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【発明の名称】 管継手用シールパッキン
【発明者】 【氏名】西川 裕司

【要約】 【課題】いわゆるスリップオン継手に使用される管継手用シールパッキンの性能に関し、管に偏荷重が作用した場合挿口受口の軸芯のずれ変形を抑制する一方、接続容易性も損なわれないようにすることを課題とする。

【解決手段】挿口1外面と受口2内面との隙間tを充填する受口奥側ヒール部31と、同じく挿口外面と受口内面との隙間tを充填する受口開口側ヒール部32と、該受口開口側ヒール部32より受口2奥方向へ向け、無加圧状態では挿口外面と受口内面との隙間より高く傾斜起立するリップ部33とを一体に有しかつ全体がゴムにより一体成形された管継手用シールパッキン3において、管奥側ヒール部31及び管開口側ヒール部32のゴム硬さがリップ部33のゴム硬さより硬質とされてなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】挿口外面と受口内面との隙間を充填する受口奥側ヒール部と、同じく挿口外面と受口内面との隙間を充填する受口開口側ヒール部と、該受口開口側ヒール部より受口奥方向へ向け、無加圧状態では挿口外面と受口内面との隙間より高く傾斜起立するリップ部とを一体に有しかつ全体がゴムにより一体成形された管継手用シールパッキンにおいて、管奥側ヒール部及び管開口側ヒール部のゴム硬さがリップ部のゴム硬さより硬質とされてなることを特徴とする管継手用シールパッキン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、挿口外面と受口内面との隙間をゴム製のシールパッキンのみでシールするようにした管継手のシールパッキンの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、管継手として図5に示すように管Pの一端に挿口1、他端に受口2を形成し、挿口を受容した挿口1外面と受口2内面との隙間をゴム製のシールパッキン3のみでシールするようにした、いわゆるプッシュオン継手が知られている。
【0003】この種管継手は接合作業にあたり、ボルト締めなどの手間が不要で、作業性が良いといった利点がある。この種管継手に使用されるゴム製のシールパッキン3は図6に示すように、挿口1外面と受口2内面との隙間tの変化を抑える受口奥側ヒール部31と、同じく挿口1外面と受口2内面との隙間の変化を抑える受口開口側ヒール部32と、該受口開口側ヒール部32より受口2奥方向へ向け、無加圧状態では挿口外面と受口内面との隙間tより高く傾斜起立するリップ部33とを一体に有しかつ全体がゴムにより一体成形された形状とされ、全体が均一なゴム素材、例えばSBR等の合成ゴムで成形され、ゴム硬度も通常HS=55°〜60°程度(JIS K 6301のA形スプリング硬さ)のものが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、土中に埋設される管路は通常、その軸方向にわたってほぼ均一な土圧荷重を受ける。
【0005】従って、管がたわみ性の場合、管軸に直交する横断面内での変形を生じることがあるが、このような変形は挿口部受口部共に同一条件で生じるから隙間tは全周にわたって殆ど変化せず、シール性は低下しない。
【0006】しかし、軟弱地盤での圧密沈下や地震による地盤変動が発生した場合、特に管路の曲がり部やマンホール部等の構造物近辺では、地盤の変動に応じた偏荷重が生じ、受口2よりも大きな荷重が挿口1に作用して、管底部でリップ部33、ヒール部31、32が圧縮変形してしまい、両者の軸芯にずれが生じて管頂部の隙間tが大きくなることがある。
【0007】この場合、リップ部33が起立復元変形して隙間tのシールを保もとうとするが、隙間が大きくなるに従ってリップ部33の圧縮代も減少し、シール性は低下する。
【0008】このような問題は、ゴム製のシールパッキン3全体の硬さを高くし、ヒール部31、32での隙間保持力を高め、偏荷重に起因する両者の軸芯のずれ変形が生じないようにすれば良いが、このような構成とすると、リップ部33も高硬度となってしまうので挿口1を受口2に挿入するときのリップ部33の必要圧縮力及び曲げ力が過大となりこの種管継手の利点である接合容易性が損なわれる問題がある。
