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【発明の名称】 管体の継手構造及び環状シール部材
【発明者】 【氏名】服部 正

【氏名】服部 孝正

【要約】 【課題】万一管体の芯ずれが起こっても、継ぎ部からの流体の漏洩を確実に防止できるようにすることを課題とする。

【解決手段】一対の管体1,2の継ぎ部Pが環状シール部材4の側面13でシールされてなる管体の継手構造であって、前記環状シール部材4の前記側面13には、該側面13から突出する環状壁16が全周に亘って形成されてなることを解決手段とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対の管体(1,2)の継ぎ部(P)が環状シール部材(4)の側面(13)でシールされてなる管体の継手構造であって、前記環状シール部材(4)の前記側面(13)には、該側面(13)から突出する環状壁(16)が全周に亘って形成されてなることを特徴とする管体の継手構造。
【請求項2】 前記環状壁(16)は、先端に向かって肉薄に形成され且つ、外周面(17)と前記側面(13)との成す角(α)が内周面(18)と前記側面(13)との成す角(β)よりも大きく形成されてなる請求項1記載の管体の継手構造。
【請求項3】 前記環状シール部材(4)の環状壁(16)の内周側には、前記側面(13)から窪んだ環状の窪み部(19)が隣接されてなる請求項2記載の管体の継手構造。
【請求項4】 側面(13)には、該側面(13)から突出する環状壁(16)が全周に亘って形成されてなることを特徴とする環状シール部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管体の継手構造に関し、特に管体の継ぎ部をシールする環状シール部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の管体の継手構造としては、特開平10−2471号公報所載のものが存在する。
【0003】該公報所載の管体の継手構造は、図14に示す如く、一対の管51,52を連結すべく各管51,52の端部に着脱自在に外嵌着される環状のフランジ部材53,54と、該フランジ部材53,54を相互に接合する接合手段と、少なくとも一方のフランジ部材53の接合端面に管軸方向に突設されて他方のフランジ本体54の接合端面に形成した挿入孔に挿入される複数のガイド体56と、各フランジ部材53,54の接合端面側内周面に夫々形成された切欠に装着されて前記管51,52の双方の端部外周面に当接する環状シール部材57とからなるものである。また、前記接合手段の一例として、前記ガイド体56に螺合可能な複数の六角孔付きボルト55を採用している。
【0004】そして、かかる構成からなる管体の継手本体では、別体のフランジ部材53,54を管51,52の端部に着脱自在に外嵌着する構成なので、管51,52の端部にフランジを有しない一般的な管51,52の連結に簡易に採用できる利点がある。また、ガイド体56が突設されているため、フランジ部材53,54を同芯状に配することが可能で、一対の管51,52を芯ずれさせることなく連結できるので、一対の管51,52の継ぎ部Qが環状シール部材57でシールされ、流体の漏洩や管51,52の離脱の発生が回避できる利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の管体の継手構造では、接合手段としてのボルト55の締め付けが重要である。つまり、複数のボルト55を均一の締結力で確実に締め付けることにより、芯ずれを起こさずに継ぎ部Qの良好なシール状態が得られて流体の漏洩等が防止できるのである。しかしながら、実際の現場での作業では、時にボルト55を何カ所か締め忘れたり、締め付け力がボルト55間で大きく異なったりする場合がある。その結果、締結状態が片締めとなり、管51,52の芯ずれが発生することがある。
【0006】しかるに、上記構成では、環状シール部材57が、一対の管51,52の端面をまたいで両管51,52の端部外周面に当接するよう両切欠に配されてなるために、ボルト55の締め忘れによる芯ずれが起こると、切欠と環状シール部材57との係合状態が悪化して両者間に僅かに隙間が発生し、該隙間から流体が漏洩するおそれがあるという新たな問題点が発生したのである。
【0007】また、各管51,52の端面全周に亘って当接すべく、突起58を環状シール部材57の内周面に設けてなる場合では、該突起58が両管51,52の開口端面間に介在する構成となるが、上記芯ずれが起こると、該突起58の側面58aが管51,52の端面に部分的に当接し、突起58が当接しない箇所から流体が漏洩する可能性があった。
【0008】かかる問題は、上記構成のみに生じうるものではなく、管体の継ぎ部をシールする環状シール部材が、その側面にて継ぎ部をシールする場合に起こりうるものである。
