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【発明の名称】 内面螺旋案内路付き管の製造方法
【発明者】 【氏名】中川 裕英

【氏名】野中 俊秀

【要約】 【課題】管本体部の内部に螺旋案内路を固定する作業を簡単に行うことができ、且つ、管本体部の内面に螺旋案内路を固着することができる内面螺旋案内路付き管の製造方法を提供する。

【解決手段】管本体部11内に螺旋状の螺旋案内路13が設けられた内面螺旋案内路付き管の製造方法であって、管壁を貫通する切欠き部111を有する管本体部11内に、螺旋案内路13を挿通して固定した後、前記切欠き部111に覆い部材12を装着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 管本体部内に螺旋状の螺旋案内路が設けられた内面螺旋案内路付き管の製造方法であって、管壁を貫通する切欠き部を有する管本体部内に、螺旋案内路を挿通して固定した後、その切欠き部に覆い部材を装着することを特徴とする内面螺旋案内路付き管の製造方法。
【請求項2】 前記切欠き部が、前記覆い部材を切り取ることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の螺旋案内路付き管の製造方法。
【請求項3】 前記切欠き部に覆い部材を装着する際に、覆い部材と螺旋案内路間を樹脂弾性体を介して圧接状態にて接合させることを特徴とする請求項1に記載の螺旋案内路付き管の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自然流下式の垂直下水管路等に使用され、流下する流体を減衰させるために流体を螺旋状に案内する螺旋案内路が内部に設けられた螺旋案内路付き管に関する。
【0002】
【従来の技術】地表勾配が急な場所では、通常、適当な間隔をあけてマンホールを設置して、各マンホール間の管路に段差が形成された段差式の下水路が形成されている。しかし、このような段差式の下水路は、施工が容易ではなく、工期も長期にわたるために工事費がかさむという問題がある。
【0003】このために、このような段差式の下水路に替わって、下水管路を垂直に配置した垂直下水管路(ドロップシャフト)を使用する方法が開発されている。更に、最近では、落下エネルギーを減少させるために、流体を螺旋状に案内する螺旋案内路を内部に設けた樹脂製の内面螺旋案内路付き管が知られている。
【0004】このような内面螺旋案内路付き管の製造方法としては、例えば、図7(a)に示すように、外周面に螺旋溝bが形成されたゴム製の内型aを準備し、図7(b)に示すように、その内型aの螺旋溝b内に、別途作製した螺旋案内路cを嵌合し、その内型aの周りにフィラメントワイディング(FW)により繊維強化熱硬化性樹脂成形材料を巻回して成形材料層を形成し、この成形材料層を硬化させた後に、螺旋案内路が一体化された管本体部を内型aに対して相対的に回転することによって、内型aの螺旋溝b内に嵌入した螺旋案内路cを螺旋溝bによって螺旋送りするように脱型する方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方法のよる場合には、FWにより形成できる管本体部の長さは螺旋案内路の約1.5ピッチ程度が精一杯であるため、生産性が低く、又、管長が長くなると脱型に長い時間を要したり、脱型できなくなる可能性も大きくなるという問題点がある。又、得られた内面螺旋案内路付き管は、管本体部の内部に螺旋案内路が一体的に形成されているので、メンテナンス上、管内面を確認することができないという問題点もある。
【0006】本発明は上記の如き従来の問題点を解消し、管本体部の内部に螺旋案内路を固定する作業を簡単に行うことができ、且つ、管本体部の内面に螺旋案内路を固着することができる内面螺旋案内路付き管の製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に記載の発明(本発明1)は、管本体部内に螺旋状の螺旋案内路が設けられた内面螺旋案内路付き管の製造方法であって、管壁を貫通する切欠き部を有する管本体部内に、螺旋案内路を挿通して固定した後、その切欠き部に覆い部材を装着する内面螺旋案内路付き管の製造方法である。
【0008】本願の請求項2に記載の発明(本発明2)は、前記切欠き部が、前記覆い部材を切り取ることにより形成されたものである本発明1に記載の螺旋案内路付き管の製造方法である。
【0009】本願の請求項3に記載の発明(本発明3)は、前記切欠き部に覆い部材を装着する際に、覆い部材と螺旋案内路間を樹脂弾性体を介して圧接状態にて接合させる本発明1に記載の螺旋案内路付き管の製造方法である。
【0010】管本体部としては、特に材質が限定されるものではないが、高強度であることが好ましく、金属、合成樹脂、コンクリート等によって構成される。
【0011】螺旋案内路は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等によって好適に構成される。熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、メタクリル樹脂等が用いられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等が用いられ、さらに、これらの樹脂を、無機繊維、ガラス繊維、有機繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維等の繊維によって強化したものも使用することができる。また、金属によって成形することもできる。
