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【発明の名称】 管継手および管接続構造
【発明者】 【氏名】大沼 浩身

【氏名】影山 英樹

【氏名】長井 卓夫

【氏名】マツル・マニッシュ

【要約】 【課題】接続管を管継手内に容易に挿入することができ、しかも、挿入された接続管を確実に抜け止めすることができる。

【解決手段】管継手10の継手本体11は、各端面から接続管20がそれぞれ挿入されるように各端面が開口した円筒状をしており、抜け止めリング13がそれぞれ嵌合される断面四角形状の一対の抜け止め用溝部11bと、止水パッキン14がそれぞれ嵌合される一対のシール用溝部が内周面にそれぞれ全周にわたって設けられている。抜け止めリング13は、接続管の外径よりも小さな内径を有するCリングによって構成されており、継手本体における内奥側に位置する外周面の一方の端縁から、直角または鈍角になるように内方に延出する端面13bと、外周面の他方の端縁から継手本体における内奥側の軸心方向に傾斜状態で延出するテーパー面13aとを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 接続管が挿入されるように一方の端面が開口した円筒状をしており、その端部内周面に、抜け止め用溝部およびシール用溝部が全周にわたって設けられた継手本体と、挿入される接続管の端部外周面に水密状態で圧接されるように、継手本体のシール用溝部内に設けられたリング状の止水パッキンと、前記継手本体の端部内に挿入される接続管の外周面に設けられた溝部内に嵌入するように、接続管の外径よりも小さな内径を有するCリングによって構成されており、継手本体の抜け止め用溝部内に設けられるとともに、内周面が、内奥側になるにつれて順次縮径したテーパー面を有する断面略三角形の抜け止めリングとを具備し、この抜け止めリングは、前記テーパー面と継手本体における内奥側に位置する端面内周縁とによって構成される角部が、接続管外周面に設けられた溝部に係止して、各接続管が継手本体から引き抜かれることによって、その角部を中心として外周側に回動する際に、角部を中心として回動する最大半径が、継手本体に設けられた抜け止め用溝部の底面と、接続管に設けられた溝部の底面との径方向距離よりも大きくなっていることを特徴とする管継手。
【請求項2】 請求項1に記載の管継手の継手本体に、接続管の端部が挿入された管接続構造であって、各接続管の端部外周面には、管継手に設けられた各抜け止め具が嵌入する溝部が全周にわたって設けられており、この溝部は、抜け止め具の端面に対向する側面が、接続管の外周面に対して直角または鋭角になっていることを特徴とする管接続構造。
【請求項3】 前記接続管は、金属によって構成された管本体部内周面が、合成樹脂製の被覆層によって被覆されており、継手本体内には、継手本体内に挿入される各接続管の端部内に進入する円筒状のコア本体部を有する防食コアが同心状態で配置されている請求項2に記載の管接続構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の接続管同士を接続するために使用される管継手と、その管継手によって一対の接続管が接続された管接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一対の接続管同士を接続するために使用される管継手の一例が、実開昭57−149381号公報に開示されている。この管継手は、一対の接続管がそれぞれ挿入されるように各端面が開口された円筒状の継手本体内に、各端面から挿入された各接続管の外周面に水密状態で圧接される一対のリング状の止水パッキンと、継手本体内に挿入される各接続管の外周面に係止されるように、各接続管の外径よりも小さな内径を有する一対の抜け止めリングとが、継手本体の内周面に設けられた各溝部内にそれぞれ配置されている。各抜け止めリングは、拡径し得るように、それぞれ、周方向の一部が切断されたCリングによって構成されている。各抜け止めリングの内周面は、それぞれ、継手本体の内奥側になるにつれて、内径が順次小さくなったテーパー面になっている。
【0003】このような管継手では、各接続管を、管継手の継手本体内に挿入するだけで、管継手と各接続管とが接続されるために、作業性に優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、継手本体内にそれぞれ設けられた各抜け止めリングは、内周面がテーパー面に構成されているにすぎす、そのために、各抜け止めリング内に接続管をそれぞれ挿入することが容易ではないという問題がある。特に、抜け止めリングが継手本体に対して偏心した状態になっていると、抜け止めリング内に接続管を容易に挿入することができない。
