| 【発明の名称】 |
耐火性配管保温材及びその施工方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】天野 裕文
【氏名】沼田 憲男
【氏名】山本 明弘
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| 【要約】 |
【課題】保温性及び防火性が優れると共に、施工が容易な耐火性配管保温材を提供する。
【解決手段】熱膨張性断熱材料からなる耐火層と発泡体層との積層体により配管外周が被覆されてなる。熱膨張性断熱材料として、熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分、リン化合物、無機充填剤を含有する樹脂組成物であるもの、又、中空円筒発泡体を配管外周に設置し、この外周に、熱膨張性断熱材料からなる粘着性シートを巻きつける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱膨張性断熱材料からなる耐火層と発泡体層との積層体により配管外周が被覆されてなることを特徴とする耐火性配管保温材。 【請求項2】 熱膨張性断熱材料が、熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分、リン化合物ならびに無機充填剤を含有する樹脂組成物からなるものである請求項1記載の耐火性配管保温材。 【請求項3】 中空円筒状に成形された発泡体を配管外周に設置し、この外周に熱膨張性断熱材料からなる粘着性シート形態の耐火層を巻きつけることを特徴とする耐火性配管保温材の施工方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、耐火性配管保温材及びその施工方法に関し、詳しくは、保温性及び防火性に優れた耐火性配管保温材及びその施工方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、一般建築物の空調ダクトや配管に対して、耐火性や防火性が要求されるようになってきた。そのため、空調ダクトや配管に用いられる保温材にも同様の性能が要求され、今まで用いられてきたポリエチレン系、ポリウレタン系等の樹脂発泡体の使用が制限されるようになってきた。 【0003】上記耐火性や防火性を有する保温材として、グラスウール、ロックウール等の無機繊維系保温材、さらにこの表面にアルミ箔等の不燃性表面層を積層した防火タイプの保温材が用いられているが、体積が嵩ばったり、重量が重い等の理由によって取扱いにくく、施工性に問題点があった。 【0004】従って、耐火性や防火性を有すると共に施工性に優れた耐火性配管保温材が要求されていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑み、保温性及び防火性が優れると共に、施工が容易な耐火性配管保温材及びその施工方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の耐火性配管保温材は、熱膨張性断熱材料からなる耐火層と発泡体層との積層体により配管外周が被覆されてなることを特徴とする。 【0007】上記熱膨張性断熱材料とは、加熱により膨張して断熱性能を発揮する材料であり、通常の状態では薄くかさばらず、火災時に膨張することにより、確実な断熱厚みを確保できるものとして注目されている。上記熱膨張性断熱材料としては、好ましくは、初期厚み(t)と300℃加熱膨張後の厚み(t')との関係が、t' /t=1.1〜20のものである。また、50kw/cm2 の加熱条件下で30分間保ち体積膨張させた後の熱伝導率は、0.01〜0.3kcal/m・h・℃であるものが好ましい。 【0008】上記熱膨張性断熱材料は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分、リン化合物ならびに無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成されることが好ましい。 【0009】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分としては、特に限定されず、例えば、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等が挙げられ、これらは、単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。さらに、樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いてもよい。 【0010】上記クロロプレン系樹脂、塩素化ブチル系樹脂等のハロゲン化された樹脂は、それ自体難燃性が高く、熱による脱ハロゲン化反応により架橋が起こり、加熱後の残渣の強度が向上する点において好ましい。上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分として例示したものは、非常に柔軟でゴム的性質を持っていることから、後述のリン化合物、熱膨張性黒鉛等を高充填することが可能であり、得られる芯材が柔軟でフレキシブルなものとなる。より柔軟でフレキシブルな芯材を得るためには、非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。 