【0012】本発明において、管本体部の切欠き部としては、手を入れて螺旋案内路を管本体部に固定する作業を行うことができればよく、長手方向に沿って所定幅が管壁を貫通するように切り欠かれて形成されていてもよいし、又、管壁を貫通するように窓状に切り欠かれて形成されていてもよい。
【0013】切欠き部は、長手方向に沿って所定幅が管壁を貫通するように切り欠かれて形成される場合には、幅100mm程度で、管本体部の半管以下が好ましい。長手方向に沿って所定幅が管壁を貫通するように複数箇所が切り欠かれて形成され場合には、1ピッチに1個以下が好ましい。
【0014】螺旋案内路の接続部を覆い部材の内面にて圧接状態にて接合する際に用いられる樹脂弾性体としては、例えば、ネオプレン系、ブタジエン系、ポリウレタン系等のゴム系材料や、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる発泡弾性体等が好適に用いられる。
【0015】
【作用】本発明の螺旋案内路付き管の製造方法は、管壁を貫通する切欠き部を有する管本体部内に、螺旋案内路を挿通して固定した後、その切欠き部に覆い部材を装着することによって、切欠き部より手を入れて、管本体部の内周面の螺旋案内路の接続部の周りを接着剤により接着したり、ボルト締結等の固定作業を行うことができるので、管本体部の内部に螺旋案内路を固定する作業を簡単に行うことがで、且つ、管本体部の内面に螺旋案内路を固着することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本発明の内面螺旋案内路付き管の製造方法の一例を、図1〜図3を参照して説明する。
【0017】図1は、本発明により得られる内面螺旋案内路付き管を形成する材料の説明図であって、(a)は管本体部11を示す斜視図、(b)は覆い部材12を示す斜視図、(c)は螺旋案内路13を示す正面図、(d)は螺旋案内路の一部断面図である。
【0018】管本体部11は、長手方向に沿って所定幅が管壁を貫通するように切り欠かれて形成された切欠き部111を有している。切欠き部111は、管本体部11の内部に螺旋案内路を固定する際に手を入れて作業する開口部としての役割りを果たす部分である。
【0019】覆い部材12は、管本体部11の切欠き部111を形成する際に、切り取った残部から形成されている。これにより、最後的に切欠き部111に覆い部材12を嵌合状態にて取り付けることができる。尚、管本体部11と、覆い部材12は、それぞれ別々に作製されたものであっても何らかまわない。
【0020】螺旋案内路13は、複数ピッチにわたって螺旋状に傾斜する連続する傾斜面部を有し、その傾斜面部の外周縁より下方に断面L字状に曲折されて、螺旋状に連続する接続部131が形成されており、中心部が吹抜け状の空洞とされているものからなる。接続部131の外径は、管本体部11の内周面間の内径と同一とされている。接続部は、傾斜面部の外周縁より上方に断面L字状に曲折されるように形成されたものであってもよいが、内面螺旋案内路付き管の内部を流下する下水の流れの障害となったり摩耗の原因となったりする可能性があるので、下方に曲折するように設けらるのが好ましい。尚、接続部は、管本体部11の内径が小さい場合には、必ずしも下方又は下方に断面L字状に曲折されて形成される必要はなく、このときは、傾斜面部の外周面がそのまま接続部となる。
【0021】まず、図2に示すように、切欠き部111を有する管本体部11の内部に、接着剤を介して、螺旋案内路13をその螺旋状に連続する接続部131を管本体部11の内周面に摺動させるようにしてその全長にわたって配設するように挿通する。このとき、接着剤は必ずしも用いなくてもよい。
【0022】その後、切欠き部111より手を入れて、管本体部11の内周面の螺旋案内路13の接続部の周りを接着剤により固定する。接着剤を用いる代わりに、螺旋案内路13の接続部131にボルト締結孔を設け、管本体部11の内部に螺旋案内路13を挿通後、切欠き部111より手を入れて、ボルト締結孔にボルトを挿通するようにして、接続部131を管本体部11に固定するようにしてもよい。
【0023】最後に、図3に示すように、管本体部11の切欠き部111に接着剤を介して覆い部材12を取り付けて、管本体部11の内部に螺旋案内路13が固着された内面案内路付き管1を得る。管本体部の内周面と螺旋案内路の接続部間を接着する接着剤としては、例えば、エポキシ系、不飽和ポリエステル系、アクリル系等が用いられる。この接着剤には、フィラーを混入したパテ状のものも含まれる。覆い部材12を管本体部11にヒンジ連結しておいて、管本体部11の切欠き部111を覆い、適当な金具にて固定するようにしてもよい。
【0024】覆い部材12の内面と螺旋案内路13の接続部131との間を、樹脂弾性体を介在させるようにして圧接状態にて接合するのが好ましい。樹脂弾性体は、覆い部材12の内面に貼着しておいてもよい、螺旋案内路13の接続部131上に貼着しておいてもよい。
【0025】次に、本発明の内面螺旋案内路付き管の製造方法の別の例を、図4〜図6を参照して説明する。図4は、本発明により得られる内面螺旋案内路付き管の別の例を形成する材料の説明図であって、(a)は管本体部21を示す斜視図、(b)は覆い部材22を示す斜視図である。螺旋案内路としては、図1(c),(d)示すものと同じものが使用される。
