| 【発明の名称】 |
線条体用クリップ |
| 【発明者】 |
【氏名】町田 和則
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| 【要約】 |
【課題】車体パネル等の被取付部材の奥側に回収困難に一部が残ることなく回収が容易な線条体用クリップを提供すること。
【解決手段】ステム部2と、バンド部3と、ロック部4とからなり、バンド部3でハーネス等の線条体を抱持してロック部4に固定するとともに、ステム部2を被取付部材の取付孔に係合固定する線条体用クリップ1であって、ステム部2には、バンド部3とロック部4との間に脆弱部19が形成され、ステム部2には、被取付部材の取付孔よりも外方に延設されたフランジ部5が形成されている。また、脆弱部19は、線条体の軸方向の結合強さが、当該軸方向に直交する方向の結合強さよりも大きく設定されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ステム部と、バンド部と、ロック部とからなり、バンド部で線条体を抱持してロック部に固定するとともに、ステム部を被取付部材の取付孔に係合固定する線条体用クリップにおいて、前記ステム部には、バンド部及びロック部との間に脆弱部が形成され、前記ステム部には、前記被取付部材の取付孔よりも外方に延設されたフランジ部が形成されていることを特徴とする線条体用クリップ。 【請求項2】前記脆弱部は、前記フランジ部の周囲を囲む様に設けられ、前記線条体の軸方向に沿って設けられた脆弱部の結合強さが、当該軸方向に直交する方向に沿って設けられた脆弱部の結合強さよりも大きく設定されている請求項1記載の線条体用クリップ。 【請求項3】前記脆弱部は、前記フランジ部の周囲を囲む様に設けられ、前記バンド部及びロック部をステム部から分離する際に、バンド部及びロック部をステム部に対して前記線条体の軸方向に傾け、線条体の軸方向と直交する方向へも傾けるが、前記脆弱部の破断に要する必要強度は、前記線条体を軸方向に破断する際の必要荷重よりも、線条体を軸方向と直交する方向へ破断する際の必要荷重の方が小さくなる様に形成されている請求項1記載の線条体用クリップ。 【請求項4】前記フランジ部は、第1フランジと一対の第2フランジからなるH字形状に成形されており、第1フランジは、前記ステム部に形成された係止脚部の上方にあって、当該係止脚部の両側部外方で前記線条体の軸方向に形成された一対の第2フランジと連結している請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の線条体用クリップ。 【請求項5】前記被取付部材の取付孔に表面側から弾接する弾性翼片が、前記フランジ部に対向して前記バンド部に一体に形成されている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の線条体用クリップ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車内部等に配設されるハーネス等の線条体を車体パネル等の被取付部材に装着固定するための線条体用クリップに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、かかる線条体用クリップとして、特開平9−23541号に開示されたもの(従来例1)がある。本従来例1は、車体パネルの奥側のパネル係止頭と表側のハーネス取付部との間に曲げ、捩り破断部を設け、強い曲げ、捩りを加えることによって、曲げ、捩り破断部が破断分離可能に形成されたものである。 【0003】しかしながら従来例1では、修理の為、又は廃車後のリサイクルの為にハーネスを取り外す場合、曲げ、捩り破断部で破断した際には、ハーネス側とは分離したパネル係止頭が車体パネルの奥側に残ってしまい、回収が困難であった。