【0005】また、抜け止めリングの断面形状によっては、抜け止めリング内に接続管を容易に挿入することができなかったり、抜け止めリングが継手本体から脱落して接続管を抜け止めすることができないおそれがある。例えば、実開昭57−149381号公報に開示されているような断面四角形状の抜け止めリングでは、その内部に接続管を挿入するために拡径する必要があるが、そのために大きな力が必要になり、抜け止めリング内に接続管を容易に挿入することができない。また、前記公報に開示されているように、内周縁部にスリットが設けられた皿バネ状、断面三角形状、あるいは断面V字形状の抜け止めリングでは、撓みやすく、また、抜け止めリング自体の内周面が外周側になるように回動すると、抜け止めリングが継手本体の溝部から脱落するおそれがあるとともに、接続管が抜け止めリングから引き抜かれるおそれがある。
【0006】本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、接続管を容易に挿入することができるとともに、接続管が引き抜かれることを確実に防止することができる管継手および管接続構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明の管継手は、接続管が挿入されるように一方の端面が開口した円筒状をしており、その端部内周面に、抜け止め用溝部およびシール用溝部が全周にわたって設けられた継手本体と、挿入される接続管の端部外周面に水密状態で圧接されるように、継手本体のシール用溝部内に設けられたリング状の止水パッキンと、前記継手本体の端部内に挿入される接続管の外周面に設けられた溝部内に嵌入するように、接続管の外径よりも小さな内径を有するCリングによって構成されており、継手本体の抜け止め用溝部内に設けられるとともに、内周面が、内奥側になるにつれて順次縮径したテーパー面を有する断面略三角形の抜け止めリングとを具備し、この抜け止めリングは、前記テーパー面と継手本体における内奥側に位置する端面内周縁とによって構成される角部が、接続管外周面に設けられた溝部に係止して、各接続管が継手本体から引き抜かれることによって、その角部を中心として外周側に回動する際に、角部を中心として回動する最大半径が、継手本体に設けられた抜け止め用溝部の底面と、接続管に設けられた溝部の底面との径方向距離よりも大きくなっていることを特徴とする。
【0008】請求項2に記載の管接続構造は、請求項1に記載の管継手の継手本体に、接続管の端部が挿入された管接続構造であって、各接続管の端部外周面には、管継手に設けられた各抜け止め具が嵌入する溝部が全周にわたって設けられており、この溝部は、抜け止め具の端面に対向する側面が、接続管の外周面に対して直角または鋭角になっていることを特徴とする。
【0009】前記接続管は、金属によって構成された管本体部内周面が、合成樹脂製の被覆層によって被覆されており、継手本体内には、継手本体内に挿入される各接続管の端部内に進入する円筒状のコア本体部を有する防食コアが同心状態で配置されている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】図1は、本発明の管接続構造の実施の形態の一例を示す一部破断正面図である。この管接続構造では、管継手10に対して1本の接続管20が接続されている。接続管20は、鋼管によって構成された管本体部21の内周面が、硬質塩化ビニルによって構成された被覆層22によってライニングされている。被覆層22の肉厚は、管本体部21の肉厚の1/2になっている。
【0012】接続管20における管本体部21の端部外周面には、係合溝21aが全周にわたって設けられている。この係合溝21aの底面は、接続管20の外周面に平行になっており、また、係合溝21aの各側面は、接続管20の外周面に対して直角に構成されている。従って、係合溝21aは、断面四角形状になっている。
【0013】管継手10は、内径および外径が一定になった円筒状の継手本体11を有している。継手本体11の内部には、挿入される接続管20の端部の腐食を防止する円筒状の防食コア12が同心状態で配置されている。この防食コア12は、円筒状をしたコア本体部12aの軸方向の中央部外周面に、断面T字状をしたフランジ部12bが全周にわたって設けられており、このフランジ部12bの先端部が、継手本体11の軸方向中央部内周面に設けられたコア支持溝11a内に嵌入されて、コア本体部12aが継手本体11内に同心状態で保持されている。防食コア12は、全体が塩化ビニルによって構成されている。防食コア12におけるコア本体部12aの各端部外周面には、溝部が全周にわたってそれぞれ設けられており、各溝部内にOリング12cがそれぞれ嵌合されている。
【0014】継手本体11における各端部内周面には、抜け止めリング13が嵌入する抜け止め用溝部11bがそれぞれ全周にわたって設けられている。各抜け止め用溝部11bは、それぞれ、断面四角形状に構成されている。各抜け止め用溝部11b内には、継手本体11内に挿入される接続管20の端部に設けられた係合溝21a内に嵌入する抜け止めリング13がそれぞれ嵌合されている。
