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【発明の名称】 水圧鉄管の振動振幅抑制方法
【発明者】 【氏名】原 忠彦

【氏名】小笠 勝

【要約】 【課題】本発明は、水圧鉄管の振動振幅を抑制することが出来る方法を提供することを目的とする。

【解決手段】本発明にに係る水圧鉄管の振動振幅抑制方法は、既設の水圧鉄管において、2L/a=T0 /2 式(1)
【特許請求の範囲】
【請求項1】既設の水圧鉄管において 2L/a=T0 /2 式(1)
ただし、L はサージタンクの水表面から当該鉄管までの距離、a は圧力波の伝播速度、T0 は当該鉄管の固有周期、なる条件を満たす鉄管に、補強のためのリング(4)を設置することにより当該鉄管を補強し、当該鉄管の固有周期を変えることにより、水圧鉄管の振動振幅を抑制することを特徴とする水圧鉄管の振動振幅抑制方法。
【請求項2】サージタンク(3)の傾斜角度を可変にすることにより、サージタンク(3)の長さを調節可能にし、鉄管振動を抑制することを特徴とする水圧鉄管の振動振幅抑制方法。
【請求項3】サージタンク(3)の内部に楔状突起を複数そなえることにより、水撃による圧力波の伝播を減衰させることを特徴とする水圧鉄管の振動振幅抑制方法。
【請求項4】サージタンク(3)の一部にバイパス通路(C)を設け、圧力波を打ち消しあうことを特徴とする水圧鉄管の振動振幅抑制方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水力発電所等の揚水鉄管路における振動振幅の抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術を図6〜図7に示す。図6は従来の揚水式水力発電所の摸式図を示す。発電機の起動時や停止時には良く知られた水撃振動が発生する。
【0003】水撃振動が発生する理由は次の様に説明される。ある一定の流速Vで流体が流れているときに、弁1を急激に締めると、流体の運動エネルギーの一部が圧力エネルギーに変換され、その圧力Pは、速度aで管路内を上流側に伝播する。
【0004】弁を急激に開放したときも同様である。弁の開放を緩やかにしても、ある一定時間内で流速の変化があれば同様の現象が生じる。
【0005】図6に示した弁1で発生した圧力波は、速度aで鉄管2の上流側に伝播し、サージタンク3の表面で反射し、符号をかえて下流側に伝播する。図7は圧力波の伝播をモデル化したものである。
【0006】図7において、実線は正の圧力、点線は負の圧力を示す。鉄管のB点では時刻T1で(+p)が作用し、時刻T2では(−p)が作用することになる。B点の鉄管の固有周期をT0 とするとき、(T0 /2)=(T2)−(T1)なる関係に近いと、鉄管には激しい振動が発生し、長期的には疲労損傷による破壊に至る事がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術には、次のような問題がある。
(1)図7において鉄管のB点では、時刻T1で(+pの圧力)が作用し、時刻T2では(−pの圧力)が作用する。
(2)その為、図7のB点の鉄管の固有周期をT0 とするとき、(T0 /2)=(T2)−(T1)
なる関係に近いと、鉄管には激しい振動が発生し、長期的には疲労損傷による破壊に至る事がある。本発明は、これらの問題を解決することができる方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】(第1の手段)本発明に係る水圧鉄管の振動振幅抑制方法は、既設の水圧鉄管において 2L/a=T0 /2 式(1)
ただし、L はサージタンクの水表面から当該鉄管までの距離、a は圧力波の伝播速度、T0 は当該鉄管の固有周期、なる条件を満たす鉄管に、補強のためのリング(4)を設置することにより当該鉄管を補強し、当該鉄管の固有周期を変えることにより、水圧鉄管の振動振幅を抑制することを特徴とする。
(第2の手段)本発明に係る水圧鉄管の振動振幅抑制方法は、サージタンク3の傾斜角度を可変にすることにより、サージタンクの長さを調節可能にし、鉄管振動を抑制することを特徴とする。
(第3の手段)本発明に係る水圧鉄管の振動振幅抑制方法は、サージタンク3の内部に楔状突起を複数そなえることにより、水撃による圧力波の伝播を減衰させることを特徴とする。
(第4の手段)本発明に係る水圧鉄管の振動振幅抑制方法は、サージタンク3の一部にバイパス通路Cを設け、圧力波を打ち消しあうことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態を図1〜図2に示す。図1は、第1の実施の形態にに係る鉄管の説明図。
【0010】図2は、図1の斜線部の鉄管断面を示す。図1〜図2において、2は管路、3はサージタンク、4は補強のためのリングで1条また複数条設置する。