よって、車両修理後には、車体側に残った部分が運転時の異音の発生の原因となることがあったり、廃車後のリサイクルに際して樹脂や金属等の徹底分別が著しく困難であった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、車体パネル等の被取付部材の奥側に回収困難に一部が残ることなく、回収が容易な線条体用クリップを提供することを課題とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために、請求項1記載の発明では、ステム部と、バンド部と、ロック部とからなり、バンド部で線条体を抱持してロック部に固定するとともに、ステム部を被取付部材の取付孔に係合固定する線条体用クリップにおいて、前記ステム部には、バンド部及びロック部との間に脆弱部が形成され、前記ステム部には、前記被取付部材の取付孔よりも外方に延設されたフランジ部が形成されていることを特徴としている。 【0006】また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記脆弱部は、前記フランジ部の周囲を囲む様に設けられ、前記線条体の軸方向に沿って設けられた脆弱部の結合強さが、当該軸方向に直交する方向に沿って設けられた脆弱部の結合強さよりも大きく設定されていることを特徴としている。 【0007】また、請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記脆弱部は、前記フランジ部の周囲を囲む様に設けられ、前記バンド部及びロック部をステム部から分離する際に、バンド部及びロック部をステム部に対して前記線条体の軸方向に傾け、線条体の軸方向と直交する方向へも傾けるが、前記脆弱部の破断に要する必要強度は、前記線条体を軸方向に破断する際の必要荷重よりも、線条体を軸方向と直交する方向へ破断する際の必要荷重の方が小さくなる様に形成されている構成を特徴としている。 【0008】請求項4記載の発明では、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、フランジ部は、第1フランジと一対の第2フランジからなるH字形状に成形されており、第1フランジは、ステム部に形成された係止脚部の上方にあって、当該係止脚部の両側部外方で線条体の軸方向に形成された一対の第2フランジと連結している構成を特徴としている。 【0009】さらに、請求項5記載の発明では、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記被取付部材の取付孔に表面側から弾接する弾性翼片が、前記フランジ部に対向して前記バンド部に一体に形成されている構成を特徴としている。 【0010】請求項1記載の発明では、以下の作用効果を奏し得る。 (1) 線条体を線条体用クリップの上方に配設した通常の組付態様では、脆弱部位置で線条体用クリップを破断した後に被取付部材側に残るステム部は、破断時の衝撃があり、被取付部材の取付孔との係合が解除されたとしても、ステム部には被取付部材の取付孔よりも外方に延設されたフランジ部が形成されているため、当該フランジ部が取付孔の表面側に係合するため、被取付部材から離脱する恐れがなく、回収が可能であり、よって、運転時の異音の発生を完全に防止することが出来る。 (2) また、通常の組付態様とは逆に、線条体用クリップにより線条体を吊り下げ配設した組付態様を採用すると仮定した場合、脆弱部位置で線条体用クリップを破断した後に被取付部材側に残るステム部は、破断時の衝撃があり、被取付部材の取付孔との係合が解除されたとしても、ステム部には被取付部材の取付孔よりも外方に延設されたフランジ部が形成されているため、被取付部材から離脱する恐れがなく、回収が可能であり、運転時の異音の発生を完全に防止することが出来る。 【0011】請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明の作用効果に加えて次の作用効果を奏し得る。 (3) 線条体の軸方向の結合強さが、当該軸方向に直交する方向の結合強さよりも大きくなるように脆弱部が設定されているため、線条体の軸方向に曲げ、捩じり力を加えて脆弱部を破断させる際に、脆弱部の破断に要する総エネルギー量は従来例と同一であっても、脆弱部を破断するのに必要な最大抵抗力を小さくすることができ、破断作業を容易かつ確実に行うことができる。 【0012】(4) 請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明の作用効果に加えて、上記請求項2記載の発明と同様の作用効果を奏し得る。 