【0015】また、継手本体11におけるコア支持溝11aと各リング用溝部との間の内周面には、断面四角形状になったシール用溝部11cが全周にわたって設けられている。各シール用溝部11c内には、リング状の止水パッキン14がそれぞれ嵌入されている。各止水パッキン14は、シール用溝部11c内に嵌入した断面四角形のリング状をしたシール本体部14aと、このシール本体部14aの内周面における継手本体の各開口側に位置する側部から、継手本体11の内奥部の中心側に向かって傾斜状態で延出するリング状のシール部14bとをそれぞれ有している。
【0016】図2(a)は、継手本体11における抜け止め用溝部11b内にそれぞれ嵌入された抜け止めリング13の正面図、図2(b)は、その一部破断側面図である。各抜け止めリング13は、周方向の一部が切断されたCリングによって、断面三角形状にそれぞれ構成されている。各抜け止めリング13の外周面は、軸方向に沿った一定の外径になっており、一方の端面13bは、外周面とは直角になった平坦面に構成されている。抜け止めリング13の内周面は、その平坦面になった端面13bの内周側縁から、内径が順次大きくなったテーパー面13aになっており、抜け止めリング13の外周面における端面13bが設けられた端縁とは反対側に位置する端縁に連続している。抜け止めリング13の端面13bとテーパー面13aとによって構成された角部の内径は、接続管20の外径よりも小さくなっている。また、抜け止めリング13の外径は、抜け止めリング13が嵌入される継手本体11の抜け止め用溝部11bの内径よりも小さくなっている。
【0017】このような構成の抜け止めリング13は、例えば、ステンレスによって構成されており、平坦な端面13bが、継手本体11の内奥側になるよう配置されて、縮径した状態で継手本体11内に挿入されて、各抜け止め用溝部11b内にそれぞれ嵌合されている。
【0018】管継手10には、一対の接続管20が、継手本体11の各端面開口からそれぞれ挿入される。継手本体11内に挿入された接続管20の端部は、継手本体11内に支持された抜け止めリング13内に、抜け止めリング13を拡径しつつ挿入されて、止水パッキン14のシール部14b内に挿入され、さらに、継手本体11内に同心状態で保持された防食コア12のコア本体部12a外周面と継手本体11内周面との間に挿入されて、防食コア12のフランジ部12bに突き当てられる。
【0019】この場合、抜け止めリング13の内周面は、継手本体11の内奥部側になるにつれて順次縮径したテーパー面13aになっているために、抜け止めリング13内に接続管20の端部が円滑に挿入される。
【0020】接続管20の端面が、防食コア12のフランジ部12bに突き当てられた状態になると、止水パッキン14のシール部14bが接続管20の外周面に対して全周にわたって水密状態で圧接されるとともに、抜け止めリング13の内周部分が、接続管20の外周面に設けられた係合溝21a内に嵌入した状態になり、接続管20が管継手10に接続される。
【0021】このような状態で、接続管20が管継手10から引き抜かれる方向に牽引されると、抜け止めリング13は、外周面と直角になった端面13bが、接続管20外周面に設けられた係合溝21aにおける接続管20の先端側の側面によって押圧され、抜け止めリング13の端面13bとテーパー面13aとによって構成された角部を中心として、内周面が外周側に向かって回動される。これにより、断面三角形状になった抜け止めリング13の端面13bとテーパー面13aとによって構成された角部が、接続管20の外周面に設けられた係合溝21aの底面に係止された状態になり、接続管20は管継手10から抜け止めされる。
【0022】この場合、図3(a)に示すように、抜け止めリング13における端面13bは、外周面に対する角度θ1 が直角になっていることにより、接続管20によって拡径されることが防止されて、接続管20が引き抜かれることが防止されている。抜け止めリング13における継手本体11の内奥側の側面と外周面とが鋭角になっていると、接続管20により拡径されやすくなるために、端面13bと外周面との角度θ1 は、直角に限らず、鈍角になっていてもよい。
【0023】接続管20が管継手10から引き抜かれる方向に移動した際に、抜け止めリング13の端面13bが、接続管20の係合溝21aによって押圧されて、抜け止めリング13は、端面13bとテーパー面13aとによって構成された角部を中心として、内周面が外周側に向かって回動するが、このとき、接続管20の係合溝21aは、抜け止めリング13の端面13bに対向した側面と接続管20の外周面との角度θ2 が直角に構成されているために、抜け止めリング13の端面13bが係合溝21aの側面によって確実に押圧されて、抜け止めリング13が確実に回動される。
