トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 熱線遮蔽板
【発明者】 【氏名】水本 智裕

【要約】 【課題】型内への注入が容易で、かつ板状薄片が成形品中で沈降せず、注液するだけで成形品表面に対して平行に配向させることが容易な熱線遮蔽板を提供する。

【解決手段】JIS K−7117に準拠した方法で粘度を測定し、6min -1での粘度η1と60min -1での粘度η2 の比(η1 /η2 )が1.3以上であるメタクリル酸メチル系単量体溶液に、板状薄片を0.01〜10重量部および重合開始剤を含有したシロップを型へ注入し、重合硬化させてなる熱線遮蔽板は製造が容易で、特に板状薄片を成形品表面に対して平行に配向させることが容易である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】JIS K−7117に準拠した方法で粘度を測定し、6min -1での粘度η1と60min -1での粘度η2 の比(η1 /η2 )が1.3以上であるメタクリル酸メチル系単量体溶液に、板状薄片を0.01〜10重量部および重合開始剤を含有したシロップを型へ注入し、重合硬化させてなる熱線遮蔽板。
【請求項2】メタクリル酸メチル系単量体溶液が、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体、メタクリル酸メチル系単量体からなる溶液である請求項1記載の熱線遮蔽板。
【請求項3】メタクリル酸メチル系単量体溶液が、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体0.01〜40重量部、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体0〜50重量部、メタクリル酸メチル系単量体49.99〜99.99重量部からなる溶液である請求項1記載の熱線遮蔽板。
【請求項4】JIS R−3106に準拠して測定した可視光透過率T1 と日射透過率T2から数式1にて計算した熱線遮蔽率Pが20%以上であることを特徴とする請求項1記載の熱線遮蔽板。
【数1】P=(1−T2 /T1 )×100【請求項5】板状薄片が酸化チタン被覆雲母または酸化チタン薄片である請求項1記載の熱線遮蔽板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱線遮蔽板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から熱選遮蔽板を採光部に用いて、可視光を透過し熱線を遮蔽することで、涼しくかつ明るい採光窓が提案されている。熱線遮蔽板の基材として透明性、耐候性に優れたアクリル系重合体が使用されることがある。一方、アクリル系重合体は、透明性、表面硬度、耐候性に優れ、看板、照明カバー等の建築材料、光ディスク基盤、導光板、光ファイバー等の光学材料等に幅広く用いられている。アクリル系重合体は、さらに光拡散剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、ガラス繊維等の無機フィラーを添加し、機能特性、構造特性を持たせたアクリル系複合材料として用いることができる。このようなアクリル系複合材料のうち無機フィラーとして二酸化チタン被覆雲母薄片、酸化チタン薄片、塩基性炭酸鉛薄片等の板状薄片を添加し、その板面を成形体表面に対して平行に配向させた熱線遮蔽板が従来より知られている。その製造方法として、アクリル系単量体またはアクリル系部分重合体に板状薄片および重合開始剤を添加したシロップを、所望する形状の型内に注入し、重合硬化させ、その後、型を除去して成形体を得る方法がある。この方法では、型内に注入してから重合硬化が完了するまでの間に分散させた板状薄片が沈降することがあり、得られた成形体の表面と裏面で物性が異なったり、また温度変化により反りが発生するなどの問題点を有していた。
【0003】板状薄片の沈降を防止する方法として、アクリル系単量体にアクリル系重合体を溶解し粘度を高める方法、またはアクリル系単量体の一部を部分重合しシロップの粘度を高める方法が一般的である。
【0004】また、十分な熱線遮蔽能を有するアクリル系複合材料を得るためには、何らかの方法で板状薄片の板面を成形品表面に対して平行に配向させる必要がある。その方法として、型にシロップを流し込んだ後、電気的振動を与える方法、またはスライドさせる方法が知られている。また、特開昭62−268615号公報には、板状薄片として塩基性炭酸鉛、魚鱗、三塩化ビスマス、二酸化チタン被覆雲母を用いて、対向して走行する2個のエンドレスベルト対向面とベルトの両側端付近で両ベルト両面に挟まれてベルトの走行に追随して走行するガスケットとにより形成された空間部にメタクリル酸メチルを主成分とする単量体または部分重合体に重合開始剤、板状薄片を混合して注入し加熱重合硬化させる方法で、キャリヤーロールにより2個のエンドレスベルトの支持、移動および2個のエンドレスベルト間の距離を設定し、前記重合性原料が流動状態にある際に、少なくとも1回所望する板厚Lに対して(L−1)mmから(L+1)mmの範囲で上下に振幅を与える方法が示されている。
