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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】金子 進

【要約】 【課題】色の異なる二種のレンズが積層形成された灯具では、その積層部に剥がれが生じたり、その積層部の外周縁部や境界部に色の濃淡が発生して、灯具の外観上の見栄えが低下する。

【解決手段】二種のレンズが積層された外装レンズ2を、灯具ボデイ1に形成されたシール溝15に取着されるシール脚部23が形成されている第1レンズ21と、前記第1レンズ21の外周縁の上面及びその側面を回り込むように積層成形された第2レンズ22とから構成し、前記第1レンズ21のシール脚部23の外側面には前記第2レンズ22の外側縁終端部が接合する膨出部27を形成して、積層部26の接合端面が外部へ露出しない構成とする。これにより、その接合部から剥がれが発生すること防止するとともに、第2レンズ22の回り込み部の長さも短く構成でき、正面から視認した場合の第2レンズ22の色の濃淡が目立つことが無く、灯具の外観上の見栄えを向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 灯具ボディと、この灯具ボディの前面開口部に取着される外装レンズと、前記灯具ボディ内に配置されるバルブとを備えた車両用灯具において、前記外装レンズは、少なくともその外周縁部には異なる色の二種のレンズが一体に積層成形されており、これら二種のレンズは、前記灯具ボデイに取着されるシール脚部が形成されている第1レンズと、前記第1レンズの外周縁の上面及びその側面を回り込むように積層成形された第2レンズとからなり、前記第1レンズのシール脚部の外側面には前記第2レンズの外側終端面が接合する膨出部を形成したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】 前記第1レンズは白色の、また前記第2レンズは有彩色の透光性樹脂にて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】 前記第2レンズの内側縁は傾斜面を境界として前記第1レンズと接合しており、かつその接合部に相当する前記第1レンズの内面には光屈折用または光拡散用のステップが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】 前記第1レンズに設けられて前記灯具ボディに取着されるシール脚部は、前記灯具ボデイの外周縁に形成されたシール溝に対して、振動溶着または超音波溶着にて溶融固着されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】 前記灯具ボデイは複数の灯室を有しており、前記第1レンズ及び第2レンズはそれぞれの灯室のレンズ機能を奏するように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、灯具ボデイに取着される外装レンズにおいて、その外装レンズの外周縁部に形成されるレンズ積層部の接合強度を高めるとともに、そのレンズの外観上の見栄えを良好にする車両用灯具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両用灯具において、灯具ボディの前面開口部に取着される外装レンズは、透光性の樹脂よりなるテールランプ機能を奏する赤色レンズや、バックランプ機能を奏する白色レンズ等から構成されている。その複数の色よりなるレンズが一体に成形される外装レンズの製造方法としては、例えば、まず白色レンズを射出成形した後、その白色レンズを赤色レンズ成形用キャビテイを有する別の金型に移動し、赤色レンズの射出成形により両レンズを一体化するインサート方式、または、白色レンズを射出成形した後、その上金型のみを赤色レンズのキャビテイを有する上金型と交換し、赤色レンズの射出成形により両レンズを一体化する同時多色成形方式等がある。そして、いずれの方式においても前記の両レンズを一体化する射出成形時に、両レンズの積層部分が同時に成形されるように構成されている。このように成形された従来の外装レンズとしては図6及び図7に示すように、灯具ボデイの全面開口部に取着される外装レンズ(a)において、白色の第1レンズ(b)の外周縁上面に赤色の第2レンズ(c)が積層形成されたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構造の車両用灯具、特に外装レンズにおいては、例えば、図6(a)に示したものでは、第1レンズbと第2レンズcの積層部の接合部分の面積が大きくとれず、従って接合強度が弱く、またその接合端面dが露出しているため、その接合端面dに雨水や物が直接あたり、その結果、第2レンズcに剥がれが生じる要因となっている。一方、図6(b)に示したものにおいては、第1レンズbの外側面に廻り込んだ第2レンズcの外側縁部eが奥行き方向に長く形成されているため、所要の接合強度は確保可能となるが、レンズを正面方向から見た場合、その外側縁部eのみが濃く暗部となって視認され、見栄えが悪いばかりか、図6(a)のものと同様に積層部の接合端面dが露出しているために、第2レンズcの剥がれの要因となっている。
