| 【発明の名称】 |
冷媒輸送用複合ホ−ス |
| 【発明者】 |
【氏名】櫛笥 隆数
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、樹脂、ゴム及び補強層の組合せにより構成される冷媒輸送用複合ホ−スに係るものである。
【解決手段】内側より内面樹脂層、内管ゴム層、補強層及び外被ゴム層を順次積層して構成される複合ホ−スにおいて、前記複合ホ−スの補強層の材質がポリエチレンナフタレ−ト繊維であることを特徴とする冷媒輸送用複合ホ−ス。11‥内面樹脂層、12‥内管ゴム層、13、15‥PEN糸による補強層、14‥中間ゴム層、16‥外被ゴム層。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内側より内面樹脂層、内管ゴム層、補強層及び外被ゴム層を順次積層して構成される複合ホ−スにおいて、前記複合ホ−スの補強層の材質がポリエチレンナフタレ−ト繊維であることを特徴とする冷媒輸送用複合ホ−ス。 【請求項2】 前記複合ホ−スの補強構造が2層以上のスパイラル構造であることを特徴とする冷媒輸送用複合ホ−ス。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂、ゴム及び補強層の組合せにより構成される冷媒輸送用複合ホ−スに係るものである。 【0002】 【従来の技術】最内層にナイロン等の内面樹脂層を有し、その外側に内管ゴム層、補強層及び外被ゴム層が順次積層して構成される複合ホ−スは、耐冷媒透過性、耐透水性、耐熱耐久性等に優れており主に自動車用冷媒輸送用ホ−スとして広く利用されている。 【0003】近年、自動車のエンジンル−ムのコンパクト化等によるエンジンル−ムの高温化が進むこと、及び地球温暖化ガスの発散削減のために更なる冷媒の透過量を抑える要請がでてきている。又、自動車室内の振動騒音の低減のために、優れた柔軟性を持つホ−スが要求されてきている。このため自動車用冷媒輸送ホ−スについては、高温環境下におけるエミッション低減と、優れた柔軟性を両立させるために、内面樹脂層を持つホ−スが実用に供されている。 【0004】しかるに、これまでに実用に供された冷媒輸送用ホ−スは、エミッションを良くしようとすれば硬い内面樹脂層(バリア層)を厚くせざるを得ず、柔軟性が犠牲になるといった状況にあった。又、近年の高温化に対応し耐熱耐久性を向上させるためには、各構成材料を硬くすることでも効果があることが分かっているが、これもまた柔軟性が犠牲になっていた。更に、補強糸の高弾性率化による耐疲労性向上、冷媒透過量減少、耐熱耐久性向上のためにアラミド系補強糸を採用する場合もあったが、コストが高くなるという欠点があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は内面樹脂層バリア層があるにもかかわらず全体として柔軟性に優れ、かつ冷媒透過量が少なく耐熱耐久性に優れた複合ホ−スを低コストにて供給することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、その要旨は、内側より内面樹脂層、内管ゴム層、補強層及び外被ゴム層を順次積層して構成される複合ホ−スにおいて、前記複合ホ−スの補強層の材質がポリエチレンナフタレ−ト繊維であることを特徴とする冷媒輸送用複合ホ−スであり、好ましくは、前記複合ホ−スの補強構造が2層以上のスパイラル構造であることを特徴とする. 【0007】 【発明の実施の形態】本発明の冷媒輸送用複合ホ−スは、最内層にポリアミド等を主成分とした内面樹脂層があり、主に冷媒透過を抑えるバリア機能を持たせている。一般にはかかる樹脂を硬くするほど、又その厚さを厚くするほど、冷媒透過を抑えるバリア機能は向上するが、ホ−スの柔軟性がそこなわれるため樹脂材そのものの硬さを考慮した上でその厚さを決定する必要がある。 【0008】即ち、かかる内面樹脂層は耐冷媒透過、耐熱、耐油、耐疲労性、更には柔軟性も考慮して材質が選定され、例えば、6−ナイロン、6−ナイロンを主成分としポリオレフィンを加えたナイロンアロイ材が好ましく、必要に応じて12−ナイロンを添加したり、6,6共重合ナイロンを用いても良い。又、フッ素樹脂等ナイロン以外の樹脂を用いても良い。そして、この樹脂層の厚さは通常0.05〜0.50mmの範囲で用いられ、好ましくは0.1〜0.2mmの厚さで用いられる。 【0009】その上に内面樹脂層と内管ゴムの接着をより強固なものとするための接着剤層が設けられるが、この接着剤層がなくても必要十分な接着力が得られる配合にしておけば接着剤層は不要となることは言うまでもない。又、コロナ放電処理等の表面処理を実施してもかまわない。 【0010】その上の層は内管ゴム層であり、内圧を支持すると共に冷媒透過更には外部からの水分の侵入を減らす機能を持っている。この内管層はゴムであるため内面樹脂層ほど顕著ではないが、透過性能、柔軟性等を考慮した材料選定や厚さの設定が行われる。