【0005】一方、アイソタクチックメタクリル酸メチル重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル重合体は、メタクリル酸メチル単量体等の有機溶媒中でステレオコンプレックスメタクリル酸メチル重合体とよばれるゲルが形成することは広く知られている。ステレオコンプレックスメタクリル酸メチル重合体のメタクリル酸メチル単量体溶液は、室温下で高粘度ゲルであるが、加熱すると粘度が急激に低下し低粘度のゾルとなる。このいわゆるゾル・ゲル転移が温度に対して可逆的に起こる。例えば、特公昭47−14834号公報には、このステレオコンプレックスメタクリル酸メチル重合体を重合性単量体中に溶解させた高粘度ゲルを一旦温度を上げて、低粘度ゾルにした後、型内へ注入し、ゲルの融点以下の温度で重合硬化させる方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】板状薄片の沈降を防止する方法として、アクリル系単量体にアクリル系重合体を溶解する方法、またはアクリル系単量体の一部を部分重合しシロップの粘度を高める方法においては、十分な沈降防止効果を得るためには、かなり高粘度のシロップにする必要がある。このような高粘度シロップは、JIS K−7117に準拠した方法で粘度を測定した時、6min -1での粘度η1 と60min -1での粘度η2 の比(η12 )が1に近く、型内へ注入する時の粘度と型内へ注入した後の粘度が同じである。その為、型内に注入することが困難になる。さらにこの方法では、粒径の大きな板状薄片やアクリル系単量体との密度差の大きな板状薄片を添加する場合には十分な効果が得られない。
【0007】また、板状薄片の板面を成形品表面に対して平行に配向させる方法である、電気的振動を与える方法、またはスライドさせる方法、エンドレスベルトを利用する方法等外部から物理的な方法で配向させる方法は、シロップの粘度と配向させるタイミングをうまくコントロールする必要があり成形品の配向の程度にムラが生じやすい。
【0008】また、高粘度ゲルを温度を上げて、低粘度ゾルにして型内へ注入する特公昭47−14834号公報の方法では、重合硬化完了までに無機フィラーが沈降し難いが、重合硬化させるために用いるラジカル重合開始剤が、重合温度を高くすると分解し、生じたラジカルが重合性単量体を硬化させる。そのため、型内に注入する作業を速やかに行わなければ、注入途中で重合により粘度が急激に上昇し、特にクリアランスの小さな型内への注入が困難となる。
【0009】本発明者はかかる事情に鑑み、熱線遮蔽板について鋭意検討した結果、JISK−7117に準拠した方法で粘度を測定し、6min -1での粘度η1 と60min -1での粘度η2 の比(η1 /η2 )が1.3以上であるメタクリル酸メチル系単量体溶液に、板状薄片および重合開始剤を含有させたシロップを型へ注入し、重合硬化させることによって、型内への注入が容易でかつ板状薄片が成形品中で沈降せず、注液するだけで成形品表面に対して平行に配向した熱線遮蔽板を容易に製造することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、JIS K−7117に準拠した方法で粘度を測定し、6min -1での粘度η1 と60min -1での粘度η2 の比(η1 /η2 )が1.3以上であるメタクリル酸メチル系単量体溶液に、板状薄片を0.01〜10重量部および重合開始剤を含有したシロップを型へ注入し、重合硬化させてなる熱線遮蔽板に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。JIS K−7117に準拠した方法で粘度を測定し、6min -1での粘度η1と60min -1での粘度η2 の比(η1 /η2 )が1.3以上であるメタクリル酸メチル系単量体溶液の調整方法は、従来から知られる種々の粘度調整剤を使用することができる。粘度調整剤として基材樹脂と相溶性があり、かつ屈折率差が小さいものが好ましく、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体単独、あるいはアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体両方をメタクリル酸メチル系単量体に溶解したシロップがより好ましい。本発明におけるアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とは、メタクリル酸メチル単位を主成分としてなる重合体で、メタクリル酸メチル単位連鎖のアイソタクチシチーがトライアッド表示で50%以上であるものを意味し、必要により共重合可能な他の単量体との共重合体を含むものである。好ましくはアイソタクチシチーが70%以上、より好ましくは75〜95%である。
【0012】共重合可能な他の単量体は、公知のものであり、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸などの不飽和酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン等単官能単量体である。さらに、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、アリル(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジビニルベンゼン等分子内に2個以上の不飽和2重結合を含有する多官能単量体である。
【0013】アイソタクチックメタクリル酸メチル系共重合体中の各単量体単位の比率は、メタクリル酸メチル50〜100重量部、好ましくは90〜100重量部、共重合可能な他の単量体0〜50重量部、好ましくは0〜10重量部である。共重合可能な他の単量体が50重量部を越えると、メタクリル酸メチル系単量体に溶解し難くなる。特に、これら共重合可能な官能基を2個以上有する単量体は、共重合時に架橋体を与え、得られたポリマーがメタクリル酸メチル系単量体に不溶となるので、単官能単量体1000重量部に対して1重量部以下としなければならない。
