| 【発明の名称】 |
車両用灯具の光軸調整装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡本 政人
【氏名】山本 勉
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| 【要約】 |
【課題】従来の光軸調整装置においては、一方、例えば上下方向の光軸調整ネジを回動させると、他方(左右)の光軸調整ネジと光軸ナット間に応力を生じ、この応力により反射鏡が変形し、配光特性が狂う問題点を生じていた。
【解決手段】本発明により、光軸ナット3は、ナット本体部31とナット承部32とに分割して構成され、ナット本体部31は中心から両端に向かい径を縮小するテーパー状で且つ中心に軸Zと直交するネジ孔部31bを有する略円筒状の嵌着部31aとして形成され、ナット承部32はナット本体部31と軸Z方向で摺動自在に嵌合する嵌合溝部32aが設けられている車両用灯具の光軸調整装置1とし、上下、左右に揺動自在なものとしたことで、どのように光軸調整が行われた状態でも応力が加わることがないものとし、反射鏡にも不要な応力が加わることはなくして課題を解決する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 灯具若しくは反射鏡の適宜の1個所を全方位に対し揺動自在に支持するボール軸受と、光軸調整ネジに螺合され前記灯具若しくは反射鏡に対し1方向への摺動と揺動とを自在とする光軸ナットの1対とから成り、前記光軸ナットは前記ボール軸受に向かう方向への摺動と揺動とを自在とするように水平位置と垂直位置とに設置されて成る車両用灯具の光軸調整装置において、前記光軸ナットは、ナット本体部とナット承部とに分割して構成され、前記ナット本体部は中心から両端に向かい径を縮小するテーパー状で且つ前記中心に軸方向と直交するネジ孔部を有する略円筒状の嵌着部として形成され、前記ナット承部は略円筒状とされた前記ナット本体部と前記軸方向で摺動自在に嵌合する嵌合溝部が設けられていることを特徴とする車両用灯具の光軸調整装置。 【請求項2】 前記ナット承部が灯具若しくは反射鏡と一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の光軸調整装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はヘッドランプ、フォグランプなど照明用の車両用灯具に関するものであり、詳細には車両用灯具の照射方向を調整するための光軸調整装置の構成に係るものである。 【0002】 【従来の技術】従来のこの種のヘッドランプなどにおける光軸調整装置90の構成の例を示すものが図5であり、反射鏡20の適宜の1個所、例えば向かって左上隅のコーナーにはボール軸受91が設けられて車体への取付けが行われ、この状態においては反射鏡20はボール軸受91を中心とし、全方位に対し揺動自在なものとされている。 【0003】また、前記反射鏡20のボール軸受91が設けられたコーナーと水平方向に対峙するコーナー、即ち、右上隅のコーナーには左右光軸ナット92Hが取付けられ左右光軸調整ネジ93Hが螺合され、垂直方向に対峙するコーナー、即ち、左下隅のコーナーには上下光軸ナット92Vが取付けられ上下光軸調整ネジ93Vが螺合されている。 【0004】図6は上記の構成とした光軸調整装置90の動作状態を上下光軸ナット92V側の例で示すものであり、上下光軸調整ネジ93Vを回転させることで上下光軸ナット92Vは位置をネジ方向に前後し、反射鏡20はボール軸受91を回動の中心として上下方向に向きを換えて(図示は下向きとした状態)光軸の調整が行えるものとなる。尚、左右光軸ナット92Hと左右光軸調整ネジ93Hとの側においてもほヾ同様な構成とされている。 【0005】このときに、反射鏡20には傾斜を生じるものとなるので、前記上下光軸ナット92Vは反射鏡20のフランジ部20aなどを両面から凸面で挟むものとされていて、このフランジ部20aに対する揺動を自在としてあり、上記傾斜を吸収し上下光軸調整ネジ93Vに生じる応力を緩和する。 【0006】また、反射鏡20の動きは円弧運動であるので、前記上下光軸ナット92Vに対しては上記の傾斜と共に位置ズレも生じるものとなり、この緩和策として反射鏡20にはボール軸受91方向に向かうスリット20a(図5参照)を設け、このスリット20aに上下光軸ナット92Vを嵌着することでボール軸受91に向かう方向への摺動を自在としておき、上下光軸調整ネジ93Vに生じる応力を緩和するものである。