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【発明の名称】 管の内面ライニング工法に於ける配筋工法及び該配筋工法に用いる鉄筋係止具
【発明者】 【氏名】宮崎 康雄

【氏名】神出 明

【要約】 【課題】螺旋卷回鉄筋のコイル部の立ち上がり角度が70°を上回るような細やかなピッチの配筋であっても配筋された鉄筋が配筋作業中に倒れるという危険性がない管の内面ライニング工法に於ける配筋工法を提供する。

【解決手段】管の内面ライニング工法の実施に際し、管内面へのライニングの形成に先立ち施工される配筋工法であって、管軸方向に間隔を存して並列する多数の鉄筋係止溝を備えた帯状の鉄筋係止具を用い、該鉄筋係止具を上記管の内周面の複数個所に対し、管周り方向に略々等間隔を隔てた位置で管軸方向に延出し且つ上記係止溝が鉄筋の螺旋卷回線上に位置するように取り付け固定し、しかる後に、バネ鋼製の鉄筋を保有バネに抗し螺旋状に卷回しつつ各コイル部を上記係止具の各々の係止溝に係止しながら管軸方向の一端側から他端側に向けて配筋して行くことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】管の内面ライニング工法の実施に際し、管内面へのライニングの形成に先立ち施工される配筋工法であって、管軸方向に間隔を存して並列する多数の鉄筋係止溝を備えた帯状の鉄筋係止具を用い、該鉄筋係止具を上記管の内周面の複数個所に対し、管周り方向に略々等間隔を隔てた位置で管軸方向に延出し且つ上記係止溝が鉄筋の螺旋卷回線上に位置するように取り付け固定し、しかる後に、バネ鋼製の鉄筋を保有バネに抗し螺旋状に卷回しつつ各コイル部を上記係止具の各々の係止溝に係止しながら管軸方向の一端側から他端側に向けて配筋して行くことを特徴とする管の内面ライニング工法に於ける配筋工法。
【請求項2】鉄筋係止具に鉄筋係止溝が管軸と直交する方向に且つ鉄筋に対しラフに係止出来る幅で形成されていることを特徴とする請求項1記載の鉄筋係止具。
【請求項3】鉄筋係止具に鉄筋係止溝が螺旋卷回鉄筋の各コイル部の立ち上がり角度に対応する角度で傾斜し且つ上記鉄筋に対し略々隙間なしに係止出来る幅で形成されていることを特徴とする請求項1記載の鉄筋係止具。
【請求項4】鉄筋係止溝の入り口が狭く、該入り口を保有弾性に抗し強制的に押し広げて挿入係止される鉄筋を挿入係止状態に拘束できる構成になっていることを特徴とする請求項3記載の鉄筋係止具。
【請求項5】管の内面ライニング工法の実施に際し、管内面へのライニングの形成に先立ち施工される配筋工法であって、管軸方向に間隔を存して並列する多数の鉄筋係止溝を備えていて上下2段に係止連結できる帯状の上下一対の係止部材から成る鉄筋係止具を用い、先ず下係止部材を上記管の内面の複数個所に対し、管周り方向に略々等間隔を隔てた位置で管軸方向に延長し且つ上記係止溝が鉄筋の螺旋卷回線上に位置するように取り付け固定し、しかる後、バネ鋼製の下鉄筋を保有バネに抗し螺旋状に卷回しつつ各コイル部を上記下係止部材の各々の係止溝に係止しながら管軸方向の一端側から他端側に向けて配筋することにより下段配筋を終え、次に下係止部材上に上係止部材を係止溝が上鉄筋の螺旋卷回線上に位置するように連結固定し、しかる後に、バネ鋼製の上鉄筋を保有バネに抗し螺旋状に卷回しつつ各コイル部を上記上係止具部材の各々の係止溝に係止しながら管軸方向の一端側から他端側に向けて配筋することにより上段配筋を終えることを特徴とする管の内面ライニング工法に於ける配筋工法。
【請求項6】請求項5記載の配筋工法に適用される鉄筋係止具であって、管軸方向に間隔を存して並列する多数の鉄筋係止溝を備えていて上下2段に連結固定できる上下一対の帯状係止部材を備えていることを特徴とする鉄筋係止具。
【請求項7】下係止部材に対し上係止部材を、これらの間に形成された凹凸部の弾性嵌合により連結固定できる構成になっていることを特徴とする請求項6記載の鉄筋係止具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は管の内面ライニング工法に於ける配筋工法に関する。
