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【発明の名称】 クランプ
【発明者】 【氏名】神田 明正

【要約】 【課題】オフセット量を自由に変更できるクランプを提供する。

【解決手段】軸部11と逆V字状で一対の可撓性係止腕12,12から成り、各可撓性係止腕12の先端部に形成された係止段部13がパネルPの取付孔Qに係止されるクリップ10と、このクリップ10を突設すると共に、パネルPに組み付けられる被組付部材Wを取り付ける取付部20と、を備えたクランプ1において、取付部20を、クリップ10を突設する第1取付部21と、この第1取付部21を出没自在に保持すると共に被組付部材Wを取り付ける第2取付部22とで構成し、これら第1取付部21と第2取付部22とに第1取付部21の第2取付部22に対するオフセット量Lを調整する長さ調整手段30を設けた。この長さ調整手段30を、第1取付部21に設けられた係止凸部31と、第2取付部22に設けられ、係止凸部31が係脱する複数の係止凹部32とで構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸部と逆V字状で一対の可撓性係止腕とから成り、該各可撓性係止腕の先端部に形成された係止段部がパネルの取付孔に係止されるクリップと、このクリップを突設すると共に、前記パネルに組み付けられる被組付部材を取り付ける取付部と、を備えたクランプにおいて、前記取付部を、前記クリップを突設する第1取付部と、この第1取付部を出没自在に保持すると共に前記被組付部材を取り付ける第2取付部とで構成し、これら第1取付部と第2取付部とに該第1取付部の第2取付部に対する突出量を調整する長さ調整手段を設けたことを特徴とするクランプ。
【請求項2】 請求項1記載のクランプであって、前記長さ調整手段を、前記第1取付部に設けられた係止凸部と、前記第2取付部に設けられ、前記係止凸部が係脱する複数の係止凹部とで構成したことを特徴とするクランプ。
【請求項3】 請求項2記載のクランプであって、前記第1取付部の前記係止凸部側に該係止凸部と前記各係止凹部との係止位置を操作する操作部を設けたことを特徴とするクランプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤハーネス等の被組付部材を車輌等のパネルに組み付けるためのクランプに関し、特に、一種類のクランプでそのクリップから被組付部材までの長さ(オフセット量)を自由に変えることができる合成樹脂製のクランプに係わる。
【0002】
【従来の技術】例えば、ワイヤハーネスを車輌のパネルに組み付けるためのクランプとして、図6,図7に示すものがある。このクランプ1″は、軸部3と逆V字状で一対の可撓性係止腕4,4とから成り、該各可撓性係止腕4の先端部に一体形成された係止段部5が車輌用のパネルPの取付孔Qに係止される合成樹脂製のクリップ2と、このクリップ2を一体突出形成すると共に、上記パネルPに組み付けられるワイヤハーネスWを取り付ける合成樹脂製で平面T字形の取付部6とを備えている。
【0003】そして、クランプ1″のクリップ2を車輌用のパネルPの取付孔Qに係止してワイヤハーネスWをパネルPに組み付ける場合には、クリップ2の一対の可撓性係止腕4,4を軸部3側に撓ませてパネルPの取付孔Qに挿通させ、その後、図6に示すように、各可撓性係止腕4の係止段部5をパネルPの取付孔Qの周縁に係止して固定させる。この際、ワイヤハーネスWとクリップ2の一対の可撓性係止腕4,4とは一定の長さL離れたオフセット状態となっている。
【0004】尚、このクランプ1″に関する類似技術は、実開昭56−124374号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来のクランプ1″では、クリップ2の一対の可撓性係止腕4,4と取付部6に取り付けられるワイヤハーネスWのオフセット量Lが車輌条件等によって異なるため、クリップ2の一対の可撓性係止腕4,4と取付部6のワイヤハーネスWを取り付ける部分との間の間隔が異なる数種類のクランプが必要不可欠となり、その分クランプの数が増えてコスト高になった。
【0006】そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、一種類のものでクリップから被組付部材までの長さを自由に変えることができるクランプを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、軸部と逆V字状で一対の可撓性係止腕とから成り、該各可撓性係止腕の先端部に形成された係止段部がパネルの取付孔に係止されるクリップと、このクリップを突設すると共に、前記パネルに組み付けられる被組付部材を取り付ける取付部と、を備えたクランプにおいて、前記取付部を、前記クリップを突設する第1取付部と、この第1取付部を出没自在に保持すると共に前記被組付部材を取り付ける第2取付部とで構成し、これら第1取付部と第2取付部とに該第1取付部の第2取付部に対する突出量を調整する長さ調整手段を設けたことを特徴とする。