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の光軸調整装置90においては、上下方向も左右方向も同じ反射鏡20に対し同じ方法で光軸調整を行うものであるので、例えば左右方向への光軸調整を行ったときには、上下光軸ナット92Vに対しても左右方向の傾きを生じさせるものとなり、この方向に緩和策の設けられていない上下光軸ナット92Vと上下光軸調整ネジ93Vとの間に非常に大きな応力を生じさせるものとなる。 【0008】よって、上下方向と左右方向との光軸調整を行うと、双方の光軸ナットと光軸調整ネジとには大きな応力が加わるものとなり、この応力が反射鏡20に加わって変形を生じさせ配光特性の形状が変形するなどの問題点を生じる。また、上記応力により光軸調整ネジの回動も大きなトルクが必要となり光軸調整の作業が困難となる問題点を生じると共に、自動光軸調整装置が設けられ、積み荷の状態などにより光軸の自動調整が行われている場合には、自動光軸調整装置の耐久性にも悪影響を及ぼす問題点を生じ、これらの点の解決が課題とされるものとなっている。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来の課題を解決するための具体的な手段として、灯具若しくは反射鏡の適宜の1個所を全方位に対し揺動自在に支持するボール軸受と、光軸調整ネジに螺合され前記灯具若しくは反射鏡に対し1方向への摺動と揺動とを自在とする光軸ナットの1対とから成り、前記光軸ナットは前記ボール軸受に向かう方向への摺動と揺動とを自在とするように水平位置と垂直位置とに設置されて成る車両用灯具の光軸調整装置において、前記光軸ナットは、ナット本体部とナット承部とに分割して構成され、前記ナット本体部は中心から両端に向かい径を縮小するテーパー状で且つ前記中心に軸方向と直交するネジ孔部を有する略円筒状の嵌着部として形成され、前記ナット承部は略円筒状とされた前記ナット本体部と前記軸方向で摺動自在に嵌合する嵌合溝部が設けられていることを特徴とする車両用灯具の光軸調整装置を提供することで課題を解決するものである。 【0010】 【発明の実施の形態】つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1に符号1で示すものは本発明に係る光軸調整装置であり、この光軸調整装置1は1つのボール軸受2と、光軸調整ネジ4に螺合される1対の光軸ナット3とから構成されるものである点は従来例のものと同様である。 【0011】また、反射鏡20への設置に当たっては、ボール軸受2が左上隅など適宜なコーナーに設置され、一方の光軸ナットが前記ボール軸受2に対して垂直方向に設置されて上下光軸ナット3V、上下光軸調整ネジ4Vとされ、他方が水平方向に設置されて左右光軸ナット3H、左右光軸調整ネジ4Hとされる点も従来例のものと同様である。 【0012】尚、本発明においても、上下光軸調整ネジ4Vを含む上下光軸ナット3Vの構成と、左右光軸調整ネジ4Hを含む左右光軸ナット3Hとの構成は同一であり、後にも説明するが、反射鏡20へ取付ける際の取付方向が異なるだけのものであるので、説明は上下と左右とを区別せず、光軸ナット3及び光軸調整ネジ4として行うものとする。 【0013】ここで、本発明においては、前記光軸ナット3をナット本体部31とナット承部32とに分割して構成するものであり、前記ナット本体部31は、中心に対し両端側の径がテーパー状に縮小している略円筒状に形成された嵌着部31aと、該嵌着部31aの中心で、且つ、この嵌着部31aの円筒状の軸と直交する方向として設けられたネジ孔部31bとで構成され、ネジ孔部31bにより光軸調整ネジ4に螺合されている。尚、上記のテーパー状による径の縮小は必ずしも直線で行う必要はなく、例えば、樽状などと称されている形状のように、適宜な曲率を有する面で径の縮小を行っても良いものである。 【0014】また、前記ナット承部32には、前記ナット本体部31の略円筒状である嵌着部31aの最大径の部分に内径で嵌合する円孔状を基本形状とし、この基本形状の対して前記光軸調整ネジ4が干渉する部分を開口させてネジ逃げ部32bを形成し、これにより略溝状の形状となる嵌合溝部32aが設けられている。 【0015】図2および図3は、上記の構成としたナット本体部31、ナット承部32及び光軸調整ネジ4の作用を示すものであり、先ず、ナット本体部31の軸Z方向においては、図2に示すように両端側の径がテーパー状に縮小している嵌着部31aを嵌合溝部32aに嵌合させているので、光軸調整ネジ4はテーパー寸法に応じる揺動が自在となる。 