【0011】上記ポリエチレン系樹脂としては例えば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とした共重合体及びこれらの混合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体等が挙げられる。上記エチレンを主成分とする共重合体としては、例えば、エチレン部を主成分とするエチレンと他のαオレフィンとの共重合体等が挙げられ、上記αオレフィンとしては例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げられる。 【0012】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分には、耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分の架橋や変性を行う時期については特に限定されず、予め架橋、変性した熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分を用いてもよく、後述のリン化合物や無機充填剤等の他の成分を配合する際同時に架橋や変性してもよいし、又は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分に他の成分を配合した後に架橋や変性してもよく、いずれの段階で行ってもよい。 【0013】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分の架橋方法については特に限定されず、熱可塑性樹脂又はゴム成分について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する方法、電子線照射による方法等が挙げられる。また、非加硫ゴムに関しては、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、無機充填剤、その他の添加剤を配合した後に加硫してもよい。 【0014】上記リン化合物としては特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。 【0015】 【化1】
【0016】式中、R1 及びR3 は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。 【0017】上記赤リンは、少量の添加で難燃効果が向上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。 【0018】上記ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、ヘキスト社製「AP422」、「AP462」、住友化学社製「スミセーフP」、チッソ社製「テラージュC60」等が挙げられる。 【0019】上記一般式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点においては好ましい。上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。 【0020】上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、けい酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーンナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化けい素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの中でも、含水無機物及び金属炭酸塩が好ましい。 【0021】水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くことで残渣強度が向上する点で特に好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。 【0022】炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩は、ポリリン酸アンモニウムとの反応で膨張を促す性質を有するので、ポリリン酸アンモニウムと組合わせて用いることにより、特に優れた効果を発揮する。また、有効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。 【0023】一般的に、無機充填剤は、骨材的な働きをすることから、残渣強度の向上や熱容量の増大に寄与すると考えられる。上記無機充填剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。 【0024】上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは、1〜50μmである。上記粒径が、0.5μm未満では二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。また、粒径が100μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。 【0025】上記無機充填剤の添加量が多いときは、上記範囲のなかでも粒径の大きいものを選んで用いることにより、樹脂組成物の粘度低下を軽減し、成形性向上を図るとよい。また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせることによって、さらに高充填化が可能となる。 