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【発明の名称】 配管防食支持構造
【発明者】 【氏名】朝倉 滋

【要約】 【課題】管と管載置部材とが相対変位を繰り返しても、管外周面の防食効果を長期に亘って維持でき、しかも、メンテナンス作業を簡略化できるようにする。

【解決手段】防食処理を管外周面A1に施してある管Aを、管外周面の下部に沿わせて接着した硬質の湾曲板材1を管載置部材2上に載置して、その管を管載置部材に載置支持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 防食処理を管外周面に施してある管を、管載置部材に載置支持してある配管防食支持構造であって、前記管外周面の下部に沿わせて接着した硬質の湾曲板材を前記管載置部材上に載置して、前記管を前記管載置部材に載置支持してある配管防食支持構造。
【請求項2】 前記湾曲板材と前記管外周面との間に空隙を形成するスペーサが、その湾曲板材の周縁に沿って設けられ、前記管外周面と前記湾曲板材とを接着する接着剤が、前記空隙に充填されている請求項1記載の配管防食支持構造。
【請求項3】 前記接着剤と前記スペーサとが、電気的絶縁性を備えた材料にて構成されている請求項2記載の配管防食支持構造。
【請求項4】 前記湾曲板材の設置下面と前記管載置部材の管載置面とを円滑面に形成して、互いに摺接可能に構成してある請求項1〜3のいずれか1項記載の配管防食支持構造。
【請求項5】 前記管載置部材が、架台に接着した硬質の板材にて形成されている請求項4記載の配管防食支持構造。
【請求項6】 前記湾曲板材及び前記硬質の板材がエポキシ樹脂にて接着されている請求項5記載の配管防食支持構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防食処理を管外周面に施してある管を、管載置部材に載置支持してある配管防食支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】上記配管防食支持構造は、温度変化に起因して管が伸縮したり、管内流体の有無等に起因して管の撓み形状が変化したりして、管と管載置部材とが相対変位を繰り返すことがあり、防食処理を施してある管外周面を直に管載置部材に載置すると、管外周面と管載置部材とが互いに擦れ合ってその管外周面が傷つき、管の防食効果を損なう問題がある。そこで、従来、図7に示すように、管外周面02と管載置部材01とが直に擦れ合わないように、管載置部材01に載置される箇所に対応する管外周面02に、合成樹脂製の被膜03をテープ状に巻き付けて、Uボルト04等で架台05に固定している(例えば、実開昭57−205471号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、管Aと管載置部材01とが相対変位するに伴って、管外周面02に巻き付けた被膜03と管載置部材01とが直に擦れ合うことになり、被膜03がめくれ上がったり、被膜03に亀裂が生じたりして、管外周面02と被膜03との間に雨水等が侵入し易くなるとともに、その水が滞留し易く、管外周面02の防食効果を長期に亘って維持できない欠点がある。また、被膜03が破損したり劣化したりして、その被膜03を交換する必要が生じた場合には、古い被膜03を撤去して新たな被膜03を巻き付けることができるように、管外周面02と管載置部材01との間に交換作業用の空隙を形成する必要があり、メンテナンス作業が煩雑化する欠点がある。本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、管の支持構造を工夫することにより、管と管載置部材とが相対変位を繰り返しても、管外周面の防食効果を長期に亘って維持でき、しかも、メンテナンス作業を簡略化できるようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の配管防食支持構造の特徴構成は、前記管外周面の下部に沿わせて接着した硬質の湾曲板材を前記管載置部材上に載置して、前記管を前記管載置部材に載置支持してある点にある。つまり、管が伸縮したりその撓み量が変化したりして、管と管載置部材とが相対変位すると、管外周面の下部に沿わせて接着した硬質の湾曲板材と管載置部材とが互いに擦れ合う。また、湾曲板材を管外周面に接着するので、湾曲板材を管外周面に固定するに当たって、その管外周面の防食処理を損なうおそれがない。従って、管と管載置部材とが相対変位を繰り返しても、管外周面の防食効果を長期に亘って維持でき、しかも、防食処理を施してある管外周面のメンテナンスが不要になり、メンテナンス作業を簡略化できる。