【0004】本発明の目的は、外装レンズの外周縁における第1レンズと第2レンズの積層部の接合強度を強固なものにするとともに、その外装レンズの外観上の見栄えを良好なものとする車両用灯具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、灯具ボディと、この灯具ボディの前面開口部に取着される外装レンズと、前記灯具ボディ内に配置されるバルブとを備えた車両用灯具において、前記外装レンズは、その外周縁部には異なる色の二種のレンズが一体に積層成形され、これら二種のレンズは、前記灯具ボデイに取着されるシール脚部が形成されている第1レンズと、前記第1レンズの外周縁の上面及びその側面を回り込むように積層成形された第2レンズとからなり、前記第1レンズのシール脚部の外側面には前記第2レンズの外側縁終端部が接合する膨出部を形成することにより、第1レンズと第2レンズの剥がれを防止し且つその接合強度を強固にでき、更に灯具の外観上の見栄えを向上させることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明の車両用灯具の詳細を示した実施の形態を、図面に従って説明する。図1は本発明を自動車のリアコンビネーションランプに適用した実施形態の正面図、図2はそのAA線断面図、図3はBB線断面図、図4はCC線断面図、図5は図3のD部の拡大図である。
【0007】このリアコンビネーションランプRCLは、その上側にテール&ストップランプT&SL、下側にバックランプ(後退灯)BALが構成されている。
【0008】1は灯具ボデイであって、この灯具ボデイ1は合成樹脂によって形成されており、その内面はアルミニウム等の金属材が蒸着もしくは塗布されて反射面11として構成されている。また、灯具ボディ1の内部には、その内部を左右及び上下に分割して前記テール&ストップランプT&SLとバックランプBALのそれぞれの灯室T1,T2を構成する分割壁12が形成されている。更に、灯具ボデイ1の外周縁には、その前面開口部に沿ってシール溝15が形成されている。そして、このシール溝15に対しては、後述する外装レンズ2が取着される。具体的には、このシール溝15の上面に第1レンズ21のシール脚部23を当接させ、振動溶着や超音波溶着もしくは熱板溶着等の溶着工法により、シール脚部23の全周をシール溝15の上面に溶融固着させる。
【0009】また、前記灯具ボディ1の背面には、前記各ランプの灯室T1,T2に臨んでバルブ取付穴16,17,18が開設されており、このバルブ取付穴16,17,18には、バルブ31,41,51が取着されたバルブソケット3,4,5が装着され、以って各ランプの光源となるバルブ31,41,51が各灯室内T1,T2に内装配置される構成となっている。
【0010】2は外装レンズであって、この外装レンズ2は、前記バックランプBALに相当する部分は白色の第1レンズ21により構成されており、また前記テール&ストップランプT&SLに相当する部分は赤色の第2レンズ22により構成されている。そして、この第2レンズ22は、インサート方式や同時多色成形等の方式に基づき第1レンズ21の周囲を囲むように形成されており、その囲み部の境界部7は第1レンズ21と第2レンズ22が積層形成されている。また、この外装レンズ2の外周縁24においても、前記第1レンズ21と第2レンズ22は積層形成されている。具体的には図5に示すように第2レンズ22が第1レンズ21の外周縁の上面に形成されている凹部25を埋めるように、すなわち第1レンズ21と第2レンズ22の外表面が段差のない平滑な同一面となるように積層構成されている。更に、第2レンズ22は、第1レンズ21の外周縁側部を覆うように回り込んだ積層部26を有している。
【0011】また、第1レンズ21の外周縁下部には灯具ボデイ1に形成されたシール溝15に当接し固着されるシール脚部23が形成されており、更にそのシール脚部23の外側面には、略三角形状の断面を有する膨出部27が形成されている。そして、この膨出部27の上面平面部には前記第2レンズ22の積層部26の外側終端面28が当接し接合されている。また、前記積層部26の内側縁部29は斜面形状に形成され、第1レンズ21に形成された凹部25の内面の傾斜面に当接し接合されている。なお、第1レンズ21の内面には、バルブ31の光を制御する所要のプリズム6が形成されている。しかして、境界部7を正面から視認した場合、そのプリズム6により光が拡散されて乱反射されるため、その境界部7の第2レンズ22の赤色は濃淡無く一様の色彩で視認され、見栄えが良好となる。