【0014】該アイソタクチックアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体は、従来公知の方法によって製造することが出来るが、グリニアル試薬を重合開始剤として用いてアニオン重合させることによって得られる(特開昭61−179210号公報)。
【0015】本発明におけるシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体とは、メタクリル酸メチル単位を主成分としてなる重合体で、メタクリル酸メチル単位連鎖のシンジオタチシチーがトライアッド表示で50%以上であるものを意味し、必要により上記共重合可能な他の単量体との共重合体を含むものである。
【0016】シンジオタクチックメタクリル酸メチル系共重合体中の各単量体単位の比率は、メタクリル酸メチル50〜100重量部、好ましくは90〜100重量部、共重合可能な他の単量体0〜50重量部、好ましくは0〜10重量部である。共重合可能な他の単量体が50重量部を越えると、メタクリル酸メチル系単量体に溶解し難くなる。特に、これら共重合可能な官能基を2個以上有する単量体は、共重合時に架橋体を与え、得られたポリマーが溶剤に不溶となるので、単官能単量体1000重量部に対して1重量部以下としなければならない。
【0017】シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体は、従来公知の方法によって製造することができる。重合開始剤としては、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体のラジカル重合用として公知のもので良い。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサエート等の有機過酸化物系開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;さらには過酸化物開始剤とアミン類、メルカプタン類等の還元性化合物を主成分として組み合わされた公知のレドックス系開始剤;また、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、1−ヒドロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、アシルホスフェノキサイド、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントン類等に必要に応じて光増感剤を併用する光重合開始剤系等である。また、有機アルミニウム化合物と有機リン化合物との錯体化合物、または有機ランタニド錯体を開始剤として用いてアニオン重合させることによっても得られる(特公平6−89054号公報、特開平3−263412号公報)。
【0018】本発明におけるメタクリル酸メチルを主成分とする単量体とは、メタクリル酸メチルが50%以上で、必要により上記の共重合可能な他の単量体を含有する単量体混合物である。
【0019】本発明でいうメタクリル酸メチル系単量体溶液とは、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体を該メタクリル酸メチル系単量体に溶解することで得られる。また、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体を該メタクリル酸メチル系単量体に溶解することによっても得られる。アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体とシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体をメタクリル酸メチル系単量体に溶解する方法は、従来公知の方法を用いることが出来る。例えば、メタクリル酸メチル系単量体にアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体のみ溶解する方法。あるいはアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体およびシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体を同時に、または一方を先に溶解後、他方を溶解さる方法。また、メタクリル酸メチル系単量体を予備重合によりその一部を重合させ、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体のメタクリル酸メチル系単量体溶液を得た後、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体を添加し、撹拌しながら溶解する方法でも良い。さらに、メタクリル酸メチル系単量体溶液に溶解可能なポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等の高分子、離型剤、可塑剤、染料等の各種高分子用添加剤を溶解したり、炭酸カルシウム、有機顔料、無機顔料、水酸化アルミニウムなどの無機フィラーを分散させることも可能である。メタクリル酸メチル系単量体溶液は、加熱あるいは高速で撹拌することで粘度が大きく低下する。そのため、板状薄片や添加剤等を溶解あるいは分散させることが非常に容易である。