【0013】請求項4記載の発明では、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明の作用効果に加えて次の作用効果を奏し得る。 (5) 第1フランジが、ステム部に形成された係止脚部の上方にあって、当該係止脚部の両側部外方で線条体の軸方向に形成された一対の第2フランジと連結しているため、脆弱部位置で線条体用クリップを破断後に被取付部材側に残るステム部を回収する作業を行う際に、係止脚部を被取付部材の取付孔から外部側に取り外す時に第1フランジ及び第2フランジが邪魔にならず、回収作業を効率良く行うことが出来る。 【0014】請求項5記載の発明では、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明の作用効果に加えて次の作用効果を奏し得る。 (6) 被取付部材の取付孔に表面側から弾接する弾性翼片が、フランジ部に対向してバンド部と一体に形成されており、線条体用クリップの組付時には、被取付部材の取付孔に表面側から弾接している弾性翼片が、線条体用クリップの破断後には、バンド部と共に除去されるため、破断後にステム部を回収する際に弾性翼片が邪魔にならず、当該作業をより効率良く行うことが出来る。 【0015】 【発明の実施の形態】図1乃至図10は本発明の第1実施形態を示すものであり、図1は本実施形態に係る線条体用クリップの平面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図、図4は図1のC−C断面図、図5は図1のD−D断面図、図6は線条体の組付態様を示す説明図、図7は組付時の態様を示す説明図、図8は組付時の態様を示す要部説明図、図9及び図10は脆弱部で破断後の態様を示す説明図である。 【0016】図中1は本実施形態に係る線条体用クリップである。この線条体用クリップ1は、概略的には、ステム部2と、バンド部3と、ロック部4とから構成され、全体が合成樹脂で一体成形されている。バンド部3の基端部側(図1において左側)に近い中間位置にステム部2が形成され、バンド部3の基端部には、ロック部4が成形されている。そして、概略的には、バンド部3で線条体としてのハーネス40を抱持してロック部4に固定するとともに、ステム部2を車体パネル等の被取付部材45の取付孔46に係合固定するように構成されている。また、本実施形態では、バンド部3とロック部4とは、一体に形成されている例を示している。 【0017】以下に、本実施形態の特徴であるステム部2の構成について説明する。本実施形態ではステム部2は、フランジ部5と、係止脚部10から構成されている。フランジ部5は、第1フランジ6と一対の第2フランジ7、7からなるH字形状に成形されている。即ち、第1フランジ6は、係止脚部10の上方にあって、当該係止脚部10の両側部外方で一対の第2フランジ7、7間を連結して相互に一体成形されている。第1フランジ6は、後述の如く組み付けられるハーネス40の軸方向と直交する方向に配設され、一対の第2フランジ7は、各々ハーネス40の軸方向と平行する方向に配設されている。 【0018】第1フランジ6の両端部6aは、被取付部材45の取付孔46の周縁よりも所定寸法分だけ外方に延設されており、また、一対の第2フランジ7の両端部7aも被取付部材45の取付孔46の周縁よりも所定寸法分だけ外方に延設されている。また、本実施形態では、図9及び図10に示すように、第1フランジ6の方が一対の第2フランジ7よりも、被取付部材45の取付孔46の周縁から外方に延設した寸法が大きく設定されている。但し、これはあくまでも設計段階での寸法設定上の話であり、逆に一対の第2フランジ7の方が第1フランジ6よりも、被取付部材45の取付孔46の周縁から外方に延設した寸法が大きく設定することが可能である。 【0019】また、本実施形態のように第1フランジ6及び一対の第2フランジ7の端部6a、7aの両方が、被取付部材45の取付孔46の周縁よりも外方に延設された構成が、線条体用クリップ1の破断後に、万一、係止脚部10が取付孔46から離脱した際の、取付孔46周縁に対するフランジ部5の当接安定性の見地からは好適である。但し、線条体用クリップ1の破断後に離脱せず、回収が可能であるという本発明の課題を達成するためには、第1フランジ6及び一対の第2フランジ7の各々の端部6a、7aの両方が、被取付部材45の取付孔46の周縁よりも外方に延設された構成とする必要はなく、第1フランジ6及び一対の第2フランジ7のいずれか一方が、被取付部材45の取付孔46の周縁よりも外方に延設された構成であればよい。 