【0002】
【従来の技術】トラックなどの重量車両の通行量の多い道路に埋設されている既設管例えば下水管に於いては耐荷重性,耐衝撃性等を考慮し、内面ライニングの強度アップを計ることが望まれる。
【0003】この場合、例えば下水管の内面に沿って鉄筋を螺旋状に配筋し、その上からライナーの形成と該ライナー背面への裏込め材の注入充填を行うようにすれば鉄筋により補強された最終強度の大きいライニングを形成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ライニング工法に於いて、鉄筋による補強効果を考慮すると、螺旋卷回状態に配筋される鉄筋のコイル間のピッチは出来るだけ小さくすることが好ましいが、配筋ピッチを小さくすると、螺旋卷回鉄筋の各コイル部の傾き角度が例えば80°前後にも達し、作業中に螺旋卷回鉄筋が管軸方向に倒れる危険性があり、該鉄筋の倒れ防止対策がどうしても必要になる本発明はこのような要望に鑑みなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、管の内面ライニング工法の実施に際し、管内面へのライニングの形成に先立ち施工される配筋工法であって、管軸方向に間隔を存して並列する多数の鉄筋係止溝を備えた帯状の鉄筋係止具を用い、該鉄筋係止具を上記管の内周面の複数個所に対し、管周り方向に略々等間隔を隔てた位置で管軸方向に延出し且つ上記係止溝が鉄筋の螺旋卷回線上に位置するように取り付け固定し、しかる後に、バネ鋼製の鉄筋を保有バネに抗し螺旋状に卷回しつつ各コイル部を上記係止具の各々の係止溝に係止しながら管軸方向の一端側から他端側に向けて配筋して行くことを特徴とする管の内面ライニング工法に於ける配筋工法に係る。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態を添付図面に基づき説明すると次の通りである。
【0007】図1,2は本発明配筋工法に適用される鉄筋係止具の一実施形態を示し、該係止具1は細い帯状であって管軸方向に長尺であり、管軸方向に等間隔を存して並列する多数の鉄筋係止溝2を備え、該係止部2,2間にはその開口幅と同程度の間隔部3(図2では斜線で示してある)が形成されている。
【0008】図1,2には 鉄筋係止溝2を軸線(管軸)と直交する方向に延出するように設けた場合が示され、この場合、上記係止溝2は鉄筋aの直径よりも大きい開口幅に設けられ、図2に仮想線で示すように鉄筋aをラフに係止し得るような構成になっている。
【0009】鉄筋係止溝2の深さは鉄筋aの直径と略々等しいか或いはこれより若干深く、該係止溝2内に鉄筋aを略々没入状態に嵌入係止出来るような構成になっている。
【0010】上記係止具1の材質は鉄筋を係止保持できる程度の強度を有するものであれば特に制限されないが、通常は施工現場への搬入や管内への挿入の容易性等を考慮し例えばロール状に巻き取りが可能な程度の可撓性を持つ硬質乃至半硬質プラスチック製のものが使用される。その他、金属製の定尺のものを管内で管軸方向に継ぎ目はフリーのままで継ぎ足して使用するようにしてもよい。
【0011】一方、鉄筋aとしてはバネ鋼製のものが使用される。該鉄筋aは螺旋卷回状態に於いて、各コイル部が下水管bの内周面に保有弾性に抗し圧接し得る程度のバネ性を有し、必要に応じバネ鋼に焼きを入れバネ性を強化して使用する。
【0012】本発明工法の実施に際しては、図3に示すように、上記係止具1が作業員による管内作業により下水管bの内周面の複数個所例えば管回り方向に90°の間隔で上下左右の4個所に、管軸方向に延出するように例えば隣接するマンホール(図示せず)間の全長に亘り接着剤やアンカー金具(図示せず)などの適宜の固着手段を適用して取り付け固定される。
【0013】この取り付け固定状態に於いては、各列の係止具1の係止溝2…はそれぞれ同一円周上に並列している。
【0014】次に鉄筋aが図4に示すように下水管b内で螺旋状に卷回されて行き、この際螺旋卷回鉄筋の各コイル部a1は上記係止具1の対応の係止溝2にバネ弾性に抗し係止されて行き、鉄筋aは1コイル部a1当たり上下左右の4個所で係止溝2に係止固定される。