【0009】そこで本発明は、上記の如き先行技術の問題点を更に改良すべく開発されたもので、その課題とするところは、万一管体の芯ずれが起こっても、継ぎ部からの流体の漏洩を確実に防止できるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明が上記課題を解決するために講じた技術的手段は、一対の管体1,2の継ぎ部Pが環状シール部材4の側面13でシールされてなる管体の継手構造であって、前記環状シール部材4の前記側面13には、該側面13から突出する環状壁16が全周に亘って形成されてなることにある。
【0011】該管体の継手構造においては、管体1,2の継ぎ部Pをシールする環状シール部材4の側面13に環状壁16が突出して形成されてなるので、万一管体1,2に芯ずれが起こって継ぎ部Pに流体が浸入しても、突出する環状壁16が流体の外部への漏洩を阻止する。
【0012】特に、請求項2記載の如く、前記環状壁16を先端に向かって肉薄に形成することにより、管体1,2をつなぎ合わせた状態で先端が折れ曲がりやすくすることができる。そのうえ、外周面17と側面13との成す角αが内周面18と側面13との成す角βよりも大きく形成することにより、環状壁16の先端が外周側に折れ曲がらずに内周側に向かって折れ曲がるので、折れ曲がった先端が逆止弁となって、内周側から外周側へ向かう流体をより一層確実に阻止することができる。
【0013】更に、請求項3記載の如く、環状シール部材4の環状壁16の内周側に、前記側面13から窪んだ環状の窪み部19が隣接されてなると、内周側に向かって折れ曲がった環状壁16が隣接する窪み部19にはまり込むことができる。従って、環状壁16が側面13から突出していても継ぎ部Pを確実に密着させることができ、環状シール部材4によるシールがより一層確実なものとなるのである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について図面を参酌しつつ説明する。本実施形態における管体の継手構造は、図1に示す如く、鋼管や樹脂管等の一対の管1,2の開口端部同士が対向して継手手段3によって連結され、両管1,2の継ぎ部Pが合成ゴム等の弾性部材からなる一対の環状シール部材4,4でシールされてなるものである。
【0015】前記継手手段3は、図2の如く、管1,2の開口端部に各々着脱自在に外嵌着されてなる一対の環状のフランジ部材5,6と、該フランジ部材5,6を接合端面5b,6bで相互に接合させる接合手段としての複数の六角孔付きボルト7と、フランジ部材5,6を各々の管1,2に固定する一対の固定手段とからなる。該固定手段は、フランジ部材5,6と管1,2との径方向の間に螺入装着されてなる環状の抜け止めナット8,8と、該抜け止めナット8,8の先端に当接し且つ管1,2の外周面に形成された周凹溝に外嵌着された拡縮自在な止めリング9,9とからなる。
【0016】また、一方のフランジ部材5には、管軸方向に沿ってネジ孔5aが所定間隔ごとに形成され、他方のフランジ部材6には前記ネジ孔5aに対向して貫通孔6aが同じ間隔で形成されてなる。そして、前記六角孔付きボルト7を他方のフランジ部材6の貫通孔6aから一方のフランジ部材5のネジ孔5aに螺入することによって両フランジ部材5,6を接合させている。
【0017】更に、フランジ部材5,6の接合端面5b,6b側内周面には、各々環状の切欠10が形成され、該切欠10に前記環状シール部材4の差込部11が各々挿着されてなる。更に、両環状シール部材4,4は、差込部11と反対側に形成された鍔部12の端面13同士が対面当接して密着状態にある。
【0018】該環状シール部材4の鍔部12は、筒状の差込部11に対して、外周側と内周側の両側に向けて突出した形状となっており、該内周側に突出する内突起14は、各々の管1,2の開口端面15,15全体に全周に亘って当接してなる。
【0019】ここで、環状シール部材4は、装着前の状態の押圧を受けていない変形前の状態では、図3に示すような形状に形成されてなるものである。
【0020】即ち、該環状シール部材4は、略筒状の差込部11と、該差込部11の一端側に外周側と内周側に突出する鍔部12とからなり、該鍔部12の端面13には、図3(ロ)のように、該端面13から突出する環状壁16が全周に亘って形成されてなる。
【0021】該環状壁16は、先端に向かって肉薄の断面視略三角形状に形成され且つ、外周面17と端面13との成す角αが内周面18と端面13との成す角βよりも大きく形成されてなる。具体的には、外周面17と端面13との成す角αが135度で、内周面18と端面13との成す角βが90度に形成され、該環状壁16の先端の頂角が45度になっている。このように、環状壁16は、全体として内周側に傾斜した形状に形成されてなる。