【0026】上記樹脂組成物には、さらに水酸基含有炭化水素化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛が添加されてもよい。 【0027】上記水酸基含有炭化水素化合物としては、分子中に水酸基を含有する炭化水素化合物であれば特に限定されないが、炭素数1〜50のものが好ましい。但し、デンプンのような重合体に関しては、モノマーユニット中の炭素数がこの範囲内にあるものをいう。 【0028】このような水酸基含有炭化水素化合物の中でも、特に分子中に水酸基を2個以上有する多価アルコールが好ましい。このような多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ブタンジオール1,4、ヘキサンジオール1,6、モノぺンタエリスリトール、ジぺンタエリスリトール、トリぺンタエリスリトール、ネオぺンタエリスリトール、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、デンプン、セルロース等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。 【0029】上記水酸基含有炭化水素化合物としては、〔分子中の水酸基の数/分子中の炭素の数〕=0.2〜2のものが好ましく、より好ましくは、ぺンタエリスリトール類、ソルビトール、マンニトール等に代表される、〔分子中の水酸基の数/分子中の炭素の数〕=0.7〜1.5のものである。中でも、ぺンタエリスリトール類は、水酸基含有率が高いため炭化促進効果が高く、最も好ましい。 【0030】上記〔分子中の水酸基の数/分子中の炭素の数〕が、0.2未満であると、燃焼時には脱水縮合よりも炭素鎖の分解が起こり易くなるため、十分な炭化層を形成することができなくなる。また、〔分子中の水酸基の数/分子中の炭素の数〕が、2を超えると、炭化層の形成には差し支えないが、耐水性が格段に低下する。耐水性が低下すると、例えば、成形時に成形体を水冷する際に、上記炭化水素化合物が溶出したり、成形体保管中の湿度によって炭化水素化合物がブリードアウトする等の問題点が挙げられる。 【0031】上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。 【0032】上述のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することにより、上記中和処理された熱膨張性黒鉛とする。 【0033】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。 【0034】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」、東ソー社製「GREP−EG」等が挙げられる。 【0035】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分、リン化合物ならびに無機充填剤を含有する樹脂組成物の好ましい例としては、下記の樹脂組成物(1)〜(4)が挙げられる。 樹脂組成物(1):熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛ならびに含水無機物を含有する。 樹脂組成物(2):熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分、リン化合物、水酸基含有炭化水素化合物ならびに含水無機物を含有する。 樹脂組成物(3):熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分、リン化合物、水酸基含有炭化水素化合物ならびに金属炭酸塩を含有する。 樹脂組成物(4):熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分、リン化合物、熱膨張性黒鉛ならびに金属炭酸塩を含有する。 【0036】上記樹脂組成物(1)において、熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分100重量部に対して、上記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び含水無機物の合計量を50〜900重量部配合することが好ましい。上記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び含水無機物の配合量が、50重量部未満では、加熱後の残渣量が不十分となるため十分な耐火性が得られず、900重量部を超えると、機械的物性が大きく低下する。 【0037】上記中和処理された熱膨張性黒鉛と上記リン化合物との重量比(中和処理された熱膨張性黒鉛/リン化合物)は、0.01〜9が好ましい。中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比を、0.01〜9とすることによって、燃焼残渣の形状保持性と高い耐火性能を得ることができる。中和処理された熱膨張性黒鉛の配合比率が多すぎると、燃焼時に膨張した黒鉛が飛散し、充分な膨張断熱層が得られない。一方、リン化合物の配合比率が多すぎると、断熱層の形成が不十分となって、十分な断熱効果が得られない。 【0038】上記中和処理された熱膨張性黒鉛と上記リン化合物との重量比は、0.01〜9の範囲においても、中和処理された熱膨張性黒鉛の配合比率が多いと、高い膨張倍率が得られるが形状保持性が十分でなくなる場合があり、この場合は、燃焼時の形状保持性の観点から、上記重量比は、0.01〜2がより好ましい。 