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【発明の名称】 電気融着継手
【発明者】 【氏名】大矢 博

【氏名】辻村 寿彦

【氏名】山條 和明

【氏名】吉村 哲裕

【氏名】山本 誠

【氏名】福岡 正吏

【要約】 【課題】融着接合時に電熱線が内周側に移動して外筒と内筒との結合部に食い込んでも液漏れを生じることがない電気融着継手を提供する。

【解決手段】外筒12と内筒13とを有する電気融着継手における両筒の結合部14を、外筒12の内周面から突出した外部側係合リング14bと、内筒13の外周面から突出した内部側係合リング14aとを互いに凹凸係合させた状態に形成し、融着接合操作時に電熱線が内周側に移動しても接触しない程度に内部側係合リング14aの高さを低くする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 接合する合成樹脂製パイプの外周面に対応した内周面を有するとともに融着用の電熱線を埋設した外筒と、前記合成樹脂製パイプの内周面に対応した外周面を有する内筒とを、前記合成樹脂製パイプの端部突き当て面となる結合部で結合した電気融着継手において、前記結合部を、前記外筒の内周面から突出した外部側係合リングと、前記内筒の外周面から突出した内部側係合リングとを互いに凹凸係合させて形成したことを特徴とする電気融着継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気融着継手に関し、詳しくは、ポリオレフィン製パイプ等の熱可塑性を有する合成樹脂製パイプを電熱線の発熱によって融着接合するための電気融着継手に関する。
【0002】
【従来の技術】上水道等の配管を接合するための電気融着継手として、図4に断面図で示す形状のものが知られている。この電気融着継手は、外筒1と内筒2とが中央の結合部(スティフナー)3で結合され、外筒1と内筒2との間に、接合するパイプの端部が嵌入される挿入溝4が形成されている。また、外筒1の内周面には、電熱線5が埋設されており、外筒1は、パイプと熱融着可能な合成樹脂、通常はパイプと同種の合成樹脂により形成され、内筒2は、外筒1よりも融点が高い合成樹脂あるいは他の金属材料等により形成されている。
【0003】前記電気融着継手の製作は、次のようにして行われる。まず、結合部3を一体的に有する内筒2を成形し、この内筒2の外周側に、外筒1の一次成形体1aを成形する。このとき、図5に要部の断面図で示すように、一次成形体1aの外周面両端側に、電熱線5をコイル状に巻回するための螺旋溝6を刻設するとともに、前記結合部3と対応する一次成形体1aの外周面中央に、双方の螺旋溝6と連続するショートパス溝7を刻設する。
【0004】そして、図6の説明図に示すように、一次成形体1aのショートパス溝7と両側の螺旋溝6とに跨がって電熱線5,5aを巻回してから電熱線5の両端に端子8をそれぞれ接続した後、これを金型内にセットし、一次成形体1aの外周面に二次成形体1bを射出して外筒1を成形する。
【0005】また、電気融着継手とパイプとの接合は、外筒1と内筒2との間に形成された両側の挿入溝4にパイプの端部をそれぞれ挿入し、パイプの端部が結合部3に突き当たるまで押し込んでから、端子8を介して電熱線5に通電することにより、電熱線5の発熱によって外筒1の内周面とパイプの外周面とが溶融し、互いに融着することにより行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この融着接合操作において、螺旋溝6に沿って電熱線5が密に巻回された融着部分Cでは発熱量が大きいため、外周方向への熱膨張も大きくなる。特に、図7の断面図に示すように、螺旋状に巻回された融着部分Cの両端では、規制がないために電熱線5の外周方向への広がりが大きくなり、これに伴ってショートパス溝7を通る電熱線5aは、その始点Xと終点Y(図6参照)の両側から引き絞られて直線状になろうとする。
【0007】すなわち、ショートパス溝7を通る電熱線5aの始点Xと終点Yとの間が直線状になろうとすると、これに伴って電熱線5aが内周側に移動し、内筒2の結合部3と接触することがある。このように電熱線5aが結合部3に接触すると、挿入溝4から流入したパイプ内の流体が、外筒1と結合部3との隙間に浸入し、螺旋溝6と電熱線5との隙間を伝わって端子8から漏れることがあった。
【0008】そこで本発明は、ショートパス溝を通る電熱線が内周側に移動しても液漏れを生じることがない電気融着継手を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の電気融着継手は、接合する合成樹脂製パイプの外周面に対応した内周面を有するとともに融着用の電熱線を埋設した外筒と、前記合成樹脂製パイプの内周面に対応した外周面を有する内筒とを、前記合成樹脂製パイプの端部突き当て面となる結合部で結合した電気融着継手において、前記結合部を、前記外筒の内周面から突出した外部側係合リングと、前記内筒の外周面から突出した内部側係合リングとを互いに凹凸係合させて形成したことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】図1及び図2は、本発明の電気融着継手の一形態例を示すもので、図1は断面図、図2は要部を拡大して示す断面図である。この電気融着継手は、接合する合成樹脂製パイプ(図示せず)の外周面に対応した内周面を有するとともに、その内周部に融着用の電熱線11を埋設した外筒12と、前記合成樹脂製パイプの内周面に対応した外周面を有する内筒13と、軸方向中央部で外筒12と内筒13とを結合する結合部14とからなるもので、前記電熱線11の両端には、外部に突出する端子15がそれぞれ設けられ、また、前記結合部14は、前記合成樹脂製パイプの端部突き当て面となっている。