【0020】また、図2に示すように第1フランジ6の上部は、各第2フランジ7よりも肉厚が大きく成形されており、第1フランジ6の上面中央部には、線条体規制部8が形成されている。この線条体規制部8は、組み付けるハーネス40の曲面外形に対応した円弧形状に形成されており、後述の如くハーネス40の組付時には、当該ハーネス40の外面に圧接して、ハーネス40の回り止め機能と位置規制機能とを果たすようになっている。 【0021】前記係止脚部10は、図3等に示すように、第1フランジ6の中心位置で下方に所定寸法だけ垂下、延設された軸部11と一対の係止脚12、12からなる錨足形状に形成されておりフランジ部5と一体成形されている。各係止脚12には段差係止部14が設けられ、この段差係止部14に被取付部材45の取付孔46周縁が係止、固定されるようになっている。また、各段差係止部14からはフランジ部5方向に向けて、当該フランジ部5と所定の間隔をあけて延長部15が立設されている。この一対の延長部15は、後述する係止脚部10を取付孔46から取り外す際に、作業者が指で把持しうる長さ寸法に設定されている。 【0022】次に、ステム部2には、バンド部3との間に脆弱部が形成され、この脆弱部は、ハーネス40の軸方向の結合強さが、当該軸方向に直交する方向の結合強さよりも大きく設定されている構成となっている。 【0023】即ち、本実施形態では図1及び図3に示すように、フランジ部5の外周部分には貫通孔17が設けられており、この貫通孔17の外周部分には、バンド部3と一体化された分離部18が、第2フランジ7と同一肉厚で形成されている。そして、フランジ部5と分離部18との間には、脆弱部としての薄肉部19が形成されている。また、ハーネス40の軸方向の結合強さが、当該軸方向に直交する方向の結合強さよりも大きく設定されるように、この脆弱部としての薄肉部19は、ハーネス40の軸方向に沿って所定長さ分だけ延設されて、第2フランジ7と分離部18との間に各々形成されている。この脆弱部としての薄肉部19は、ハーネス40を組付後に曲げ、捩じり変形させることにより、容易に破断可能になっている。 【0024】また、一対の弾性翼片20、20が、フランジ部5に対向して分離部18から一体に延設されている。この一対の弾性翼片20は、弾性変形可能であり、後述する線条体用クリップ1の組付時に被取付部材45の取付孔46に表面側から所定の圧力で弾接しうるように構成されている。この一対の弾性翼片20もバンド部3と一体に形成されている。なお、上記係止脚部10の一対の係止脚11は、この弾性翼片20と協働して取付孔46の裏面側周縁に向かって弾発付勢され、線条体用クリップ1を被取付部材45の取付孔46に装着した際には、この一対の係止脚11と一対の弾性翼片20とが協働して、取付孔46の周縁部を挟持することで被取付部材45に固定されるようになっている。 【0025】ロック部4には、係合孔21が貫通して形成されており、該係合孔21の内部には、本実施形態では、出口側に弾性変形可能な3個の係止爪22が形成されている。各係止爪22は、図1に示すようにロック部4本体から係合孔21内に突出形成された弾性変形部23の自由端部に形成されている。 【0026】なお、係止爪22の形成個数は多い方が、後述するハーネス40の締め付け固定の際の係合強度が高い点で有利であるが、余り多過ぎると締め付け作業性の点でマイナスとなるので、本実施例の如く3個程度が望ましいが、この形成個数は、設計条件に応じて適宜変更可能である。また、図1に示すように係止爪22は、係合孔21の幅方向の両端を残した幅寸法分だけ突出形成されており、この両端部には、所定幅の平滑部24が残されている。 【0027】バンド部3は、全体が長尺状に形成されており、図2に示すように、片面、即ち線条体抱持面25とは反対側の係止面26(図2においてステム部2の係止脚部10側の面)の中間位置には、ステム部2の位置から先端側方向に向けて、バンド部3の長手方向に沿ってほぼ全面にわたって、ラッチ状係止部27が形成されている。ラッチ状係止部27は、前記係止爪22と噛合することが可能なように、当該係止爪22の断面形状に対応した鋸歯状の断面形状を有する溝形に形成されている。 