【0039】上記樹脂組成物(2)において、熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分100重量部に対して、上記リン化合物、水酸基含有炭化水素化合物及び含水無機物の合計量を50〜900重量部配合することが好ましい。50重量部未満では、加熱後の残渣量が不十分となるため、耐火断熱層を形成することができず、900重量部を超えると、芯材として使用した場合の機械的物性が大きく低下する。 【0040】上記リン化合物と水酸基含有炭化水素化合物との重量比(水酸基含有炭化水素化合物/リン化合物)は、より高い耐火性能と残渣の形状保持性とを向上させる観点から、0.05〜20が好ましく、より好ましくは0.3〜10であり、さらに好ましくは0.4〜5である。重量比が、0.01未満では、発泡断熱層が脆くなるため使用に耐えられなくなり、20を超えると、発泡膨張せず十分な耐火性が得られない。 【0041】上記樹脂組成物(3)において、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分100重量部に対して、上記リン化合物及び金属炭酸塩の合計量を50〜900重量部配合することが好ましい。50重量部未満では、加熱後の残渣量が不十分となり、発泡断熱層を形成することができず、900重量部を超えると、芯材層として使用した場合の機械的物性が低下する。 【0042】上記リン化合物と金属炭酸塩との重量比(リン化合物:金属炭酸塩物)は、6:4〜4:6が好ましい。リン化合物と金属炭酸塩との重量比を、この範囲に設定することによって、十分に発泡膨張し、かつ強固な発泡断熱層を形成することができる。上記リン化合物との配合比率が多すぎると、発泡断熱層の破断強度が低下し、芯材の機械的物性が低下する。 【0043】上記樹脂組成物(4)において、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分100重量部に対して、上記リン化合物及び中和処理された熱膨張性黒鉛の合計量を20〜300重量部配合することが好ましく、より好ましくは20〜200重量部である。 【0044】上記中和処理された熱膨張性黒鉛と上記リン化合物との重量比(中和処理された熱膨張性黒鉛/リン化合物)は、樹脂組成物(1)と同様の理由により、0.01〜9が好ましい。 【0045】上記樹脂組成物(4)において、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム成分100重量部に対して、無機炭酸塩を10〜500重量部及び含水無機物を10〜500重量部配合することが好ましい。 【0046】上記耐火層には、上記樹脂組成物(1)(2)及び(3)の2種以上や、これらと他の熱膨張性断熱材料を組合わせて使用してもよい。また、これらの積層体であってもよい。 【0047】上記耐火層を構成する熱膨張性断熱材料には、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与剤等の各種添加剤が加えられてもよい。 【0048】本発明で用いられる発泡体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、EPDM(ethylene-propylene-diene methylene linkage) 、EPT(ethylene-propylene terpolymer)等からなる、公知の樹脂発泡体が使用できる。上記樹脂発泡体は弾性変形が可能なものであれば、独立気泡又は連続気泡のいずれであってもよい。上記樹脂発泡体は、公知の成形方法によって得るとができる。 【0049】本発明の耐火性配管保温材の一例の断面形状を図1に示す。この例では、熱膨張性断熱材料からなる中空状の耐火層と、その外周に設けられた発泡体層とから構成される。上記耐火層の断面形状は、耐火性配管保温材が使用される保温対象物の形状によって適宜決定され、円形、楕円形、正方形、長方形、多角形などのいずれの形状であってもよい。また、耐火性配管保温材の断面形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、多角形などいずれの形状であってもよい。 【0050】上記耐火層の厚さは、0.2〜10mmが好ましい。厚さが、0.2mm未満では、熱膨張した際の厚みが不足して十分な耐火・防火性が得られず、10mmを超えると、重くなるため取扱い性が悪くなる。 【0051】上記耐火性配管保温材としては、発泡体層の厚みが2〜10mm、耐火層の厚みが0.2〜5mm、外径15〜300mmが好ましい。外径が、15mm未満では、発泡体層が薄くなり保温性が低下することがあり、300mmを超えると、太くなり過ぎて壁面への取付けが困難になることがある。 【0052】上記耐火性配管保温材においては、不織布等からなる基材層や、アルミ箔;ガラスクロスやクラフト紙で補強されたアルミ箔;塩化ビニル樹脂等の難燃性樹脂フィルムなどからなる表面層が積層されていてもよい。 【0053】本発明の耐火性配管保温材は、中空状に積層成形されたものに配管を挿入してもよく、管の長手方向に切れ込みが入ったものをはめこむようにしてもよい。図2は、このような切れ込みが入った例である。 【0054】また、上記耐火層を樹脂組成物からなるシート状の形態となし、これを配管に巻きつけるようにして施工してもよい。