【0005】請求項2記載の配管防食支持構造の特徴構成は、前記湾曲板材と前記管外周面との間に空隙を形成するスペーサが、その湾曲板材の周縁に沿って設けられ、前記管外周面と前記湾曲板材とを接着する接着剤が、前記空隙に充填されている点にある。つまり、管外周面に凹凸があっても、その管外周面と湾曲板材とを空隙に充填した接着剤にて充分な接着強度を確保できる為に、小さな接着面積で接着することができるとともに、管外周面と管載置部材との間に湾曲板材を挟み込んでから空隙に接着剤を充填して、湾曲板材と管外周面とを接着することができる。従って、湾曲板材と管外周面とを、管外周面と管載置部材との相対姿勢に応じて確実に接着しながら、管をその湾曲板材を介して管載置部材に載置支持させることができる。
【0006】請求項3記載の配管防食支持構造の特徴構成は、前記接着剤と前記スペーサとが、電気的絶縁性を備えた材料にて構成されている点にある。つまり、湾曲板材と管とが互いに異なる金属で形成されていて、それらが互いに電気的に接続されている場合は、その腐食電池作用によって腐食し易いが、湾曲板材と管とが電気的絶縁性を備えた接着剤とスペーサとを介して接着されているので、腐食しにくい。従って、管外周面や湾曲板材が腐食しにくく、メンテナンス作業を一層簡略化できる。
【0007】請求項4記載の配管防食支持構造の特徴構成は、前記湾曲板材の設置下面と前記管載置部材の管載置面とを円滑面に形成して、互いに摺接可能に構成してある点にある。つまり、管と管載置部材との相対変位に伴って、湾曲板材と管載置部材とが相対的に滑り易く、湾曲板材と管外周面との間に作用する剪断力を軽減できる。従って、湾曲板材と管外周面との接着強度を、管の伸縮時に湾曲板材と管載置面との間に作用する剪断力よりも大きくして、湾曲板材を管外周面から外れにくくすることができるので、管外周面の防食効果を一層長期に亘って維持できる。
【0008】請求項5記載の配管防食支持構造の特徴構成は、前記管載置部材が、架台に接着した硬質の板材にて形成されている点にある。つまり、架台の材質にかかわらず、硬質の湾曲板材を硬質の管載置部材に接触させて管を載置支持することができるので、管載置部材も湾曲板材も共に変形しにくくて、互いに噛み合うようなおそれがなく、湾曲板材と管載置部材とが相対的に滑り易い状態を長期に亘って維持できる。従って、湾曲板材と管外周面との接着が長期に亘って外れにくい状態に、管を管載置部材に載置支持し易い。
【0009】請求項6記載の配管防食支持構造の特徴構成は、前記湾曲板材及び前記硬質の板材がエポキシ樹脂にて接着されている点にある。つまり、湾曲板材も、硬質の板材も、硬化時間の調整が容易で、耐候性に優れたエポキシ樹脂にて接着してあるので、長期に亘って防食効果を維持できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕図1〜図3は、防食処理を管外周面A1に施してある直径が12インチ程度の鋼管Aを、床面に固定してある形鋼製の架台Bに載置して、UボルトCにて固定してある配管防食支持構造を示し、管外周面A1の下部に沿わせてその管外周面A1に接着した硬質の湾曲板材1を、架台Bに接着した硬質の管載置部材2上に載置して、その鋼管Aを管載置部材2に載置支持してある。前記鋼管Aは、管外周面A1に形成した亜鉛メッキ層や防食塗料層等の防食層3にて防食処理が施されている。
【0011】前記湾曲板材1は、厚さが1〜4mm程度の耐食性と耐磨耗性とを備えた矩形のステンレス鋼板(SUS304)を管外周面A1に沿った形状に予め湾曲させて形成したもので、その上面には、図4に示すように、その周縁に沿う周縁スペーサ4と、その上面を横断する状態で左右の周縁スペーサ4に亘って形成した中間スペーサ5とが予め接着固定されていて、スペーサ4,5側を管外周面A1に当て付けた状態で、湾曲板材1と管外周面A1との間に高さが1mm程度の二つの空隙Dを形成するように構成されている。そして、各空隙D内に接着剤Eを充填する為や、接着剤Eの充填状態を確認する為に使用する複数の開口部6を周縁スペーサ4に切欠形成して、各空隙Dに充填した接着剤Eにて、湾曲板材1を管外周面A1に接着固定するようにしてある。