【0009】この発明は、上記問題点を解消することを目的としてなされたものであり、いわゆるスリップオン継手に偏荷重が作用した場合に、挿口受口の軸芯のずれ変形を抑制する一方において、接続容易性も損なわれない管継手用シールパッキンを提供することを目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、この発明の管継手用シールパッキンは、挿口外面と受口内面との隙間を充填する受口奥側ヒール部と、同じく挿口外面と受口内面との隙間を充填する受口開口側ヒール部と、該受口開口側ヒール部より受口奥方向へ向け、無加圧状態では挿口外面と受口内面との隙間より高く傾斜起立するリップ部とを一体に有しかつ全体がゴムにより一体成形された管継手用シールパッキンにおいて、管奥側ヒール部及び管開口側ヒール部のゴム硬さがリップ部のゴム硬さより硬質とされてなることを特徴とするものである。
【0011】管継手用シールパッキン全体の硬度を高くするのではなく、管継手用シールパッキンを構成するリップ部は従来と同様の硬度とし、ヒール部だけ高硬度とするのである。
【0012】従って、偏荷重に起因する軸心のずれは、ヒール部によって抑制され、一方接合作業性は従来と同じ硬度のリップ部により損なわれることがない。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の管継手用シールパッキンの要部断面図、図2は使用状態を示す断面図である。
【0014】図1において、3は管継手用シールパッキン、31は受口奥側ヒール部、32は受口開口側ヒール部、33はリップ部を示し、リップ部33の硬度は従来と同様Hs=55°〜60°程度とされ、受口奥側ヒール部31、受口開口側ヒール部32は硬度Hs=70゜程度と、ゴム硬さをリップ部33のゴム硬さより硬質として構成されている。
【0015】このような部分的硬度の異なる管継手用シールパッキンは、ウレタンのような弾性のある合成樹脂を成形材料とする場合は、硬度の異なる材料の二重押出成形法により成形され、SBR、NBRのようなゴム材料の場合は、硬度の異なる未加硫ゴム原料を同一金型に充填し一体加硫することにより成形される。
【0016】上記管継手用シールパッキン3は、図2に示すように挿口1の先端に接着され矢印で示すように受口2内へと挿入される。このとき、リップ部33は挿入に逆らう方向に傾斜起立するが、ゴム硬度が従来と同じ硬度とされているため、挿入抵抗は従来と全く変わらない。
【0017】一方、ヒール部31、32は高硬度とされているが、その厚さs1、s2は隙間tとほぼ同じかやや大きい程度であるので、挿入抵抗となることは非常に少なく、このため管接続作業は従来と変わりなく実施できる。
【0018】接続後、管に偏荷重が作用し挿口1だけが変形しようとしても、挿口1は硬度の高いヒール部31、32で受口2内面から支えられ、隙間tが変化するのが抑制される。
【0019】従って、リップ部33の圧縮代の変化も抑制され、全体のシール性が維持される。上記実施例として、挿口先端に管継手用シールパッキンを接着した場合を示したが図3に示すように受口開口端内面に接着する構成としてもよい。
【0020】また、受口の種類も図2に示したようないわゆるソケットタイプのほか、図4に示すように管Pと受口用短管21とを別体としたいわゆるカラータイプのものにも同様に実施できる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の管継手用シールパッキンは、ヒール部の硬度をリップ部より高くしているため、挿入の際の抵抗は従来と殆ど変わりがない反面、偏荷重に対しては硬度の高いヒール部が対抗し挿口外面と、受口内面の間の隙間の変動も抑制され、シール性が良好に維持される。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)9月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開平11−94150
【公開日】 平成11年(1999)4月9日
【出願番号】 特願平9−259130