さらに、発泡体層は、切れ込みが入った中空円筒状とし、耐火層を、これとは別にシート状の形態としてもよい。シート状の耐火層を巻きつける場合は、施工のし易さを考慮して粘着性シート形態とするとよい。粘着性シート形態とするためには、耐火層を構成する樹脂組成物に、公知の粘着付与剤を添加すればよい。また、粘着性シート形態とした場合には、粘着テープに汎用されている離型紙等を用いることもできる。図3は、中空円筒状に成形された発泡体を配管外周に配置し、この外周に熱膨張性断熱材料からなる粘着性シート形態の耐火層を巻きつけた例である。 【0055】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例について説明する。 【0056】(実施例1)ブチルゴム42重量部、ポリブテン50重量部、粘着付与樹脂(水添石油樹脂)8重量部、ポリリン酸アンモニウム(住友化学社製「スミセーフP」)100重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(日本化成社製「CA−60S」)8重量部、及び、水酸化アルミニウム(日本軽金属社製「B703S」)100重量部を、ロールを用いて溶融混練を行い耐火層用樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を90℃でTダイ押出機にて、ポリプロピレン不織布(目付量:15g/m2)基材上にシート状に押出し、不織布基材が積層された厚み2mmの熱膨張性断熱材料からなるシートを得た。 【0057】さらに、上記シートの樹脂組成物側に、水酸化アルミニウムが配合された、厚み10mmのポリエチレン発泡体(積水化学社製「タイカロン」、独立気泡、表中(1)で示した)を熱ラミネートして積層体を得た。次いで、この積層体の発泡体層側が外側になるように曲げ加工しながら、発泡体層の長手方向の両端面を100℃に加熱した後、両方の端面を突き合わせて熱融着し、図2に示したように、熱膨張性断熱材料からなる耐火層と発泡体層とを有する、外径38mmの円筒状耐火性配管保温材を作製した。 【0058】(実施例2)表1に示した配合量の耐火層用樹脂組成物を使用したこと、及び、ポリエチレン発泡体(1)に代えて、EPDM発泡体を使用し、該発泡体の長手方向の端面同士をゴム系接着剤で接着したこと以外は、実施例1と同様にして円筒状の耐火性配管保温材を作製した。 【0059】(実施例3〜6)表1、2に示した配合量の耐火層用樹脂組成物を、90℃でTダイ押出機にてクラフト紙補強アルミ箔上にシート状に押出して、厚み2mmの熱膨張性断熱材料からなる粘着性シートを形成した。また、ポリエチレン発泡体(積水化学社製「ソフトロンST」、7mm厚、外径22mm、表中(2)で示した)を中空円筒状に成形し、配管外周に設置した。この上に、上記粘着性シートを巻きつけた後、クリップを用いて固定して、図3に示したように、耐火層と発泡体層とを有する、外径22mmの円筒状耐火性配管保温材を作製した。耐火層の設置は、粘着性シートの粘着力を利用しているため、押さえが不要であり、作業性は良好であった。 【0060】(比較例1)円筒状のポリエチレン発泡体(積水化学社製「ソフトロンST」、7mm厚、外径22mm、表中(2)で示した)を耐火性配管保温材として使用した。 【0061】(比較例2)表2に示した配合量の耐火層用樹脂組成物を押出機にて押出成形した、外径12mmの円筒状物を耐火性配管保温材として使用した。 【0062】上記実施例及び比較例で得られた耐火性配管保温材につき性能評価を行い、その結果を表1、2に示した。 (1)防火性試験耐火性配管保温材に鋼管を挿入して試験体とした。この試験体を、JIS A1302(防火2級加熱試験)に準拠して、標準加熱曲線に沿って30分間加熱したときの鋼管表面温度を測定し、鋼管表面温度が、350℃未満のものを○、350℃以上のものを×、で表示した。 (2)保温性試験耐火性配管保温材の熱伝導率を測定し、熱伝導率が、0.05Kcal/m・h・℃未満のものを○、0.05Kcal/m・h・℃以上のものを×、で表示した。 【0063】(3)加熱膨張性試験(1)の防火性試験において、試験前後の耐火層の厚みを測定して、膨張厚み比(t'/t)を算出した。 (4)加熱後熱伝導率耐火性配管保温材を、コーンカロリーメーター(アトラス社製「CONE2A」)を用いて、50kw/cm2 の加熱条件下で30分間維持して膨張させた後熱伝導率を測定した。 【0064】 【表1】
【0065】 【表2】
【0066】実施例は、いずれも保温性及び防火性に優れる。これに対して、比較例1は保温性に優れるが防火性に劣り、比較例2は防火性に優れるが保温性に劣る。 【0067】 【発明の効果】本発明の耐火性配管保温材は、上述したように、熱膨張性断熱材料からなる耐火層及び発泡体層から構成されることにより、保温性及び防火性に優れ、施工時間を大幅に短縮することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002174 【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月12日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−201374 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−4155 |
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