【0012】なお、図4において、8は後続車からのヘッドライト等の光を反射する再帰反射器であって、この再帰反射器8は、第2レンズ22によって構成される灯室T2の内部にネジ等の適宜な手段で固定された支持部材81の支持面82の上に水平に固定されている。しかして、夜間において、第2レンズ22を通過した後続車のヘッドライトの光を反射して、車両の存在を後続車に確認させる作用を奏するものである。
【0013】この構成によれば、第1レンズ21の外側周縁部全体を覆うよう第2レンズ22が積層形成されているので、接合面積を大きくとれ、従って接合力を強固にすることができ、また、第2レンズ22の回り込み部の積層部26の外側終端面28が第1レンズ21のシール脚部部23の外側に形成された膨出部27に当接して接合されているため、接合端面が露出することがなく、従って、その接合部からの剥がれを防止することができる。
【0014】更に、前記回り込み部の積層部26は、前記膨出部27に当接するように構成されているので、接合力を確保するためにその回り込み部の奥行き方向の長さを長くする必要が無い。従って、第2レンズ22を正面から視認しても、その積層部26の赤色がその周囲に比べて濃くなることがなく、外観上の見栄えを損なうことがない。また、第1レンズ21を囲む第2レンズ22との境界部7においては、その両レンズ21,22が斜面形状にて接合し、以て第2レンズ22の肉厚が第1レンズ21と第2レンズ22の境界部7に近づくしたがって徐変しているので、特に第2レンズ22の赤色の濃淡が目立たず、従って、その外観上の見栄えを良好にすることができる。
【0015】ここで、前記実施形態では、本発明をテール&ストップランプとバックランプからなるコンビネーションランプに適用した例について述べたが、他の構成のコンビネーションランプであってもよい。また、独立構成のランプにおいても、所要のレンズの外周縁に色の異なるレンズを積層させるにおいて、本発明を適用することで同様の効果を得ることができる。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明における外装レンズは、灯具ボデイに取着されるシール脚部が形成されている第1レンズと、前記第1レンズの外周縁の上面及びその側面を回り込むように積層成形された第2レンズとからなり、前記第1レンズのシール脚部の外側面には前記第2レンズの外側縁終端部が接合する膨出部を形成したので、その積層部の接合端面が外部に露出することがなく、従って、接合強度を強固にできるとともに、その接合部から剥がれが発生すること防止できる。
【0017】また、前記第1レンズは白色、また前記第2レンズは有彩色の透光性樹脂にて形成した場合においても、その積層部における第2レンズの回り込み部の長さを短く構成できるので、正面から視認した場合、第2レンズの色の濃淡が目立つことが無く、従って、灯具の外観上の見栄えが向上するという効果を奏する。
【0018】更に、前記第1レンズの上面に積層成形されている前記第2レンズの内側縁を傾斜面を境界として第1レンズと接合させ、第2レンズの肉厚が第1レンズと第2レンズの境界部に近づくしたがって徐変するように構成しているので、その境界部での第2レンズの色彩の濃淡が目立たないという効果を奏する。更に、その接合部に相当する第1レンズの内面にはプリズムを形成しているので、そのプリズムにより光が乱反射され、以てその境界部において第2レンズの色彩の濃淡が希釈化され、外観上の見栄えを良好にすることができるという効果を奏する。
【0019】また、前記構成により第1レンズと第2レンズの積層部の強度を強化できるので、第1レンズのシール脚部を、灯具ボデイの外周縁に形成されたシール溝に対して、振動溶着または超音波溶着工法を用いてモ、その微小振動による積層レンズのズレ、ハガレが生じることなく、固定取着することができ、且つその加工時においても積層部の剥がれの恐れが無いという効果を奏する。
【0020】なお、本発明は特に、複数の灯室を有しており、前記第1レンズ及び第2レンズがそれぞれの灯室のレンズ機能を奏するように配設されている灯具において、その各レンズのいずれか一つのレンズを他のレンズの外周縁を囲むように積層形成することにより、前記の各効果を有効に活用することができる。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成9年(1997)9月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
【公開番号】 特開平11−86604
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−248084