【0016】同時に、上記の構成は略円筒状の嵌着部31aを基本形状が円孔状の嵌合溝部32aに嵌合させたものであるので、嵌着部31aは嵌合溝部32a内で軸Z方向への摺動も自在となる。尚、このときにナット本体部31は略円筒状とされ円孔状の嵌合溝部32aに嵌合させているので、光軸調整ネジ4を回動したときにもナット本体部31に伴回りを生じることはない。 【0017】また、図3に示すナット本体部31の軸Zに直交する方向においては、嵌着部31aの外径は円弧で形成され、嵌合溝部32aの内径も嵌着部31aの外径と嵌合する円弧であるので、この場合においても嵌着部31aの軸Zと直角方向に貫通する光軸調整ネジ4は揺動が自在なものとなる。 【0018】以上に説明した光軸ナット3を反射鏡20に取付けるに当たっては、図1に示したようにナット承部32に設けられた嵌合溝部32aの軸Z(即ち、嵌着部31aの軸Z)をボール軸受2に向かわせる。従って、上下光軸ナット3Vにおいては嵌合溝部32aの軸Zは垂直となり、左右光軸ナット3Hにおいては嵌合溝部32aの軸Zは水平となる。 【0019】よって、上下光軸ナット3Vの場合、本発明により軸Z方向への揺動と摺動とを自在とするものであるので、上下光軸調整ネジ4Vを回動させたときの反射鏡20の回動により生じる上下光軸ナット3Vと上下光軸調整ネジ4Vとの間の角度ズレ及び位置ズレ(従来例の図6も参照)は吸収されるものとなる。 【0020】加えて、本発明の光軸ナット3(上下光軸ナット3V)においては、嵌合溝部32aの軸Zと直交する方向にも揺動が自在とされているので、左右光軸調整ネジ4Hの回動が行われ、上下光軸ナット3Vの軸Zに対し上下光軸調整ネジ4Vが直角方向に傾斜を生じるときにも角度ズレは吸収されるものとなる。 【0021】尚、本発明の光軸ナット3においては、ナット承部32の嵌合溝部32a内でナット本体部31が摺動自在とされているので、ナット承部32としては反射鏡20に対して摺動を行う必要はなく、従って、例えば反射鏡20が樹脂製のものである場合などには、図4に示すように反射鏡20とナット承部32とを一体に形成し、部品点数の低減を図るなどは自由である。 【0022】 【発明の効果】以上に説明したように本発明により、光軸ナットは、ナット本体部とナット承部とに分割して構成され、前記ナット本体部は中心から両端に向かい径を縮小するテーパー状で且つ前記中心に軸方向と直交するネジ孔部を有する略円筒状に形成され、前記ナット承部は略円筒状とされた前記ナット本体部と前記軸方向で摺動自在に嵌合する嵌合溝部が設けられている車両用灯具の光軸調整装置としたことで、従来は、例えば上下方向を調整する光軸ナットなど、当該の光軸ナットに螺合される光軸調整ネジを回動させたときに生じる角度ズレ及び位置ズレを吸収する手段しか設けられず、左右方向を調整する光軸調整ネジを回動させたときに生じる角度ズレによる応力により回動が困難となっていたのを解消する。 【0023】従って、本発明の光軸調整装置では、どのように光軸調整が行われた状態でも光軸ナットに応力が加わることがないので、この光軸ナットが接合される反射鏡にも不要な応力が加わることはなく、よって、応力による反射鏡の歪みによる配光特性の形状の変形は防止されるものとなり、車両用灯具としての精度の向上に極めて優れた効果を奏する。 【0024】また、光軸ナットと光軸調整ネジとの間に不要な応力が発生しないと言うことは、光軸調整ネジを回動させる際にトルク変動、特に必要トルクが急増するようなトルク変動を生じないものとなるので、例えば、積み荷の軽重による自動車の姿勢変化による照射方向の狂いを自動的に補償するときのアクチュエータに対する負担を軽減し、アクチュエータの寿命の延長を可能とし、信頼性を向上させる効果も奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002303 【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月8日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】秋元 輝雄
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| 【公開番号】 |
特開平11−66913 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−214929 |
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