【0020】本発明でいう板状薄片とは、従来公知のメタクリル酸メチル系単量体に不溶で、その重合硬化を阻害しないものであれば特に制限はない。例えば、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン薄片、塩基性炭酸鉛薄片などが挙げられる。また、これら板状薄片を2種類以上併用することもできる。添加する板状薄片は粒径は特に制限されるものではないが、平均粒径0.1〜600μmが好ましく、平均粒径0.1〜200μmのものがさらに好ましく用いられる。また、板状薄片のアスペクト比は大きいことが顔料配向の点から好ましく、好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上である。厚みは5μm以下、好ましくは3μm以下、幅および長さは5〜150μm、好ましくは5〜100μmである。
【0021】本発明における重合開始剤とは、メタクリル酸メチル系単量体のラジカル重合用として上記に示した公知のものでよい。
【0022】アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体、メタクリル酸メチル系単量体、板状薄片および重合開始剤を含有するシロップを得る方法は従来公知の方法でよく、特に制限されない。例えば、メタクリル酸メチル系単量体溶液に板状薄片の分散および重合開始剤の溶解を同時に行ってもよい。また、メタクリル酸メチル系単量体溶液に無機フィラーの分散を行った後に、重合開始剤の溶解を行ってもよい。粒径が数ミクロン以下の小さな板状薄片を添加する場合は、シロップの粘度が著しく上昇することがあるので開始剤の溶解を先に行い、その後に板状薄片の分散を行ってもよい。シロップにさらに、メタクリル酸メチル系単量体溶液に不溶な高分子、架橋高分子粒子を添加分散させることも可能である。
【0023】アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体の量およびシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体の量によってメタクリル酸メチル系単量体溶液、シロップの液質がかわり、シロップが0〜60℃の範囲において、低撹拌下で高粘度ゲル状態、高撹拌下で低粘度ゾル状態にならなければならない。このような溶液は、JIS K−7117に準拠した方法で粘度を測定し、6min -1での粘度η1 と60min -1での粘度η2 の比(η1 /η2 )が1.3以上であるメタクリル酸メチル系単量体溶液である。シロップ中のアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体およびメタクリル酸メチル系単量体の量は、得られたメタクリル酸メチル系単量体溶液の粘度特性による。例えば、シロップ中のアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体およびメタクリル酸メチル系単量体の合計100重量部に対して、アイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体の量が0.01〜40重量部でシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体が0〜50重量部、メタクリル酸メチル系単量体49.99〜99.99重量部であり、このことによりシロップが0〜60℃の範囲において、高せん断下での粘度が低せん断下での粘度に比べて低くなる、すなわち撹拌速度が速くなると共に粘度が低下するチキソトロピー性を有する。
【0024】このことにより、シロップは適度な粘性の流体となり、取り扱い性が容易で、かつクリアランスの小さい型内の場合でも容易に注入でき、また重合中の板状薄片の沈降が防止され、板状薄片が均一に分散し、その板面が成形品表面に対して平行に配向した熱線遮蔽板が得られる。シロップ中のアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体、およびシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体が上記の量より少ないと、低剪断下における粘度が低くなり、板状薄片の沈降を防止できない。また上記の量より多くなると高剪断下における型内への注液が困難になる。
【0025】板状薄片の量は、得られるアクリル系重合体に要求される性能などによって定まるものであり特に限定されるものではないが、好ましくはシロップ中のアイソタクチックメタクリル酸メチル系重合体、シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体、メタクリル酸メチル系単量体の合計100重量部に対して0.01〜10重量部である。
【0026】シロップには、さらに必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、染料、光拡散剤、有機顔料、無機顔料、充填剤等を添加することができる。
【0027】シロップは、従来公知の注型重合法によって重合硬化させることが出来る。例えば、シロップにラジカル重合開始剤を添加し、加熱して重合する方法が挙げられる。ラジカル重合開始剤の使用量は、シロップの重合体と単量体の合計100重量部に対して0.001〜4重量部程度である。好ましくは0.001〜0.4重量部程度である。
【0028】注型重合において、型としては、例えば、2枚のガラス板あるいは金属板と軟質シール材及びクランプにより構成されたセルを用いるバッチ式のセルキャスト法、2枚のステンレス製連続ベルトによる連続セルも使用できる。また、その他金属等よりなる任意の形状の型に注入し重合することも可能である。