【0024】この場合、抜け止めリング13がさらに確実に回動されるように、接続管20の係合溝21aにおける抜け止めリング13の端面13bに対向した側面と接続管20の外周面との角度θ2 は、鋭角になっていることが好ましい。このように、係合溝21aにおける抜け止めリング13の端面13bに対向した側面と接続管20の外周面との角度θ2 が鋭角になっていることによって、鋭角になった部分が、抜け止めリング13の端面13bに係止した状態になり、抜け止めリング13が確実に回動される。
【0025】また、抜け止めリング13が、端面13bとテーパー面13aとによって構成された角部を中心として、内周面が外周側に向かって回動するときの抜け止め用溝部11bの底面に係止される継手本体11の端面開口側に位置する外周面の端縁までの最大回動半径L1 は、テーパー面13aの軸方向長さに等しくなっているが、この最大回動半径L1 は、抜け止めリング13が収容された抜け止め用溝部11bの底面と、接続管20の係合溝21aの底面との間隙L2 よりも大きくなっている。従って、抜け止めリング13が所定の角度にわたって回動することにより、抜け止めリング13の外周面における継手本体11の端面開口側に位置する端縁が、抜け止め用溝部11bの底面に確実に係止されるために、それ以上にわたって回動することが防止され、接続管20が確実に抜け止めされることになる。
【0026】抜け止めリング13は、断面三角形になっているために、図3(b)に示すような断面四角形状の抜け止めリング30よりも断面積が小さくなっており、しかも、断面四角形状の抜け止めリング30における抜け止め用溝部11bに係止される端縁の最大回動半径L1 よりも大きくなっている。その結果、接続管20の端部が挿入されて拡径される際の力が小さくなっているにもかかわらず、接続管20に確実に係止されて、確実に抜け止めすることができる。なお、抜け止めリング13としては、抜け止め用溝部11bに係止される端縁の最大回動半径L1が大きくなっていればよいために、断面三角形に限らず、図3(c)に示すように、外周側における鋭角になった端縁部が面取りされた断面三角形状になっていてもよい。この場合の最大回動半径L1 は、接続管20の係合溝21a内に位置する内周側の端縁から、抜け止め用溝部11bに係止される面取りされた部分の外周側の端縁までの距離になり、最大回動半径L1 は、断面三角形の場合よりも大きくなる。また、図4(a)および(b)に示すように、抜け止めリング13が容易に拡径し得るように、内周縁部に、半円状、円弧状、V字状等の切り欠き部13cを形成するようにしてもよい。さらに、図5(a)および(b)に示すように、外周縁部に切り欠き部13cを形成するようにしてもよい。
【0027】図6は、本発明の管接続構造の実施の形態の他の例を示す一部破断正面図である。この管接続構造では、管継手10のステンレス製の継手本体11には、防食コア12が設けられず、継手本体11の軸方向中央部の内周面に、継手本体11内に挿入される接続管20の先端面が突き当てられる断面四角形状の突起部11dが、全周にわたって設けられている。また、継手本体11の抜け止め用溝部11b内に設けられた抜け止めリング13は、真鍮によって構成されており、接続管20は、ステンレスによって構成されている。
【0028】図7は、本発明の管接続構造の実施の形態のさらに他の例を示す一部破断正面図である。この管接続構造では、砲金製の継手本体11には軸方向中央部内周面に防食コア12が、支持用溝部11aにて支持されている。この防食コア12は、コア本体12aおよびフランジ部12bがポリブデンによって構成されており、円筒状のコア部は、比較的短くなっている。また、コア本体12aの外周面には、フランジ部12bにそれぞれ突き当てられた一対のリング状ゴムパッキン12dがそれぞれ嵌合されている。接続管20は、鋼管によって構成された管本体部21の内周面がナイロン製の被覆層22によってコーティングされており、接続管20の端面が、コア本体12外周面と継手本体11内周面との間に挿入されて、ゴムパッキン12dに突き当てられている。
【0029】
【発明の効果】本発明の管継手および管接続構造は、このように、接続管の外径よりも小さな内径を有するCリングによって構成された抜け止めリングが、内奥側になるにつれて順次縮径したテーパー面を有する断面略三角形状になっているために、抜け止めリング内に接続管を容易に挿入することができるとともに、抜け止めリングは、接続管に係止するために回動する際の最大半径が、継手本体に設けられた抜け止め用溝部の底面と接続管に設けられた溝部の底面との径方向距離よりも大きくなっているために、接続管を確実に抜け止めすることができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
【公開番号】 特開平11−94152
【公開日】 平成11年(1999)4月9日
【出願番号】 特願平9−253423