【0028】従って、ラッチ状係止部27は、バンド部3を係合孔21に挿通して締付けた際に、係合孔21の係止爪22と噛合し、ハーネス40を抱持した状態でバンド部3を所定位置に固定しうるようになっている。 【0029】ラッチ状係止部27は、バンド部3の肉厚内で、内部側に向けて刻設されて形成されており、図2及び図5に示すように外部に突出しないように設定されている。即ち、本実施例では、係止面26の両側に所定幅で平滑面として形成されている摺動部28の表面と、ラッチ状係止部27の山側頂部とが同一の高さになるように形成されている。なお、バンド部3の幅寸法は、ロック部4の係合孔21の幅寸法に等しいか、または僅かに小さく設定されている。 【0030】図2及び図5に示すように、ラッチ状係止部27とは反対側の線条体抱持面25側には、バンド部3の幅方向中央部に長手方向に沿ってガイド部29が形成されており、ロック部4の係合孔21の線条体抱持面25側が通過する位置には、ガイド部29に対応してガイド溝30が形成されており、このガイド溝30内をガイド部29が摺動可能になっている。 【0031】また、図2に示すようにバンド部3のバンド先端部31は、ラッチ状係止部27の形成された部分よりも、所定寸法分薄肉に形成されている。このバンド先端部31の係止面26側には、図2及び図4に示すように、幅方向の両端部に沿って所定間隔を置いて第1小突起32が複数個形成されており、後述する線条体組付時にガイド機能と位置ずれ防止機能とを果たすようになっている。 【0032】さらに、上記摺動部28及び第1小突起32の幅寸法は、係止爪22の形成部分で上記係合孔21の幅方向両端部に形成された、一対の平滑部24の幅寸法よりも若干小さく設定されている。また、図1に示すように、ステム部2とロック部4との間のバンド部3には、このバンド部3の幅方向にわたって所定間隔を隔して一対の第2小突起33が形成されており、ハーネス40の組付時に当該ハーネス40の位置ずれ防止と、位置規制の機能を果たす。 【0033】次に、本実施形態の線条体用クリップ1の組付手順について説明する。まず、図6乃至図8に示すように、線条体用クリップ1の係止脚部10を図6乃至図8に示すように、被取付部材45の取付孔46内に押圧、嵌挿し、一対の係止脚12の弾性変形により取付孔46を通過させ、次に一対の係止脚12の若干の弾性復元力により、一対の係止脚の各段差係止部14を図7に示すように、取付孔46の裏面側周縁に係止させる。 【0034】この際には、図7等に示すように一対の弾性翼片20も弾性変形して、被取付部材45の取付孔46に表面側から所定の圧力で弾接する。よって、一対の係止脚11と一対の弾性翼片20とが協働して、取付孔46の周縁部を挟持することで線条体用クリップ1が被取付部材45に固定されることになる。なお、被取付部材45には、配設されるハーネス40の軸方向に沿って所定間隔毎に、所定個数の取付孔46があらかじめ所定位置に穿設されており、線条体用クリップ1はこの所定個数の取付孔46に対応した数のものを用意しておくことになる。 【0035】次に、図6に示すように、ハーネス40を、バンド部3の線条体抱持面25で抱持し、バンド先端部31を、ロック部4の係合孔21に挿入する。しかる後に、係合孔21に挿入したバンド先端部31を、当該係合孔21に沿って移動させると、バンド先端部31の幅方向両側の各第1小突起32が係合孔21の平滑部24によって案内されて摺動する。よって、バンド先端部31が、進行方向に対して左右に位置ずれを起こす事態を確実に防ぐことができる。このバンド先端部31の通過の際は、係合孔21の壁面には、両端部の第1小突起32のみがガイドとして接触して摺動、通過することとなり、バンド先端部31の幅方向中央部は、係止爪22には接触しないため、通過時の抵抗が少なく、線条体用クリップ1の初期の挿入作業性が向上する。 【0036】次に、係合孔21から突出したバンド先端部31の先を引っ張ると、バンド先端部に続いてバンド部3のラッチ状係止部27と、ガイド部29の形成された本体部分がバンド部12の係合孔21を通過する位置状態となる。この場合、バンド先端部31に第1小突起32が形成してあるため、引っ張る際の滑り止めとなり、操作が容易、かつ確実となる。 