【0012】前記管載置部材2は、硬質の板材の一例としての厚さが1〜4mm程度の耐食性と耐磨耗性とを備えた矩形のステンレス鋼板(SUS304)(以下、管載置板という)で、その下面には、図5に示すように、その周縁に沿う周縁スペーサ7と、その下面を横断する状態で左右の周縁スペーサ7に亘って形成した中間スペーサ8とが予め接着固定されていて、スペーサ7,8側を架台Bの取付け面B1に載置した状態で、管載置板2と取付け面B1との間に高さが1mm程度の二つの空隙Fを形成するように構成されている。そして、各空隙F内に接着剤Eを充填する為や、接着剤Eの充填状態を確認する為に使用する複数の開口部9を周縁スペーサ7に切欠形成して、各空隙Fに充填した接着剤Eにて、管載置板2を架台Bの取付け面B1に接着固定するようにしてある。
【0013】前記湾曲板材1の管載置板2への設置下面10と、管載置板2の管載置面11とを、いずれも、鏡面反射する程度の円滑面に研磨して、設置下面10を管載置面11に載せた状態で、互いに摺接可能に構成してある。尚、周縁スペーサ4,7及び中間スペーサ5,8は、湾曲板材1においても管載置板2においても、高密度ポリエチレン等の高圧縮強度を備え、かつ、電気的絶縁性を備えた高密度樹脂材料にて一体形成されている。
【0014】次に、鋼管Aを架台Bに固定する為の施工要領を説明すると、架台Bの取付け面B1に管載置板2を載置するとともに、その管載置板2の管載置面11に設置下面10が接触するように湾曲板材1を載置し、更に、鋼管Aを湾曲板材1の内側に嵌まり込むように載置する。
【0015】尚、管外周面A1や架台Bの取付け面B1に形成した防食用のメッキ層や塗膜が傷んでいて、既に錆が発生しているような場合は、サンダーケレン等の下地処理を施しておくのが望ましい。
【0016】そして、管載置板2下面の各空隙Fを、開口部9の一つから注入した接着剤Eで充填して、その充填状態を残りの開口部9から確認するとともに、湾曲板材1上面の各空隙Dを、開口部6の一つから注入した接着剤Eで充填して、その充填状態を残りの開口部6から確認し、鋼管AをUボルトCにて架台Bに固定する。前記接着剤Eは電気的絶縁性を備えたエポキシ樹脂等の主剤と硬化剤からなる二液性接着剤で、この接着剤Eの主剤には、固化した状態で弾性を呈するように、チオコール等の多硫化物系合成ゴムを予め配合してある。
【0017】〔第2実施形態〕図6は、鋼管Aどうしが溶接にて接続されていて、その溶接の肉盛り部G近くを架台Bに支持する場合の配管防食支持構造を示し、肉盛り部Gに対応する箇所の湾曲板材1及びスペーサ4,5が、その肉盛り部Gの外形に沿わせた形状に屈曲形成され、肉盛り部Gに対応する箇所から外れた位置において、その湾曲板材1を管載置板2に載置してある。その他の構成は第1実施形態と同様である。本実施形態によれば、肉盛り部Gの存在にかかわらず、湾曲板材1を管外周面A1に確実に接着することができる。
【0018】〔その他の実施の形態〕
1.上記実施形態では、管外周面に形成した亜鉛メッキ層や防食塗料層等で防食処理が施されている管の配管防食支持構造を示したが、管外周面に巻き付けた防食用テープにて防食処理が施されている管の配管防食支持構造であっても良い。
2.上記実施形態では、鋼管の配管防食支持構造を示したが、鋳鉄管等の錆が発生するおそれがある管であれば、その材質は限定されない。
3.上記実施形態では、湾曲板材と管外周面との間に形成した空隙に接着剤を充填して、湾曲板材と管外周面とを接着固定したが、管載置部材にて支持する支持荷重が小さい場合には、空隙に接着剤を充填するようなことをせずに、湾曲板材や管外周面に予め塗布した接着剤で接着固定したり、湾曲板材を管外周面に当て付けてから、その湾曲板材の外周部に沿って接着剤を塗布して接着固定するようにしても良い。
4.上記実施形態では、硬質の湾曲板材や管載置部材を構成する硬質の板材をステンレス製の鋼板で構成したが、硬質の高密度樹脂にて構成しても良い。
5.湾曲板材と管載置部材とが相対変位し易いように、湾曲板材と管載置部材との接触部にグリース等の潤滑油脂を塗布しておいても良い。
6.上記実施形態では、空隙D,Fに接着剤Eを充填する為や、接着剤Eの充填状態を確認する為に使用する開口部6,9を、各空隙D,F毎に二個づつ設けたが、各空隙D,F毎に3個以上の開口部6,9を設けて実施しても良い。
【出願人】 【識別番号】000244084
【氏名又は名称】明星工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−304054
【公開日】 平成11年(1999)11月5日
【出願番号】 特願平10−113228