又、このゴム層の厚さを厚くすればするほど水分の透過を抑える性能が向上するのは言うまでもない。 【0011】即ち、内管ゴム層は耐透水、耐熱性及び柔軟性も考慮して材質が選定されるが、通常は内部流体が冷媒HFC−134a及びPAGであり、吸湿性が高くエアコンシステム内への水分の侵入を極端に嫌うため、耐透水性を考慮してIIRが好んで用いられる。尚、耐透水性が良いゴムは他にもEPDM等があり、これを用いてもかまわない。更に、内部流体が他のガス(CO2 ・プロパンガス等)で、耐透水性をあまり考慮しなくても良いのであれば、NBR、CR等も使用が可能である。この内管ゴム層の厚さは通常0.5〜2.5mmの範囲で用いられ、好ましくは0.8〜1.5mmの厚さで用いられる。 【0012】その上に補強糸をスパイラル上の構造にて編み上げる。この補強層は内部流体の圧力を支持すること、及び内圧を受けたときのホ−ス内径変化を抑える機能を持っており、高い弾性率を持っていることが要求され、更には耐疲労性、耐熱性に優れていることが必要である。尚、補強糸の太さや編み上げ本数等については、実際の使用圧力に対し安全率を考慮した設計を実施する。 【0013】かかる補強層に求められる特性としては、耐熱、耐疲労性及び高強力、高弾性率があり、本発明においてはポリエチレンナフタレ−ト(PEN)糸を特に選択したものである。このポリエチレンナフタレ−ト糸は通常一般に使用されるPET、ビニロン、ナイロン糸等に比較して弾性率が高く耐熱性にも優れている。即ち、PENの2%歪み時の弾性率(g/デニ−ル)は3.3であるが、PETは1.1、ナイロンは0.8であり、PENの弾性率は著しく高いものである。一方、アラミド糸については、弾性率(16.1)、破断強力、耐熱性共に優れているが、コストが高く圧縮を受けた場合の疲労性が極端に低下するという欠点があり本発明では採用できない。 【0014】尚、用いられるPEN糸の太さは通常500〜7000デニ−ルの範囲で用いられ、好ましくは2000〜5000デニ−ルの太さで用いられる。又、かかる補強糸の本数はホ−スの径にもよるが通常一層あたり8〜60本で用いられ、好ましくは12〜36本の本数で用いられる。即ち、冷媒輸送用ホ−スは通常内径6〜26mm、外径は12〜36mm程度で、使用圧力は0.5〜3.5MPa程度であり、破壊圧力は8〜35MPa程度になるように設計される。かかる条件を満足する用に設計すると、補強糸の好ましい太さ及び打ち込み本数が決定されることになる。 【0015】本発明のスパイラルの補強構造は、反対方向に2層以上巻き付けることとし、必要に応じて各層間に中間ゴム層を設けてもかまわない。更には補強層と内間ゴム層の間に下編み層を設けてもよい。また必要に応じて補強層の外周面に押えた糸を設けても構わない。 【0016】尚、補強糸の弾性率を高くすると弾性率の低い糸を使用した場合に比較して加圧時のホ−ス内径変化は少なくなるため、同一使用環境下においては相対的に内径が小さくなり、その結果冷媒透過量を抑えられることになる。よって従来の内面樹脂層より薄く設計することが可能となり、柔軟性を向上させることが可能となる。更には、繰り返しかかる内圧に対する内径変化量が小さくなることで、内面樹脂材等にかかるストレスが小さくなるために、耐疲労性も向上させることも可能となる。 【0017】補強糸の上の最外層は外被ゴムであり、主として補強層を保護するという機能を持っている。材料及びその厚さの選定にあたっては、耐オゾンクラック性、耐熱耐油性、柔軟性、外観性能等を考慮して決定するが、通常はEPDMを用いるのが良い。この他にはCR、IIR、SBR等を用いてもかまわない。又、外被ゴム層の厚さは通常0.5〜2.5mmの範囲で用いられ、好ましくは0.8〜1.5mmの厚さで用いられる。尚、必要に応じて外被ゴム表面にガス抜き用のプリッキングホ−ルを設けてもかまわない。 【0018】更に、比較的柔らかい内管ゴム層の上に下編み層を編むことによって下地を固め、補強層に対する並びを良くすることができ、他の諸性能を損なわずに高温繰り返し加圧性能を向上させることができる。この下編み層の材質としてはナイロン、PET、ビニロン、アラミド、PEN、芳香族ポリエステル等の有機繊維材の使用が可能である。尚、下編み層に用いられる糸の太さは通常300〜4000デニ−ルの範囲で用いられ、更に言えば500〜2000デニ−ルの太さで用いられることが多い。又、下編み糸の本数はホ−スの径にもよるが通常一層当たり4〜36本で用いられ、好ましくは8〜24本で用いられる。 【0019】以上をもって構成された自動車冷媒輸送用複合ホ−スは、高弾性率かつ低コストであるポリエチレンナフタレ−ト繊維糸による補強が施されていることにより、薄い内面樹脂バリア層であるにもかかわらず冷媒透過量が少なく耐熱耐久性に優れ、更には柔軟性に優れた複合ホ−スを低コストにて供給することが可能となり、当初の目的を達成できることとなった。 【0020】 【実施例】以下、実施例を持って本発明の冷媒輸送用複合ホ−スを更に説明する。