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【発明の名称】 内周溝を有する管およびその製造方法
【発明者】 【氏名】西川 裕司

【要約】 【課題】管成形後の加工を行うことなしに、管内面溝の角部を正確に直角に仕上げることができるようにする。

【解決手段】樹脂管1の内周に、この樹脂管1の内周の溝12を形成する環状の溝型材6を配置する。また、芯型の外周に、あらかじめ別途形成しておいた環状の溝型材を設置し、そのうえで、前記芯型および溝型材の外周に管材料を供給して、溝型材6によって内周溝12が形成された管1を成形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂管の内周に、この樹脂管の内周の溝を形成する環状の溝型材を配置したことを特徴とする内周溝を有する管。
【請求項2】 芯型の外周に、あらかじめ別途形成しておいた環状の溝型材を設置し、そのうえで、前記芯型および溝型材の外周に管材料を供給して、前記溝型材によって内周溝が形成された管を成形することを特徴とする内周溝を有する管の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内周溝を有する管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】管の一種として、FRP管やFRPM管などの樹脂管が知られている。そして、これら樹脂管どうしを接合するための管継手として、スリップオンタイプの管継手が知られている。これは、図6に示すように、一方の樹脂管1の受口11に、この樹脂管1に接合される他の樹脂管2の挿口22を引き込んで接合するものである。受口11の内周には、管継手を封止して水密性や気密性を保持するためのゴム製の環状のパッキン3が装着される。このパッキン3は、受口11の内周面に形成された溝12にはめ込まれる外周突起31を有することで、この受口11の内周に保持される。またパッキン3は、シールのために挿口22の外周に接するリップ部32を一体に有する。
【0003】図7は受口11に未だ挿口22が挿入されていないときの状態を示すが、この受口11の内部に挿口22が挿入されて管路に供用され、管内に流体が通されると、受口11の奥側におけるパッキン3の端面33に内圧Pが作用する。この内圧Pにより、パッキン3を受口11と挿口22との隙間から外へ押し出そうとする力が働く。これに対応して溝12は横断面が矩形状に形成されており、上記の力による押し出しを阻止するために、溝12における受口開口側の角部121でパッキン3を受け止めることになる。
【0004】また受口11に挿口22を引き込む際にパッキンが受口奥側へずれないように、そのときには溝12における受口奥側の角部122でパッキン3を受け止めなければならない。
【0005】したがって、溝12は、両側の角部121、122とも確実に直角に仕上がっている必要がある。この溝12を形成するために、通常は、次のような方法がとられている。すなわち、図8に示すように、管の受口を形成するための芯型4の外周に、溝12とほぼ同等の断面形状および断面寸法を有する、たとえばゴム製の型材5を全周にわたって設置しておき、この型材5および芯型4の外周にセロファンなどの離型材を巻き、その外周にFRPやFRPMなどの材料11aを巻いてこれを硬化させる。その後、芯型4を抜き出し、内周側から型材5を取り去り、さらに所定の位置Aで切断することによって、図9に示される管1が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、管軸宝庫うに沿った型材5の両端の部分では、上述のように離型材を巻いていることもあって、この型材5と芯型4との境界の部分に十分に材料11aを充填するのが困難である。このため、図9に示すように、実際は溝12の両側の角部121、122が直角に仕上がらず、図示のように丸みを帯びた状態となる。
【0007】しかし、これでは上述のパッキン3を受け止めるという所期の目的を達成しにくいという問題点がある。そこで、管1を成形した後に、角部121、122が直角になるようにパテなどで仕上げたり、あるいはグラインダ加工にによって直角に仕上げたりする必要があり、相当の工数を要するという問題点がある。
【0008】そこで本発明は、管成形後の加工を行うことなしに管内面溝の角部を正確に直角に仕上げることができるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため本発明は、樹脂管の内周に、この樹脂管の内周の溝を形成する環状の溝型材を配置したものである。
【0010】また本発明は、芯型の外周に、あらかじめ別途形成しておいた環状の溝型材を設置し、そのうえで、前記芯型および溝型材の外周に管材料を供給して、前記溝型材によって内周溝が形成された管を成形するものである。