【0022】更に、該環状壁4の内周側には、端面13から窪んだ環状の窪み部19が隣接されてなり、該窪み部19は、環状壁16と同一形状で且つ互いに内外反対形状に形成されてなる。そして該環状壁16と窪み部19とが端面13に内外一対形成されてなる。
【0023】また、前記筒状の差込部11にも同様に環状壁20と窪み部21が形成されてなり、該窪み部21は環状壁21の鍔部12側に設けられてなる。
【0024】このような環状シール部材4を各々のフランジ部材5,6の切欠10に差込部11を挿入して装着すると、図4(イ)のように、差込部11の内周面22は、管1,2の開口端部の外周面に当接する。また、該内周面22の環状壁20が鍔部12側に折れ曲がって隣接する窪み部21内にはまり込む。且つ鍔部12の端面13はフランジ部材5,6の接合端面5b,6bから僅かに突出した状態になる。
【0025】そして、六角孔付きボルト7を螺入して締め付けていくと、図4(ロ)のように、鍔部12の環状壁16の先端同士が当接しつつ締め付けによる押圧で内周側に向かって折れ曲がっていく。
【0026】このように、六角孔付きボルト7を順次締め付けていくことで、環状シール部材4,4の鍔部12の端面13の環状壁16も先端が折れ曲がって隣接する窪み部19に各々はまり込み、最終的に、図2のように互いの端面13同士が全周に亘って密着する。同時に、フランジ部材5,6の接合端面5b,6bが全周に亘って均一に当接して密着状態となる。従って、両管1,2の継ぎ部Pが環状シール部材4,4で完全にシールされるので、該継ぎ部Pから流体が外部に漏洩するおそれがない。
【0027】また、一方のフランジ部材5にネジ孔5aが形成されており、接合手段として六角孔付きボルト7を用いているので、従来のようにボルトとナットを使用して締結する場合に比して簡易に接合することができる。
【0028】ところで、かかる六角孔付きボルト7の締結作業の過程で、例えば、数カ所の六角孔付きボルト7を締結し忘れたり、六角孔付きボルト7の締結力が一部分で弱かったりすることがある。このような片締め状態で両管1,2が連結されると、図5に示すように、両管1,2の軸中心が傾斜した芯ずれが起こり、フランジ部材5,6の接合端面5b,6b同士の間(環状シール部材4の鍔部12の端面13同士の間)には部分的に僅かに隙間が生じることになる。
【0029】しかし、環状シール部材4の鍔部12の端面13には、該端面13から突出する環状壁16が全周に亘って形成されてなるので、図4及び図5のように、環状壁16,16の先端同士が当接して外周側へ向かう流体の漏洩を確実に阻止するのである。
【0030】そのうえ、該環状壁16の外周面17がテーパ状に形成されて全体として内周側に傾斜してなるので、環状壁16の先端が内周側に向かって折れ曲がり、折れ曲がった先端が一種の逆止弁となって外周側への流体の圧力を確実に受け止めることができる。
【0031】このように、環状壁16の先端が内周側に折れ曲がり且つ外周面17がテーパ状に形成されてなるので、先端が流体圧力によって離間することが防止でき、流体の漏洩を確実に防止できるのである。更に、鍔部12の環状壁16が内外一対設けられてなるので二重シール効果もある。
【0032】更に、本実施形態の環状シール部材4,4は、管1,2の開口端面15,15の全周に当接する内突起14,14を鍔部12,12に設けているので、流通流体による開口端面15,15の腐食発生を回避することができ、特に管1,2がライニング鋼管であるような場合には特に有用である。尚、この場合には、図6の如き管1,2の開口端部に内装可能な断面視略L字状の合成樹脂からなる防食コア23,23を、該防食コア23,23の一片が管1,2の開口端面15,15に当接するように接着して使用してもよい。
【0033】また、管1,2がステンレス鋼管等のように鋼管等に比して腐食し難いものである場合には、図7のように内突起14,14を設けなくてもよい。
【0034】尚、上記実施形態では、フランジ部材5,6に各々切欠10,10を形成し且つ、該切欠10,10に一対の環状シール部材4,4を挿着させているが、一方のフランジ部材5のみに切欠10を形成して環状シール部材4を一つ用いて継ぎ部Pをシールしてもよい。
【0035】また、上記実施形態では、管1,2同士の連結の場合について説明したが、図8のように、継手管24に管1を連結する場合にも適応可能である。同図では継手管24のフランジ部25に六角孔付きボルト7が螺合するネジ孔25aを形成している。このように、本発明における一対の管体とは、直管同士のみを意味するのではなく、T字管やエルボ等のような管体をも意味するものである。
【0036】更に、上記実施形態では、フランジ部材5,6を用いたものであったが、継手構造は、図9のように一方の管体を他方の管体内に差し込んで連結させる差込式の場合にも適応可能である。