【0008】このクランプでは、長さ調整手段により、第1取付部のクリップから第2取付部に取り付けられる被組付部材までの長さが自由に変えられる。これにより、一種類のクランプで条件等の異なるパネルにも対応することができ、使用するクランプの数が削減されて全体の低コスト化が図られる。
【0009】請求項2の発明は、請求項1記載のクランプであって、前記長さ調整手段を、前記第1取付部に設けられた係止凸部と、前記第2取付部に設けられ、前記係止凸部が係脱する複数の係止凹部とで構成したことを特徴とする。
【0010】このクランプでは、長さ調整手段の係止凸部と複数の係止凹部のうちの一つの係止凹部との係止により、クリップから被組付部材までの長さが簡単に調整されると共に、該調整後の状態が係止凸部と係止凹部により確実に係止される。
【0011】請求項3の発明は、請求項2記載のクランプであって、前記第1取付部の前記係止凸部側に該係止凸部と前記各係止凹部との係止位置を操作する操作部を設けたことを特徴とする。
【0012】このクランプでは、操作部を操作することにより、クリップから被組付部材までの長さが所望する長さに簡単に設定される。また、パネルへの被組付部材の組み付け後に操作部を操作して、クリップから被組付部材までの長さが所望する長さに変更されるので、作業性が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】図1(a)は本発明の実施形態のクランプをパネルに係止した状態を示す側面図、図1(b)は同要部の拡大説明図、図2(a)は同クランプのオフセット量が小さい通常の係止状態を示す正面図、図2(b)は同係止状態のクランプの側面図、図3(a)は同クランプのワイヤハーネスを吊り上げる方向にオフセットした該オフセット量が大きい係止状態を示す正面図、図3(b)は同係止状態のクランプの側面図である。
【0015】図1〜図3に示すように、クランプ1は、軸部11と逆V字状で一対の可撓性係止腕12,12とから成り、該各可撓性係止腕12の先端部に一体突出形成された係止段部13が車輌用のパネルPの取付孔Qに係止される合成樹脂製のクリップ10と、このクリップ10を突設すると共に、上記パネルPに組み付けられるワイヤハーネス(被組付部材)Wを取り付ける合成樹脂製で正面T字形の取付部20と、を備えている。
【0016】図1(a),図2(b),図3(b)に示すように、クリップ10の軸部11は略矩形の板状になっていて、その上部に一対の可撓性係止腕12,12が逆V字状になるように一体突出形成してある。また、各可撓性係止腕12の先端部に一体突出形成された係止段部13は軸部11の下部側まで延びている。
【0017】図1(a),図2(a),図3(a)に示すように、取付部20は、正面の下部側中央にクリップ10を一体突出形成する矩形板状のクリップ取付部(第1取付部)21と、一側面の中央より下面の中央に凹状に形成された収容室22a内に上記クリップ取付部21の上部側を出没自在に保持すると共に、背面側にワイヤハーネスWを結束テープTの巻き付けにより取り付けるハーネス取付部22(第2取付部)とで構成されている。これらクリップ取付部21とハーネス取付部22との間には、該クリップ取付部21のハーネス取付部22に対するオフセット量(突出量)Lを調整する長さ調整手段30を設けてある。尚、クリップ取付部21の上面の中央及び下端にはパネルPの当接部としての突起21aをそれぞれ一体突出形成してある。
【0018】図1(a),(b)に示すように、長さ調整手段30は、クリップ取付部21の上端部の前面側に略三角柱状に一体突出形成された係止凸部31と、ハーネス取付部22の収容室22aの係止凸部31が対向する内壁に一体形成され、該係止凸部31が係脱する複数の係止凹部32とで構成されている。この係止凸部31は、図1(a)に示すように、通常、ハーネス取付部22の収容室22aの天井壁側に位置している。この状態が、図2(a),(b)に示すクランプ1のクリップ10のオフセット量(クリップ10からワイヤハーネスWまでの長さ)Lが小さい通常の係止状態となっている。
【0019】また、上記オフセット量Lを図3(a),(b)に示すように大きくするために、ハーネス取付部22を上方に移動させる(ワイヤハーネスWを吊り上げる)場合には、係止凸部31の前端より後方に傾斜したテーパ面31aと、各係止凹部32の下端側が突出するように傾斜したテーパ面32aを介してハーネス取付部22は上方にスムーズに移動できるようになっていると共に、所定位置の係止凹部32の水平上面32bに係止凸部31の上面31bが係止されてその状態が保持されるようになっている。
【0020】以上実施形態のクランプ1によれば、該クランプ1のクリップ10をパネルPの取付孔Qに係止してワイヤハーネスWをパネルPに組み付ける場合には、クリップ10の一対の可撓性係止腕12,12の各係止段部13を軸部11側に撓ませてパネルPの取付孔Qに挿通させ、その後で、図1(a)に示すように、各可撓性係止腕12の係止段部13をパネルPの取付孔Qの周縁に係止して固定させる。