【0011】したがって本発明によると、樹脂管の本体とは別の部材で構成された溝型材によって内周溝が形成されるため、この溝型材の角部をあらかじめ直角に形成しておくことにより、出来上がった管の内面溝の角部も、後加工を行うことなしに正確に直角に仕上げられることになる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明にもとづく内周溝を有する管を示す。すなわち樹脂管1の受口11の内周には、この樹脂管1の本体とは別の部材で形成された環状の溝型材6が配置されおり、この溝型材6によって溝12が形成されている。61は溝12における受口開口側の角部、また62は溝12における受口奥側の角部で、これらの角部61、62は溝型材6によって直角に形成されている。また溝型材6における角部62、63の外側には、管軸方向に延びる突出部63、64が形成されている。この突出部63、64の外周は、先端側に向かうにつれ小径となるテーパ状に形成されている。溝型材6の内周面6Aは、受口11の内周面11Aと面一に形成されている。
【0013】このような構成の樹脂管1を製造する際には、図2に示すように、離型材を巻いた芯型4の外周に、あらかじめ別途形成しておいた溝型材6を設置する。この溝型材6は、PVCなどの材料にて形成されているのが好適である。そして、このように溝型材6を設置した芯型4の外周に管材料13aを巻き付け、その後にこれを硬化させ、さらに芯型4の抜き出しを行う。
【0014】このようにすると、図8に示したゴム製の型材5の場合と異なって、溝型材6の表面には離型材が巻かれていないので、この溝型材6は管材料13aと密着し一体化される。このとき、少なくとも溝型材6の周辺の部分においては、管材料13aとして溝型材6と良好に接着する材料を用いる必要がある。溝型材6における角部61、62の外側にはテーパ状の突出部63、64が形成されているため、この角部61、62の外側においては管材料13aを空洞なく詰めることができる。
【0015】また、あらかじめ別途形成したおいて溝型材6が直角な角部61、62を有するため、管成形後の加工をまったく不要としたうえで、確実にパッキンを受け止めることができる直角の角部61、62を持った溝12を形成することができる。
【0016】図3および図4は、溝型材6の変形例を示す。すなわち、図1および図2では溝型材6の外周面が平滑なものを例示したが、図3に示すものでは、管材料との密着を良好にするために、この管材料との接触面積を増大させる目的で、溝型材6の外周面にたとえば図示のように断面が半円状となる多数の突起65が一体に形成されている。また図4に示すものでは、管材料と機械的に結合するように、逆テーパとなる多数の突起66が一体に形成されている。
【0017】図5は、溝型材6のさらなる変形例を示す。すなわち、パッキン3は複数の外周突起31を備えることが可能であり、この図5のものは外周突起31を二つ有し、それに対応して溝型材6も管軸方向に沿って大きな寸法で形成され、溝12を二つ有した構成とされている。溝12どうしは連結部67によって互いに連結され、この連結部67の外周にも突出部63、64と同様のテーパ面68、69が形成されている。
【0018】なお、パッキン3は、図5に示すようにリップ部32にてシールを行うようにしたもののほかに、たとえばOリング形やその他のシール構造を持つものであっても差し支えない。また受口11は、図6の従来例に示すような管1の胴部と一体に成形したいわゆるソケットタイプであっても構わないし、あるいは管の胴部よりも口径の大きな別体のカラーをこの胴部の端に外ばめしたいわゆるカラータイプであっても構わない。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明によると、樹脂管の内周に、この樹脂管の内周の溝を形成する環状の溝型材を配置したため、、また、芯型の外周に、あらかじめ別途形成しておいた環状の溝型材を設置し、そのうえで、前記芯型および溝型材の外周に管材料を供給して、前記溝型材によって内周溝が形成された管を形成するため、樹脂管の本体とは別の部材で構成された溝型材によって内周溝を形成でき、この溝型材の角部をあらかじめ直角に形成しておくことにより、出来上がった管の内面溝の角部も、後加工を行うことなしに正確に直角に仕上げることができる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)10月7日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開平11−108258
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平9−273180