【0015】このように、螺旋卷回された鉄筋aは係止具1の係止溝2に1コイル当たり4個所で係止固定されるので、仮に図4に示すように各コイル部a1の立ち上がり角度が80度を超えるような場合であっても、螺旋卷回鉄筋aが管軸方向に倒れるという危険性ががなくなり、安全確実に鉄筋の螺旋卷回による配筋作業を行うことが出来る。
【0016】このように鉄筋aを下水管b内に配筋した後は、その上から例えばライナー形成と必要に応じライナー背面への裏込め材の注入充填を順次行うことにより、鉄筋により補強された最終強度の大きい内面ライニングを形成することが出来る。その他、ライナーの形成には管の内面補修に適用されている公知の各種のライナー形成手段を適用できる。本発明に於いて係止具1は少なくとも螺旋卷回鉄筋の各コイル部a1が係止される位置に係止溝2を備えていればよい。例えば図1,2に示すように係止溝2を管軸方向に間隔部3を存して多数形成しておけば、図4に示すように、各列の係止溝2の内から螺旋卷回鉄筋の各コイル部a1の線上に位置するものを選択使用でき便利である。図4に於いては、各列に於いて、係止溝2に対しては4つ置きに鉄筋のコイル部a1が係止されて行き、各列間では、時計回り方向の螺旋卷回に於いては、1つのコイルを基準に上,右,下,左の順に係止溝2に対する係止位置が1つ宛ずれて行くことになる。
【0017】因みに、図4に於いて、螺旋卷回状態に配筋された鉄筋のコイル部a1の立ち上がり角度θは略々80°であり、この立ち上がり角度ひいては配筋ピッチは係止具1として係止溝2,2間の間隔を大小変更したものを適用することにより調整できる。
【0018】係止具1は図5に示すように鉄筋aと略々隙間なしに嵌合出来るような係止溝2を有していてもよい。この場合には係止溝2は図3に仮想線で示す鉄筋aの傾斜に一致する傾斜を持つように係止具1に対し形成される。
【0019】また係止具1の係止溝2は図6に示すよに蟻溝型で鉄筋aを係嵌状態に拘束できるような構成のものであってもよい。
【0020】更にこの場合、図7に示すように、入り口2aの部分に鉄筋aを係止溝2内に向け案内できるガイド部4を備えるようにしてもよい。
【0021】図8は金属製として好適な鉄筋係止具1の一例を示し、金属帯板に波形状を与えることにより、鉄筋係止溝2が形成されている。
【0022】図9は金属帯板から打ち出したU型部6から鉄筋係止溝2を形成した場合を示し、この場合、鉄筋係止後に図10に示すようにU型部6を鉄筋に対し巻き締めすることにより、鉄筋を係止状態に拘束することが出来る。
【0023】図11は2段配筋に適用できる係止具1を示している。該係止具2は上下一対の係止部材1A,1Bを備え、これら上下係止部材1A,1Bは凹凸部5a,5bの弾性嵌合により上下に連結固定出来るような構成になっている。図示の実施形態のように凹部5aとして空き係止溝2を利用出来るような構成にすることができる。
【0024】上下一対の係止部材1A,1Bを備えた係止具1を使用するときは、下係止部材1Bを用いて先に述べた手順で下段配筋を行い、次に下係止部材1B上に図11に示すように上係止部材1Aを凹凸部5a,5bの弾性嵌合により連結固定し、次に上係止部材1Aを利用して上段配筋することにより2段配筋ができる。2段配筋により鉄筋による補強をより一層強化できる。
【0025】
【発明の効果】本発明配筋工法によれば、鉄筋係止具の適用により管内に配筋された鉄筋を螺旋卷回状態に拘束でき、例えば螺旋卷回鉄筋のコイル部の立ち上がり角度が70°を上回るような細やかなピッチの配筋であっても配筋された鉄筋が配筋作業中に倒れるという危険性がなくなり、安全確実に施工することができる。
【出願人】 【識別番号】000149206
【氏名又は名称】株式会社大阪防水建設社
【出願日】 平成9年(1997)6月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二 (外10名)
【公開番号】 特開平11−13986
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−163847