【0029】重合における加熱方法としては公知の方法、例えば、温風、温水、赤外線ヒーター等の熱源によって加熱する。また、光照射により重合を行う場合の光照射方法としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低波長UVランプ、キセノンランプ、クリプトンアークランプ、キセノンフラッシュランプ、フラッシュUVランプ等で可視光、紫外線等を照射すればよい。これらの方法は特に限定されない。
【0030】重合の条件は用いる重合開始剤の種類や量、または単量体混合物の組成によって適宜選択されるが、一般には、0〜80℃で1〜数10時間の範囲で重合を行う。
【0031】重合中あるいは重合前に、板状薄片の配向度を高めるためにセルを振動させたり、セルをスライドさせたりすることも可能である。
【0032】注型重合の終了後は、型を構成するガラス、あるいは金属を除去してアクリル系重合体を得る。
【0033】
【発明の効果】本発明により、板状薄片が均一に分散した熱線遮蔽板が容易に得られる。本発明のシロップは適度な粘度を有するため、取扱性が良く、板状薄片の重合中での沈降を防止できるとともにクリアランスの小さい型内への注液が容易で外観の良好な熱線遮蔽板を製造することができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中において行った物性評価、試験方法は以下の通りである。
(1)分子量評価:ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー( ウォータズ社製、150−CV) を使用して、溶媒としてTHFを用いて測定した。分子量決定には、ポリメタクリル酸メチル基準検量線を用いた。
(2)ポリマーの立体規則性評価:プロトン核磁気共鳴スペクトル装置(Varian 社製、XL−200) を使用して、溶媒としてニトロベンゼン−d5 を用いて測定した。アイソタクチシチー、シンジオタクチシチーはトライアッドで示した。
(3)粘度測定:B型粘度計((株)トキメック社製、DVM−B2)を用いて、JISK−7117に準拠して行った。6min -1での粘度η1 、60min -1での粘度η2 を示した。
(4)目視外観評価:アクリル系重合体の表面および断面を観察し、酸化チタン被覆マイカの均一性を目視にて観察し、上面と下面に差があるものを不良とした。
(5)可視光透過率(T1 )、日射透過率(T2 ):積分球を取り付けた日立(株)社製、330型次期分光光度計を用いてJIS R−3106に準拠して測定した。また、熱線遮蔽率(P)を下式から求めた。
P=(1−T2 /T1 )×100【0035】実施例1メタクリル酸メチル単量体91.4重量部にアニオン重合によって得られたアイソタクチックメタクリル酸メチル重合体(数平均分子量31800、アイソタクチシチー85%)0.6重量部とラジカル重合よって得られたシンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体(メタクリル酸メチル単位98重量%、アクリル酸メチル単位2重量%、数平均分子量64400、シンジオタクチシチー59%)8重量部を60℃に加熱し、撹拌しながら溶解した。得られた溶液の粘度をB型粘度計により測定した。結果を表2に示す。また、得られた溶液100重量部に酸化チタン被覆雲母(Iriodin 215、粒径分布10〜60μm:エー・メルク社製)0.3重量部を加え均一になるよう撹拌分散させてシロップを得た。このシロップ100重量部に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加して脱気した後、2枚のガラス板と塩化ビニル樹脂ガスケットにより、ガラス板の間隙が3mmになるように構成されたセルに注入し、熱風乾燥炉に設置し60℃で6時間重合を行った。さらに120℃で2時間熱処理し、冷却後ガラスセルを除去し厚さ3mmの熱線遮蔽板を得た。評価結果を表2に示した。
【0036】実施例2、3表1に示した組成のシロップを用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0037】実施例4酸化チタン被覆雲母として、Iriodin 215(粒径分布10〜60μm:エー・メルク社製)をIriodin 219(粒径分布10〜60μm:エー・メルク社製)に変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
【0038】実施例5、6表1に示した組成のシロップを用いた以外は実施例4と同様に行った。結果を表2に示した。
【0039】比較例1、2表1に示した組成の溶液を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
【0040】
【表1】

it-PMMA :アイソタクチックメタクリル酸メチル重合体 st-PMMA :シンジオタクチックメタクリル酸メチル系重合体 MMA :メタクリル酸メチル単量体【0041】
【表2】

η1 およびη2 の単位:mPa s *:η1 /η2
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外1名)
【公開番号】 特開平11−13987
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−171861