【0037】ここで、バンド先端部31をさらに引っ張ると、ラッチ状係止部27が、係合孔21を通過していく。また、ガイド部29がガイド溝30内を摺動していくため、バンド部3の本体部分が係合孔21を通過する際のガイドの役割を果たし、進行方向に対して左右に位置ずれを起こす事態を確実に防ぐことができる。 【0038】そして、所定位置において、当該位置のラッチ状係止部27が対応する係止爪22に各々噛合することにより、図6に示すように、ハーネス40がバンド部3により緊締される。なお、係合孔21から突出したバンド部3のバンド先端部31は不要なので、ハーネス40の径に応じて、所定位置でカットしておくのが望ましい。この緊締位置では、係合孔21の係止爪22が弾性変形してラッチ状係止部27の所定位置に強固に噛合するため、これ以降のバンド部3の係合孔21内の移動が阻止される。 【0039】また、この緊締位置では、線条体規制部8は、ハーネス40の外面に圧接しており、また、一対の第2小突起33もハーネス40の外面に圧接しているため、この両者がハーネス40の回り止め機能と位置規制機能とを果たす。さらに、バンド部3のラッチ状係止部27は、バンド部3の肉厚内で内部側に向けて刻設され、外部に突出しないように設定されているため、バンド部3の肉厚を従来例に比較して格段に薄く成形することができ、その分だけ、係合孔21の孔寸法も小さくできるから、バンド部3全体の小型化を達成可能である。なお、上記した線条体用クリップ1の係止脚部10を被取付部材45の取付孔46に係合、固定する作業は、線条体用クリップ1によりハーネス40を緊締状態にした後に行うことも出来る。 【0040】次に、線条体用クリップ1を上記した組付後に、メンテナンスやリサイクル使用等、あるいは廃車後にハーネス40を取り外す必要が生じた場合について説明する。この際には、図6に示すような組付状態にあるハーネス40にその組付状態で受ける定常外力以上の曲げ、捩じり力あるいはその合成力を加えると、脆弱部としての一対の薄肉部19にハーネス40の軸方向と平行する方向の大きな外力が作用する。 【0041】ここで、本実施形態では一対の薄肉部19が各々ハーネス40の軸方向に所定長さを有して形成されているため、ハーネス40の軸方向と平行する方向の大きな外力に対して薄肉部19は、容易に破断する。即ち、ハーネス40の軸方向に所定長さを有して形成された薄肉部19にハーネス40の軸方向と平行する方向の大きな外力が作用すると、当該薄肉部19は全体が一度に破断するのではなく、薄肉部19の長さ方向の端部から亀裂が入り、これが拡大していって薄肉部19全体が破断する態様をとる。 【0042】これに対して、上記従来例1では、曲げ、捩じり破断部がハーネス40の軸方向と直交して所定長さ寸法分だけ形成されているため、本実施形態と同様の線条体の軸方向と平行する方向の大きな外力が発生すると、この外力が所定長さを有する曲げ、捩じり破断部と直交して作用するため、曲げ、捩じり破断部は一度に全体が破断することになり、それには相当大きな力で線条体に曲げ、捩じり力あるいはその合成力を加える必要があるが、これに比較すると、本実施形態では定常外力以上のより小さな曲げ、捩じり力あるいはその合成力を加えるだけでよいことになり、破断時の作業性が向上する。 【0043】図11及び図12はこの破断状態を具体的に図示したものであり、図11は、上記従来例1の曲げ、捩じり破断部の場合を示し、図12が、本実施形態にかかる薄肉部19の場合を示しており、縦軸に破断に要する抵抗力F、横軸に距離Lをとっている。即ち、図11及び図12においてハーネス40の軸方向に沿って微小なΔLの距離分だけ曲げ、捩じり破断部及び薄肉部19を破断していく際に、当該脆弱部上で破断される樹脂の微小量をΔQとする。すると、ΔQ/ΔL、すなわち抵抗力Fは、従来例1では曲げ、捩じり破断部がハーネス40の軸方向と直交方向に配設されているので、一度に曲げ、捩じり破断部全体が破断するため、図11に示すように大きな最大抵抗力Fが必要となる。これに対して、本実施形態では薄肉部19は一度に破断するのではなく、当該薄肉部19の長さ方向の端部から亀裂が入り、これが拡大していって薄肉部19全体が徐々に破断する態様をとるため、破断に必要な総エネルギー量は同一であるとしても、図12に示すように最大抵抗力Fは格段に小さくてすむことになる。