【0026】管本体部21は、管壁を貫通するように窓状に切り欠かれて形成された切欠き部211,211を有している。切欠き部211,211は、管本体部21の内部に螺旋案内路を固定する際に手を入れて作業する開口部としての役割りを果たす部分である。
【0027】覆い部材22,22は、管本体部21の切欠き部211,211を形成する際に、切り取った残部から形成されている。これにより、最後的に切欠き部211,211に覆い部材22,22を嵌合状態にて取り付けることができる。尚、管本体部21と、覆い部材22,22は、それぞれ別々に作製されたものであっても何らかまわない。
【0028】まず、図5に示すように、切欠き部211,211を有する管本体部21の内部に、接着剤を介して、螺旋案内路13をその螺旋状に連続する接続部131を管本体部21の内周面に摺動させるようにしてその全長にわたって配設するように挿通する。このとき、接着剤は必ずしも用いなくてもよい。
【0029】その後、切欠き部211,211より手を入れて、管本体部21の内周面の螺旋案内路13の接続部の周りを接着剤にて固定する。接着剤を用いる代わりに、ボルト締結により固定するようにしてもよい。
【0030】最後に、図6に示すように、管本体部21の切欠き部211,211に接着剤を介して覆い部材22,22を取り付けて、管本体部21の内部に螺旋案内路13が固着された内面案内路付き管2を得る。このとき、覆い部材22,22を管本体部21にヒンジ連結しておいて、管本体部21の切欠き部211,211を覆い、適当な金具にて固定するようにしてもよい。
【0031】覆い部材22,22の内面と螺旋案内路23の接続部231との間を、樹脂弾性体を介在させるようにして圧接状態にて接合するのが好ましい。樹脂弾性体は、覆い部材22,22の内面に貼着しておいてもよい、螺旋案内路13の接続部131上に貼着しておいてもよい。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1図1(a)〜(d)に示すような構造の管本体部11と、覆い部材12と、螺旋案内路13を用いた。管本体部11として、肉厚6mm、内径350mm、長さ1200mmの繊維強化樹脂モルタル管から、覆い部材12を切り取ることによって形成した、幅150mm、長さ1200mm(全長)の切欠き部111を有するものを用いた。
【0033】従って、覆い部材12としては、管本体部11から切欠き部111を切り取った残部、即ち、肉厚6mm、幅150mm、長さ1200mmの繊維強化樹脂モルタルからなるものを用いた。
【0034】螺旋案内路13としては、肉厚8mm、外径350mm、内径110mm、接続部131の長さ50mm、案内路ピッチ数6の硬質ポリ塩化ビニルからなるものを用いた。管本体部11の切欠き部111に覆い部材12を取り付ける接着剤として、不飽和ポリエステル樹脂100重量部にメチルエチルケトンパーオキサイド硬化剤1.2重量部と促進剤を添加したものからなる熱硬化性樹脂を、ガラスクロス(#450)及びチョップドストランドマット(#330)に含浸させたものを用いた。
【0035】図2及び図3を参照して説明した工程にしたがって、管本体部11の内部に螺旋案内路13が固着された内面案内路付き管1を得た。その結果、管本体部11の内部に螺旋案内路13を固着して内面案内路付き管1を製造するのに要した時間は、約1時間であった。図7を参照して説明した従来の方法により製造する場合に比べて、製造所要時間が半減している。
【0036】実施例2図4(a),(b)に示すような構造の管本体部21と、覆い部材22と、図1(c),(d)に示すような螺旋案内路13を用いた。管本体部21として、肉厚15mm、内径700mm、長さ1600mmの繊維強化樹脂モルタル管から、覆い部材22,22を切り取ることによって形成した、幅300mm、長さ500mmの切欠き部211,211を有するものを用いた。
【0037】従って、覆い部材22,22としては、管本体部21から切欠き部211,211を切り取った残部、即ち、肉厚15mm、幅300mm、長さ500mmの繊維強化樹脂モルタルからなるものを用いた。
【0038】螺旋案内路13としては、肉厚5mm、外径700mm、内径240mm、接続部131の長さ50mm、案内路ピッチ数6の繊維強化樹脂からなるハンドレ成形品を用いた。管本体部21の切欠き部211,211に覆い部材22,22を取り付ける接着剤として、実施例1と同様のものを用いた。
【0039】図5及び図6を参照して説明した工程にしたがって、管本体部21の内部に螺旋案内路13が固着された内面案内路付き管2を得た。その結果、管本体部21の内部に螺旋案内路23を固着して内面案内路付き管1を製造するのに要した時間は、約1時間であった。図7を参照して説明した従来の方法により製造する場合に比べて、製造所要時間が半減している。
【0040】
【発明の効果】本発明の内面螺旋案内路付き管の製造方法は、上記のようにされているので、管本体部の内部に螺旋案内路を固定する作業を簡単に行うことができ、且つ、管本体部の内面に螺旋案内路を固着することができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月19日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−94138
【公開日】 平成11年(1999)4月9日
【出願番号】 特願平9−254930