【0021】このワイヤハーネスWをパネルPに組み付けた状態から、該ワイヤハーネスWを吊り上げる場合には、ハーネス取付部22を上方に移動させる。この際に、長さ調整手段30の係止凸部31のテーパ面31aと各係止凹部32のテーパ面32aとによりハーネス取付部22をパネルPに固定されたクリップ取付部21に対してスムーズに上方へ移動させることができる。そして、図3(a),(b)に示すように、ワイヤハーネスWを所定量吊り上げると、所定位置の係止凹部32の水平上面32bに係止凸部31の上面31bが係止されてその状態を保持することができる。
【0022】このように、長さ調整手段30の係止凸部31と各係止凹部32により、クリップ取付部21のクリップ10からハーネス取付部22に結束テープTを介して取り付けられるワイヤハーネスWまでの長さであるオフセット量Lを自由に変えることができる。これにより、一種類のクランプ1で条件等の異なるパネルPに対しても十分に対応させることができ、使用するクランプ1の数を削減することができて全体の低コスト化を図ることができる。また、パネルPへのワイヤハーネスWの組み付け後にハーネス取付部22を上方に移動させて、クリップ10からワイヤハーネスWまでのオフセット量Lを所望する長さに変更することができるので、作業性をより一層向上させることができる。
【0023】図4は本発明の他の実施形態のクランプをパネルに係止した状態の断面図、図5は同クランプの斜視図である。このクランプ1′は、パネルPの取付孔Qに係止された取付部20′のクリップ取付部(第1取付部)21に対してハーネス取付部(第2取付部)22を下方に移動させる(ワイヤハーネスWを吊り下げる)場合に用いて好適なものであり、両取付部21,22間に設けられる長さ調整手段30の係止凸部31のテーパ面31aと各係止凹部32のテーパ面32aの傾斜が前記実施形態と逆向きになっている。また、クリップ取付部21の上端に該係止凸部31と各係止凹部32との係止位置を操作するL字状の操作部23を一体突出形成してある点が前記実施形態と異なる。他の構成は前記実施形態と同様であるので、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0024】このクリップ取付部21に突設された操作部23は、ハーネス取付部22の収容室22aに連通した長孔22bより外に突出している。そして、ワイヤハーネスWをパネルPに組み付けた状態から、該ワイヤハーネスWを吊り下げる場合には、ハーネス取付部22を下方に移動させる。この際に、長さ調整手段30の係止凸部31のテーパ面31aと各係止凹部32のテーパ面32aとによりハーネス取付部22をパネルPに固定されたクリップ取付部21に対してスムーズに下方へ移動させることができる。ワイヤハーネスWを所定量吊り下げると、所定位置の係止凹部32の水平下面32bに係止凸部31の下面31bが係止されてその状態を保持することができる。
【0025】また、長さ調整手段30の係止凸部31と各係止凹部32とにより、クリップ取付部21のクリップ10からハーネス取付部22に取り付けられるワイヤハーネスWまでの長さであるオフセット量Lを自由に変えることができる。これにより、一種類のクランプ1′で条件等の異なるパネルPに対しても十分に対応させることができ、使用するクランプ1′の数を削減することができて全体の低コスト化を図ることができる。
【0026】特に、パネルPへのワイヤハーネスWの組み付け後に、操作部23の引っ張り操作により長さ調整手段30の係止凸部31と係止凹部32との係止状態を解除させて、ハーネス取付部22を上方にも移動させることができる(即ち、ワイヤハーネスWを吊り上げる方向にも移動させることができる)ので、クリップ10からワイヤハーネスWまでのオフセット量Lを所望する任意の長さに自由に変更することができ、作業性をより一段と向上させることができる。
【0027】尚、前記各実施形態によれば、被組付部材としてワイヤハーネスを用いる場合のクランプについて説明したが、ワイヤハーネス以外の他の被組付部材に前記各実施形態を適用できることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、取付部を構成する第1取付部と第2取付部とに設けられた長さ調整手段により、第1取付部のクリップから第2取付部に取り付けられる被組付部材までの長さを自由に変えることができる。これにより、一種類のクランプで条件等の異なるパネルに対しても十分に対応させることができ、使用するクランプの数を削減することができて全体の低コスト化を図ることができる。
【0029】請求項2の発明によれば、長さ調整手段の係止凸部と複数の係止凹部のうちの一つの係止凹部との係止により、クリップから被組付部材までの長さを簡単に調整することができると共に、該調整後の状態を係止凸部と係止凹部により確実に係止することができる。
【0030】請求項3の発明によれば、第1取付部の係止凸部側に設けられた操作部を操作することにより、クリップから被組付部材までの長さを所望する長さに簡単に設定することができる。また、パネルへの被組付部材の組み付け後に操作部を操作して、クリップから被組付部材までの長さを所望する長さに変更することができるので、作業性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開平11−201327
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−6062