【0011】5は管路の一部分の鉄管(斜線部)である。9は内部を流れる流体、Lはサージタンク3の水表面から当該鉄管までの距離、aは圧力波の伝播速度である。
【0012】通常、鉄管5は薄肉円筒で構成される。既設の鉄管では溶接工事は不可能なので、一般には鉄管の外側にリング状の補強4を行いボルトなどで締め付ける。
【0013】補強リングは1条または複数条設置する。振動増幅の原因は、当該鉄管5の固有周期T0 の1/2と、圧力波が戻ってくる時間が一致しているためである。
【0014】したがって当該鉄管とは 2L/a=T0 /2 式(1)
となる位置に存在する鉄管である。
【0015】本発明は式(1)の条件を満たす鉄管についてのみ、補強による固有周期を変えることを特徴とする。
(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態を図3に示す。
【0016】図3は第2の実施の形態にに係る鉄管の説明図。図3において、2は管路、5は当該鉄管、3はサージタンク、6は回転機構を有する装置である。
【0017】サージタンク3の基部には、回転機構6を有しており、任意に傾斜角度を変えることができる。サージタンク3の水表面と当該鉄管5までの距離をL0 とするとき、2L0 /a=T0 /2なる関係のとき当該鉄管は振動を発生する。
【0018】したがって、サージタンクの傾斜角度を変えることによって距離L0 をL1 へ変更することができるため、常に振動が発生しないようにすることが出来る。圧力波の伝播速度aは、鉄管の振動数や内部圧力、特に水温の影響を受けるので、季節や時刻により異なる為、長さLが可変であることは、有効である。
(第3の実施の形態)本発明の第3の実施の形態を図4に示す。
【0019】図4は第3の実施の形態にに係る鉄管の説明図である。図4において、2は水圧鉄管、5は振動する当該鉄管、7はサージタンク内部に設けた楔状突起物である。
【0020】サージタンク3の内側の水面より下方に楔状突起を中心にむけて放射状に設置する。楔の数は多いほど効果があるので複数段設置する。
【0021】楔の大きさは対象とする圧力波の周波数にもよるが、0.5m〜15mの高さの三角錐とする。水撃による圧力波は、管路2を伝わってサージタンク3に到達し、水面で反射するが、楔状突起があるとサージタンク3内部で圧力波は乱反射を繰り返し、急激に減衰する。
【0022】たとえ水面で反射があったとしても、鉄管の振動を励起するには至らないため、振動を抑制することができる。
(第4の実施の形態)本発明の第4の実施の形態を図5に示す。
【0023】図5は第4の実施の形態にに係る鉄管の説明図である。図5において、2は水圧鉄管、3はサージタンク、5は振動する当該鉄管、8はバイパス管路である。
【0024】サージタンク3の一部にはバイパス管路8を設ける。管路の長さは有る特定の長さL0 が必要である。その特定の長さL0 は、サージタンク3内を直進した圧力波が反射してきてバイパス管路出口においてバイパス管路を進んだ圧力波とぶつかる長さでなければならない。
【0025】すなわち、バイパス管出口Cからサージタンクの水表面までの往復距離と同じ長さがあればよい。圧力波はサージタンク内部で減少するため当該鉄管の振動は抑制される。
【0026】
【発明の効果】本発明は前述のように構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
(1)請求項1の発明の効果式(1)の条件を満たす鉄管、すなわち、2L/a=T0 /2 の条件を満たす鉄管についてのみ、補強のためのリングを設置し、補強により固有周期を変えることにより、水圧鉄管の振動振幅を抑制することが出来る。
(2)請求項2の発明の効果サージタンク3の基部に設けた回転機構6で、傾斜角度を変えることによりサージタンク3の表面と当該鉄管5までの距離を変更することができるため、常に振動が発生しないようにすることが出来る。
(3)請求項3の発明の効果水撃による圧力波は、管路2を伝わってサージタンク3に到達し、水面で反射するが、楔状突起があるとサージタンク3内部で圧力波は乱反射を繰り返し、急激に減衰する。そのため水圧鉄管の振動振幅を抑制することが出来る。
(4)請求項4の発明の効果サージタンク3の一部に設けたバイパス管路8により、サージタンク3内を直進した圧力波が、反射してきてバイパス管路出口においてバイパス管路を進んだ圧力波とぶつかり、サージタンク内部で減少する。そのため当該鉄管の振動は抑制される。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
【公開番号】 特開平11−94183
【公開日】 平成11年(1999)4月9日
【出願番号】 特願平9−259917