブを形成しても良い。
【0031】25、25(一方のみ図示する。)は合成樹脂製のエイミングナットであり、リフレクタ3の上記取付部21、21の取付片22、22の取付孔23、23に各別に支持される。
【0032】しかして、上記リフレクタ3に形成されたボス座19に支持された支点軸20の球部20cをランプボディ2に形成された受体8の球状凹部9に嵌合することにより固定支持部Aが構成され、支点軸20と受体8がランプボディ2とリフレクタ3とを連結する連結部材の一を構成する。
【0033】また、ランプボディ2のエイミングスクリュー11、11をリフレクタ3の取付片22、22に取着したエイミングナット25、25に螺合することにより可動支持部B、Bが構成され、エイミングスクリュー11、11とエイミングナット25、25がランプボディ2とリフレクタ3とを連結する連結部材の他の一を構成する。
【0034】これにより、リフレクタ3は、1つの固定支持部と2つの可動支持部の3点でランプボディ2に傾動自在に支持される。
【0035】そして、上記したリフレクタ3は、合成樹脂材料の成形品として製造されるが、エイミングナット25、25を支持する取付片22、22は、リフレクタ3の成形時における金型の抜き方向から見てリフレクタ3の凹部17と重なっていないため、スライダーを用いることなく、取付片22、22をリフレクタ3の一部として一体に成形することができる。
【0036】26はリフレクタ3の反射面の延長上に対応する反射面26aを有するエクステンションであり、ランプボディ2内であってリフレクタ3の前側に配設されており、該エクステンション26はリフレクタ3とランプボディ2の側壁との間の部分をリフレクタ3の前方から覆うようになっている。これにより、車輌用ヘッドランプ1を前方から見たときに、リフレクタ3のランプボディ2への支持部(固定支持部、可動支持部)が見えることはない。
【0037】尚、上記実施の形態にかかるリフレクタ3にあっては、上記取付片22、22をリフレクタ3の前面開口の周縁から後方に延びる取付部21、21の後端部に形成したものについて説明したが、本発明車輌用ヘッドランプにあってはこれに限らず、リフレクタ3の開口周縁に直接各取付片が一体に形成されたものであっても良い。
【0038】また、上記実施の形態にあっては、リフレクタのランプボディに対する3点支持のうち2つの可動支点部における取付片をリフレクタの開口周縁の属する位置から外方に向かって一体に突設した取付片としたが、少なくともそのうちの1つがリフレクタの開口周縁の属する位置から外方に向かって一体に突設したものであれば、成形金型のスライダーをその分削減することができ、成形金型の簡略化、コストの低減を図ることができる。
【0039】更に、上記実施の形態において、固定支持部を構成する球体をリフレクタ側に設けるようにし、ランプボディ側に球状凹部を有する受体を設けたので、該受体をランプボディに一体に形成することができ、別部材を設ける必要がないので、部品点数を減少させることができる。但し、本発明車輌用ヘッドランプにあっては、これに限らず、固定支持部を構成する球体をランプボディ側に設けるようにしても良いのは勿論である。
【0040】
【発明の効果】以上に記載したところから明らかなように、請求項1に記載の本発明によれば、リフレクタの成形時の型抜き方向から見てその反射面の開口周縁が属する位置から外方に向かって一体に突設された取付片に、ランプボディとリフレクタとを連結する連結部材の少なくとも一を支持したので、これら取付片を成形するためにスライダを必要としない成形金型でリフレクタ本体と一体に成形することができ、成形金型の簡略化、コストの低減を図ることができ、また、リフレクタの反射面に「ひけ」が生ぜず、反射面の反射効率が低下するようなこともない。
【0041】請求項2に記載の本発明によれば、リフレクタの前方であって、その開口周縁の外側を覆うようにエクステンションを設けたので、車輌用ヘッドランプを前方から見たときに、ランプボディ内のリフレクタの開口周縁の外側に形成された取付片が見えることはなく、車輌用ヘッドランプの見栄えを良くすることができる。
【0042】請求項3に記載の本発明によれば、リフレクタに一体に形成された取付片に成形時の型抜き方向に平行な方向に延びるリブを設けたので、取付片の強度を高くすることができる。
【0043】尚、上記実施の形態で示した各部の具体的形状及び構造は何れも本発明の実施に際しての具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成9年(1997)10月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小松 祐治
【公開番号】 特開平11−111008
【公開日】 平成11年(1999)4月23日
【出願番号】 特願平9−268334