なお、図11及び図12で斜線で示す部分の面積が夫々総エネルギー量を示している。 【0044】そして、図7及び図8に示す、ハーネス40の組付状態から薄肉部19を破断すると、バンド部3と一体である上記分離部18及び一対の弾性翼片20がステム部2から分離し、図9及び図10に示すように、被取付部材45側には、ステム部2、即ち、フランジ部5と、係止脚部10のみが残ることになる。このように、本実施形態では、分離部18及び一対の弾性翼片20がステム部2側ではなくバンド部3と一体であるように構成されているため、破断後にステム部2を回収する際に分離部18及び一対の弾性翼片20が邪魔にならず回収作業を効率良く行うことが出来る。取付孔46を通過した段階で弾性復元力により、各々の段差係止部14が取付孔46の裏面側周縁に強固に係合しており、さらに、前記の如く、一対の薄肉部19を破断する際に必要な外力も比較的小さくてすむため、当該薄肉部19の破断時の衝撃で段差係止部14が取付孔46から離脱する恐れはほぼ無い。 【0045】よって、図9及び図10に示した破断後の状態からフランジ部5と、係止脚部10とを取り外す際には、例えば、フランジ部5を把持して一方の係止脚12と取付孔46の裏面側周縁との係合が解除されるまで、図9に矢線Eで示す方向に移動させる、この一方の係止脚12側の段差係止部14を取付孔46の表面側に取り出せば容易に取り外しが可能である。あるいは、各係止脚12と取付孔46の裏面側周縁との係合がより強い場合には、図9に示す状態でフランジ部5を把持しておき、一対の延長部15の側方から所定の工具あるいは指により、当該一対の延長部15を各々内方(軸部11方向)に変形させ、各係止脚12と取付孔46の裏面側周縁との係合を解除させ、フランジ部5を把持して引き抜けば、容易に取り外しが可能である。なお、本実施形態では、分離部18及び一対の弾性翼片20がステム部2側ではなくバンド部3と一体であるように構成されているため、取り外し作業の際に、特に一対の弾性翼片20が邪魔にならないため、取り外しの作業性がより向上する。 【0046】また、万が一、薄肉部19の破断時の衝撃で段差係止部14が取付孔46から離脱したとしても、本実施形態では、図10に示すように第1フランジ6の長さ方向(図10における左右方向)の寸法L1は、これに対応する取付孔46の周縁間の寸法L3よりも大きく設定されており、また、図9に示すように、一対の第2フランジ7の長さ方向(図9における左右方向)の寸法L2は、これに対応する取付孔46の周縁間の寸法L4よりも大きく設定されているため、この第1フランジ6及び一対の第2フランジ7が取付孔46の表面側に係合するから、上記従来例1のように係止脚部10が脱落する恐れは全くない。 【0047】そして、フランジ部5を把持して上方に引き上げれば、一対の延長部15が取付孔46から表面側に突出するから、上記したのと同様にフランジ部5を把持しておき、一対の延長部15の側方から所定の工具あるいは指により、当該一対の延長部15を各々内方に変形させ、各係止脚12と取付孔46の裏面側周縁との係合を解除させ、フランジ部5を把持して引き抜けば、容易に取り外し、回収が可能である。よって、上記従来例1とは異なり、運転時の異音の発生を完全に防止することが出来る。 【0048】また、本実施形態では、図6に示すようにハーネス40を線条体用クリップ1の上方に配設するのが通常の組付態様であるが、これとは逆に、線条体用クリップ1によりハーネス40を吊持した組付態様を採用すると仮定した場合でも、薄肉部19の位置で線条体用クリップ1を破断した後に被取付部材45側に残るフランジ部5と、係止脚部10は、破断時の衝撃があり、被取付部材45の取付孔46との係合が解除されたとしても、本実施形態ではフランジ部5が被取付部材45の取付孔46よりも外方に延設されているため、被取付部材45から離脱する恐れがなく、回収が可能であり、運転時の異音の発生を完全に防止することが出来る。 【0049】次に、図13は、係止脚部10の他の実施形態を示している。即ち、本実施形態では、上記した取り外し作業の作業性をより向上させるために、図3に示す係止脚部10の構成から一対の延長部15をさらにフランジ部5の下面に近付け、また、図11に示すように、段差係止部14が水平方向となす角度Fを約45度以上に設定したものである。