【0037】即ち、図9における継手構造は、T字状の継手管26と三本の管27,28,29とを連結させた構造であり、継手管26の二箇所の開口端部には、各々管28,29の開口端部が差し込まれて連結され、残る一箇所のフランジ部26aを有する開口端部には、上述したフランジ部材6を用いて管27が連結されている。尚、継手管26と三本の管27,28,29は、共に内面がライニング処理されており、各々の継ぎ部Pには防食コア23を介在させている。
【0038】図9のB部を拡大すると図10のようになり、該継手構造では、内周面に中心軸に向けて略垂直に突出した段部30を有する継手管26と、該継手管26の開口端部の開口内径よりも小さな外径の開口端部を有する管28とが継手手段3で連結され、且つ、継ぎ部Pが環状シール部材4でシールされている。
【0039】該環状シール部材4は、一端側に内周側に向けて突出する内突起31を有して全体として片側断面視略L字状に形成されてなる。そして、内突起31が前記継手管26の段部30と防食コア23との間に管軸方向に挟み込まれ且つ、筒状の筒状部32が継手管26と管28との径方向の隙間に径方向に挟み込まれている。また、継手手段3は、環状シール部材4をリング状のシール押さえ34を介して押圧固定する抜け止めナット8と止めリング9からなる。
【0040】この構造で用いられている環状シール部材4にも上述したものと同様に、図11のような環状壁16,20と窪み部19,21が、内突起31の筒状部32側の端面13及び筒状部32の内周面36に各々一組形成されてなる。従って、抜け止めナット8の締結力が弱い場合や同ナット8が僅かに傾斜して継手管26と螺合した場合などにより万一芯ずれが起こっても、内突起31の環状壁16によって流体の漏洩を確実に防止できるのである。
【0041】このように、継手構造の構成も適宜設計変更可能であり、環状シール部材4も継手構造に合わせて形状を決定することができる。何れにしても、一対の管体の継ぎ部Pをシールする環状シール部材4において、その内周面や外周面ではない端面等の側面に該側面から突出する環状壁16を全周に亘って形成し、該環状壁16が形成された側面で前記継ぎ部Pをシールすることにより、管体が万一芯ずれしても流体の漏洩を確実に防止できるのである。
【0042】尚、図12の如く、環状シール部材4に窪み部19を設けなくてもよいが、窪み部19を環状壁16の内周側に隣接して形成することにより、側面13が密着して継ぎ部Pをシールする際に、内周側に折れ曲がった環状壁16が窪み部19にはまり込むことができるので、より一層確実に継ぎ部Pをシールすることができる利点がある。
【0043】更に、環状壁16の形状も種々のものが採用可能であり、上記実施形態のように環状壁16の内周面18が側面13に対して垂直である場合以外にも、例えば、図13のように環状壁16の内周面18が外周側に向かって傾斜したものでもよい。
【0044】何れにしても、環状壁16が先端に向かって肉薄に形成され且つ、外周面17と側面13との成す角αが内周面18と側面13との成す角βよりも大きく形成されていれば、環状壁16の先端が外周側ではなく内周側に向かって折れ曲がるので、芯ずれの場合の漏洩を確実に防止できるので好ましい。
【0045】特に、外周面17と側面13との成す角αを120度乃至150度に設定し、内周面18と側面13との成す角βを90度乃至110度に設定すると、より確実に先端が内周側に折れ曲がるので好ましい。
【0046】尚、環状壁16を先端に向かって肉薄に形成しない場合でも、全体として内周側に傾斜した形状にすることが好ましく、これにより、確実に内周側に折れ曲がって、環状シール部材4のシール性を向上させることができる。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明の管体の継手構造は、環状シール部材の側面が従来のように平坦なものとは異なり、側面に突出した環状壁を設けてなる構成であるため、万一管体に芯ずれが起こっても環状壁が流体の外部への漏洩を阻止するので、継ぎ部のシール性が確保され、継ぎ部からの流体の漏洩が確実に防止できる効果がある。
【0048】また、請求項4記載の環状シール部材は、側面から突出する環状壁が該側面に全周に亘って形成されてなるので、管体の継ぎ部に装着すると、環状壁が管体の継ぎ部をシールするので、芯ずれ等による流体の漏洩を確実に防止できるのある。
【出願人】 【識別番号】598068703
【氏名又は名称】服部 正
【識別番号】000238740
【氏名又は名称】服部 孝正
【出願日】 平成10年(1998)5月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇 (外1名)
【公開番号】 特開平11−336966
【公開日】 平成11年(1999)12月7日
【出願番号】 特願平10−144291