図1に本発明のよる冷媒輸送用複合ホ−スの実施例1を示す。図中、符号11は内面樹脂層であり、耐冷媒透過、耐熱、耐油、耐疲労性更には柔軟性も考慮して、6−ナイロンを主成分としポリオレフィンを加えたナイロンアロイ材を用い、この樹脂層11の厚さは120μmとした。 【0021】符号12は内管ゴム層であり、耐透水、耐熱性及び柔軟性も考慮して材質が選定され、本実施例においては、内部流体が冷媒HFC−134aおよびPAGであり、吸湿性が高くまたエアコンシステム内への水分の侵入を極端に嫌うことを考慮してIIRを用いた。 【0022】符号13、15は補強層であり、本実施例においては2層スパイラル構造であり、その間に中間ゴム層14を設けた構造とした。そして、この補強層に求められる特性を考慮して特にポリエチレンナフタレ−ト(PEN)糸を選択した。 【0023】符号16は外被ゴム層であり、耐熱、耐オゾンクラック性及び柔軟性を考慮して本実施例においてはEPDMを用いた。尚、本実施例においては補強層に溜まったガスを抜くためのプリッキングホ−ルを設けた。尚、内管ゴム12の厚さは1.5mm、PEN13、15の太さは4000デニ−ル、打ち込み本数は22本×2層である。又、外被ゴム層16の厚さは1.2mm、中間ゴム層14の種類はIIR系のゴムを用いた。 【0024】次に図2に本発明による冷媒輸送用複合ホ−スの実施例2を示す。実施例1との違いは内管ゴム層12と補強層13の間に下編み層17、18が設けられている点であり、その他の内面樹脂層、内管ゴム層、補強層、中間ゴム層、外被ゴム層については実施例1と同様であり、下編み層17、18としてナイロン糸を用いた。下編み層ナイロン糸の太さは1000デニ−ル、打ち込み本数は12本×2層である。 【0025】以上のように構成した冷媒輸送用複合ホ−スについて、試作実施し評価を行った。結果は表1の通りである。尚、この表に示すホ−スの寸法は全て同一(内径11mm、外径19mm)であり、又、補強糸の材質を除く全ての条件は同一とした。 【0026】 【表1】
【0027】(実施例1、2)表2の評価結果からも分かる通り、実施例 1、2共に全ての評価において○〜◎の結果が得られた。 【0028】(比較例1〜2)これに対しPET糸を採用した比較例1においては、繰り返し加圧性能及び耐熱性の面において打ち込み本数を増加した時にSPECクリアが不可になる場合があることが判明し、若干冷媒透過性が劣ることも分かった。比較例2では内面樹脂層を厚くし、冷媒透過性を実施例と同等としたが、代わりに柔軟性が損なわれるという結果になった。 【0029】(比較例3〜4)下編み層を入れ補強糸をアラミドとした比較例3の場合には、諸性能については問題はないものの、コストの面が問題となった。更に下編み層を入れ補強糸をPETとした比較例4では、耐熱性に若干の問題が残った。 【0030】尚、各試験は以下の条件で行った。 (1)柔軟性:R100のマンドレルに巻き付けた時の荷重を測定した。 (2)冷媒透過性:ホ−ス内容積に対し0.6g/cm3 の冷媒(HFC−134a)を封入し、100℃の恒温槽中に96時間放置し、試験開始後24〜96時間における重量変化を測定し、その値を冷媒透過量とした。 (3)繰り返し加圧性能:雰囲気・油温共に140℃とし、1分間に30回のサイクル数にて加圧し、圧力は5.30MPa にて評価実施した時、破壊するまでの回数を測定した。 (4)耐熱性:160℃の恒温槽中にホ−スアッセンブリ−を放置し、一定時間毎に取り出し、冷却した後、水中にて3.53MPa の圧力を窒素で加圧し、目視にて気体の漏洩を確認し、漏洩が発生するまでの時間を比較した。 (5)コスト:はホ−スの製造時の生産性等も考慮したところで評価した。 【0031】 【発明の効果】以上の検討結果から明らかなように、本発明による自動車冷媒輸送用複合ホ−スは、薄い内面樹脂バリア層であるにもかかわらず冷媒透過量が少なく耐熱耐久性に優れ、更には柔軟性に優れたホ−スを、低コストにて供給することが可能となり、当初の目的を達成できることとなった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005278 【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月23日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 悦郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−336956 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)12月7日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−158425 |
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