【0011】外筒12は、従来と同様に、接合する合成樹脂製パイプと熱融着可能な合成樹脂、例えばポリブテン(PB)等の射出成形品であって、内周側の一次成形体12aと外周側の二次成形体12bとにより形成されている。
【0012】また、内筒13も、従来と同様に、外筒12を形成する合成樹脂よりも融点が高い合成樹脂、例えば、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等の合成樹脂、あるいは他の高融点硬質材料により形成されている。
【0013】そして、内筒13の中央部外周面には、前記結合部14の内周側を形成するための内部側係合リング14aが設けられている。この内部側係合リング14aは、結合部14の周方向の寸法の約半分の高さに形成されており、先端面は凸状に形成されている。
【0014】外筒12の内周側の一次成形体12aは、前記内筒13を金型内の所定位置にセットした状態で合成樹脂を射出成形することにより、内筒13と結合した状態で成形されるもので、この射出成形時に、前記内筒13の内部側係合リング14aに対応する外部側係合リング14bが一体成形される。これにより、両係合リング14a,14bの先端面が凹凸係合した状態となり、内筒13が一次成形体12aの内周の所定位置に保持された状態となる。また、前記同様に、一次成形体12aの射出成形の際に、その外周面の両側に螺旋溝16(図2参照)が刻設されるとともに、結合部14に対応する一次成形体12aの外周面中央には、双方の螺旋溝16と連続するショートパス溝17が刻設される。
【0015】次に、一次成形体12aの外周所定位置に電熱線11を巻回する。すなわち、一方の螺旋溝16からショートパス溝17を経て他方の螺旋溝16にわたって電熱線11を巻回してから、該電熱線11の両端に端子15を装着する。次に、これを金型内にセットし、一次成形体12aの外周面に二次成形体12bを射出成形する。これにより、一次成形体12aと二次成形体12bとが融着一体化して外筒12が形成され、図1に示す形状の電気融着継手が得られる。
【0016】このようにして形成した電気融着継手に合成樹脂製パイプを接合する場合、従来と同様に、外筒12と内筒13との間に形成される双方の挿入溝18にパイプの端部をそれぞれ挿入し、その端部を結合部14に突き当てた後、端子15を介して電熱線11に通電することにより行うことができる。
【0017】この融着接合操作において、螺旋溝16に沿って電熱線11が密に巻回された融着部分では、外筒12の内周面とパイプの端部外周面とが同時に溶融して強固に融着接合する。そして、この融着部分では、電熱線11が熱膨張して外周方向に移動し、これに伴ってショートパス溝17を通る電熱線11aの始点と終点とが両側から引き絞られて直線状になろうとするとともに内周側に移動する。このとき、結合部14において、内筒13から突出した内部側係合リング14aの外周部を、ショートパス部の電熱線11aの始点と終点とを結ぶ直線よりも内周側に位置させておくことにより、すなわち、内部側係合リング14aの外周部を十分に内側に位置させておくことにより、結合部14の外周側が、一次成形体12aと一体成形された外部側係合リング14bとなっているので、電熱線11aが内部側係合リング14aと接触することはなく、挿入溝18から流入した流体が螺旋溝16と電熱線11との隙間を伝わって端子15から漏れることがない。
【0018】図1及び図2では、直管状の継手を示したが、異径継手(レジューサー)やチーズの場合も同様であり、例えば、図3に要部の断面図を示すように、レジューサー中央部で外筒21と内筒22とを結合する結合部23を、外筒21の内周面から突出した外部側係合リング23aと、内筒22の外周面から突出した内部側係合リング23bとを互いに凹凸係合(外部側係合リング23a側が凹、内部側係合リング23b側が凸)させるように形成し、内筒側の内部側係合リング23bの高さを低くしておけばよい。
【0019】なお、内部側係合リング23bの高さは、図3に想像線で示すように、電熱線24におけるショートパス部24aの両側の融着部24bの端部(始点と終点)の電熱線同士を結んだ直線Aよりも低くなるようにしておけばよい。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電気融着継手によれば、融着接合操作時にショートパス部分の電熱線が内周側に移動しても、内筒側の結合部に電熱線が接触することがなくなるので、電熱線を伝わって流体が漏れることを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【識別番号】000006172
【氏名又は名称】三菱樹脂株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦 (外1名)
【公開番号】 特開平11−230464
【公開日】 平成11年(1999)8月27日
【出願番号】 特願平10−29649