これにより、取付孔46から突出する延長部15の寸法が増大し、さらに、段差係止部14に対して取付孔46の裏面側周縁との係合状態を解除する作業がより容易になり、取り外し作業の作業性が向上する。 【0050】また、図14は本発明の第2実施形態を示す線条体用クリップ1の平面図である。本実施形態では、脆弱部として一対の薄肉部19、19を上記第1実施形態と同様に配設し、かつ、ハーネス40の軸方向と平行して貫通孔17の位置にフランジ部5と分離部18とを連結する脆弱部としてのブリッジ34を配設した場合を例示したものである。このブリッジ34は、ハーネス40を軸方向に曲げ、捩じり変形させた場合に容易に破断可能なように薄肉に形成されている。なお、本実施形態ではブリッジ34を総計で4か所配設した場合を例示したが、この形成個数は適宜変更可能である。 【0051】本実施形態では、ハーネス40を軸方向に曲げ、捩じり変形させた場合に、脆弱部としての貫通孔17と薄肉部19とが、フランジ5の周囲を囲む様に設けられ、バンド部3及びロック部4をステム部2から分離する際に、ブリッジ34の形成された脆弱部としての貫通孔17と、脆弱部としての薄肉部19の両方がハーネス40の軸方向に傾けられるが、この際に、脆弱部としての薄肉部19を破断するのに必要な強度よりも、脆弱部としての貫通孔17のブリッジ34を破断するのに必要な強度のようがより小さくて済むため、まず、このブリッジ34部分が破断し、次いで、薄肉部19が破断するようになっている。そして、バンド部3及びロック部4がステム部2から分離するように構成されている。また、その他の構成は上記第1実施形態と同一であるので、上記第1実施形態に準じた作用効果を奏し得る。 【0052】なお、上記第1実施形態では、脆弱部として所定長さを有する薄肉部19を例示したが、本発明はこれに限定されず、他の脆弱部として例えば切欠スリット、あるいは破断用小孔(図示せず)を連設したものであっても良い。さらに、上記第1実施形態では、ハーネス40の軸方向の結合強さが、当該軸方向に直交する方向の結合強さよりも大きく設定されている構成の脆弱部として所定長さを有する薄肉部19を例示したが、本発明はこれに限定されない。 【0053】即ち、上記第1実施形態における貫通孔17は設けずに、フランジ部5の外周に直接上記分離部18を設け、かつ、この分離部18に対してハーネス40の軸方向の肉厚を相対的に厚く成形し、ハーネス40の軸方向に直交する方向の肉厚をこれよりも相対的に薄肉に成形したもので、上記の如くステム部2が被取付部材45側に残るように破断可能に設定されたものであっても良い。 【0054】その他、ステム部2が被取付部材45側に残るように破断可能であれば、ハーネス40の軸方向の結合強さが、当該軸方向に直交する方向の結合強さよりも大きく設定されている構成として他の適宜応用例を採用しうる等、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形例が可能である。 【0055】 【発明の効果】本発明は上記の如く構成されており、破断後にステム部が離脱せず、回収が可能である。よって、例えば自動車に用いられる場合、脱着作業後に一部が残ることがなく回収が容易で、運転時の異音の発生を防止しうる。また、廃車後のリサイクルの際には、樹脂と金属との分別作業が簡単になる利点がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000124096 【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月27日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】市橋 俊一郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−132364 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月21日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−311444 |
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